パワーレンジャー ピンボール
【ぱわーれんじゃー ぴんぼーる】
| ジャンル | ピンボール |  
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| 対応機種 | プレイステーション | 
| メディア | CD-ROM 1枚 | 
| 発売元 | バンダイ | 
| 開発元 | KAZe | 
| 発売日 | 1996年9月27日 | 
| 定価 | 6,800円 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | スーパー戦隊唯一のピンボールゲーム ピンボールにしては珍しいステージクリア方式
 本編が日本未上陸なのに何故か発売されたゲーム
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| スーパー戦隊ゲームリンク | 
| KAZe/デジタルピンボールシリーズ | 
 
概要
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1996年にてバンダイがリリースしたプレイステーションソフト。ジャンルとしてはピンボールゲームに該当する。
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開発元は国産メーカーにおいてピンボールゲームを作らせたら右に出るものはいないといわれる程の定評があるKAZe(カゼ・ネット)が担当している。
 
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海外版スーパー戦隊であるパワーレンジャーシリーズを題材としたゲームであり、本作は「パワーレンジャー・ジオ」(日本でいうところの「超力戦隊オーレンジャー」)がモチーフとなっている。
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なお、本作は海外版(『Power Rangers Zeo: Full Tilt Battle Pinball』)と国内版がほぼ並行発売されており、海外プレイヤーをメイン層にしている為、国内版においてもゲーム内はすべて英語表記である(説明書はもちろん日本語表記)。
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日本国内においてパワーレンジャーを題材としたゲームはスーパーファミコンソフトの『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』(バンダイ発売、ナツメ開発)と本作のみとなっている。
 
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ピンボールとしての趣旨は原則としてリアル路線だが、フィールド内に雑魚敵がたむろしそれをボールで破壊できたり、様々な動きをするボス敵が待ち構えるといったゲーム的ギミックも搭載されている。
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一人プレイ専用、ステージ詳細などに関しては下記にて。
主なルール
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オプション項目にて「EASY」「NORMAL」「HARD」の難易度を三段階から選べる。
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EASYでプレイするとボールを発射する度にフィールドの下部分にボール落下を防止する「ストッパー」が一定時間だけ発生する。これにより他難易度よりもボールがロスしにくくなる。
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HARDでプレイすると他難易度よりもミスする要因が増えるが、この難易度でゲームクリアすると真のエンディングが拝める(他難易度では後味の良くないエンディングとなってしまう)。
 
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従来のピンボールゲームはいかに高いスコアを稼げるかという目的があるものがほとんどだが、このゲームは明確なステージクリア方式が存在する。
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各ステージは2~3台のフィールドで構成され、すべての台をクリアすればステージクリアとなる。台はすべて一画面分のフィールド構造であり、スクロールは一切しない。
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各ステージにおける前半の台(道中戦)は特定のギミックをボールに当てる事でその台がクリアとなり、次の台(ボス戦)に移行する。
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後半の台はボス戦となっており、フィールド内にいるボスにボールを当てて特定のダメージをあたえればステージクリアとなる。
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全部で5ステージが存在し、計11の台が用意されている。以下ステージ内容の紹介。
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「USAステージ」…ステージ1の舞台。このステージのみ道中戦の台が2つあり、全3台構成となっている。
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「アジアステージ」…ステージ2の舞台。全2台構成(下記のステージも同様)
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「アフリカステージ」…ステージ3の舞台。
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「ヨーロッパステージ」…ステージ4の舞台。
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「北極ステージ」…ステージ5の舞台。敵の本拠地での決戦であり、ここのステージのボス台をクリアすればエンディングとなる。
 
 
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主な操作方法は従来のピンボールと同じようなものとなっている。以下詳細(ポーズなどの機能は割愛)。
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ボール打ち出し(×ボタン)でそのボールを発射してプレイスタート。
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発射したボールが即効でロスしてしまうと、「フリーズ」という救済処置が発生し、ロスカウントなしでボールを再発射できる(オート発射)。
 
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右フリッパー(○ボタン)と左フリッパー(方向キー左)でボールを跳ね返す。
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台の揺らし方は、左揺らし(L1かL2ボタン)、右揺らし(R1かR2ボタン)、垂直揺らし(△ボタン)ができる。
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連続で台を揺らしすぎてしまうとペナルティとして「ティルト」(操作しているボールの強制ロス)となってしまう。
 
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オプション項目にて操作するコントローラーの配置の変更を2種類から選択可能(上記の配置は初期設定の表記)。
 
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各難易度共に所持ボール数は5つからのスタートとなる。ボールをすべてロスするとゲームオーバー。
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台をクリアするとボール数が初期化(5つ)される為、いくらボールをロスしても台をクリアさえすれば仕切り直した状態で次の台に挑める。
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ゲームオーバー後にコンティニューが可能だが、再開先はステージ最初の台からとなる(ボス戦からの再開は不可)。なお、コンティニュー回数は無制限となっている。
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タイトル画面にてこれまでに進んだステージ内限定でのステージセレクトができ、別難易度の切り替えもも可能。但し、台そのものの選択は不可で、ステージクリアしてもタイトルに戻るだけでステージ進行やエンディング到達はできない。
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メモリーカードを所持していれば、ステージセレクトなどのデータを保存でき、一からやり直す手間が省ける。
 
評価点
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流石にKAZe製だけあってピンボールとしてのクオリティは高い。
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操作性は極めてわかりやすくて軽快であり、複雑な操作に悩まされる事もなければ、意味不明な操作の不備に悩まされる事もまずあり得ない。
 
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ステージクリア方式により、プレイがだれにくくなっている。
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ステージクリアという明確な目標が存在するおかげで、ピンボールゲームに付き物の問題である「長時間プレイによる作業感」に遭遇する機会が大幅に少なく、マンネリ化しにくい状態で数々のステージが楽しめる贅沢さを持っている。
 
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全11台収録と当時のピンボールゲームの中でもかなり多い部類。
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もちろん、似たり寄ったりの台の詰め合わせだなんて怠慢はなく、ちゃんと違うギミックで差別化が図られている。
 
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各台のデザインには様々な個性を持っており、プレイを飽きさせない工夫が多く見られる。
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純粋に台としての芸術性という観点から見ても優秀な部類であり、ちゃんと原作の雰囲気を上手く再現できている。
 
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BGMのクオリティも優秀でゲームを盛り上げてくれる。
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原作のテーマソング「Power Rangers Zeo」も随所に流れ、痺れるかっこよさとなっている。残念ながらサウンドテストは不可。
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ちなみに、オプション項目でBGMと効果音の有無設定は可能。
 
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実写(原作映像)や本作の為に作られたCGで描かれたイベント演出が発生し、これもゲームを盛り上げてくれる要因となっている。
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ゲーム開始のオープニングやプレイ中にて特定ギミックを発動した時、ステージクリアの合間、エンディングに至るまでこの演出が拝める。まさに原作ファンの為に作られたゲームといえるだろう。
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また、一部を除けば演出はスキップ可能で、演出自体もスピーディでぐだぐださをほとんど感じさせないものとなっている。
 
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説明書の表記が非常に丁寧。
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ページの表記が見やすく、ピンボールに関する知識や攻略情報が一通り書かれている。また、言葉では表記し辛いがジャケット絵もハイセンスでかっこいい。
 
賛否両論点
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時代が時代だからか、原作のロボ戦を再現したCGイベント演出が異様にダサく、他のデザインと釣り合ってない。
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実写イベントは特に突っ込むべきところではないが、CGイベントは「カクカクポリゴンでセンスが悪く、ここだけが一際浮いている」という悪評が付きまといやすい。
 
問題点
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ステージクリア方式を採用している反面、従来のピンボールゲームにあるべきものが搭載されていない。
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このゲームにはスコアは存在するもののスコアランキング表示というものが存在しない。すなわち、いくらスコアを稼ごうがハイスコア記録を残せず、スコアを稼ぐ意味合いが全くないというピンボールとしてあるまじき問題を抱えてしまっている。
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スコア計算はしっかりと設定されており、ステージクリア後にも累計スコアのリザルト画面が表示されるだけに、何故肝心のスコアが記録できないのかが非常に謎である。
 
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一部ステージが異様に難しく、安定したエンディングを拝めさせてくれない。
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ステージ3のアフリカステージが特に鬼畜で、それまでのステージをクリアできる腕前があってもここで足止めを食らう可能性が極めて高し。
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1つ目の道中台は意図的に画面中央にUFO型の巨大敵(ギミックを発動しないと破壊不可)が画面を覆うような形でたむろし、視覚的にフィールドの状況が確認し辛くなっている。
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2つ目のボス台はボスの位置にボールが当て辛いフィールドとなっており、しかもフィールドの構造の関係上ボールのスピードが他の台以上に超高速という地獄地帯。
 
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もちろん、ステージ4以降も十分難関である為、ストッパーが発生するイージー以外でのクリアするのは相当なるスキルと運が必要となってくる。この辺は純粋にバランスの調整不足といわざるを得ないところ。
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このゲームのコンティニューはそのステージ最初の道中台からの再開であるが故に、ボス戦でミスするとやり直しの負担が極めて大きいのもかったるい。
 
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収録台は多いが、各ステージのギミック数は若干少なめで、個々の台としては物足りなさがある。
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全11の収録台中、ボス戦用の台が5つも占める。ボス戦はあくまでもボスを倒す事を主体に置いた構造となっている為、ただボールを弾いてボスにぶつけるだけで道中台のようなバリエーションの楽しさがほとんどない。
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残りの道中台6つも、ステージクリアさせる目的に特化している故に、同期のピンボールゲームと比べても仕掛けを変化させる楽しみが控えめになっている。よって、その台をクリアしないままの長期戦は他作品以上の作業となってしまう。
 
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ステージセレクトはできても台選択は不可で、好きな台からのプレイができない。
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裏技の類も存在しない為、その台をプレイする度にわざわざステージ単位でプレイしなければならないのも地味に面倒である。
 
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ハードスペックの問題もあるだろうが、解像度がやや粗く、今の感覚で見ると少々雑な外見となっている。
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こればかりは仕方ない問題だろうし、くれぐれもいっておくとデザイン関係は非常に優秀というのは評価点通りである。
 
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ゲーム内では一切の日本語表記や翻訳ボイスがなく、原作を知らない人からすればどういう舞台設定なのかが分かり辛い。
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もちろん本作のモチーフは「パワーレンジャー・ジオ」であり「超力戦隊オーレンジャー」ではない。よって、オーレンジャーを知っているだけでは本作の魅力を十分に堪能できるとは思えない。
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悪くいえば、国産ソフトなのに一切の翻訳がされていない手抜きともとれる。
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そもそもだが、パワーレンジャー・ジオは日本では放送も吹き替えも出なかったため日本でも発売するのは如何なものか。
 
総評
職人ピンボールメーカーのKAZeが関わっているだけあってピンボールとしての出来は上質だが、所々に粗や作り込み不足な部分も見られるのが惜しい一作。
その後の展開
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後に同じバンダイとKAZeのコンビでリリースされるプレイステーション2ソフト『AKIRA PSYCHO BALL』は本作の路線を大幅に進化させたピンボールゲームとして特定ファンから大きな支持を得る事となる。
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残念ながら日本におけるパワーレンジャー関連のソフトは、本作を最後にリリースされていない。逆に海外では2000年の『パワーレンジャー・ライトスピード・レスキュー』以降、毎年というわけではないが半ば新シリーズ放映時期に合わせた形でゲームが出ている。
最終更新:2025年03月23日 13:35