本稿では『Dragon's Dogma』と、拡張版である『Dragon's Dogma Dark Arisen』を紹介しています。判定はともに「なし」です。
【どらごんずどぐま】
思い描いた冒険が、ここにある。
日本では当時馴染みが薄かったオープンワールドゲームにカプコンが挑戦した作品。
開発メンバーは伊津野英昭氏を始めとした『デビルメイクライ』シリーズのスタッフが中心となっている。
同社は次世代機で『DEAD RISING』などの箱庭を自由に行き来する作品は手掛けていたが、オープンワールドを全面に押し出したのは本作が初となる。
『The Elder Scrolls』シリーズや『Fallout』シリーズ、『Two Worlds』シリーズなどのMMORPGライクなオープンワールドゲームが世界的な人気を博していた当時のゲーム市場へ、国内メーカーが初めて本格的に切り込んだ一作と言える。
いわゆる剣と魔法の世界を舞台としたファンタジー世界で、全体的なデザインは良く言えば馴染み深いが悪く言えば使い古されているものの、手軽で爽快な戦闘面では独自のテイストが光る。
多人数プレイはできないものの、非同期なオンラインシステムを搭載している。その交流にもSNSと連動させたりするなど、プレイヤー間の交流性は強い。
同じメーカーのためか、武器のモーションやエディットパーツに『モンスターハンター』シリーズからの流用も若干見られる。
人と魔物が住まう、とある世界。
かつて戦士サヴァンに退けられた伝説のドラゴンが復活し、平穏な海辺の村カサディスを襲う。
勇敢な漁民の青年は剣を取ってドラゴンに挑むが、圧倒的な力の前にあえなく打ち倒される。
青年が浴びせた一太刀に目を止めたドラゴンは、何事かを呟いて倒れた青年に爪を向け、その心臓を抜き取る。
青年が意識を失う寸前に目にしたのは、己の心臓を呑み込むドラゴンの姿だった。
目覚めた青年は、ドラゴンが去り、己が心臓を失いながらも生きていることを知る。
戸惑いながら村を歩くうち、異空に繋がるという碑石「リム」から1人の男が現れ、青年に仕える意を示す。
男はかつてサヴァンも従えた「ポーン」であり、人間の忠実な戦徒となる異世界の住人だった。
ポーンの導きでドラゴン討伐隊の宿営地へ向かった青年は、その地のリムから「覚者」たる資格を示すよう呼び掛けられる。
時を同じくして宿営地を魔物が襲い、それを退けた青年は、リムに覚者と認められ、自在にポーンを従える力を得る。
覚者とは何者なのか、ドラゴンとは何者なのか。
真実と世界の秘密を知る青年の旅が始まる。
キャラクターメイキング
ポーンシステム
アイテム・所持重量
戦闘
ジョブ
+ | 簡単なジョブ解説 |
ポーン共有
ウルドラゴン
グラフィック
キャラクターメイキング
簡単かつ爽快感のある戦闘
クエスト進行の自由度
低めのゲーム難度
武器強化の手順
玉石混淆のDLC
謎の黒帯
全編英語音声オンリー
工夫と仕掛けに乏しい単調なオープンワールド」
移動が面倒
同じ敵にばかり出会う
キャラメイクを考慮していないストーリー
ラストの駆け足展開
+ | ネタバレ |
ステータスの振り直しができない
ポーンへの個別指示が不便
アイテム管理が不便
状態異常が分かりづらい
好感度システムの弊害
オンラインウルドラゴンのダメージキャップ
国産初のオープンワールド大作として売り出されたものの、『The Elder Scrolls』や『Fallout』といった先行のベセスダ作品などと比較すると舞台となる世界の作り込みが浅く、没入させる魅力に乏しい。
移動やUI周りにユーザビリティの低い要素も散見され、発売当時は他のオープンワールド系ゲームと明確に比較され、高い評価は得られなかった。
ただ、簡単操作で爽快かつ迫力ある戦闘を繰り広げられアクション性は、オープンワールドゲームの中では頭一つ抜きん出た長所であり、戦闘面を評価して本作を良作と支持するユーザーも存在する。
この戦闘面の魅力やノウハウは、後述の『Dark Arisen』や『ONLINE』に受け継がれていくこととなる。
不評点の改善を含めて続編を望む声も少なくはなく、2024年春には晴れてナンバリング続編がリリースされることとなった。
【どらごんずどぐま だーくありずん】
追加・改善要素を加えてほぼ1年後に発売された完全版と言える作品。
前作からデータの引継ぎが可能で、引き継ぎ特典(*15)も用意されている。
無印版でのDLCクエストやDLC装備なども収録済みで、多少ゲームを進めることでクエスト開始や装備購入が解禁される。
後にPS4/One/Win/に加え、Switchでも発売された。
解像度の向上や細かい調整が行われているが基本的には従来の『Dark Arisen』収録分のソフトと変わりはない。
前述の引継ぎ特典も含めて追加要素は収録されているため、新規に遊びたい者はこちらを勧める。
新たに追加された「黒呪島」の難易度について
無印版の問題点が多数改善されており、今から遊ぶならよほどの理由がない限りこちらを購入することをお勧めする。
目玉要素である「黒呪島」の高難易には賛否が分かれるものの、3周以上に渡ってやり込もうとしない限りは「歯ごたえのある難易度」として楽しめるだろう。
*1 正確には一定の討伐数と知識となる特定の行動や隙晒しを確認させることが条件となる。
*2 一部のクエスト発生や終盤の展開、商人NPCなら品揃えにも関わるパラメータ。
*3 「メイジ」「ウォリアー」「ソーサラー」はサブ武器がない。
*4 宿に関してはゲーム内設定で安い理由が明言されている。
*5 フィールド上に3つ集めることで完成する欠片が見つけ辛く点在していたり、行商人が高値で欠片を販売している。ただしメインストーリー最終盤にて、この竜の鼓動をラストダンジョンで大量に集めることになるためゴロゴロ手に入るようになる。
*6 ドレイク、ウィルム、ワイバーンなど。
*7 DLCに対する姿勢の見直しをはかる、と言った談話の中で、そういった決定が下される前に開発され、いくつかのコンテンツがアンロック式で製品の中に既に入っている作品の例として本作を提示。
*8 「覚者」は「目覚めた者」と解釈するのが自然だろうが、Arisenを反訳した「目覚めさせられた者」の方が実態には沿っていたりする。
*9 内容的にはビターエンドと呼ぶべきかも知れないが。
*10 本作に合わせて歌詞や曲調をアレンジしたバージョン。
*11 実際には「街」と言える規模のものは1つしかなく、あとは小規模な集落がポツポツあるだけである。
*12 非公式で自己責任だが、MODとして日本語音声が入手可能。ただし、すべての音声を差し替えるものなのでかなりファイルサイズがデカくなっている。
*13 日本からストアページにアクセスしようとすると、トップページに転送されてしまう。
*14 ちなみに、本作の発売が2012年で『2』の発売が2024年なので、いずれも「辰年」に発売されたことになる。
*15 刹那の永久石(無限に使える刹那の飛石)、装備品、10万Rの3つ。
*16 街の宿の方が便利な機能もあるので使い分ける選択肢が増えている。
*17 もちろん、英語との切り替えも可能。
*18 水濡れ状態が即座に解除されるアイテム。
*19 なぜかデスが使う睡眠攻撃はしっかり回避する。
*20 デスは一定ダメージを受けると強制ダウンし、ダウン中は撤退できない。