マイケル・ジャクソンズ・ムーンウォーカー
【まいける・じゃくそんず・むーんうぉーかー】
| ジャンル | アクション |  
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| 対応機種 | アーケード (System18) | 
| 発売・開発元 | セガ・エンタープライゼス(第1AM研究開発部) | 
| 稼働開始日 | 1990年8月 | 
| プレイ人数 | 1~3人 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 珍しいクォータービューACTゲーム 斬新なダンスボム
 まさにマイケルづくしのゲーム内容
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| マイケル・ジャクソン ムーンウォーカー - PC / AC / MD
 ザ・エクスペリエンス - PS3 / 360 / Wii / DS / PSP / PSV / iOS
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概要
1990年にセガよりリリースされた業務用アクションゲーム。ゲーム好きであるマイケル・ジャクソン(以下マイケルと記述)本人監修の元、1988年に公開された映画『ムーンウォーカー』をベースにして開発された。開発はセガ第1AM研究開発部が担当。
プレイヤーはマイケルを操作し暗黒組織に誘拐された子供達を救出し、組織のボス「ミスター・ビッグ」を倒して世界を麻薬の脅威から救うのが目的となる。
なお、本作と同時にメガドライブ版も発売されているが、ジャンルやゲーム背景などの基本コンセプトこそ業務用に準ずるも、ゲーム構成は大幅に異なる。
システム
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クォータービューという珍しい視点を採用しており、通常の2Dアクションよりも立体感が表現されるようになっている。
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ゲーム自体はオーソドックスな面クリアタイプのアクションゲームであり、全5面1周エンドで構成され各面のボスを倒せば面クリアとなり次ステージに進め、最終ボスを倒すかマイケルを全て失うかでゲームオーバーとなる。3人までの同時プレイが出来、白(1P)・赤(2P)・黒(3P)それぞれ色違いの服のマイケルを操作する。
 
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各面のBGMとエンディングにはマイケルのヒット曲が使用されている。ただし生演奏ではなく、内蔵音源によるアレンジ版である。
    
    
        | + | 各ラウンドとエンディングのBGM | 
ラウンド1 CAVERN : バッド
ラウンド2 AMUSEMENT QUARTER : スムーズ・クリミナル
ラウンド3 NIGHT STREET : 今夜はビート・イット
ラウンド4 GRAVEYARD : アナザー・パート・オブ・ミー
ラウンド5 EVIL FORTRESS : バッド ~REPRISE~
エンディング : ビリー・ジーン
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操作方法は1レバー2ボタン式。
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基本攻撃は手から放たれる「オーラ(原作ではムーンパワー)」で、ボタンを押し続けることにより溜め撃ちが可能。溜めたまま移動することも出来、その間マイケルはムーンウォークで移動する。
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もう一方のボタンで「ダンス・マジック」が使用可能。
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従来のゲームでいう「ボム」「メガクラッシュ」などに相当し、発動時はマイケル全員にスポットライトが当たりSmooth CriminalのBGMと共に敵味方全員が踊りだし、敵に一定量のダメージが与えられる。ストック制となっており、特定の子供を救出すれば1つずつ補充されるが、ミスするとリセットされてしまう。
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実は「ダンス・マジック」もオーラの溜め具合によって、ダンスを選択できる。「マイケルが帽子をブーメランのように投げる」ダンスの際には帽子にも攻撃判定があるため、硬い敵にその部分をぶつけるように発動すると強力。
 
 
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マップ上の各所に、子供達が捕らわれており、マイケルが近づくと救出できる。
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特定の子供を救出することにより、お礼として体力を回復してくれたり、ダンスマジックを補充することが可能。
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本作は子供達の救出が目的であるため、救出しないとマップをスクロールさせることが出来ず、ゲームが進行しない。
 
 
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画面上には制限時間の表示が無いが、ボス敵を倒すのに手間取ったり、故意にその場に留まるなどの事由により一定時間が経過すると永久パターン防止のキャラが登場。普通のザコ敵と同じ外見を持つが、耐久力が高く動作も機敏で倒しにくい。また得点も0なので永パを利用したスコア稼ぎもできない。
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ステージ中の決まった地点に到達するとマイケルが飼っていたチンパンジー「バブルス」が登場し、これに触れるとマイケルはロボットに変身する。
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変身時は防御力が上がり、腕から射程の長いレーザーを発射し溜め撃ちはミサイル攻撃に変わる。ロボット状態でミスしても人間には戻らず、ラウンドクリアまでロボット状態が維持される、またダンスマジック使用時は人間に戻る。なお一定時間以内にバブルスに触れないとバブルスは画面外に逃げてしまう。
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一見すると「セガのバカゲー要素」と思うかもしれないが、これもれっきとした原作再現である。
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と言うのも、マイケルが原作映画制作中に「『トランスフォーマー』になりたい」と言い出し(大好きだったらしい)、周囲の反対を押し切ってまで導入した映画シーンだからである。レーザーだろうがミサイルだろうが改心攻撃(余談参照)ですよ。
 
 
評価点
とにかくマイケル尽くしなゲーム内容
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オープニングで歩き出しつま先立ちを決めるマイケルに始まり、クレジット投入音、ゲーム中に演奏されるBGM、ダンスミュージック、エンディング、ネームクレジットとゲームオーバー画面の一枚絵など全ての要素がマイケルで彩られている。ファンにとってはたまらないだろう。
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まとめ倒しの快感。溜め状態の攻撃は高い攻撃力を持ち、射程も長くなり、複数のラインの敵にも攻撃判定がある。
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この溜め攻撃を使用することにより、堅いロボットを一撃で破壊したり、敵キャラを複数人まとめて一気に倒すという爽快感が得られる。
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回数制限があるものの、「ダンス・マジック」によってまとめ倒しを狙うのも妙な快感がある。相手の攻撃を避けながらたくさんの敵・種類を画面内に溜めこみ(特に最終面のエレベーター地帯)、ここだ!とばかりにボタンを押した後のショータイム感はなかなか得難いものがある。
 
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随所に散らばる演出。一定時間操作しないと踊りだすマイケル・子供を救出した際にポーズを取るマイケル・ステージ開始前に表示されるアメコミ調グラフィック・溜め状態で見られるムーンウォーク・ステージクリア時にマイケルに駆け寄る子供達などゲームの随所に細かい演出が加えられている(すべて原作通りの演出)。
問題点
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慣れのいる操作性
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「俯瞰画面を8方向で移動する」という珍しいゲームであり、敵も8方向から攻撃してくる。
 そのためラインずらしで敵をかわしたり、敵とラインと合わせ攻撃するといった動作に慣れるまでがなかなか大変。
 
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難易度は高め
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クセのある溜め撃ちとライン移動をマスターできなければクリア困難。
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初期設定では残機数1(最大値は2)だったり、体力がラウンドクリア時に回復しないのも難度を押し上げる要因となっている。
 
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ゲーム自体は単調であり、ワラワラと登場する敵を、オーラでひたすら吹き飛ばしまくるという展開に終始しがち。
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マイケルファンとしてBGMや演出を楽しめる人以外にはあまりおもしろいものではない。
 
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溜め時間が長い上、溜め状態MAXを維持できない。
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溜めに3秒弱かかるため、動きが速く耐久力も高い機械系の敵が相手の場合、苦戦しやすい。さらにMAXまで溜めた状態は1秒程度しか維持できない。溜めすぎてもペナルティは無いが、最初から溜め直しとなってしまう。
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なおロボットに変身した場合は、溜めは0.5秒程度で済み、その状態をずっと維持できる。
 
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溜め攻撃を外しやすい斜め見下ろし型視点や、溜め中のムーンウォーク移動という独特な挙動のため、操作ミスで溜め攻撃を外し易い。
総評
本作発売以前のクォータービュー視点の業務用タイトルは、セガのゲームのみを対象にしても『ザクソン』『フューチャースパイ』の2作、他社にまでその範疇を広げても『マーブルマッドネス』『ブレイザー』『メルヘンメイズ』などが挙がる程度で、非常に珍しいものであった。
マイケル本人監修という話題性も手伝い、稼動当初はまずまずのインカムを記録した。
マイケル・ジャクソンらしい「ダンスで敵を一掃」というアイデアは斬新であったが、馴染みにくい視点やゲーム自体は至って普通なことから、数多のゲーム同様、自然淘汰され続編などがリリースされることは無かった。
余談
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前述の通り4面はGRAVEYARD=墓場が舞台でゾンビのような敵も大量に出てくるのにBGMは「アナザー・パート・オブ・ミー」である。
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本来なら「スリラー」であるべきだという御仁も多いが、「スリラー」が使えなかったのは楽曲の使用許諾が下りなかったためである。
 
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クレジット投入音やステージ開始時のマイケルの声は、取り込んだ肉声をサンプリングで再生したものである。マイケル独特の非常に甲高い声のため、他ゲームの大音響が響くゲームセンターでもその声はよく響く。
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本作に登場する人間の敵キャラクターはマイケルの攻撃で殺害されているわけではなく、「マイケルが改心させた上で遠くに飛ばしている」という設定がある。
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これはマイケル本人が元エホバの証人信者で、「悪党であっても命を奪うのは大嫌い」という信念を持っていたため。
 
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マイケル・ジャクソン本人が開発の企画・監修に携わったゲームとして有名な作品である。
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セガが運営するアミューズ施設を訪れた本人が気に入り「僕を主人公にしたゲームを作ってみないかい?」と提案されたことがはじまりだとされている。このエピソードはフジテレビのバラエティ番組『トリビアの泉』でも取り上げられていた(ただし話題となったゲームはMD版である)。
 
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AC版のディレクターであった鶴見六百氏は「セガに入社して初めて関わったプロジェクトだった」ということもあり、いろいろ謎だった部分も近年のインタビューで明らかにされている。参考資料
最終更新:2023年11月03日 12:34