【まりおかーとえいと】
ジャンル | レースゲーム | |
対応機種 | Wii U | |
発売元 | 任天堂 | |
開発元 | 任天堂、バンダイナムコスタジオ | |
発売日 | 2014年5月29日 | |
定価 | 5,700円(税別) | |
判定 | なし | |
ポイント |
初のHD画質による美麗なグラフィック 新要素「反重力」に加え『Wii』と『7』の良いとこどり シリーズ初のDLCは無料・有料ともに豊富 距離制を採用したアイテムシステムの功罪が賛否を分けた バトルゲームはレースコース使い回しで大不評 システム面のブーイングが多かったがアップデートで大改善 重量級ゲーな点は変わらず |
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マリオシリーズ・関連作品リンク |
WiiUで展開された新しいマリオカート。初のHD化作品であり、映像の美しさはシリーズ随一である。
『マリオカート7(以下“7”)』と同じくナンバリング作品であり、『7』でのノウハウも大きく引き継がれているが、どちらかというと『マリオカートWii(以下“Wii”)』の続編という傾向が強い。
本作の新要素はなんと言っても
反重力
であり、反重力ゾーン内では他のカートとの激突や特定の障害物にぶつかることでスピンターボという効果が得られる。そのため通常とは違う戦術を要求される。
また、『Wii』でバランス崩壊の原因となった「バイク」が復活が発表されて物議を醸しだしたが、本作ではウィリーが廃止されカーブに強いという特性に変更された。
登場キャラクターは『7』というより『Wii』を元に増減しており、『7』でリストラされたワルイージが復活、ただし『Wii』の新キャラクターは軒並み消えている。後に有料DLCによって『ゼルダの伝説』や『どうぶつの森』からの参戦が決まった。
なお、コンシューマー機のマリオカートとしては初めてバンダイナムコスタジオとの共同開発となっている(アーケード版はバンダイナムコスタジオと共同)。
アイテムを使って争いながら上位を目指す、というバトルカートレースの特徴はそのままに、シリーズの要素を贅沢に取り込んだ内容となっている。
本作も独特なアイテムが多いものの、従来のシリーズに比べてこの要素に関しては批判点が出ていることが多い。
マリオカートの集大成として作られたため、要素に関してはほぼ全部載せに近い内容となっている。
反重力という新しい設定を競争要素としてうまくおとし、カートとバイクの格差をなくすことで、レースゲームとしての質はさらに進化したといっていいだろう。
しかし、アイテム出現のバランスの悪さなどを始め、問題点も見逃せないほど大きいものがあるのは否めない。
特にアップデート前は「どうして?」というレベルの痒いところに手が届かない問題点も多く、本来の良質なゲーム性の足を引っ張っていた。
今ではある程度改善されたとはいえ、あくまでオプション周りの不便さの解消であって、ゲームバランスに関してはほとんどいじられていない。
よって、本作はレースゲームとして『Wii』より完成度は増したものの、総合的に『7』ほど完成度が高いとはいえない。パーティーレースゲームとしては『Wii』にも劣る部分がある。
つまり本作も、『Wii』に近い「良いゲームだが、見逃せない問題点が多い」傾向にあると言える。
単純なレース要素は強くなり、テクニックを駆使して走るスタイルを重視するプレイヤーにとっては、これまで以上に面白くなったと言える。
従来のテクニックに加え、スピンターボによるブーストなどの新要素をどう活かすかということも、場合によっては要求されるので、新しいやりごたえもある。
しかし、そういったポイントは、ビギナーやライトユーザーに配慮した数々の改良要素に見合っているかと考えると、首を傾げる部分もある。
特にマリオカートシリーズが先駆けとなった『アイテムを使ったパーティー要素』が薄れている点は首を傾げる点であり、マリオカートである理由も薄れた感も強い。
ある程度続いているシリーズゆえに仕方がないことではあるのだが、上述した点も含め本作では新規・復刻・調整された要素のほぼ全てが賛否両論となってしまった。
そのため人によってはグラフィック以外が過去作全てからみて劣化という声から、歴代作同様またはそれ以上に面白いという声まである。
Wii版ははっきり賛否が分かれる作品であったが、本作ははっきり評価二分されている、というより非常に評価がバラついているゲームであると言えよう。
また、誰が見ても劣化としかいいようのない仕様となったバトルゲームも忘れてはならない。
バトル用のコースを用意せず、レース用のコースを使いまわすという仕様は、手抜きと言われても仕方ないレベルである。実際プレイ人口はほぼゼロに近いほどまで減った。
こういった要素も、アイテムバトルゲーム離れを促進させてしまっているだろう。HD画質でまともなバトルゲームがプレイしたいという人には非常にガッカリな内容と言える。
新規に向けて評価出来る部分もあるものの、シリーズ経験者からすると不満点が非常に多い。
加えて、シリーズ経験者の意見を受けて変えた仕様が噛み合わず、新規ユーザー向けの要素を邪魔している(特にテクニック重視な点)点も見られる。
結果として本作は新規層に向けているとして見ても、シリーズファンに向けているとして見ても、中途半端な印象は否めない。
ただ、発売後も様々なアップデートによって追加要素を何かと盛り込んでおり、ゲームを常に進歩させようとする努力を常に続ける意欲的な面があることは忘れてはいけないだろう。