バイオハザード アンブレラ・クロニクルズ
【ばいおはざーど あんぶれら くろにくるず】
| ジャンル | サバイバルガンシューティング |  
  
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| 対応機種 | Wii | 
| 発売元 | カプコン | 
| 開発元 | カプコン、キャビア | 
| 発売日 | 2007年11月15日 | 
| 定価 | 通常版: 7,140円 限定版: 8,610円
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| プレイ人数 | 1~2人 | 
| レーティング | CERO:C(15才以上対象) | 
| 廉価版 | BestPrice! 2010年9月9日/2,100円
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| バリューパック 2011年9月29日/3,990円
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| 判定 | なし | 
| バイオハザードシリーズ | 
 
概要
『バイオハザード』シリーズの過去作を舞台にしたガンシューティングゲーム。通称『アンクロ』『UC』と呼ばれている。
自由移動システムの『ガンサバイバー』とは異なり、ごく一般的な自動移動システムが採用されている。
特別パッケージにWiiザッパー・フルカラー冊子『ウェスカーズ エクストラレポート』などの特典がついた「エキスパートパッケージ」が限定生産されていた。
HD版はPS3版のみとなっており、フルインストール・トロフィー機能に対応。
また、数量限定特典として『ウェスカーズ エクストラレポート』『ダークサイド レポート』の電子復刻版をダウンロードできるプロダクトコードが付属。
評価点
シナリオ
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本作のシナリオは『バイオハザード0』の黄道特急事件、初代の洋館事件、『3』のラクーンシティ壊滅事件、そして本作オリジナルのアンブレラ終焉の4シナリオで構成されており、過去作のストーリーの裏側を明かすというコンセプトを取っている。
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初心者に本シリーズのこれまでの展開を違和感無く伝えつつも、過去作の名シーンの再現もしているため、古参のシリーズファンでも楽しめるストーリーとなっている。
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外伝シナリオであるレベッカの『0』と『1』を繋ぐストーリー「悪夢」、エイダのラクーンシティ脱出の行程を描いた「瀕死」など本作で初めて描かれるストーリーも人気が高い。
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ラクーンシティ壊滅事件では『アウトブレイク』シリーズの舞台(ホテル“アップルイン”や地下鉄など)が登場、同作のファンを沸かせた。
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高性能AI“RED QUEEN”や見覚えのあるレーザートラップなどなんと実写映画版『バイオハザード』からも一部の設定が逆輸入されている。ムービーをよく見てみると“ホワイトクイーン”も確認できる。
ガンシューティングとして
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敵を撃って倒すことはもちろん、本作ではオブジェクトの破壊が可能。壁に掛かった絵画や壺を破壊でき、アイテムやアーカイブファイルを獲得することが可能。
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また一部の扉も銃撃で破壊でき、「所持している武器の火力が明らかに扉の耐久力を超えているのに、何故扉を壊さずに(時には複雑な仕掛けを解いてまで)開けるのか?」というシリーズ兼ねてよりの疑問に一応の決着をつけた。
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複雑な仕掛けはシリーズの魅力でもあるが、今回はジャンルがガンシューティングということも考慮すれば妥当な判断であろう。
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原作であちこち走り回った末に開けていた扉が問答無用で吹っ飛ぶ様は、人によってはある種の爽快感を感じるかもしれない。
 
 
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自動移動というシステム上任意で移動はできないものの、ヌンチャクで上下左右に視点をある程度動かすことが可能。
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ガンシューティングにありがちな「アイテムを見つけたのに自動移動のせいで取りこぼす」という事態をある程度回避できる。
 
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難易度はノーマルでもそこそこ高く、ゾンビですらかなりの耐久力を有している上にクリティカルの判定も厳しめ。がむしゃらに撃ちまくっているだけではクリアは難しい。
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高ランクを狙うには敵の弱点を正確に狙う技術と反射神経に加え、パターン構築も必須となってくる。爽快感よりも練習した分だけ自分の腕が上がっていくことを実感できる作りとなっている。
 
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チャプタークリア後には撃破数やクリティカル数に応じてランク付けがなされ、それに応じてポイントを獲得。ポイントは武器の改造に使用できる。
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ハンドガンのみ改造不可なもののショットガンやサブマシンガンなどの特殊武器はバランス型・威力重視・速度重視の3タイプがそれぞれ用意されており、自分の好みやステージに応じて改造したり使い分けることができる。
 
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ゾンビに組み付かれた際、リモコンを振ると『4』の体術のようなカウンターアクションが発動。
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レベッカは火炎瓶を投げる、ジルはスタンガンを当てて蹴り飛ばすなど原作を踏襲したアクションを披露してくれる。
 
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主人公の目線=プレイヤーの目線となったことで、緊迫感・臨場感は強い。爪を振り上げこちらに向かってダッシュで迫ってくるタイラントなどは大迫力。
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1チャプターあたり15分、後半のステージでも20分程度で収まるため気軽にプレイできる。
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プレイ中はターゲットサイトが“必ず”表示されるため、どこを狙っているかが分かり易く初心者でもプレイし易い。
問題点
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キャラクターに個性が無い。
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メインシナリオでは操作するキャラを2人(洋館事件なら「クリスORジル」といった具合)から選べるのだが、キャラ毎の差異はカウンターアクションのみ。
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得意武器が設定されているだとか、ステージ中の台詞が変わるといった変化は一切無いため「カウンター性能重視で同じキャラしか使われない」ということになりがち。
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1 人プレイの場合選択しなかった方のキャラは単なる話し相手。援護射撃したり前に出て囮になったりしてはくれない。
 
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ゲーム中の字幕の文字が小さく読みづらい。
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ただでさえ小さいのに、読む余裕がない激しい戦いの最中にも容赦なく台詞が流れてくることも、読みづらさに拍車をかけている。
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テレビのサイズ次第では完全に潰れてしまうという報告もある。
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字幕によってはすぐ画面上から消えてしまい、ボス戦だと弱点のヒントなど見逃してはならない台詞も度々出てくるためもうてんやわんや。
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これは後のHD版でも改善されていない。日本語ボイスを導入しても良さそうなものだが…。
 
 
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クリムゾンヘッドだけでなくゾンビも何故か引っ掻き攻撃をしてくる。
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今作ではランクの判定基準に「ゾンビ及びクリムゾンヘッドをクリティカルショットで倒した回数」が含まれているのだが、このクリティカルの判定がかなり厳しい。
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クリティカル部分は眉間なのだが、判定が狭く初心者にはかなり難しい。
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同時に頭部が弱点として設定されており、「弱点の中にクリティカル判定がある」という少々ややこしいルールも混乱を生んだ。
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この厳しい判定が顕著な問題として表れているのがラクーンシティ壊滅事件のチャプター1。無数のゾンビが登場するためにクリティカル数のSランク取得ノルマも自然と跳ね上がり、なんと71回ものクリティカルを決めなければSランクを獲得できない。
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ゾンビ以外の敵が少ないため、普通にクリアするだけならば簡単なステージなのだが、クリティカルの判定の厳しさだけでランクS取得の難易度が大きく跳ね上がってしまっている。
 
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ゾンビやクリムゾンヘッドは動き出すまで一切ダメージを与えられない。
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また、敵がスーパーアーマー状態になっているシーンもある。ダメージは蓄積されるようだが“次のシーンへ移行する”などの条件が充たされるまでは倒せない。
 
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各作品のダイジェスト版という位置づけであるからか、端折られてしまったストーリーやキャラが目立つ。
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ティックスなど一部のクリーチャーが登場しない。
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洋館事件ではプラント42を倒した後にいきなり研究所であり、唐突・駆け足ぎみ。一応チャプター間ではナレーションによる繋ぎの説明が入るが…。
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ちなみにバリーなどは本編に一切登場せず、ファイルで名前が挙げられる程度の扱いとなってしまっている。
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特に『3』を再現したラクーンシティ壊滅事件は大幅な改編が成されており、『3』の魅力がほとんど損なわれてしまっている。
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シナリオはなんと市街地 → 地下鉄 → 警察署という行程で完結。病院や時計塔などのステージは無し。
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カルロス以外のU.B.C.S隊員はもちろん出てこず、カルロスがウイルスに侵されたジルのために奔走するイベントも割愛。
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さらには人気クリーチャーとして名高いネメシスも最終章に入ってからようやくの重役出勤ぶり。しかも最終形態である第三形態が存在しない。
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と言うのも、上記のシナリオの項でも少し触れているが、同シナリオのステージ構成やグラフィック、ザコクリーチャーは『3』ではなく、同じラクーンシティを舞台にした『アウトブレイク』に基づいているためである。
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つまり「『3』を再現した」と言うよりは「主人公をジルとカルロスにして『3』のボスを登場させた『アウトブレイク』を再現した」と言った方が良い。
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「開発の期間とコストを抑えるために『0』や『1』の部分については既存の3Dモデルを使用しているが、『3』については使いまわせるデータがなく仕方なく『アウトブレイク』のデータを流用したのでは?」という推測もある。ステージくらいは何とかならなかったものか。
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ちなみに続編『ダークサイド・クロニクルズ』では全て新規に作成された3Dモデルを使用している。
 
 
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回復アイテムのグリーンハーブはストックできず、取得=使用。事実上の回復ポイントでしかない。
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グロ演出がかなり抑えられている。ゾンビの部位破壊が無いどころか撃っても全然出血しない。
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上半身だけのゾンビも登場しない。セガのガンシューティングには居たのに。
 
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持って行ける特殊武器がたったの1つだけ。道中で他の武器を拾えばそのまま使用可能だが、2人プレイだと武器の取り合いとなる。
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ワンボタンアクションや
QTEが存在
する。
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QTEはミスれば一発死するものもあるうえ、救急スプレーもなぜか効果が無い。
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特にPSムーブを使う場合は慣れが必要であろう。協力プレイだと双方が成功させないといけないため、さらに難しくなる。プレイの腕に差があり過ぎると険悪になるかもしれない。
 
 
総評
手抜きということは決して無いものの、本シリーズとしては不慣れなジャンルである故か不親切・理不尽な点が散見される。
しかし「過去作をプレイしたいがラジコン操作がとっつきにくい」というシリーズ初心者や、改めてシリーズの流れを押さえておきたいといったファンにはお勧め。
余談
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Wii版『4』からのプレイヤーの期待。
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折しも本作発売の半年前に『4』がWiiに移植され、快適な操作性で好評を博した。「この操作性で新作を作ってくれ!」「次回作はWiiリモコンとヌンチャクの特性を最大限生かした『4』の進化形のような作品になるに違いない!」とファンの期待が膨らむ中発表されたのは……ガンシューティング。
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肩透かしを喰らうファンが続出、「手抜きゲーだ!」と本作を過度に低く評価する声が発売前から上がる事態となってしまった。
 
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マルチランゲージ仕様となっている。
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ただしゲーム内での変更はできず、Wii本体の使用言語から変更するタイプなので言語選択のない日本版本体では無用の長物となっている。
 
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その後、続編『ダークサイド・クロニクルズ』が発売。
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改善点が多い一方“常に画面が揺れまくる”などの新たな問題も発生している。
 
最終更新:2024年04月14日 14:40