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ワールド オブ ファイナルファンタジー - (2017/09/02 (土) 11:21:44) の編集履歴(バックアップ)


ワールド オブ ファイナルファンタジー

【わーるど おぶ ふぁいなるふぁんたじー】

ジャンル RPG

対応機種 プレイステーション4
プレイステーション・ヴィータ
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 トーセ
発売日 2016年10月27日
定価 5,800円(税別)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
判定 なし
ポイント FF版ポケモン
ディシディアとは一味違ったクロスオーバーFF
良くも悪くも初心者向けバランス
ギャグのセンスは好き嫌いが大きく分かれる所
極悪難度のミニゲーム群
ファイナルファンタジーシリーズ関連作品リンク


概要

母親を探しに不思議な世界「グリモワル」へと旅立ち、「ミラージュ」と呼ばれる歴代FFモンスター達を収集していく双子の姉弟ラァンとレェンの物語を描いたRPG。
本作におけるFFキャラはFC・SFC時代のチビキャラドット絵をCG化したような2頭身の体型「プリメロ」で描写されており、逆に本作オリジナルのキャラクター達はほとんどが通常のリアル体型「オオビト」で描写されている。

本作は若年層を中心とした「FFシリーズ初心者に向けた作品」というコンセプトが打ち出されており、従来のFFシリーズとは趣を異とした内容となっている。

特徴

  • ミラージュ
    • 本作におけるモンスター及び召喚獣の総称。各ミラージュのデザインは出展作品を踏襲しながらも本作用にデフォルメアレンジが施されている。
    • ミラージュは「ミラージュボード」と呼ばれる『X』におけるスフィア盤によく似た成長システムで成長させていく。
    • 専用経験値であるSPを消費させることでアビリティの取得が出来る。取得すればするほど、シンクロ率が上昇しステータスも上がっていく。
      • ボードには空きスロットも存在するが、そこには消費アイテムである「アビリティのたね」を使う事で、各アビリティを使えるようになる。
        なお、付け替えは出来ないが上書きは可能。
      • 全てのアビリティを取得すると★マークが付き、アビリティやステータス向上などのボーナスを取得できる。
    • ダンジョン内の障害物を避ける「ボカボカ」など探索用のアビリティもあれば、乗る事で歩行速度がアップする「ノリノリ」やSサイズミラージュを一緒に連れていける「トコトコ」など、環境的な意味合いが強いアビリティもある。
  • ノセノセプラン
    • レェンとラァンと各ミラージュとのフォーメーション。
    • S・M・Lサイズと基本3サイズに分類されたミラージュとレェンとラァンを組み合わせる事でパーティを組んでいく。
      • 各ミラージュはミラージュボードにより、他のミラージュへと変化させる「ヘンシンカ」が出来る。これにより、お気に入りのミラージュを別のサイズにして組み合わせる事も出来る。
        なお、ヘンシンカには一定レベルへの達成の他、「各ミラージュの記憶」など特殊なアイテムを持っている必要もある。
      • ラァンとレェンはMサイズ相当のプリメロとLサイズ相当のオオビトの二通りが選択可能。すなわち、Sサイズミラージュはどちらでも入れられるがM・Lサイズはそれぞれ一体だけしか入れられない。
      • 「ファイア」など同じアビリティを取得したミラージュを組み合わせる事で「ファイラ」「ファイガ」へと強力なアビリティを使えるようになっていく。
    • EXサイズに分類されるミラージュは「メガミラージュ」と呼ばれる特殊なミラージュで、レェンとラァンの合計AP*1が一定値に達すると呼び出せ、代わりに戦ってくれる。
      従来の召喚獣のようなポジションと言えば解り易い。
      • メガミラージュのAPが切れるか倒されると撤退する。
  • バトルはATBことアクティブタイムバトルで進行する。
    • 本作では各ボタンにコマンドを当てた簡易的な「シンプル」、防御やアビリティ一覧など通常通りの「クラシック」の二通りを切り替えていく。
    • 「ウェイト」「アクティブ」の他、「シンプル」時のみ時間が進行し、「クラシック」でのコマンド選択中のみ敵が行動してこない中間の「セミアクティブ」も存在する。
    • オートモードも搭載している。
    • APはレェンとラァンの順が回ってきた際に少しづつ溜まっていく。
    • ノセノセした状態では安定というパラメータも存在し、攻撃を受けていくにつれ次第にグラグラと崩れ出し一定値を超えると強制的にバラバラ状態となる上、一定時間動けなくなってしまう。
      • これを解消するためにアイテム「グラグラ安定剤」や魔法「バランス」を使う必要がある他、適度に防御したり崩れにくいフォーメーションを組む必要があるなど戦略性も高い。
  • ミラストーン
    • レェンとラァンはミラージュボードによる育成が出来ない代わりに、ミラストーンと呼ばれるアクセサリを装備する事でアビリティなどを取得できる。
      • ミラストーンは宝箱や敵ドロップによる獲得の他、ミラージュボードから取り出すことができる。
    • ミラストーンのスロットは基本的にレベルが一定値に達するなど条件による解放式となっている。
  • ジェム
    • 各ミラージュをジェム化するためにそれぞれ個別に設定されている条件を満たす必要があり、これを確認できるライブラが必要不可欠となる。
    • ジェム化の条件には普通にHPを減らすものもあれば「回復してあげよう」「毒状態にしよう」「炎属性で攻撃しよう」「防御力を低下させよう」など多種多様。ミラージュの組み合わせや状態異常アイテムの選択が非常に重要となっている。
    • 一部ミラージュを捕まえるには各ミラージュの種族に合わせたジェムが、「魔震」と呼ばれる機械系のミラージュを捕まえるには「アルトボックス」という消費アイテムが別途必要となる。
  • セイヴァーメダル
    • 歴代FFキャラを呼び出すお助け機能。専用のゲージが用意されており、召喚の度に各キャラに合わせたゲージ量を消費する必要がある。
  • ココロクエスト・よりみちクエスト
    • サブイベント。ココロクエストは名もなき少女の部屋で受ける歴代FFキャラにちなんだイベント。よりみちクエストは街の住人から受けるお使いイベント。
    • 報酬は少女や住人から直接受け取る他、メニュー画面から受け取ることも出来る。
  • タマエナ話
    • チュートリアルの再確認機能。
  • クロスセーブと対戦・交換機能にも対応している。
    • PS4ではWi-Fi通信、PSVではアドホック通信のみ。
  • FFシリーズでは初めてアニメムービーを導入している。

評価点

  • ミラージュの組み合わせが楽しい。
    • ミラージュをいかに組み合わせるかよって、特定のアビリティが使えたり、属性に対する耐性が付くため、それらを考えながらフォーメーションを組んでいくのが思いの外楽しい。
  • 多種多様なFFモンスター達が登場する。各デザインも出展作品が準拠となっているが本作独自のデフォルメアレンジが成されており、元と比べてみるのも楽しい。
    • 中にはアインハンダー*2や『ゼノギアス*3といった別ゲームのキャラクターまでもが登場。ご丁寧に、覚える技やモーションまでも原作準拠。
    • 本作オリジナルのミラージュも多く登場。中には『機動戦士ガンダム』でお馴染み大河原邦男氏が手掛けたミラージュも。
  • グラフィックは流石のスクエニと高クオリティで纏まっている。
    • 街並みも各FF作品が出典となっているものが多く、原典を上手く踏襲したデザインとなっている。
  • フィールドやダンジョンなどでは、歴代シリーズのアレンジBGMが流れる事が多い。
    • 各セイヴァーを召喚した際に各作品の戦闘BGMのアレンジが流れるが、オプションで通常戦闘のBGMをそれらに変更する事も出来る。
    • フィールド上で魔導アーマーにノリノリするとBGMが「FFVI」のものとなる。
      22年越しに魔導アーマーに自由に乗り降りできるという夢を叶えてくれたとしてVIファンからは大好評。雪原も存在しているため自由にVIオープニングごっこが出来る。
  • ディシディア』とは一味違ったキャラクター選出。
    • 基本的に主人公とラスボスの選出がメインだったディシディアと比べて、全体的にサブキャラクターが多く登場している。ファリスやキスティスなど本作で初めて声がついたキャラも多い。
      • エドガー役に三木眞一郎氏など、キャラのイメージにピッタリとしてキャスティング面でも好評を得ている。
    • リメイク版『III』からレフィア、『クリスタルクロニクルエコーズオブタイム』からシェルロッタ、『ダージュオブケルベロス』からシェルクなど派生作品からの選出も見られている。

賛否両論点

  • 前述の通り若年層を意識したためか、ストーリーやテキストのノリは全体的に軽い。カラー的に最も近しいのは『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リング・オブ・フェイト』や『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル エコーズ・オブ・タイム』のマルチプレイモード辺りであろうか。
    • ダンジョン内ではレェンとラァン、タマを始めとするキャラクターの掛け合いが頻繁に挿入されるのだが、内容は大抵ラァンの言い間違いによるボケにレェンが突っ込むという天丼なモノであり、それがストーリー終盤まで繰り返されるためクドさを感じるプレイヤーも少なくない。
      • ボス戦などにおいてもDLCに言及したりとメタ発言も平然と出てきている。
    • ストーリーも終盤になるまで敵幹部が暗躍しながらもグリモワルを一本道でのんびりと探索していき、終盤になってストーリーが大きく動き出すなど、やや薄め。
      • 本筋そのものはシリアス寄りではあり、下ネタやネットスラングなどもほぼ無い。
    • これもあってか、多くのプレイヤーからの評判はあまり良くない。尤も、図鑑のテキストに比べれば可愛い方という意見もある(後述)。
      • ちなみに今作のシナリオライターは『ダージュオブケルベロス』や『零式』の千葉広樹氏。
  • 戦闘バランス調整はかなり緩く良く言えば初心者向け、悪く言えば大雑把。
    • 全体的にノセノセ前提のバランスとなっており、バラバラ状態だと全体攻撃であっという間に各ミラージュが沈んでしまう事が多く、あえてバラバラで行動する必要性が薄い。デスによる一発死を回避するくらいしか活躍の場が無い。
    • 店売りの戦闘用アイテムでも何とかなってしまうことも。ただしこれはとあるマップで発生するミラージュ使用不能イベントに起因するとされる。
    • 敵味方共にミラージュが強力になるにつれてLサイズ相当のオオビトよりもMサイズ相当のプリメロの方が強力なミラージュと組める事が多く、プリメロ時の組み合わせに依存しがちになる事も。

問題点

  • ミニゲームの極悪難度
    • 本作最大の問題点。全体的に出来が悪い上、終盤に唐突に挟まれる他「クリアさせる気がない」と言わしめられる程に理不尽な難易度に仕上がっている。
  • ノセノセ編成中のもの含めて一度に連れ歩けるミラージュは全16体。マップアビリティの関係上似通った編成になりやすいこともあり、育成面を考慮すると少ないと言わざるを得ず、せめてこの倍は欲しかったという声も少なくない。
  • Vita版はボイスデータを別途ダウンロードする必要がある他、VitaTV非対応など制約が多い。
  • 一部のダンジョンにただただ道を進んでいくだけのマップ構成が見られている。
  • FFレジェンドキャラの扱い全体的にやっつけ気味。
    • 基本的にストーリー途中で出会って一時行動を共にしたりお使いをこなしたりして直ぐに別れる…の繰り返し。細かい描写はサブイベントに回されているのがほとんどで本筋に関わらないキャラも少なくない。
    • メインストーリーにおけるキャラの活躍も歴代召喚士キャラの他は『VII』以降のいわゆる「野村FF」に集中している。
      • II』『XII』『XIV?』などのキャラが登場しない事も惜しまれた。特に帝国対レジスタンスという本作のストーリーに合致していた『II』『XII』の未出演には多くのプレイヤーが首をかしげる結果となった。
    • 「ルシ」「ドロー」といったそれぞれの原点作品に登場する用語も出てくる上、何の説明もされない。ストーリーに関わる事も無いが。
    • 何故かティナが召喚士扱い、リュックがトレジャーハンターとして活動しているなど首を傾げるような扱いも少々見られている。
      • ティナに関しては確かに某イベントにて他の召喚士達と同じように扱われているが、キャラクター図鑑には「召喚士ではない」と明記されている。
      • リュックはどちらかというとロックではないかと。一応『X-2』ではスフィアハンターだったが。*4
      • ただし会話などキャラ描写においては、原作からの出典であるネタが非常に多く好評ではある。キャラを必要以上に貶めるような描写も皆無。
  • アニメムービーの必要性が薄い。
    • 作画自体は美麗ではあるのだが、従来同様のCGムービーも多く流れる上、あえてアニメで描く必要性も無く「何故このシーンをわざわざアニメで?」と思う事が多い。
    • むしろ、アニメの方がオオビトとプリメロが一緒に映った際の違和感が大きくなってしまっている。

総評

ライトな作風や大味なバランス取りなど良くも悪くも初心者向けにウェイトが置かれた内容。好き嫌いが激しく分かれるギャグ要素のノリや大味なバランス取りなど惜しい部分こそあれ、育成収集RPGとしての出来は決して見劣りするものではない上、アレンジBGMを始め歴代シリーズファンに向けた描写も多く、続編を願う声など好評意見もまた多い。

製作総指揮を采った橋本真司プロデューサーによると本作を『ディシディア』『シアトリズム』に続く新たなFFクロスオーバーの柱とする意思も見せており、続編の機会があればさらなるブラッシュアップが期待されるところである。

発売前にニコニコ生放送などでプロモーションを積極的に行いゲーム内容をアピールするも、それが伝わったとはいい難く結果的にその子供向けな見た目が敬遠され、また本作の後に『FFXV』が控えていた*5事もあり、初週売り上げは2機種計10万本と控えめなものとなった。

余談

歴代FFキャラクターのプリメロデザインは本作に先駆けて、スマートフォン用アプリゲーム『ピクトロジカ ファイナルファンタジー』でも用いられていた。本作には登場していないキャラのプリメロ化した姿も多く見られる。