聖戦士ダンバイン ~聖戦士伝説~

【せいせんしだんばいん せいせんしでんせつ】

ジャンル シミュレーションRPG+アドベンチャー
対応機種 プレイステーション
発売元 バンダイ
開発元 ベック
発売日 2000年3月4日
定価 6,800円(税抜)
廉価版 BANDAI THE BEST
2001年7月12日/2,800円(税抜)
判定 なし
ポイント 登場オーラマシン数は豊富
if展開の多様性
全体的に地味


概要

1983年に放映された同名アニメ作品のゲーム化。
これまでも『スーパーロボット大戦』シリーズなどに参戦していたため知名度は高かったが、当作品単独でゲーム化されたのはコンシューマー機ではこれが初となる*1

プレイヤーはアニメ版主人公の「ショウ・ザマ」ではなく、オリジナルキャラの「シュンジ・イザワ(名前は変更可能)」となる。この作品の舞台となる異世界「バイストン・ウェル」に召喚されたところまでは同じだが、ショウと違う国に召喚されている。
紆余曲折の後、シュンジはその国の王となる。選択によって、アニメ版とはまた違った展開を楽しめる。最後に待ち受けるのはアニメ版と同じ展開か?それとも…?

システム

戦闘は基本的にシミュレーションRPGだが、『スーパーロボット大戦』シリーズや『ファイナルファンタジー』シリーズ等にみられるシステムが雑多に混ぜ合わせてある。
ユニットの行動順は、FF4などで使われたアクティブタイムバトルのように、行動ゲージが満タンになったら動けるようになる。強いキャラほど行動ゲージの回転率も高い傾向にあり、格差が生まれやすい。
本作独特の戦闘としてオーラバトラーでの一騎討ちがある。この戦闘では騎団全員に経験値が入る(獲得資金も多い)。
他では敵ユニットの真横を通り抜けたり出来ないZOC(ゾーンオブコントロール)、敵の側面や背面を取ることで命中率やダメージが変動する方向の概念も存在する。
敵を倒して資金を入手したら、新しいオーラマシンを開発したり強化パーツを購入したりしながら自軍を強くしていこう。

機体と仲間たち

原作では敵だったメンバーを、選択次第で仲間に引き込むことが出来る。
ショウやトッドと共に召喚されながら最序盤で死亡したトカマクや、彼らより後に召喚された地上人のアレン、フェイ、更にはトッドも展開次第では仲間になる。
ガラリアも死なずに済む展開があり、条件をクリアすると仲間になってくれる。ただし、ジェリルのみ仲間にすることはできない。

機体ではOVA出典のサーバインやズワウス、アニメ未登場の機体である強化型のライネックやズワァース、果てはビルバインの量産型「ゼルバイン」など実に多種多彩。
オリジナルのオーラバトラーも登場し、特に「アルダム」には大抵の人がお世話になるはず。
ボゾンやダーナ・オシーといったマイナー機体も出てくるので、ニヤリとすること受けあいである。


評価点

  • if展開の多さ
    • 大枠ではアニメ本編のルートをなぞる「ロウルート」、アニメでは敵方であったドレイク軍に加担する「カオスルート」、カオスからの派生で覇権を狙う「覇道ルート」の3種類に分けられる。
      SRPGのラングリッサーシリーズ(その中でも特に2と4)とよく似た構成。
    • 特に敵方だったドレイク軍との共同戦線ルートだと、アニメ版でライバルだったバーンやトッドなどといったメンバーを仲間にして戦えるのが楽しい。
    • アニメ本編と同じロウルートを進みながらも敵方のパイロットを説得して仲間にすることもできる。
      逆に、アニメ版で主人公だったショウ・ザマが選択によっては最後までドレイク軍で戦うという展開もある
      • プレイヤーがロウルートでショウがドレイク軍残留だと、ショウはアニメ本編でのバーンのような「黒騎士」状態になり、「修羅」と称してプレイヤーに襲い掛かる。
        「修羅」は全キャラ中No1の能力を誇るため、非常に厄介(ちなみに2番目は主人公)。
      • ショウがドレイク軍に残留した場合、アニメ本編の後半の主役機だったビルバインには、必ず反ドレイクになるマーベルが乗ることになる。
    • アニメ本編ではオーラマシンの存在を、フェラリオ(妖精)の長、ジャコバ・アオンが否定して地上に追い出している。
      その考えを肯定してオーラマシンを全て破壊するというルートも存在する。
      その場合主人公たちはドラグーン(飛竜)でオーラマシンと戦っていくことになるというすさまじいif展開も楽しめて面白い。

問題点

  • 全体的に地味
    • システム周りの微妙さ、ロード時間の長さ、演出のショボさなど、全体的に地味な感は拭えない。
      • 演出がスパロボやGジェネくらい頑張っていれば違ったのであろうが、ポリゴンのオーラバトラーたちは正直言ってあまり格好良くはない。
  • ゲームバランスの問題
    • SRPGとしての難易度は低めだが、一部猛烈に難しいマップもある。
    • とはいえ、フリー戦闘でレベルアップが出来る上にデメリットも無いので、詰んでしまうような事はない。
  • ロウルートの平凡さ
    • アニメ本編では富野監督らしい悲しいエンディングを迎えるのだが、王道であるロウルートはこれをなぞる程度。
    • カオスルートや覇道ルートの展開が刺激的過ぎるため、ロウルートを選ぶメリットがあまり感じられない。
      せめてハッピーエンドになれるif展開くらいは用意して欲しかったところである。*2
  • フルボイスではない
    • 一騎討ちイベントで喋るくらい。しかもガラリアとトッドは代役。
      • 最も声優の方が既に引退してしまっているという背後要因と、総集編ビデオの時点で既に代役である事も考慮しておくべし。*3
  • けっこうバグが多い。
    • ビルバインを変形させウイングキャリバーのままステージを終了すると、ビルバインが消えたりゲームが進まなくなるバグがある。
      • BEST版では修正された。
    • マップ兵器に当たる攻撃でまとめて敵を4、5体倒すと(例:ドラムロの「フレイ・ボム」など)、レベルにもよるがとんでもない量の経験値が入り一気にレベルアップしてしまう事も。当然ゲームバランスは崩壊する。

総評

見た目も地味、システム周りも微妙、発売日もPS2本体と同じでセールスチャンスを逃すと、あらゆる意味で不遇な作品。
とはいえ、ダンバインファンであればif展開の面白さだけでもプレイする価値は十分にある。


余談

2021年、本作オリジナルの量産型ビルバイン「ゼルバイン」がプレミアムバンダイ限定商品としてROBOT魂シリーズで立体化された。


最終更新:2021年07月28日 13:58

*1 MSX版、PC98版『聖戦士ダンバイン バイストン・ウェルの炎』など、PC用ゲームは過去に発売済み。

*2 強いて言えば地上に浮上せずにドレイクを倒す展開だろう。

*3 ちなみにスーパーロボット大戦F及びF完結編ではトッドの声優は放送当時の逢坂秀実氏を起用しているが、この件についても既に逢坂氏と連絡がつかない状況になっており、当時共演した声優、更には興信所までも使って逢坂氏を探し出してまで収録したもの。