メタルギアソリッド ザ・ツインスネークス
【めたるぎあそりっど ざついんすねーくす】
ジャンル
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戦略諜報アクション
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対応機種
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ニンテンドーゲームキューブ
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メディア
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8cm光ディスク 2枚組
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発売元
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コナミ
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開発元
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コナミコンピュータエンタテインメントジャパン シリコンナイツ
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発売日
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2004年3月11日
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定価
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6,980円(税別)
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レーティング
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CERO:15歳以上対象 |
判定
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劣化ゲー
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ポイント
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音声が英語のみ(日本語字幕あり) 経験者からすれば違和感たっぷりのムービー 削除されたVRトレーニングなど遊び足りない出来 グラフィックは好評
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メタルギアシリーズ
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概要
20世紀最高のシナリオと評されたPS版『MGS1』を、21世紀最高のシステムと評された『MGS2』の映像技術、ゲームシステムで再現したもの。
「主観攻撃」「麻酔銃」「ホールドアップ」「エルード」のシステムが追加されている。
GC本体同梱版も発売されており、特典としてFC版『MG1』の復刻版ディスクが同梱されている。
開発の発端は任天堂からGCで『メタルギア』を出さないかとオファーがあったが、当時のKCEジャパン(後の小島プロダクション)はGCでの開発経験がなく、また『MGS3』と『ボクらの太陽』の開発で手一杯だった。
そのため任天堂の宮本茂氏に相談したところ、『エターナルダークネス』などを開発したカナダのデベロッパーであるシリコンナイツを紹介され、開発を任せることにしたとのこと。
変更点
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通常攻撃
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3段目のアクションが『MGS2』タンカー編と同様回転蹴りに変更。
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ローリング
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『MGS2』タンカー編と同様の飛びこみ前転が可能。
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飛び出し撃ち
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壁に張り付いた状態から飛び出しての射撃が可能。無敵時間が存在する。
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ホールドアップ
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気づかれずに敵兵の背後で銃を構えることで、敵兵をホールドアップさせることが可能。
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麻酔銃
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『MGS2』から登場したもの。これに伴い、ボスにもスタミナゲージが追加されている。
評価点
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グラフィックは『MGS2』基準なので、原作とは比べ物にならないほど美麗。
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PS版ではスペックの関係で表情や瞳など細かい部分が再現出来なかったが、本作では細部までハッキリと読み取れる。美麗なグラフィックで若き頃のスネークやFOXHOUNDの面々が見られるのはファンには嬉しい所。
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ただし、スニーキングスーツやメリルなどのグラフィックや一部の音声は『MGS2 サブスタンス』のものを流用している。
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標準難易度でのプレイに限れば、PS版よりは難易度が下がっているため、クリア自体はしやすい。
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『MGS2』を基準としたシステムにより、主観打ちやエルードなど操作が豊富になった。
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麻酔銃が導入されているので、原作では不可能だったノーキルプレイが可能になっている。
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ボスも麻酔銃で倒せるが、残念ながら『MGS2』と同じくムービーなどは変化しないので死亡する人物はやはり死亡する。
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ステージ自体はおおよそオリジナル版と同じ構成だが、ギミックが追加されたり配置が変わっている箇所も多い。
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例を挙げるなら、エルードで進める場所が追加されたり、蒸気や冷気が吹き出る配管の配置などによってショートカットが可能になり、プレイ時間の短縮ができるようになった。
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映画『あずみ』などで有名な北村龍平監督がムービーでの演出を担当しており、後述するようにPS版からは考えられないシーンが増えたが故の違和感はあるが、出来自体は悪くなく見応えがある。
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サイボーグ忍者に関しては特に好評で、後の『MGS4』の雷電も本作を意識した動きをする。
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GCでの発売に伴い、任天堂ネタが多数収録された。
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ゲーム内にGC本体やマリオとヨッシー(の人形)が登場し、銃で撃つとファンにはたまらない音声が鳴り響く。
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サイコ・マンティスとの対面時、原作と同様メモリーカード内データによってメッセージが変わる。
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「『大乱闘スマッシュブラザーズDX』が好きなようだな」など。この時、壁に掛けてある肖像画も任天堂にゆかりのある人物になっている。
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なお、その後の戦闘ではPS版同様コントローラの操作を読まれてしまうので、コントローラが接続されているポートを変えることになるが…。
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なんと、接続ポートを変えても再度こちらの操作を読んで攻撃を避けてくるようになる。最初から4番ポートに接続しておけば再度読まれることはないのだが、面食らった人も多いのではないだろうか。
賛否両論点
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BGMがほぼ全て新規となっている。ただ、ムービーなどでPS版同様のBGMが流れなくなったなどの面もある。
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新規BGMの出来そのものは悪くない。ボス戦の曲も『MGS3』以降のように各ボス毎に専用の曲が流れるようになった。しかしPS版とは雰囲気が異なるがゆえに元の曲を気に入っている人からは不評。
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武器庫(B2)でアラート状態になった際は『MGS』のメインテーマをアレンジした曲が流れる。
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プラットフォームの違いにより仕方が無い点ではあるが、GCのコントローラではやりにくいという声が多い。
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操作系統は『MGS2』が基準となっているが、コントローラの構造上操作性がやや悪化しており、例えば主観動作には押しにくいZボタンを、無線やハンドガン以外の火器の構えには複数のボタンを押す必要がある。
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複数のボタンを押す、というのはボタンの少ない『ゴーストバベル』でも有ったが、こちらは一度「ポーズを兼ねたメニューを開く」という手順を踏むため、テンポが削がれるという欠点こそあるが問題にはなっていなかった。
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特に構え動作は、『MGS2』の「押す力を緩める行為」に慣れていると、ホールドアップ時にうっかり撃ち殺す事故が頻繁に発生してしまう。
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逆に感圧式に慣れてない人からは構えボタンがYボタンに設定=独立化したことにより、ホールドアップがしやすくなったと好評である。
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『MGS2』や『MGS3』でのホールドアップは、(ハンドガンの場合)□ボタンを軽く押しこむ方法のため、間違えて強く押してしまい殺してしまうユーザーが多かった。
問題点
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ステージ構成や敵配置が同じなのに『MGS2』のシステムを当てはめた事で、原作ではできなかった「主観視点の発砲で監視カメラを破壊できる」「本来は迂回するルートをエルードでショートカットできてしまう」などの行為が可能となり、全体的に難易度が低下した(対戦車戦など一部例外あり)。
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また、追加システムに関する説明がゲーム中で殆どされていない。当然説明書には記載されてはいるのだが、その説明書にも問題があり、追加システムの内容は記述してあるものの、GCにはないセレクトボタンという単語が載っているなど、PS版のものを流用した手抜き仕様となっている。
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序盤の攻略法について書いた項目にのみセレクトボタンの表記があり、操作方法の説明そのものには支障はない。
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ドッグタグ収集要素もあるが、『MGS2』と違って収集による特典要素は何一つなく、特典はPS版同様周回プレイによるもののみとなっている。
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無線での会話も基本的にPS版の使い回し。無線中に流れるミニムービーもPS版のを流用しているので、日本語字幕がガタガタに表示されていて読みにくい。D端子・コンポーネント端子ケーブルでプレイするとさらに拍車をかける。
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『MGS2』で追加された「飛び出し撃ち」が強力すぎるのも問題。特にバルカン・レイブン戦で顕著で、飛び出し動作中は完全無敵になるため一方的に攻撃できてしまう。
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フレームレートの変動が激しい。最大60fpsだが消火栓を撃ったりオブジェクトを破壊したりして何かしらのエフェクトが出た時、最初のエリアのコンテナなど大きなオブジェクトが複数個映った時などにしょっちゅうfpsが落ちる。
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また、ロードが激しいため、読み込みが間に合わずフリーズするという不具合もある。こちらはレンズの耐久性が上がっているWiiでプレイすると発生しにくくなる。
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上記したアクションシーンについては出来そのものは悪くないものの、スネークやその他出演者が「ミサイルを踏み台にする」「敵の自動小銃を足で挟みながら銃を構える」といった映画『マトリックス』ばりの動きをするなど、PS版からは考えられないシーンが多く、特にPS版に思い入れがある人からは批判の的となっている。
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音声が英語のみなのも多くのユーザーからバッシングを食らった。英語版の演技そのものは決して悪いものではないのだが、日本語版の演技も登場人物全員ハマり役と言える程に素晴らしいものだったために残念な点である。
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サイボーグ忍者(グレイ・フォックス)の声優、塩沢兼人氏が亡くなっているから仕方ない、ということもあるが、それならそれで代役を使うか音声そのまま使うかして日本語音声にしてほしかったという意見がある。
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ちなみに、本作のサイボーグ忍者は『MGS インテグラル』から担当声優が変更されていたりする。
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もっとも、移植元の完全版となる『MGS インテグラル』も英語音声+字幕オンリーなので、それらに倣ったと見ることもできる。そちらも不評であるが。
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PS版で好評だったVRトレーニングはごっそり削除。その代わりボスサバイバルとデモシアターが収録されているが、根本的な問題解決には及ばず。
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そもそもPS版でのVRトレーニングは「プレイヤーがゲームに慣れる」という目的に加えて「実戦から離れていたスネークがカンを取り戻す」という側面もあるため、削除するとかえっておかしいことになるのである。
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デモシアターに関しては最初から連続再生となっており、個別でシーンを見ることはできない。
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女子トイレでの無線など、ユーザーから好評だった小ネタの一部が削除されている。
総評
早い話、グラフィックやシステムを『MGS2』基準のものにした『MGS1』で、追加ムービーなどもある。
グラフィックやシステム自体は良くなったと言えるが、英語のみのボイスやPS版から大きく変わった演出など原作ファンに違和感を与える部分が評価点を覆ってしまい、リメイク作品としての完成度は今一つと言わざるを得ない。
それらだけならまだしも、VRトレーニングの削除、処理落ちやフリーズなど、ゲームシステムそのものも高い完成度ではない。
しかし、印象が違うながらも作り直したグラフィックや本作独自の演出はなかなか見応えがあるので『MGS1』をPS版とは違う感覚で遊びたい方はやってみる価値はある。
余談
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小島秀夫氏はムービーを担当した北村龍平監督の「あずみ」にエキストラで出演している。
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ほとんど意味は無いのだが、『MGS2』同様エルード中の懸垂で握力レベルを上げられる。
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レベル3到達時にはナオミも褒めてくれるのだが、彼女が拘束された後にレベルを上げても無線の内容は変わらないため、「拘束されているはずのナオミが何事もなかったかのようにスネークを褒める」という怪現象が発生する。
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デジタルコミックである『メタルギアソリッド バンドデシネ』は、本作が元になっている。
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現在は生産を終了、またWiiへの移植版やダウンロード版など一切行なっておらず、プレミア価格が付いている。
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PS3/360向けに『MGS2』『MGS3』がHDリメイクされた『メタルギアソリッド HD エディション』が発売された今、この作品のHD化を希望する者も存在する。
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だが、小島プロダクションは監修のみで開発に関与していないのに加え、任天堂ハード向けに変更されたシーンもあるため可能性は低いと考えられる。
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なお、動画共有サイトにて本作の映像にPS版の音声を当てはめたMAD動画も見られている。
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本作は日本国内において、最後に発売された英語音声の『メタルギア』作品となっている。
最終更新:2024年05月14日 10:30