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コンタクト
【こんたくと】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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ニンテンドーDS
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メディア
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512MbitDSカード
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発売元
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マーベラスインタラクティブ
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開発元
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グラスホッパー・マニファクチュア
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発売日
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2006年3月30日
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定価
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4,800円(税抜)
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レーティング
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CERO:全年齢対象
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判定
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賛否両論
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ポイント
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本編だけでは極小ボリューム やりこもうとすると極大作業 世界観、シナリオは高評価
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概要
ちょっと変わったシナリオと世界観のRPG。
『シルバー事件』や『killer7』などの尖ったゲームで知られるグラスホッパー・マニフェクチュア製だが、今作は同社の『シャイニングソウル』のスタッフが中心に手掛けている。
また、企画・監督・脚本・システム・マップと多くを手掛けた上田晃氏はGHM以前はスクウェアとラブデリックを渡り歩き、『聖剣伝説2』や『moon』などに携わってきた人物である。
その関係もあってか本作は前述のゲームのようなノスタルジーな雰囲気とGHM的なパンクさが同居したどこか奇妙で不思議な独特の作風となっている。
シナリオ
いつものように学校をさぼって公園のベンチで昼寝をしていたチェリー。気付くともう日は暮れ始めていた。ふと空を見上げると、左から右にゆっくり流れる2つの光が…
その光から、突然目の前に落ちてきた緑色に光る宝石のような物質。
次の瞬間、見たこともないような宇宙船が目の前に降りてきて、白衣を着た変なおじいさんが現れた!
「それにふれてはいかん!かえしてもらうぞ」
ボー然としていると、今度は空から赤い光が…どうやら何者かに追われているらしい。
「あぶない! とにかくこれにのるんじゃ!」
おじいさん(=ハカセ)に言われるまま、急いで宇宙船に乗り込むチェリー。だが、激しい追跡の末に致命的な攻撃を受け宇宙船は墜落してしまう。
そこでハカセは、「コンタクト」を購入したプレイヤーにチェリーへの協力をお願いする。
その頃、チェリーの家ではおかあさんが夕食の準備をしていた…
(公式サイトより)
システム
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移動画面と戦闘画面が一体化したRPG。プレイヤーは主人公の少年、「チェリー(デフォルト名)」を操作し、戦闘モードと移動モードを切り替えて進める。
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戦闘モードでは、敵に攻撃ができ被ダメージが減るが、移動速度が遅い。
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移動モードは移動速度が速いが、攻撃できず相手からの攻撃で大ダメージをもらう。
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敵を倒すと、EPというものが貯まる(最大5)。これを使って様々なスキルを使うことが出来る。
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レベルアップシステムは、『ファイナルファンタジーII』に似ている。
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各パラメーターごとにレベルが設定されており、攻撃力なら敵に攻撃を与える度、防御力なら敵から攻撃を受ける度、といった具合に経験値が貯まっていく。
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前述の武器系統ごとにも個別にレベルが存在し、使い込むほど威力が上がったり新しいスキルが習得できる。
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チェリーは「ファッション」という形で様々な能力を使える。
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主に戦闘用の火、地、水、風の4属性ファッションと、アイテム収集用の3つのジョブファッションがある。
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いずれもストーリー上のイベントで入手する。またこれらのスキルにも個別にレベルが設定されている。
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回復アイテムの仕様は若干独特。
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それぞれ個別に満腹度とパラメーター上昇値が設定されており、消化しきるまでの間パラメーター補正を受けられる代わりに、おなかいっぱいだと一切の回復アイテムが使えなくなる。
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戦闘ではトリックシールという物が使える。
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効果はダメージや回復など。一度しか使えないが、海賊船に戻ると回復する。
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チェリーとハカセの拠点となるのは海賊船。これで各地の島を冒険する。
評価点
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ちょっぴりブラックでコミカルな世界観とストーリーは好評。
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プレイした人の大半が「『MOTHER』に似ている」と評する、といえばわかるだろうか。どこかシュールで味がある。
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子供にはわかりにくいが、大人になるとニヤリとできる表現も多い。
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ストーリーも「奪われたエレメントを回収する」というわかりやすいものながら、しっかりした作りになっている。
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敵も味方もとぼけた雰囲気を持ちながら個性があり、見ていて飽きない。
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特に宇宙犬ニャンニャンはアクションが可愛らしいと好評。エグイ登場人物も多い中数少ないチェリーに好意的なキャラクターでもある。
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その辺の一般人を普通に殺せる謎のシステム搭載。殺しすぎても、一部イベントに支障が発生するぐらいでさほどペナルティはない。
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店員を殺して高価な商品をぶんどったり出来る。画面切り替えで復活するので、奪った商品を当の本人に売り払うこともできる。
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パロディネタも随所に仕込まれており、元ネタがわかるとなかなか楽しめる。
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「プレイヤーそのものが登場人物」というメタなストーリー構造も評価されている。
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サブイベントが豊富で、寄り道要素が多い。
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中には女の子にプレゼントを渡して仲良くなるイベントもある。ちなみに彼女たちも普通に殺せる(ただし、好感度ががた落ちする)。
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最大まで上がると彼女たちが船に乗り込むようになる。特に特典はないが、話しかけると船内までついてくる。そしてセーブポイントであるベッドに入るとチェリーと一緒に寝る。前述の一般人虐殺もそうだが、CERO仕事しろ。
ゆうべはおたのしみでしたね。
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ちなみに対象になる女の子は4人いるのだが全員同時攻略可能。修羅場になる未来しか見えない…。
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グラフィックレベルは高く、丁寧に作り込まれている。
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キャラクターデザインは『ポポロクロイス物語』などの福島敦子が担当。見る人が見れば一発で分かるレベル。
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ただ、原画とドットキャラはあまり似ていない。
問題点
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終盤のストーリーについて。
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本作のシナリオの大筋は「新エネルギー、エレメントの奪取を狙う組織、ミューテスタントとハカセの戦い」が骨子になっており、序盤は明らかにハカセが被害者でミューテスタントは悪なのだが…。
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以下ネタバレ
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なんと終盤、実はハカセの方がミューテスタントからエレメントを奪い、ミューテスタントはそれを取り返そうとしていただけであることが明かされる。
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一応ミューテスタントも元はエレメントを強奪していたので、どちらが悪いとは言い切れないが…。それでも要するに「泥棒同士が盗品の奪い合いをしていただけ」である。
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さらにミューテスタントとの最後のエレメントの奪い合いの結果、上空に飛んでいったエレメントをハカセは回収し、そのままどこかに飛んでいってしまう。チェリーを家に帰すという約束を放置して、である。
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そしてチェリーは「自分の行動をどこか安全なところから操っていた人物(つまりプレイヤー)」の存在に気づき、決闘を挑むがゲームキャラのチェリーにプレイヤーが倒せる訳が無く、ボコボコにされてしまう。
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ゲーム的には「ラスボスと化した主人公をプレイヤー自身が(一方的に)倒す」と言う冗談のような展開となっている。ちなみにこちらの攻撃方向はタッチ操作で、画面上のチェリーを直にボコる形になる。
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勿論、チェリーはその後でちゃんと家に帰る事が出来たのだが、チェリーを送り返してくれたのはハカセではなく、直前まで戦っていたミューテスタントのリーダーである。
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要約すると、一人勝ちしたのはハカセ、損したのはミューテスタント、一人ババを抱え込んだのがチェリーということになる。本気でハカセに殺意を覚えかねないストーリーである。
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ラストシーンも「リーダーが再びハカセを追う事を告げ、次はチェリーにも力を貸すように頼むところで終幕」というもので、チェリーとミューテスタントが協力してハカセを追い詰める続編を期待してもおかしくないような終わり方である。
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一応、スタッフロールの後しばらく放置しておくとハカセからプレイヤーに送られたメッセージが読める。これを読むとなぜハカセがそんな行動をとったのか、ということが説明されるので多少救われる。だからといって許せるかどうかは別問題だが。あと別にヒントがあるわけでもないので、事前情報がないとスタッフロールが終わって操作不能になった時点でこれで終わりと思って電源を切ってしまう可能性も高い。もちろんこの場合はメッセージは読めない。
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ハカセのメッセージの内容
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要約すると、彼は自分がゲームの登場人物であることに気づいており、自身の考え方などがどこまで本当の自分のものなのか(=どこからが開発者に作られた物なのか)悩んでいた。
その悩みを解消するために、外の世界に旅立つためのエネルギーとしてエレメントを集めていたのである。
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同情できなくもないが、結局の所自分の私利私欲のためにエレメントを強奪したことは否定できない。そのために多数の人間に迷惑をかけた自覚はあるのだろうか?
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また、このメッセージはあくまでプレイヤーにあてており、一番謝るべきチェリーには一言も謝罪していないことも付記しておく。
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またプレイヤーに「ゲームのキャラクターだからってチェリーに無茶をさせたりしなかったか?」と聞いてくる。言っていることは間違っちゃいないが、完全にお前が言うな状態。
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メインストーリーが非常に薄い。おおよそ10時間ほどでクリアできる。
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やりこみメインのくせにクリア後の隠しダンジョンなどもない。
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一応各地に4属性に対応した強敵(通称四天王)が現れる特典があるが、こいつら異常に強い。クリア直後の強さでは間違いなく瞬殺される。他の敵との強さの差が明らかにおかしい。
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スキルのレベル上げが非常に面倒くさい。戦闘用スキルはまだしも、ジョブスキルは厄介。以下それぞれの説明。
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盗賊…鍵を開けまくれば経験値が貯まるので、まだ楽な方。鍵付き宝箱から他2つのジョブ用のハイスペック装備も手に入るので、最初に上げるべきである。
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釣り人…間違いなく最難関。水場に行き、釣り竿を使う。そしてかかるまで待つ。連打で放置などが通用せず、かかっても浮きが沈んだタイミングでボタンを押して釣り上げる必要があり、非常に厄介。
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料理人…食材さえあればとりあえず何とかなるので、釣り人よりは楽。経験値の割がいい魚は釣り限定だが。2種類の食材を組み合わせる料理は連続作成が出来ず、その都度メニューから2種類選ぶ必要があるので面倒。また料理モーションが地味に長い。
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攻撃には一定の間隔が必要になるのだが、攻撃する寸前にダメージを受けるとこのカウントがリセットされる。
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どういうことかというと、周囲を複数の敵に囲まれると一切攻撃できないままなぶり殺される可能性が高いということである。
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また毒などの持続ダメージでもリセットされてしまうので、これらの状態異常が実質攻撃不能と同じ意味を持つ。
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期間限定のサブイベントがあり、アイテムコンプを阻害する。
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また、アイテムコンプとサブイベコンプの両立は不可。
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一品物の装備品を要求するイベントがあるため。クリアしても金ぐらいしか得られないので、特にクリアする必要がないのは救いだが。
ちなみにこのうちの一つ、「正宗」はラスボスまで通じる優良装備。間違って金に換えると泣く羽目に…。
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アルメカという土地を問題解決後に再び訪れると、3つのサブイベントが発生するのだがここに罠がある。
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このうち「ぬしという大魚を釣ってきてくれ」というイベントを発生させるとクリアするまで他2つが進まなくなる。しかもイベント名から分かるとおり、このイベントクリアには釣りの技術のレベル上げが必須。
さらに厄介なことにこのイベントは他2つより圧倒的に海賊船に近い位置にイベント発生キャラがいるので、普通に進めると初に発生させてしまう。ここまで来ると意図的な罠にしか見えない。
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ちなみに、ぬしと他2つの関連性は特にない。ますますなぜこんな仕様にしたのか謎めいている。
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アイテムコンプにはWi-Fi通信必須。
現在はサービス終了しているので、アイテムコンプは不可能。
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また説明書には「メール機能がある」と書かれているが、実際には絵馬にゲーム開始時に設定した「将来の夢」が書かれているだけ。わざわざDSでメッセージのやりとりをしようという人もいないだろうが…。
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セーブ時間が異常に長い。およそ12秒。DSのゲームとしては極端な長さである。
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またセーブ後にはニャンニャンと戯れることができる。これはトリックシールの「ニャンニャンシール」の攻撃力に関わるのだが、ここで電源を切ると戯れた内容がセーブされない。明らかにおかしな仕様。
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結局タイトルでメインテーマでもある「コンタクト」が活かされているかというと…?
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プレイヤーの存在はチェリーには隠されているので、序盤と終盤しかまともな絡みはない。発想は面白いのだが…。
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フリーズバグがいくつか報告されている。要注意。
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善悪の度合いを示すカルマを上げすぎるor下げすぎるとフリーズする、という話がある。サブイベを進めるだけなら極端な数字にする必要はないので、上がりすぎたら適当に人殺しして下げた方が良い。
総評
シナリオもシステムも全体的に「古き良きRPG」といった具合。ノスタルジックな感じはなかなか良く、世界観は評価する人が多い。
しかしだからといって不親切さやボリュームの薄さまで古いゲームに倣わなくても…という印象。
単調なレベル上げの中でキラリと光る面白さを拾えるかどうか、といったところで評価の分かれる作品である。
最終更新:2024年08月03日 09:26