龍騎兵団ダンザルブ
【りゅうきへいだんだんざるぶ】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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スーパーファミコン
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メディア
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8Mbit+64キロRAMロムカートリッジ
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発売元
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ユタカ
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開発元
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パンドラボックス
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発売日
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1993年4月23日
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定価
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9,500円
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セーブデータ
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2個(バッテリーバックアップ)
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判定
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なし
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概要
『ラストハルマゲドン』や『BURAI』シリーズの制作者として知られる飯島健男(現・飯島多紀哉)の手によるSF・RPG。
ゲームは15の章からなっており、章ごとに舞台となるマップも異なる。また、人間であるパーティキャラを操作するパートと、彼等が乗る巨大ロボを操作するパートの2種類が存在する。ロボットから降りて狭い場所や部屋に入る、という場所もある。
キャラクター・メカニックのデザインはアニメ制作会社のガイナックスが担当し、後に『エヴァンゲリオン』を世に産み出すことになる庵野秀明らスタッフも名を連ねている。
ストーリー
(説明書2・3ページより引用)
オーバル軍兵士訓練所―。訓練生たちは誰もが、いつの日か最強部隊ダンザルブ隊へ入ることを夢見ていた。
もちろん主人公マシュ―・ロビンもそのひとり。ある日、彼のもとに悲しい知らせが届いた。
スーパーモノロイド研究所に勤務する父と兄がダマイア軍による襲撃のため死亡。母と妹は捕虜として連れ去られてしまったのだ。
だがマシューは打ちひしがれる暇もなく、ダンザルブ隊への入隊を要請された。
一体なぜ僕が…? 不安に胸を震わせながら第一日目を迎えたものの、待っていたのは先輩隊員たちの冷ややかなまなざし。
ニューフェースをやすやすと受け入れるほど彼らは甘くはないのだ。
激化する戦況の中、マシューは亡き父の開発したスーパーモノロイド「レッドドラゴン」とともに、日に日に逞しい戦士へと成長してゆく。
そして過酷なミッションを精悍にこなすダンザルブ隊のメンバーたち。
次々と起こる奇妙な事件の中で、複雑に絡み合う人間模様と、マシュー自身も知らない出生の秘密と世界創生の秘密が次第に明らかになってゆく…。
特徴
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プレイヤーは「オーバル軍」のエリート部隊「ダンザルブ」に何故か配属された新米兵士マシューを操作し、「ダマイア軍」との戦いに勝利していく、という展開。ライバルキャラも登場するなど、構成は比較的王道。
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敵軍は死を恐れない「デスリバー隊」、女性のみで構成された「タトゥーキャッツ隊」、荒くれ者集団「グレートバーバリアンズ」、超能力部隊「ラーナーブラフ隊」、サイボーグをリーダーとする「メカニカルバスターズ」の5隊が存在しており、誰が相手になるかは章によって異なる。
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部隊ごとに機動兵器の趣が全く異なり、メカメカしかったり女性っぽかったり恐竜だったりむしろ生物だったりと様々。
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上記の通り、ストーリー内容によって生身で戦ったり機動兵器に乗って戦ったりと、2パターンの戦闘が発生する。パーティ構成は強制出撃キャラ以外は基本的に自由。ただし、編成は母艦でしかできない。
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機動兵器の場合、誰がどの機体に乗るか選択できる。キャラによってどの機体との相性がいいのか変わり、また特定のキャラがいないと発生しないイベントなどもある。
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本作の戦闘は、素手では行えない。武器などのアイテムを使う必要があるが、一部の使い捨てアイテム以外は使用時にバッテリーポイント(BP)を消費する。
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一般のRPGで言う所のMPだが、つまりコマンドの「戦う」が無く、「魔法」でしか攻撃できないという事である。
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本作には宿屋に当たる全回復施設は無い(第9章のみ例外的にある)。回復するためには回復アイテムを使うしかない。無限に使用できる回復アイテムがあるのが救い。
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武器屋も存在せず、母艦で開発しなくてはならない。味方のキムというキャラのレベルに応じて、開発できるアイテムは増えていく。回復アイテムは別キャラが担当する。
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一見正義のロボット物と思いきや、裏に蠢く思惑や隠された秘密、敵味方の壮絶な死に様など、かなり重い内容になっている。それなりに重要な民間人さえ無残に死ぬ。上記のキムなどは心にダメージを受けかねない。
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そしてトドメにその犠牲すべてを踏みにじる真実が待っている。そのあとに色々救いもあるが。
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シナリオクリア時、シナリオ内で獲得したポイントを使ってレアなアイテムを入手したりレベルを上げたりできる。本作ではレベルが上げづらかったり、章によってかなり強敵がいたりするので、便利である。
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敵を倒すとコンテナ(所謂宝箱)を落とす。コンテナにはボタンが2つ付いており、正解のボタンを押すと中身を入手できるが、ハズレを押すと中身は失われる。
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複数個ボタンがついている場合があり、任意の段階でやめることが可能。段階が進むごとにいいアイテムが出るのだが、失敗するとまるごと消える。
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1/2の確率か…と思いきや、実はBGMに合わせてタイミング良く押せば正解するという仕様になっており、気付かないとまず正解できない。逆に、気づいてしまえばあとは慣れ。むしろ完全ランダムより良心的とも言える。
評価点
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敵味方で個性的な人物たち
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基本的にキャラたちは一度見ればなかなか忘れられない個性を持ったキャラばかり。
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ロボットも敵側は前述の通り特徴が際立っており、味方のロボットにしても様々なタイプのドラゴンをモチーフにしており、なかなか格好いい。
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このように特徴が分かりやすくなっていることに関して、ちゃんとストーリー的にも事情が存在している。
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TV番組を意識したような作り
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テンプレのごとく、事情も分からず巻き込まれる→スチル付きで主人公機登場といった展開やご丁寧に幹部が一人ずつ立ちはだかってくる流れなど、アニメか特撮のような流れを章立てて進行させるのはなかなか面白い試みといえる。
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前述のロボットの特徴同様、このような展開であるのはとあるストーリー的な事情による。
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また、章ごとにテーマがかなり異なっており、謎解きのベクトルも大きく異なるので飽きづらい作りになっている。もちろん、戦闘がメインであるが。
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例えば、ある章では連れていくメンバーを切り替えて負傷者を助けたり壁を壊したり、爆破を防ぐためにパスワードの情報を集めて推理したり、といった形。
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ロボット戦に関しても、ロボット戦だけだったり生身だけだったり状況に応じて乗り降りしたり、とまちまちである。
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西澤洋氏によるBGM。
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全体的にアップテンポなメロディで高揚感があり、プレイヤーの印象に残りやすい。
問題点
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序盤のスライドパズルで詰まりやすい。
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アイテム関係の不備。
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第4章ではキムが出撃できない為、レベルも上げられず強い武器も作れない。よりによって強いボスのいる章だというのに…。
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アイテムには効果の説明が無く、使うまで具体的な効果がわからない。
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装備品の攻撃力や防御力も表示されない。
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武器には属性があり、敵の属性防御力によってダメージが増減する…はずなのだが、この属性防御力が機能しておらず、属性がある武器は誰が相手でもダメージが増加する有利要素になっている。同カテゴリの1ランク上の武器よりも実ダメージが大きいこともしばしば。
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属性付きの攻撃は攻撃グラフィックの後に追加エフェクトが発生することでわかる。
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攻略本掲載のデータによると、味方ドラゴンの防具は全ての属性防御力が均等に設定されている。敵もそうだとしたら、調整の時間がなかったのだろうか?
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一部の壊れ武器。
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医療キャラ「ジャニス」の初期装備「バイオハザード」は、全体攻撃+高確率で毒効果。毒のスリップダメージはとんでもなく早く、開幕にこれを投げて適当にやってれば簡単に戦闘が終わってしまう。しかも消費BPわずか2とほぼ最低。
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追加効果ファンブル(一回休み)の武器が強力で、複数人で使い続ければほぼ完封できてしまう。
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各章ボスのコンテナを全開けすると手に入る人間/ドラゴン武器が異常に強い。全体攻撃で攻撃命中ともに最大値255に加え、全属性の追加ダメージと追加の毒効果があり、手に入れば以後の戦闘はこれだけで終わってしまう。コンテナ全開けの難易度に相応しいご褒美ではあるのだが…。
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味方ロボの1機「ホワイトドラゴン」は、防御力にバグがある。
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終盤、仲間達が次々と戦死していく。最終的には最大人数の半分以下となり、パイロットの搭乗上限すら下回る。
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チキとガブリエルは敵の特攻で死ぬのだが、なぜ特攻される前に敵をとっとと銃撃しないのかという疑問が出てくる。
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画面の見え方の問題でもっと逼迫している可能性もあるが。
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そのくせ大勢の敵に蜂の巣にされたブルや、大量の毒ガスを吸わされたキムはなぜか生き延びていたりする。
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好意的に解釈すると、ブルは体が異様に頑丈で元友軍に撃たれており、キムは成分次第では完全に息絶えるまで余地があったと考えられる。
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とはいえ、この連続戦死展開こそが本作のもっとも盛り上がるところだという評価もある(但し「そこで盛り上げる為それまでの展開はタルいが」という注釈付きだが)。
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また、状況的に犠牲を覚悟してでも先に進まなければならない展開なので、展開そのものは無理というわけではない。
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それ以外でもメインパイロットキャラも容赦なく死ぬ。それに対して、作中忘れられているとしか思えないレベルで喋らないメインパイロットがいたりもする。
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エンディング後は「制作 パンドラボックス」と表示されるだけで、スタッフロールは存在しない。
総評
マシンを乗り降りして戦うRPGと言ってしまえばそこまで珍しくはないかもしれない。
しかし、軍隊で運用されるロボットとしては非現実的すぎる良くも悪くも特徴的な面々をきちんとした理由を用意して登場させたり、BGMを鍵として使ったり、章ごとにギミック自体を変えたり、とそれまであまり見ないようなシステムを色々詰め込んだ意欲作。それでいて、致命的に破綻していない。
一方で、意欲作ゆえに上記のような粗もある。
余談
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小学館とタイアップしたメディアミックスも行われており、コロコロコミックと少年サンデーの別冊でそれぞれコミカライズが掲載された。但し、内容はそれぞれゲームとは異なる。
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飯島による小説も刊行された。但し、舞台が現代であり、ダンザルブの固有名詞が出る以外に元ゲームとの繋がりはない。
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攻略本によるとアニメ化の企画もあったようだが、実現しなかった。
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ガイナックスがキャラデザを行った関係か、この2年後に放送される事になるTVアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の第3使徒サキエルにそっくりな姿のキャラクターが登場している。
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同年放送の特撮番組「特捜ロボ ジャンパーソン」の17話において、本ゲームが劇中でプレイされているシーンが映っている。
最終更新:2022年07月27日 17:36