アイスホッケー
【あいすほっけー】
ジャンル
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スポーツ
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対応機種
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ファミリーコンピュータ ディスクシステム
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発売・開発元
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任天堂
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発売日 ()は書換開始日
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1988年1月21日(1988年2月8日)
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定価
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2,400円(片面)
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プレイ人数
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1~2人
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象) ※バーチャルコンソール版より付加
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配信
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バーチャルコンソール 【Wii】2006年12月2日/500ポイント 【WiiU】2013年12月11日/524円
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判定
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良作
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ポイント
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任天堂無印系スポーツゲームのFC最終作 シンプルながら高い自由度 スピードに慣れて初めて白熱した対戦ができる
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概要
『テニス』『ベースボール』『ゴルフ』など、FCにおける任天堂の無印系スポーツゲームシリーズの事実上最終作。
このシリーズとしては1986年10月の『プロレス』以来。
アイスホッケーのゲームは1ヶ月前に『スティックハンター(ケイ・アミューズメントリース)』が出ているため、わずかな差で「初のアイスホッケーゲーム」を逃した。
1988年ということもあってタイトル画面も少し凝ったものになっており、タイトルのBGMも恒例の「スポーツ行進曲」アレンジではなくオリジナルのものになっている。
内容
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任天堂の無印系スポーツゲーム恒例のスタイルで実在競技をそのままゲーム化しており、当時のゲームではややこしいルールの1つである「アイシング」等の反則も普通に搭載されている。
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また、このシリーズでは初となるペナルティによる退場もあり、退場させられると一定時間ペナルティボックスに閉じ込められる。サッカーのような永遠の退場ではないが元々の人数が少ないだけにかなりの痛手。
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文字通りアイスホッケーのゲームだが人数が実際より1人少ないという簡略化した形になっている。これもこれまでのシリーズ恒例のスタイルを引き継いでいる。
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選手のスタイルは3種類。
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スピード(やせ型)
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動きは素早いが、シュート力やボディチェックに弱い。
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ノーマル(小柄)
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パワー(太り型)
国(表記)
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スピード
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ノーマル
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パワー
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日本(JPN)
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0
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4
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0
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アメリカ(USA)
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1
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2
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1
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ポーランド(POL)
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2
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1
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1
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カナダ(CAN)
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1
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2
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1
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ソ連(URS)
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1
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1
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2
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チェコスロバキア(TCH)
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0
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1
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3
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選手のバリエーションはデフォルト(CPUが使う場合)で、プレイヤーの場合、自由に選択できる。
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スピードレベル5で5ヶ国に勝てれば、対CPU戦でも相手のパターンを選択できる。
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1ピリオドあたりの時間は「7」「10」「15」の3段階で選択可能。
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だいたいゲームでの表示時間が3分で本物の1分程度にあたるので、上記は3ピリオド(1試合)での試合時間の目安になる。
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3ピリオドで決着しない場合は4人によるPS(ペナルティーショット)合戦になり、それで決着がつかない場合はキーパー不在で2分間の第4ピリオド(延長戦)を行う。
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これでも決着がつかない場合PS合戦と、延長戦を無限に繰り返す。
評価点
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操作性は非常にシンプルなので、ざっくりした感覚でプレイできる。
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バレーボールやゴルフに比べると、実際のルールを知らなくても、パスとシュートぐらいの感覚でわかるものばかりなのでイメージすらわかないことはない。
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フリップという概念がわからなくても「長押しでパワーをためる」という感覚と同じなので、これも直感的な形に落とし込まれている。
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自分の好きな形でチームが組める。
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スピード、ノーマル、パワー3タイプを自分の好みに4人に組むことができる。
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『プロレス』を除いてそれまでの任天堂の無印系スポーツゲームは、選手自体の能力は全くのイコールコンディションだったのでプレイヤーの好みを反映できなかったが、それが解消されている。
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これにより自由度が高く、対戦ではシンプルながら個性を出しやすい。また変化に富んだ対戦ができる。
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よくありがちな「ノーマル型は中途半端で器用貧乏」にはならないバランス。
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この手のゲームによくありがちなのがスペシャリストに偏りすぎて「突出した部分はないがなんでもそれなりにできるタイプ」は「何をやっても中途半端で役立たず」になりがちな傾向だが、本作の場合はちゃんと強みを持っている。
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スピード型は相手ゴール前まで詰めても決定力に欠ける弱いシュートしか打てず、チャージしてフリップしようにも詰めてくる相手に止められやすい。ノーマル型ならフリップしなくても、そこそこ決定力あるシュートが打てる。
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パワー型は鈍すぎて、チャージしている間にも詰めることができず前にシュートを打たれやすいが、ノーマルならその間に詰めることぐらいなら間に合う。
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対戦ゲームとして適度に楽しむにはちょうどいいプレイ時間。
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最低時間で約10分程度(7分+ゴールによるタイムラグ+インターバル)なので、シンプルな対戦ゲームとしては手軽に楽しめるものとして丁度いい。
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BGMは軽快でノリが良く、スピーディーなゲームにマッチしている。
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ゴールのSEも同様で、小気味良い響きがその高揚感を表現できている。
問題点
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スピーディーなのは悪くはないが、とにかくスピードが速すぎる。最低レベルでも相当速い。
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イメージとしては同じく任天堂の無印系スポーツ中でも最も速かった『バレーボール』の男モードのスピードレベルで『サッカー』をやっている感覚と言えば想像しやすいだろうか。
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パックのスピードも、比べ物にならないほど速く、選手のスピードも相当なもので、目で追い切れずいつの間にか取られていたりすることも日常茶飯事。
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このため、慣れない間は自分を動かすことすらかなり難しく、そのスピードで動き回る相手についていくどころかパックの位置すら満足に把握できず、自分自身に振り回されるのがお決まりになる。
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サイドがチェンジしても、得点表示の位置は元のままなので、第2ピリオド等偶数では得点表示が自陣と合っていない。
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それほど気にする必要のない部分ではあるが、それに併せてこれも左右入れ替えてくれた方がわかりやすい。
総評
本来の無印系スポーツのスタイルに戻ったこともあって比較的地味なイメージだが、キャラ配分の自由度の高さというそれまでにないスタイルを取り入れ更にそれぞれの強みが成り立たったバランスという理想的な形でイコールコンディションのような単調さを排除している。
このスポーツ自身は日本では比較的マイナーな部類だが操作性はシンプルで複雑な要素もなく、更に動きも非常に滑らかなのは、それまでの任天堂の無印系スポーツらしい良さがある。
ただスピードの速さはトップクラスで、それに慣れなければゲームにならないので手慣れた者からすれば白熱した対戦になる一方、慣れないとまるでゲームにならないというシンプルながらも楽しむために若干障壁のあるゲームと言える。
それでも『バレーボール』を思えばスピードにさえ慣れれば直感的にプレイできるため個性が出せてお手軽な対戦ゲームとして親しみやすい部類に入るだろう。
その後の展開
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ファミコン草創期から続いた無印系スポーツシリーズは本作を以って最後となった。
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その後はゲームボーイで草創期に同じような「スポーツの名前をストレートにタイトル」とした無印なタイトルとして『ベースボール』『テニス』『ゴルフ』などを出したがそれが最後となった。
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任天堂の無印系ゲームはスポーツ以外では1990年9月にテーブルゲームの『バックギャモン』をディスクソフトとして発売している。ファミコンにおける任天堂の無印系はこれが最後となる。
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またファミコンでの任天堂スポーツゲームは1991年9月の『マリオオープンゴルフ』まで1本も発売されなかった。
余談
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この年はディスクカードの容量的不利が避けられないものになり、既存作の片面書き換え専用ソフトのサービスが開始された。
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アイスホッケーのゲームは同じ1988年の7月にコナミから『コナミックアイスホッケー』がディスクソフトとして発売されている。
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テレビCMも行われた。このCMでも退場するシステムの存在がわかる。
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CMの最後はディスク初期からおなじみのフレーズ「♪やればやるほどディスクシステム」。
最終更新:2023年10月27日 19:00