From TV Animation ONE PIECE グランドバトル!3
【ふろむてぃーびーあにめーしょん わんぴーす ぐらんどばとるすりー】
| ジャンル | 対戦格闘アクション |  |  | 
| 対応機種 | プレイステーション2 ニンテンドーゲームキューブ
 | 
| 発売元 | バンダイ | 
| 開発元 | ガンバリオン | 
| 発売日 | 2003年12月11日 | 
| 定価 | 7,140円 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 微妙すぎる人選 『RUSH』への繋ぎ
 演出面は高評価
 | 
| ONE PIECEシリーズ | 
 
概要
キャラゲーながら一定の評価を獲得し続けてきたグランドバトルシリーズナンバリング3作目。プラットフォームをPSからPS2に移し、さらにGCとのマルチで同時発売された。
基本システムにほとんど変化がなかった『初代』→『2』と異なり、本作では大胆とも言えるシステムの大幅改変に着手。一部受け継がれた要素はあるが、ほとんど別のゲームとなった。
特徴
- 
今作は今までの2D格闘から大幅に変化し、キャラクターがあらゆる方向に自由自在に動き回れるフリーラン型の3D格闘ゲームとなっている。
- 
このため使いまわしのステージは皆無(というかそうしたくても無理であっただろうが)。全てのステージが新規となっている。
 
- 
コマンド技などがないのは前作同様だが攻撃に使うボタンが増え、また同時押しが加わった。技の使い分けもスティックでなくこれらのボタンに依存するようになった。
- 
地上攻撃は発生が早い弱コンボ、一撃目にガードブレイク効果がある強コンボ、メシチャージを減らしつつ浮かせる上コンボ、及び各キャラの個性的な固有技が存在。投げは一部キャラには2~3種類用意されている。
- 
空中攻撃はボタンにより大まかに前・上・下と攻撃範囲が異なる。二段ジャンプから斜め下にダイブする技も存在(問題点も参照)。
 
- 
必殺技の仕様が大幅変更。
- 
前作では食料アイテム一個でメシチャージが一個貯まったが、今作では食料アイテムをとることで、メシゲージが貯まり、これが一定量になるとようやくメシチャージが一個貯まる仕様に変更された。
- 
食料アイテムは「果物(ゲージ小)」と「肉(ゲージ大+体力回復)」の2種類にシンプル化。ただし、果物にはいくつか種類がある。
 
- 
必殺技は「必殺技」と「奥義」の2種類に分けられた。
- 
必殺技は前作までと同様。奥義は自身の残体力に応じて威力が変わる(少ないほど威力が高まる)という特徴がある。
- 
レベル3技は削除され、全キャラクター共通で、レベル1(必殺技)1~2個、レベル2(奥義)1個に統一された。
- 
前作まであった「助っ人召喚系」「タメ系」は削除されている。
- 
トリガーを押した際の発光が無くなった他、技のコマンドが全キャラクターで共有になっている。
 
- 
ワンピースヒートは健在だが、やや仕様が変わっている。
- 
前作では一度ヒート状態が解除されても、再び最大までチャージを貯めれば再度ヒートモードになれたが、今作では一度ヒートモードになるとそのラウンド中はゲージが全く貯まらないようになった。
 
 
評価点
- 
演出が大幅に強化。
- 
この辺は「流石次世代機」と思わせるだけのものがある。キャラクターの動きが非常に滑らかになり、各種技の迫力も大幅増。
- 
ステージの背景キャラがプレイアブルキャラと同じグラフィックで表示されるようになり、台詞を喋るようにもなった。まぁ台詞は若干ウザく感じることもあるが…。
 
- 
特に奥義の演出は素晴らしい。原作の名シーンを再現するかのような動きであり、流れるBGMも各キャラクターのイメージによく合っている。
- 
また奥義でトドメを刺すと勝利演出が変わる。これもなかなかうれしいところ。
 
 
- 
仕様変更によりややバランスが調整された。
- 
ゲージを貯めるシステムにより、食料アイテムの価値がやや低下。「取った方が大幅有利」とはいかなくなった。
- 
果物はキャリアー破壊時に必ず数個出現する。意識せずともある程度は集まるように。
 
- 
奥義はある意味『初代』と『2』のいいとこ取りである。
- 
不利になればなるほど威力が高まるので、一方的な展開になりづらくなっている。
 
- 
必殺技トリガーを押した際の発光が無くなったため、いつ必殺技を使うかが読まれなくなっている。
 
- 
キャラゲーとしての完成度は相変わらず高い。
- 
イベントバトルの最終戦では特定の組み合わせでバトル前の掛け合いがムービーで行われるように。3Dのキャラが動きまわり、原作の会話を踏襲しながら火花を散らす様は見応えがあり、また原作で成立しなかった展開も。本人よりもその助っ人との因縁がメインの組み合わせもあるとはいえ、全キャラクターに一つ以上は組み合わせが用意されているのも嬉しい。
- 
掛け合いにSBSの解説でのみ登場したキャラが混ざったり、ステージ中で応援するキャラは後から名前が明かされたチョイ役まで網羅していたりと、拘りが感じられる。
- 
キャラクターの作り込みも十分。
- 
各キャラが原作で当時まで使用してきた技をほぼ全て攻撃動作として搭載しているという充実ぶり。攻撃以外の目的に使用した技ですら例外ではない。中には前作でオリジナルに搭載された技を引き続き採用したものも。
- 
待機中に寝始めるゾロやエース、歩き動作で回り続けるボン・クレー、挑発でフックのカバーを外すと攻撃に毒が付与されるクロコダイル、「ゴムゴムの風船」で投げられたアイテムを反射するルフィなど、キャラ毎の小ネタも多い。
- 
前作同様、アニメ版同様の声優によるフルボイスも健在である。
 
- 
OPも冒頭の展開が熱いと評価は高い。
- 
原作を再現した展開もある。
- 
イベントバトルに登場するエネルは必殺技や奥義でトドメを刺さなかった場合、残りのメシチャージがなくてもヒート状態になり体力を回復させて復活してくる。
- 
ルフィの奥義をエネルに決めると、原作で印象的だった変顔をしっかり披露してくれる。
 
- 
ただし、今作では主にキャラクター面で不満が存在する(後述)。
 
- 
新たに「グランドツアーズ」というモードが追加。
- 
最大16人で行われるトーナメント戦。多人数で集まった時、さらに盛り上がれるようになった。
 
賛否両論点
- 
前作では対戦相手を毎回選べたのだが、今作では何故か勝手に決まるようになった。
- 
この件に関しては「戦いたいキャラと戦えなくなった(フリー対戦でも戦えるが、それだと成績残らないので)」「いちいち選ばなくてすむので、テンポがいい」と、分かれている。
 
問題点
- 
システムが大幅に変わるも、やや調整不足。
- 
本作はギミックを多数組み込むために、フィールドがかなり広く設定されている。にもかかわらず、この手のフリーラン対戦格闘で必須とも言えるエイム機能がないため、攻撃がかなり当てにくい。
- 
発生が早く攻撃範囲が広い通常攻撃はまだマシなのだが、有効範囲が狭いうえに外すと多大な隙が発生する必殺技、奥義がかなり使いにくくなってしまった。
 
- 
連打コンボの作り込み不足。
- 
殆どの連打コンボの途中でガードが間に合ってしまい、初段を当てても最後まで派生させると反確のルートばかり。強コンボでガードクラッシュさせた直後にガードされる光景もしばしば。
- 
上コンボも各キャラに3種類用意されているが、殆どが当てても受け身からの空中ジャンプで回避される始末。攻撃範囲や出の遅さの問題で当てる事すら難しい派生ルートも存在する。
- 
技数に反して制限無しにすぐ出せる技が少ないという弊害もあり、特にウソップは射撃キャラでありながら地上ですぐに出せる射撃技が必殺技のみという事態に陥っている。
- 
以上より、派生ルート込みで技は多くても使い分ける意義を持たせられない。たとえ好きな技でもヒットさせる事自体が困難では使いようがない。
- 
なお、CPUの強さを上げると強コンボを最後まで派生しなくなる。技名を叫ばない方が隙が少ない立ち回りになるというのも悲しい所。
 
- 
ハイダッシュの極悪な仕様。
- 
ガード中に移動するとハイダッシュ(いわゆる緊急回避)が発動する。このハイダッシュを宝箱などのキャリアーに当てると弾き飛ばすことができる。
- 
飛び道具かつかなり弾速が速いため、飛ばされた箱を避けるのは困難。その上に当たった相手がピヨり、通常のコンボはおろか奥義にさえ繋げられてしまう。
 
- 
「~ダイブ」と呼ばれるテクニックの存在。
- 
簡単に言えば空中から急降下する技で、スティックを相手側に入力しておくと着地硬直が無くなる。これを高速で連続で出したりすることにより、異様な機動力や即死コンボが可能になってしまい、ゲーム性が大きく変わってしまっている。
 
 
- 
キャラゲーとしての問題点。
- 
使えるキャラクター数が16人、使用可能ステージが7つ(隠しステージ一つ)と大幅に減少。
- 
システムが変わったために単純な使いまわしができなくなった…という擁護は可能だが、それを含めても本作には不自然な点が存在する。
 
- 
人選が偏っている。
- 
全体的に「空島編」に人選が偏っており、空島編からだけで3名が参戦している。それだけなら問題はないが、ビビやミホークといった人気キャラをリストラしてステージの背景キャラに格下げした上での参戦というところに不満が残る。
- 
特にアラバスタ編の終わりで少し登場しただけのヒナが参戦できているので尚更。
 
- 
ステージ、必殺技も空島編を重視している印象がある。
- 
ナミに至っては用意された必殺技2種類が2つとも空島編のものである。
 
- 
ちなみに四神官の一人、オームをプレイアブルキャラとして使えるワンピースゲームは本作とクソゲーとして悪名高い『ゴーイングベースボール』のみである。
- 
原作的にも中ボスの一角ぐらいの立ち位置で、エネルやワイパーと並んで出すほどかというと微妙なところなので、本作での出演自体が奇跡のようなものだろう。
- 
なお、四神官の残りの三人はオームの奥義で姿を見せるのみ(サトリはステージギミックにもなっているが)。この扱いの差もなんとも言えない。
 
 
- 
イベントバトルの汎用の掛け合いの存在。
- 
前述の通り豊富な掛け合いが評価点なのだが、たまに互いに汎用的な台詞を述べるだけで済まされる事がある。
- 
この場合、同じ陣営同士だろうと因縁がある相手だろうと、記憶喪失したかのように機械的に対立し始めるので違和感が強い。
- 
そのキャラの組み合わせにちゃんと掛け合いが用意されているにもかかわらず、少なくない確率で起こってしまう。特に連戦で起こると興醒めである。
- 
汎用でない掛け合い自体は中々面白いだけに、各種ムービーの閲覧やサウンドテストを担当する「お宝」モードで掛け合いを閲覧出来ないのも悔やまれる。
 
- 
ボリュームが不足気味。
- 
キャラクターが減ったとはつまりはそういうこと。ステージが減少したことも拍車をかけている。
- 
一応イベントボイスの出現条件に変わった条件を含む物が追加されているなど、やりこみ要素はそれなりにあるのだが、所詮はおまけに過ぎないため根本的な解決には至っていない。
 
 
- 
3Dで動き回る3頭身のキャラクターが不気味、という意見が一部存在する。
- 
チョッパーなどはほぼ原作通りなのだが、大柄なキャラはやや違和感のある印象になっている。
 
- 
良くも悪くも原作通りのキャラクターバランス。
- 
まぁ今回は空島編の大ボスであるエネルの性能が群を抜いて優秀、次いでクロコダイルやシャンクス、エースあたりも優秀という比較的原作のイメージから受け入れやすいものではある。
- 
ちなみに最弱キャラ候補はサンジとヒナ。特にサンジは投げると確定反撃をもらう場面があるなど難点が多く、「一部のキャラへ特定の強い攻めが可能なヒナのほうがマシ」とさえ言われるほど。メインキャラの一人が最弱候補なのはなんとも。前作のカルーと異なり、2キャラともネタキャラ扱いされる素養はないのでこちらは単なる調整ミスだと思われる。
- 
しかしこれらの問題も前述の「ダイブ」が関係している部分があるので、細部まで深くやり込むほどでなければさほど気にする部分ではない。
 
- 
ただし軽く遊ぶ際でも、前述の通り多くの技がコンボの派生前提でしか出せない、しかも殆どのコンボルートが確実には繋がらない点が大きく影響する。
- 
そのためコンボ始動技の性能や確実に繋がるコンボルートの有無、奥義ぶっぱがCPUに当たりやすいかどうかが強弱として実感されやすい。前述の強キャラ達はこの点でも隙が無い。
 
 
総評
システムの大幅な変更はさほど違和感なく受け入れられたが、真の問題はキャラクター面にある。
全体的に「グランドバトル-空島編-」といった感じであり、『2』や『グラバトRUSH!』がそれぞれアラバスタ編やデービーバックファイト編をベースとしつつもお祭りゲーとして多数のキャラが出演しているのとは大違いである。
ゲームとして致命的な問題点はないものの、ファンからの評価は概ね「良作である『2』と『RUSH』の間の繋ぎ」といったものである。
余談
- 
ロビンのガードクラッシュ技、「シンコフルール」が「チ○コフルール」に聞こえる、というネタがある。
- 
同様のネタは原作単行本のお便りコーナー・SBSにもあった。これが原因かどうかは不明だが、この技は『RUSH』ではリストラされている。
 
- 
スタッフロールのキャストクレジットは、麦わらの一味の声優陣が先に表示された後、その他の声優は操作可能・NPCを問わず50音順で表示された。チョッパー役の大谷育江氏はサンジのエンディングムービーで彼の少年時代を兼任している関係で、麦わらの一味とその他のキャラの両方にクレジットされた。
最終更新:2024年10月26日 10:20