雷弩機兵ガイブレイブII
【らいどぎあ がいぶれいぶ つー】
ジャンル
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奥スクロールシューティング
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対応機種
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プレイステーション
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メディア
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CD-ROM 2枚
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発売・開発元
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アクセラ
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発売日
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1998年10月29日
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定価
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5,800円
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プレイ人数
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1~2人
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判定
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シリーズファンから不評
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ポイント
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ガワ以外すべてが前作と違う とってつけたようなストーリー 作り込みそのものは丁寧
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雷弩機兵ガイブレイブシリーズ I / II
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概要
『雷弩機兵ガイブレイブ』の続編。
前作最後に予告デモがあった為続編の制作はほぼ確定していたようなものであり、オリジナルのロボットアクションとして良質ながら粗も多かった前作からの正当進化を期待するファンも多かったのだが、そんな彼らを待っていたのは…。
前作からの変更点
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ジャンルが前作のアクションRPG形式から、奥スクロールSTG形式に変更。
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MAPを縦横無尽に駆け抜けることができた前作と違い、ステージ制となりステージ中では自動で前進するようになった。
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ショップでは殆どの装備が買えなくなり、僅かに残った品揃えも微妙なものばかり。実質的に、敵からのドロップによって装備を調達する方式になった。
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パーキングエリアよろしく特定のステージとステージの間にショップがあり、気軽に立ち寄れないという点も痛い。不要装備の売却にしか利用しないプレイヤーも多いとか。
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新たなカスタマイズ要素として「称号」が登場。好みに応じて武器のカスタムができるようになった。
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『Diablo』等での接頭・接尾にあたるもの。但し接尾にあたる称号は1文字のものが2種類つく。
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例:「○○の▲▲改L」:「○○の」という接頭と「改」「L」という接尾がついた▲▲(武器名)
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なお接頭は豊富にあるが、接尾は「改/零」の2種類+「E/L/R/H」の4種類のみ。
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自機の動きが重くなり、爽快感が薄れた。これについてはそもそもゲームジャンルが異なる上、好みの問題の範疇ではあるが。
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キャラクターについては全体的に頭身が上がり、デザインも昨今のアニメを思わせる雰囲気になった。
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二人プレイは対戦モードのみ。前作のような協力プレイはできなくなった。
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本編以外にミニゲームが追加された。本編中に一度でも挑戦すれば、おまけモードでいつでもプレイ可能。
評価点
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作り込みそのものは丁寧で、目立ったバグも特にない。
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敵からの距離によって、自動的にサブウエポン(射撃武器)、バトルウエポン(格闘武器)、チャージ攻撃(徒手格闘)が選択されるようになった。
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これによって前作の射撃偏重だったバランスがある程度改善された。
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BGMも高クオリティのものが揃っている。
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前作とは方向性が違うが、こちらも各自の好みとして片付けてしまって問題ないだろう。
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武器や機体が豊富
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既存のものの上位版といった位置付けの性能を持つ武装も多いが種類が多く性能も個性的。
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特定の方法で倒した敵の機体は対戦モードに限り使用可能でこちらは収集要素にもなっている。
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声優陣は前作からの続投組に加えて、新規参入組も緑川光、三石琴乃、桑島法子、日高のり子、前田このみ、西脇保、丹下桜(敬称略)など錚々たる面子。
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当時まだ新人声優だった桑島法子氏が歌う主題歌「ガイブレイブのテーマ」はなかなかの良曲。
賛否両論点
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変更点の項目を見れば分かる通り、前作から何もかもを変えすぎてしまった点。
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既存の枠組みにとらわれない挑戦それ自体は評価されて然るべきではあるが、それがファンの求めていた物(爽快感溢れるロボットアクションRPGとしての、前作からの正統進化)と致命的に食い違っていたのは流石に拙かった。
問題点
全体的に、シナリオ面でのお粗末ぶりが目立つ。
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前作に収録されている予告デモに描かれていたシーンが本作のどこにも存在しない。まぁ前作でもOP詐欺をやらかしてはいたので、これだけならまだ目を瞑れるレベルではあるが。
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キャラクターは何故か「前作の戦い以降平和ボケした」という設定が追加され、全体的に3枚目になってしまった。
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中でも「ライデン」は前作では見た目に似合わず侍然とした無骨なキャラだったのだが、本作では見た目どおりの食いしん坊のおっちょこちょいキャラに変わってしまった。第一声から「自分のおにぎりが無い」といって騒ぎ出すなど、もはや別人レベル。
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頭身が上がったことも踏まえて、テレビ東京の深夜アニメもしくはOVAを視聴している気分になる。
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声優の演技も主人公のケンがオッサン臭くなっていたり、スカリーが別のキャラクターにしか聞こえなかったりなど演技の方向性が若干おかしくなってしまった。
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これについてはスタッフの演技指導が原因ではないかと推察可能だが、それにしたって限度というものがあるだろうに…。
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本作シナリオの展開について詳細な記述をしています。ネタバレ注意
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敵のエースパイロット部隊であるエリミネーターズはいかにも主人公達との因縁のライバルといった風味で登場するが、数回戦うだけであっさりと死んでいく。
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一応、対応する主人公との絡みはあるのがせめてもの救いか。
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前作で戦死した筈のダハー大佐が唐突に登場し、トリックスター(やや味方寄り)の立場で行動する。そしてストーリーが進むと再びフェードアウト。
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前作では最後にサイボーグ化し、更に半狂人のような状態になっていたが、本作ではどういう訳か普通の人間に戻っている。それについての説明も一切無し。
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予告デモにもダハー大佐が登場していた為、彼の復活自体は想定の範疇であったが、こうも説明不足なぽっと出の出番しか無いと果たして誰が予想できただろうか。
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味方の移動基地が登場した際に新型機体への乗り換えイベントが発生するのだが、そのイベントが発生するのは序盤も序盤。
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しかも、上述したエリミネーターズやダハー大佐と戦って旧型が大破したなどのイベントもなく、ただ新型が出来たので機体を更新するといったドライな展開のため折角の乗り換えイベントなのに盛り上がりに欠ける。
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詳しい記述は避けるが、本作のラスボスの正体など「前作設定と矛盾している箇所」や「説明不足な部分」そして「超展開」がやたら多い。
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主人公の一人であるケンがやたら優遇されている。前作でも最後においしい所を持って行く等その兆候はあったが、本作では最早依怙贔屓の域にまで悪化している。
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前作では最後のラスボス戦までは自分の好きな機体を使うことができたが、本作ではケンでしか最終ステージに出撃できなくなってしまった。
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最後のムービーの都合を合わせるためか、ケンの機体だけ可変機能が搭載されている。しかもその最後のムービーにライデンとジョニーは登場すらしない。
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プレイの仕方によって分岐するとあるが、実際は成績が低すぎるとバッドエンドで強制ゲームオーバーになるだけ。
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意識してプレイしなければまず見られないが、フローチャート埋めの為にバッドエンド閲覧を強要されるのは如何なものか。
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アクションパートが単調
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道中にギミックが殆どなく、仲間が援護しに来てくれるといった要素もない。
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地形も平坦な道をひたすら直進するステージが大半でステージ事の変化が少ない。
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最強レベルの装備は敵から入手するしかない為、必然的に最終ステージ間近の「帝都バルスーム炎上」を延々とクリアしなければならず、非常にだるい。
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このステージは全ステージ中でも屈指の高難易度を誇っており、レベルが上がってもゲームオーバーまで追い込まれてしまうケースが多々報告されている。
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ファンの間では、このステージの名前とステージボスの声優である緑川光氏が演じたキャラクターのセリフをもじって「教えてくれ、俺はあと何回帝都が炎上するのを見ればいいんだ…」とよくネタにされている。
ネタにでもしないとやってられない、という事でもあるが。
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一方で、一度装備を入手できさえすればセーブコピーでいくらでも生産出来てしまう。これをバランス崩壊技と見るか、それとも救済措置と見るかは各自の判断に委ねたい。
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前作にもあったバランスブレイカーな武器の存在。
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具体的には食らうと一撃で撃墜される「S(スパイラル)キャノン」(前作にあったキルメニーの上位互換)や、回避不可能かつ強力な追尾レーザーを発射する「プロキオン」(前作にあったケフェウスの上位互換)等。
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前者はEN消費が大きく、撃てるのは数発のみで回避が容易という欠点がある為、装備した敵が出てきてもそこを突く事で容易に攻略可能なのが救い。
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より酷いのは後者の方。動き回ってレーザーの命中回数を減らすことで多少のダメージ軽減は可能だが、完全な回避は不可能。回復アイテムを持っていなかった場合、装備する敵が出てくるステージは実質攻略不可能。
総評
単体で評価すればせいぜい「3Dで作る必要があったのか?」と疑問に思う程度の凡作STGといった所。
しかし前作と比較した場合はどうにも違和感が凄まじく、前作ファンからは「IIは別ゲー」「Iで終わっていた方がよかった」といった声も多く聞かれる。
当wikiにおける「シリーズファンから不評」判定のお手本とでも言うべき作品であろう。…そんなお手本を見せられても、ファンにとっては迷惑なだけだろうが。
余談
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ここまで変化してしまったのは「アクセラの経営体制の悪化」が原因ではないかと囁かれているが、同社が倒産した今となっては真相は闇の中である。
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敵の背景について『第3次スーパーロボット大戦α』との類似点を指摘する声が一部ある。
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本作は『3次α』よりずっと前に発売された作品であり、更に言えばどちらも敵組織のテンプレとでも言うべき設定の為、偶然の一致である可能性が極めて高い。
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詳細不明ながら、本作の続編『雷弩機兵ガイブレイブIII』の構想もあったらしい。
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情報がとある雑誌に掲載されたらしいが、こちらも詳細は不明。その雑誌をお持ちの方がいたら、ぜひとも当wikiメニューのリンクから飛べる掲示板に情報をお寄せいただきたい。
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アクセラ倒産以後は本作やシリーズ作品に関する権利関係も不明な為、今後この構想が日の目を見る事はまず無いと思われる…。
最終更新:2023年08月10日 12:20