パラノイア
【ぱらのいあ】
| ジャンル | シューティング |  
 | Fuck you | 
| 対応機種 | PCエンジン | 
| メディア | 2MbitHuカード | 
| 発売元 | ナグザット | 
| 開発元 | デュアル | 
| 発売日 | 1990年3月1日 | 
| 定価 | 5,800円 | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| 配信 | バーチャルコンソール 【Wii】2008年6月24日/600Wiiポイント(配信終了)
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| 判定 | 怪作 | 
| ポイント | 何もかもが狂っている世界観 「Fuck you!!!」
 何故VC配信した?
 何故PCEmini収録した?
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| ナグザットSTGシリーズ | 
 
概要
ナグザット(現:加賀テック)がPCエンジンにてリリースしたシューティングの一つ。
悪魔の創った世界にて自身(プレイヤー)の魂を救済する為に戦うという、非常に斬新で怪しいストーリー設定が特徴。
ストーリー
(説明書より引用)
PARANOIA WORLDとは…
 人の心の中に住む、善と悪。その醜い悪の心の源こそが、悪魔アグリーの創り出した世界、パラノイア・ワールドなのだ。
――――――ある日突然、キミの魂は、この邪悪な世界に迷い込んでしまった。
そして、その時からキミは、何かを知ることも考えることも許されなくなり、すべての自由が奪われてしまった。
ただひとつ、キミに残された道、それは悪魔アグリーが創り出したパラノイアの世界を突き進んでいくことだけなのだ。
 キミを悪の世界に引きずり込もうとするアグリー。悪魔は、数々の分身とあらゆる手段を使って、キミの魂を支配しようと狙ってくる。
孤独な時間の流れと悪魔の誘惑。キミの戦いは、もうすでに始まっているのだ。
 戦え!キミの魂よ!
パラノイアの世界を抜け出したものだけが、邪悪な心から解放されるのだ。
システム
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一人プレイ専用、全5ステージ構成、周回あり(二周)。残機制の戻り復活、全部なくなるとゲームオーバー。
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主に使用するボタンはショットとサテライト方向調節の二種。
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自機そのものが発射するショットは常時固定であり、性能変化やパワーアップは一切しない。
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3種あるサテライトアイテムを取得する事により、自機周りにサテライト(いわゆるオプション)が付く。初期段階のサテライトは一切の攻撃ができないが、次にアイテムを取る事でサテライトによって違う専用ショットを放つ事ができる。アイテムを連続で取る事により各3段階までパワーアップが可能。
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サテライト自身には無敵の当たり判定があり、触れて敵を倒したり、敵弾をかき消す事が可能である。
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サテライト方向調整により右90度にてサテライトを回転固定する事が可能。また自機を移動させるとサテライトが微小に伸縮するような感じで動く。
 
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サテライトアイテムの他にも、スピードアップやバリア効果のあるアイテムが存在する。
怪作要素
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とにかく作中の世界観があまりにも狂っている。『パラノイア』(偏執狂)という題名からして、最初から狙った演出ではあろう事は確実である。
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まずグラフィックが異様なまでにカラフルかつビビッドな色使いで、見ているだけでも変な気分になってしまいそうな外観を放っている。
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敵デザインも恐ろしいもので、ステージ1は腐ったリンゴ、ステージ2は巻貝の標本、ステージ3に至っては般若のお面などといった面々が何の脈絡もなく登場してくる。はっきりいってまともなデザインの敵はごく少数しかおらず、デザインに統一感が見えてこない異彩さを放っている。
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BGMに関してもやたらとカルト宗教的なノリの怪しい楽曲メインであり、聞いているだけで軽くトランス気分を堪能できそうなものとなっている。
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ステージをクリアすると悪魔アグリーと思わしきグレイのような生物が中指を突き立てて「Fuck you!!!」と音声合成で喋ってくれるイカレた演出がある。
 
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エンディングでは自機が雲の中でゆっくりと飛行した後、額縁に収められた部分がセピア色に変化して停止する。
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写真か絵画として納められたらしいが、悪魔の手が絵を突き破って現れ、挑発的に指をふった直後2周目に突入する。
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2周目クリアのエンディングでは悪魔の手が中指を突き立てたものに変わり「Fuck you!!!」の音声合成と共に引っ込む。
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邪悪な世界を攻略されて悔しがる悪魔アグリーという解釈で間違いないだろう。
 
評価点
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シューティングとしては遊べなくはない。
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パターンを構築すれば安定したクリアが望める。一周目だけなら特にバランスが不安定という程の難易度でもない。
 
問題点
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ステージ数が少なく、各ステージもそれほど長くないので1周のプレイが短め。周回プレイを合わせても10ステージしかない。
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各ステージのバランスも結構大味であまり練られているとは言えない。若干やっつけ感が強い作りという印象。
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ボリュームの少なさも相まってか、BGMの曲数が非常に寂しい事に。メイン5曲+ボス2曲+エンディング+ゲームオーバー、の計9曲。80年代前期のゲームならともかく、90年のPCエンジンソフトでその曲数は寂しすぎるのではないだろうか?ちなみに裏技でサウンドテストが可能。
 
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ミスすると初期状態から戻り復活となり、立ち直るのが非常に困難。特に2周目でミスするとほぼ詰みが確定な程。
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裏技で2周目から始める事が可能だが、もちろん初期状態からのスタート。普通の人類がクリアできるかどうか謎である。
 
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二周目の難易度の跳ね上がり方が尋常でない。
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敵が高速で弾をばら撒く上に、倒すと撃ち返し弾を発射してくる鬼畜ぶり。
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二周目においてサテライトのない自機状態ではまともにゲームを続けるのがほぼ不可能なのは上記不満点通り。サテライト付きでもパターンを築かないとまず詰む。
 
総評
少ないステージ数に大味なゲームバランス、そして何もかもが狂った世界観のせいでクソゲーに近い扱いを受けやすいが、クソゲーかと言われるとゲーム自体はそこまで酷いものではない。
奇ゲーとしてのインパクトは相当なものなので、興味があれば触れてみるものよいかもしれない。
その後の展開
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バーチャルコンソールには数多くのPCエンジンソフトが配信されているが、今現在におけるナグザット製Huカードシューティングで配信されているのは本作と『サイコチェイサー』のみである。
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PCエンジンminiでは後述の海外版が収録された。だから何故遊びやすいダブルリングやコリューンを差し置いてコレなのか。
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PCエンジンminiの開発ディレクターを務めたコナミの吉室氏曰く、海外で人気が高いため、とのこと。
 
余談
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海外版(TurboGrafx-16)では『Psychosis』のタイトルで発売された。
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2面と3面の順番が入れ替わっているほか、ステージクリア時の悪魔の挑発が人差し指を立てての「Come on!」という当たり障りの無いものになっている。そりゃ修正されるわ。
 
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スタッフロールすらなく、ゲーム内で誰が製作に関わったのかすら不明のままだったが、後年になって判明。
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ゲーム開発メーカー、デュアルのホームページの開発実績に掲載され十数年後に開発元が判明することになった。開発実績のリストを見ると単なる外注開発であったり、2次下請け開発でのみ参加と実に様々である。
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最終更新:2023年12月05日 17:55