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Medal of Honor

【めだる おぶ おなー】

ジャンル FPS
対応機種 プレイステーション
発売元 エレクトロニック・アーツ
開発元 ドリームワークス・インタラクティブ
発売日 1999年11月10日
プレイ人数 1~2人
判定 良作
ポイント スピルバーグ監督による史実準拠FPS
濃いめの教育的要素
多彩に作り込まれた敵挙動
こじんまりとしたシチュエーション
メダルオブオナーシリーズ


概要

(主に)第二次世界大戦を題材としたFPSシリーズ『メダルオブオナー』シリーズの記念すべき第1作目。
プロデューサーとしてドリームワークス社の創設者であり、有名映画監督でもあるスティーブン・スピルバーグが主導して製作された。

戦争映画『プライベート・ライアン』の撮影中に彼の息子が遊んでいた『ゴールデンアイ 007』を見てアイデアを思いついたと言われており、
実際に照準システムや複数の副次目標が用意されたゲームプレイ、ブリーフィングやクリアリザルトなど同作品と類似する点が多く見られる。
また、後のシリーズでおなじみの娯楽的展開が比較的少なく、シリアスで教育的な要素が多く含まれるのも特徴となっている。

当時無名シリーズかつ家庭用機では馴染みの薄いFPSなのもあり、残念ながら北米および欧州でのみの展開で日本語版は発売されていない。


ストーリー

1939年9月1日のドイツのポーランド侵攻、そしてそれに反発するイギリスとフランスの対独宣戦布告により、ヨーロッパは再び戦禍に包まれた。

ドイツ軍の猛攻によって1940年にフランスの首都パリは陥落し、ナチス・ドイツの傀儡政権が成立してしまう。

一旦の休戦協定が結ばれたものの、ドイツに有利な制度や思想が蔓延していくにつれ、その抑圧に反発するものも現れていった。

イギリスとの戦いが長引くのと同時に人々は再び結集し、地下抵抗組織「マキ」を結成してナチス・ドイツや傀儡政権に攻撃を仕掛けていく。

 

1944年6月12日、フランス解放を目指す連合軍がノルマンディー上陸作戦を決行してから6日後。

諜報・破壊活動組織「OSS(戦略情報局)」にスカウトされた新人工作員ジェームズ・パターソン中尉が、未だ占領下のフランス北部へと潜入した。

彼は機密書類の奪取や鉄道砲の破壊、毒ガス製造工場の停止といった危険な任務を次々とこなし、ナチス・ドイツを追い詰めていく。




ゲームシステム

基本操作

  • コントローラー十字キーで前進後退および左右旋回、×で射撃、〇で武器切り替え、□でリロードおよびインタラクト、△でジャンプ。
    • L1/R1で左右平行移動を行い、L2ではしゃがみ、R2では狙撃モードに切り替わる。
    • 狙撃モードでは『ゴールデンアイ』と同じく十字キーによる照準操作と狙撃が可能。移動はできないが、L1/R1で左右リーンが行える。
    • デュアルショックにも対応しており、移動および視点操作をスティックに割り当てるモードなども用意されている。

ゲーム進行

  • OSSの新人隊員ジェームズ・パターソンとなり、占領下のフランスに潜入して破壊工作を行っていくステージクリア型FPS。
    • 各ミッション開始前にブリーフィングおよび資料で目標を確認でき、ゲーム開始後はそれに従い探索を行う。
    • 各ミッションは複数のマップで構成されており、マップ毎に用意された副次目標を達成していく必要がある。
      クリア後はリザルト画面で戦闘および目標達成情報が表示され、次のマップに進む。
      ミッションの最終目標を達成すると、拠点である「ウォールーム」に帰還する。
  • 全7ミッション、24マップ構成。各ステージをクリアするごとにメモリーカードに進捗を記録できる。

ウォールーム

  • 各種作戦資料や戦略図などが掲示されたOSSの拠点。ゲームのハブとなる場所。
    • 新しいチャプターを始めたり、各種設定を変更したり、データ管理や統計、映像資料を閲覧したりできる。
    • メダルオブオナーの名の通り「勲章」の概念があり、チャプターをクリアしていくごとに勲章が授与されてケースが埋まっていく。

潜入

  • 一部ステージでは銃撃ではなく潜入パートとなり、敵の目を掻い潜って忍び込むことに。
    • 後の『アライドアサルト』などと同様に「検問」の概念があり、不審な行動を取ってしまうと敵対される。
      そこで活躍するのが、装備品のひとつである通行証。装備状態で攻撃ボタンを押すと目の前の相手に掲げることができ、適切な身分証を持っている状態であれば敵の警戒を解くことができるようになっている。
    • ただし身分チェックを済ませていようがいまいが銃を取り出しているところを見られれば敵対されてしまうし、高官キャラクターには正体を見破ってくる相手などもいるため油断は禁物。
  • プレイヤーが所有する通行証には段階があり、初期装備のものは階級が低いため通れないドアも多い。
    このため、門番を騙すためにどこかに存在する高官を排除してその通行証を奪っていくことになる。
    • 通行証を見せられて階級を知った途端に敬語口調で改まる門番が見られたりと、潜入中の挙動も人間味に溢れている。
  • 潜入任務中に正体を見破った敵兵が警報装置を押してしまったり、派手な破壊工作(車両爆破やエンジン破壊など)を実行したりするとマップ全域に警報が鳴り響いて強制的に敵対状態となる。ただしこういったゲームにありがちな即時ゲームオーバーではなく、失敗しても割とごり押しで突破できる内容。
    • また警報装置さえ鳴らされなければ周囲にバレないため、「通行証を見せて油断させつつ懐から取り出した消音拳銃で素早く排除する」などといった芸当も有効となる。

マルチプレイ

  • 画面を上下2分割しての2人対戦が可能。ルールはシンプルなデスマッチのみ。

パスワード

  • パスワードによる隠し要素解禁システムが用意されており、入力することでさまざまな恩恵を得られる。
    • 弾薬無限や無敵などのお楽しみ要素、マルチプレイヤーモードでの特殊キャラクター解禁、開発チームの写真など内容は様々。
    • パスワードは特殊な条件を達成することでリストとして公開されるが、公開前であっても入力自体は可能。



評価点

臨場感溢れる細かな演出

  • 戦争映画『プライベート・ライアン』撮影後のスピルバーグ監督が手掛けているだけあって、その内容はかなり映画的。
    • 実際のブリーフィングを再現した事前情報要素に始まり、敵キャラクターの自然で多彩な動作、音響、環境音といったさまざまな要素で『占領下のフランスっぽさ』を再現している。
    • 特に敵キャラクターの演出は後のシリーズ以上に拘って作られており、足を撃つと痛がる、頭を撃つとヘルメットが飛ぶ、匍匐する、負傷して這って逃げる、瀕死状態でも拳銃で反撃するなど非常に多彩。

撃って忍んで破壊する、緊迫した潜入作戦

  • 連合軍兵士となってドイツ兵を撃ち倒すだけのFPSであれば『Wolfenstein 3D』や『World War II GI』など当時一応存在はしていたが、それらに比べると本作のミッションは本格的でバリエーション豊か。
    • 農村を駆け巡り兵士を撃つ場面もあれば、暗殺拳銃を懐に隠したまま偽装通行証を掲げて堂々と潜入する場面もある。Uボート内部なんていう変わったロケーションも登場。
      戦闘部分も車両に爆弾を仕掛けて吹き飛ばしたり、狙撃銃で遠距離から仕留めたりと様々な展開が待ち受けている。

遊びながら学べる、史実解説要素

  • 名誉勲章協会直々の許可を貰っている作品というだけあって、約60年前の歴史を解説するという教育的な側面が重視されている。
    • ゲーム本編自体は歴史の裏の語られない作戦を描いているが、各ミッションの合間に歴史解説を挟むことで当時の世界情勢も把握することができる。
    • 当時運悪くコロンバイン高校銃乱射事件が発生したことで本作を含めたFPSジャンルが「暴力を助長する」として批判の的となったが、この教育的側面により本作は名誉勲章協会会長の説得に無事成功している。

雰囲気を盛り上げる、(当時にしては)ちゃんとした武器

  • 『プライベート・ライアン』の軍事技術顧問デール・ダイがスピルバーグ監督の縁で参加しており、そのおかげで武器なども当時の構成を再現している。
    • M1ガーランドやコルト・ガバメント、トンプソン短機関銃、スプリングフィールドなどの当時の連合軍主力火器はもちろん、MP40やワルサーP38などといった敵側の武器も鹵獲して使えるのも嬉しいポイント。
    • 潜入任務ではサプレッサー付きPPKも使える。気分はまさにジェームズ・ボンド。

豪華なオーケストラ音楽

  • 音楽は過去にプレステ版『ロストワールド』を通じてスピルバーグ監督と縁のあったマイケル・ジアッチーノが担当。
    • 場面にあったハリウッド映画さながらの楽曲の数々は非常に評判が良い。ディスク媒体なだけあって音源の質も高め。
    • 本作以降ジアッチーノ氏はシリーズの音楽を継続して手掛けており、また初代『Call of Duty』のサントラやハリウッド映画の劇伴など多彩に活躍している。

本格的な効果音

  • 実銃からサンプリングした射撃音や迫る敵が鳴らす軍靴の足音など、拘った音も臨場感を高めている。
    • 残念ながらガーランドの特徴的なクリップ排出音など惜しい所が再現されていなかったりもするが、全体的に再現度は高め。


問題点

常に夜

  • プレイステーションのスペック的都合上仕方ない部分ではあるが、描画範囲が非常に狭い。
    • このスペック限界を誤魔化すためにほとんどのシチュエーションが夜間地域か屋内施設に限られており、マップの閉塞感が強め。面積自体もさほど広くはなく、マップを移動する度にそこそこ長いロードが入るためややテンポも悪い。

展開が地味

  • こちらもスペック的な限界もあるのだが、どれも潜入任務ばかりで展開としては地味。
    一度に登場する兵士は1~3人程度で、戦場っぽさを味わうには少々寂しい。
    • 後のシリーズのように大規模な市街戦やノルマンディー上陸、塹壕戦などを味わうことはできない。

ガクついた挙動が多い

  • フル3D表現はかなり気合が入っているのだが、テクスチャの歪みやモーションの不自然さがところどころに見受けられる。

目標表示の欠如

  • 後のシリーズでは存在する、目標の方角や距離を示したメーターが用意されていない。
    • このため、一部のマップでは少々迷子になりやすい。幸い、各マップはさほど広くはないので困る場面はそう多くないが。

物忘れと人員入れ替えが激しい潜入パート

  • 潜入パートでは巡回兵や門番に毎回通行証を見せつけていくことになるが、敵がプレイヤーの描画距離圏外に出てしまうとその状態がリセットされ、顔を忘れられてしまう。
    • バレないためには毎回確認作業を行う必要があるため、迷子になった時などはやや不便。
  • また、倒した敵であっても同じように状態がリセットされてしまうので、同じエリアを何度も行き来する潜入パートでは始末したはずの見張りが復活していたりと違和感がある。



総評

当時成功した前例が殆どなかった第二次大戦史実準拠のFPSであることに加え、スペックで劣る家庭用機向けながらも丁寧に作られた佳作。
スペック的な限界は所々から垣間見えてしまうものの、独創的な展開や細かな作り込みによって臨場感が高められている。
また、ディスク媒体を活かした豪華な音楽や映像も作品のリアリティを補強しており、シリーズ一作目ながらも独特な雰囲気は既に完成されている。

後に豪快かつ娯楽的な内容へと発展していく『メダルオブオナー』シリーズだが、本作は打って変わってシリアスで暗めな内容。
しかし「史実に忠実な第二次世界大戦FPS」の在り方はきちんと示されており、後のシリーズ化や『Call of Duty』シリーズへの発展の切っ掛けとなった。
続編と比較するとやや知名度には欠けるものの、北米FPS史における歴史的意義は大きいと言えるだろう。


余談

  • その後の展開
    • 本作の発売後、本作において主人公ジミー・パターソンの上司としてブリーフィングなどに登場していたフランス地下抵抗組織のマノン・バティスタを主人公とする『Medal of Honor: Underground』が発売された。
      こちらはゲームエンジンなどが本作と共通しており、事実上の拡張パックのような内容となっている。
      また、おまけエピソードの「Panzerknacker Unleashed!」のみ操作キャラがジミーとなる。
    • 三作目の『Allied Assault』では主人公がマイク・パウエル中尉に交代するが、その後四作目となる『メダル・オブ・オナー 史上最大の作戦』では再びジミー・パターソンが抜擢されている。
  • 数少ないプレステ独自のFPS
    • 北米におけるニンテンドウ64での『時空戦士テュロック』や『DOOM 64』、そして『ゴールデンアイ 007』の爆発的ヒットに比べて、初代プレステのFPSタイトル群はPC向け作品の劣化移植の傾向が強めだった。
    • このため北米ゲームメディアではプレステ独自のFPSタイトルの登場に対し、「プレステ版ゴールデンアイがついに登場」「『プライベート・ライアン』のストーリーと『ゴールデンアイ』のアクションが融合した」と高く評価している。
    • 本作が成功を収めた後も、シリーズはPSハードを主軸に据えて展開していった。
  • 失われたゴア
    • 当初はスピルバーグ監督の『プライベート・ライアン』に準拠した、かなり過激な部位破壊を含む流血および残虐描写を採用していた。
      しかし発売前に発生したコロンバイン高校銃乱射事件により風当たりが強まったことで、完成品ではこれらの要素はほぼ全て撤廃されてしまった。
      爆発で破裂した頭部から血が噴出したり、バズーカの直撃で上半身が消し飛んだりと、プレステのタイトルにしてはかなり作り込まれていたことがベータ版トレイラーからうかがえる。
    • 以後の『アライドアサルト』などのシリーズにおいてもゴア表現が控えめな同シリーズだが、仮に事件が発生しなければ今よりも壮絶な内容のシリーズになっていた…のかもしれない。
  • 別の方向に過酷な開発秘話
    • ベトナム戦争映画や第二次大戦映画の撮影においては、俳優たちが実際の軍事訓練に参加して戦闘技術を叩き込まれるというのはよくある話である。
    • しかし本作のプロデューサーも映画が専門のスピルバーグ監督。必然的に開発陣はこれに巻き込まれ、『プライベート・ライアン』式の軍事訓練を受けさせられる羽目になったとか。
  • イカれた紹介PV
    • ウォールーム画面でゲームを放置していると、トレイラー映像「Conversational German for the American Soldier(アメリカ兵のための会話型ドイツ語)」が見られる。
    • 本編はシリアスめの内容なのに対し、こちらは「失礼、手榴弾を落としましたよ」「アメリカ人はポケットに犬用ビスケットを持っている」などめちゃくちゃなドイツ語ばかり紹介されるシュールな内容。

最終更新:2026年03月24日 10:42