ポポロクロイス物語

【ぽぽろくろいすものがたり】

ジャンル RPG
高解像度で見る 裏を見る
対応機種 プレイステーション
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
開発元 ジーアーティスツ
シュガーアンドロケッツ
発売日 1996年7月12日
定価 6,090円
廉価版 PlayStation the Best:1997年6月27日/2,800円
PS one Books:2001年10月12日/1,800円
配信 ゲームアーカイブス:2007年9月27日/600円
判定 良作
ポポロクロイス物語シリーズ


概要

PS黎明期のRPG。朝日小学生新聞に連載されていた田森庸介氏による同名の漫画を原作に、独自のアレンジを施してゲーム化されたものである。
優しい世界観・シナリオによって多くのライトゲーマーを惹きつけ、約50万本を売り上げた。
後にアニメ化も果たし、そちらも高い人気を得るなど、多くのファンがついた。


あらすじ

昔むかし…剣と魔法がこの世を支配していた頃。あるところに、ポポロクロイスという小さな王国がありました。
その日は王子ピエトロの10歳の誕生日。国王と家来達が王子を祝福しましたが、王子の気分は憂鬱でした。
なぜなら、一番自分を祝ってほしい人がそこにいないからです。

「会いたいな…お母さんに……でも無理だよな。だって……お母さんはもう、ずっと昔に死んじゃったんだもんな…。」
自室のベランダで悩みふけっていたピエトロ王子は、ふと、父であるパウロ国王が城の外れの塔へ隠れて入っていくところを目撃します。
こっそりついていくと、そこにはベッドに眠ったままの女性に語り掛ける国王の姿がありました。
「お父さん、この人は誰?どうして寝てるの?」
ピエトロ王子の問いかけに、国王は何も語りませんでした。

しかしそのとき、城のほうから慌しい音が聞こえてきました。
機械じかけの配下を従えた「ガミガミ魔王」と名乗る盗賊が城に攻め込んできたのです。
城の兵士たちは総崩れの中、王子が駆けつけるも力及ばず、王家の宝「知恵の王冠」を見す見す奪われてしまいました。

翌朝、ピエトロ王子はガミガミ魔王から知恵の王冠を取り戻す冒険に志願しますが、国王と大臣の理解を得られれず悩んでいたところ、
塔の近くを通りかかったピエトロの耳に、穏やかな導き声が聞こえてきました。
「ピエトロ王子、国王を助けたいという、あなたの心を私は知っています。けれど、あなたはまだ弱い。力を貸してあげましょう。」
上を見上げると、一本の輝く剣が塔の上から現れ、ピエトロの元へとゆっくり降りてきたのです。
「その剣は「竜の剣」。正しい心で使えば、きっとあなたを守ってくれるでしょう。」

こうして竜の剣を手にしたピエトロは旅立ちが認められ、生まれて初めての冒険が始まりました。
しかしその小さな冒険は、ポポロクロイス王国の命運を左右する大冒険の、まだほんの序章にすぎなかったのです。


特徴

  • 2Dアニメチックで描かれるRPG
    • 本作はPS初期のタイトルながら、PSが得意とする3D表現をあえて排した、絵本のように描き込まれた2Dグラフィックのクォータービュー世界が舞台となっている。
    • 全4章構成のストーリーで描かれる本作は、1章ごとに1本の高品質なアニメーションムービーが挿入され、物語を大きく盛り上げる。
    • 原作漫画の世界観を準拠に、登場するキャラクターはいずれも表現豊かなキャラ付けで描かれ、小学生にも親しみやすい世界観を構築している。
  • 等身大のロケーションのみで描かれる世界
    • 本作にはいわゆる「ワールドマップ・全体マップ」といった仕様は無く、街・屋外・ダンジョンなどすべてのロケーションは細かいエリア切り替えで行き来する。近しい感覚のRPGで例えると『スターオーシャン』『MOTHER2』などに近い。
  • 「ちず」「モンスターずかん」「でなおしランプ」はポポロクロイス城地下室の宝箱から入手
    • 取得せずともクリアは可能だが、いずれもゲーム開始直後から取得可能であり冒険の有利になるため入手することを勧める。
    • 「ちず」取得後は移動中スタートボタンで地図画面、「モンスターずかん」取得後は□ボタンでモンスター図鑑を表示する。
    • モンスター図鑑へ記載される情報はある種の収集要素となっており、章限定、時期限定モンスターのドロップアイテム情報まで網羅した完璧な図鑑の完成を目指すといったやり込みプレイも可能である。
  • おみやげ収集
    • ピエトロの自室の屋根裏には、様々な地方の特産品の「おみやげ」を飾ることが出来る。
    • 頭に『!』の付いたアイテムが該当し、みやげものショップで購入するものは近くの宅配係に頼むことで、屋根裏に飾られる。
    • 一部、特定の町人に話しかけることで入手可能な期間限定おみやげも存在し、攻略情報無しでのコンプリート難度は高め。
    • 今作におみやげは全14種存在し、おみやげが飾られた今作のセーブデータを読み込むことで、次作『ポポローグ』次々作『ポポロクロイス物語II』のゲーム内でも今作登場のおみやげを引き続き飾ることが可能。
  • セーブ・ショートカット周りの仕様
    • 宿屋などの回復施設がセーブポイントとなっており、全滅時は所持金半減で直近の宿屋等から再開される。
      • なお、「ブタちょきんばこ」に保管したお金は全滅時の所持金半減の影響を受けない。
    • 移動中にアイテム欄から「でなおしランプ」を使うと、直近にセーブした宿屋等へワープすることができる。(タイミングによっては一時的に使用不能になることもある)
    • ポポロクロイス各地の町の入口近くにある「竜の柱」に触れると、触れたことのある他所の竜の柱へファストトラベルが可能。
  • 戦闘システム全般
    • ランダムエンカウント方式。地方に合わせて戦闘BGMも変化する。
    • バトルの一戦一戦が、戦闘開始時の周囲の地形そのままに、1画面分のSRPGのマップに相当する戦場に早変わりするシステムであり、通行不可地形・侵入不可地形も忠実に反映される。
    • 戦闘時はSRPGのようにキャラの位置を調整しながら攻撃や防御を展開していく。『ライブ・ア・ライブ』形式と言えばわかりやすいだろう。
    • 打たれ弱いキャラの前に打たれ強いキャラを移動させたり、範囲攻撃を食らわないために分散させたりとそれなりに戦術が必要。操作は直感的であるため複雑さは感じない。
    • 戦闘中に道具を使用するには予め各キャラが「回復アイテムを装備」しておく必要あり。1人2種まで装備可能。装備した道具のみを戦闘中に使用・消費できる。
    • 戦闘不能者は戦闘終了後にHP1で自動復活する
  • Guts(気力)ゲージ
    • 戦闘中、仲間キャラの顔アイコン・HP・MP表示の下に「気力ゲージ」が表示されており、この気力ゲージが高いほど物理攻撃の威力が上がる。
    • 黄色>青>灰色の3段階表示。戦闘開始時は全員青色。
    • 通常攻撃や必殺技を行うたびに減少していき、コマンド「気合い」や「防御」で上昇する。一部の必殺技発動には気力ゲージMAXが条件のものも存在する。
    • 少々目立ちにくいが、敵側キャラも気力ゲージを備えており、敵の行動時に画面隅にゲージ表示されている。
  • 探索での取得物は基本宝箱から
    • 調べて入手する通常アイテムは基本、宝箱から出現する。タンスやつぼなどには絶対にアイテムは入っていない*1
    • そのため、『ドラクエ』のように片っ端から民家を漁る必要は無く、通常は宝箱のみ探していれば良い。

キャラクター

  • ピエトロ
    • ポポロクロイス王国の王子。髪型がかなり独特。本作は臆病な少年だった彼の成長物語でもある。
      • 典型的な勇者型のステータスで、物理攻撃や魔法攻撃、回復までこなせる。しかし、習得する特技はいずれも癖が強い物が多い。
  • ナルシア
    • ヒロイン。森の魔女。どこか世間ずれしているところもあるが、心優しい。森の魔女の掟として、海水に触れることができない。
      • 唯一と言える純粋な魔法使い型のキャラ。強力な攻撃魔法と回復魔法を使いこなす。
  • 白騎士
    • ゴザル口調の流浪の騎士。なぜか鎧は絶対に脱がないため素顔は不明。騎士だけあって原作ではちゃんと愛馬もいるのだが、本作では未登場。
      • 純粋な物理アタッカーで、魔法の類は使えないが攻撃力・守備力・HPに優れる。ガッツを消費して強力な攻撃ができる他、ガッツを貯める特技も持つ。
  • ガミガミ魔王
    • 天才科学者の自称魔王。当初はポポロクロイスから知恵の王冠を盗み出すなど悪人として振る舞っていたが、実際には作るロボットが全体的に間が抜けていたり、自室が畳敷きだったりとどこか憎めない三枚目。ナルシアに惚れた上、ピエトロの心意気に感服したために協力関係になる。
      • 魔法は使えないが自作のヘンテコなメカで戦う。MPの代わりに弾薬を消費するが強力な攻撃や、効果の予測もつかないキテレツな技を持つ。
  • カイ
    • 漂流したピエトロたちを助けるべく突如として現れた謎の少女。男勝りで快活な性格。その正体は…。
      • 「黄金の鍵」という不思議なアイテムでモンスターに変身し、その力を借りて戦うことができる。

評価点

  • 原作とは絵柄や設定が違っているが、そのアレンジは好評。
    • 王道的な剣と魔法のファンタジーではあるが、どことなくゆるく優しげな世界観はそのままに、そして主人公の成長を実感していくストーリーは高く評価されている。
    • 作中テーマの家族愛に関する描写は感情移入度が非常に高く、ピエトロの「お母さんを返せ!」はこの作品を代表するセリフとなった。
  • キャラクターは個性や作中の役割がしっかりしていて大変人気が高い。
    • 最初は臆病で冴えないが、冒険を経てどんどん頼もしくなっていく主人公ピエトロ、内向的ながら芯が強くピエトロに尽くすヒロイン・ナルシア、真面目な正義漢だがどこか間抜けていて愛嬌のある白騎士、お馬鹿な悪者であるが義理人情に篤くどこか憎めないガミガミ魔王など。
    • メインキャラどころかサブキャラ、町の人にまで独特のセリフや動きが設定されており、世界の作り込みは深い。
    • キャラクターデザインに乖離しないグラフィック、そしてシーンに合わせて小気味よく表情・アクションを変えるドット絵がキャラの感情を豊かに表現している。
      • 雑魚モンスターのデザインにも細かくこだわっている。特に「ひだるま」。
      • 戦闘中の味方のあらゆる魔法・技は専用の発動ボイス付きで繰り出す。バトルの最中もキャラの個性の演出を欠かさない。
  • シナリオは一本道だが、それゆえにさくさく物語が進んでいく。
    • 普通のRPGでは「自由度がない」「変わり映えしない」と批判の対象になるところだが、このシナリオ自体が不条理やご都合主義などはなくしっかりと作られており、前述のようにグラフィックも美しいため、どんどん先に進みたくなってくる。そのため、あまり批判はされない。
    • 一方で、サブイベントの種類が豊富な事も特徴。第1章から様々なパターンのイベントが用意されているため、ちょっとした寄り道でもプレイヤーを飽きさせない。
  • 張り紙やオブジェなど、物を調べるとピエトロのコメントが用意されていることがある。これは後の『II』や『ポポローグ』に受け継がれていく。
  • 音楽は世界観に合わせた明るく軽快なもので、曲数はそれほどないものの評価は高い。
    • 中でもテーマ曲「ピエトロの旅立ち」は、カラオケで配信されるほどの人気がある。
      • このテーマ曲の曲部分はもともとは1992年に発売された槇原敬之のシングルCD「もう恋なんてしない」のカップリング曲「夏のスピード」が流用されている。
      • 同じ作曲家が関わっていることが理由であり正規に槇原敬之の許可が取られている模様。その影響か「夏のスピード」はアルバムCDなどに収録されていない。
    • 後のシリーズと違い、地方ごとに異なる戦闘時BGMが用意されており、豊富である。
      • 勝利時のファンファーレも基本的なメロディこそ同じだが、戦闘BGM同様、各フィールド毎に少しずつアレンジされたものをそれぞれに用意する手の凝りよう。
  • ほぼ皆無なロード時間、そしてマップに合わせてシームレスに突入する戦闘などテンポがよくストレスが溜まらない。

問題点

  • やり込もうとすると一部取り返しのつかない部分や、分かりにくい部分が存在する。
    • 有名なものとしては竜の玉集め、おみやげ、モンスター図鑑など。
    • また人々との会話も時期によって内容が変化したり、同じタイミングでも初回と2回目以降で違う内容になったりすることもある為、見逃してしまうこともある。
  • 最終決戦となる4章がややあっさり気味。
    • 広大な雪原を最強クラスの雑魚を退けながら探索する、という要素こそあるがダンジョンそのものはラストダンジョンオンリー。これまでの各章は、大体クリアまでにいくつかのダンジョンを攻略しなければならなかったため、少々ボリューム不足。
      • ラストダンジョンで残った四天王を2人も倒さなければならないのも、詰め込み感がある。最強の四天王だけをラストダンジョンに配置して、もう1人はどこか別のダンジョンに配置していればバランスが良くなっていたかもしれない。
  • 人に話しかけたり物を調べようとした際の接触判定がややズレ気味である。
  • 今作ではいわゆる「ショップ・宿アイコンの看板」が無い
    • ガイドのミニマップなどは無く、予備知識無しで外観から民家と店の判別はほぼ不可能、初めて訪れた町村では店や宿を探しあてるための探索を要する。店が存在することに気づかない可能性も高い。
    • 当作シリーズの宿屋はセーブポイントも兼ねるため、この問題は「セーブポイントの位置が解りづらい」という問題も内包する*2。全滅時は宿屋から再開されるため、全滅して初めて宿屋の存在に気づくプレイヤーも少なくない。
  • 見た目に反して難易度が高い。
    • 味方のHPに対して敵の攻撃力が高めで、集中攻撃をされるとHPが全快の状態からでも死亡する事が多い。
    • 特に終盤ともなると、ボス戦においてHPの低いナルシアはレベル次第では一撃も耐えられない苛烈さとなり、雑魚ですら2回攻撃を受けただけで死亡しかねない程である。
    • 第2章の途中で一時的にパーティメンバーが減るのだが、その間も敵が弱くならないためその期間中は難易度が跳ね上がる。
  • 戦闘中、味方は味方を通さない。つまり、細い通路で敵とエンカウントした場合、移動が阻害される場合もある。
  • 装備品購入時の防具装備にシステム上の欠陥がある。
    • 装備品を購入する際、品物を選択している時に防御力などのステータス値の変動が表示されるのだが防具は2個装備できるのでどちらと比べての結果なのかが分かりづらい。
    • 購入するとその場で「装備しますか?」と聞かれて装備できるのだが肝心のこの時にステータス変動結果は表示されないので不親切。このタイミングでは装備せず、メニューを開いて改めて装備した方が良い。
  • ピエトロが装備できる剣がほとんど存在価値がない。
    • 適切にレベル上げしていれば、初期装備の竜の剣が大抵の場合その時期に買える最強の剣を上回る性能になっているため。そのため、初期装備一本でゲームクリアできてしまうRPGとしても稀な主人公となっている。
      • 「ピエトロ専用の剣」というものは竜の剣以外になく、実質竜の剣以外の剣は白騎士専用武器と言える。一応低レベルクリアなどで竜の剣を育てないつもりなら、ピエトロに他の剣を持たせる意義がないわけではないが…。
  • 何のためにあるのか分からない個別コマンドの『逃げる』。
    • これは選択したキャラが戦闘から逃走するコマンドだが、そもそも全体指令コマンドの『逃げる』を選べば一発で全員逃走できるのでまず使われない。
    • 「個別に選択した方が手間はかかるが逃走できる確率が高い」「1人でも逃げおおせていれば全滅を免れる」などの特徴でもあるのであれば使い道もあっただろうが、今作では逃げ遅れたメンバーが全員HP0になると全滅扱いになってしまうのでますます使い道が無い。
  • エンカウント率が高い。
    • 上記の逃げるの使い難さと相俟ってストレスとなる事が多い。
      • 一応、主人公が(比較的早い段階で)一定歩数エンカウントが発生しなくなる特技を習得する。が、同レベル以上の敵とは通常通りエンカウントする仕様の為、初見のダンジョンではほぼ意味がない。
  • ピエトロの必殺技「おとしあな」がやや説明不足な感がある。
    • ピエトロに隣接する指定した1マスに落とし穴を掘り、その上に乗った者を(敵味方問わず)即死させる。という効果なのだが…。
    • 実は穴を掘ること自体に成否判定があり、それに関する説明は無く、失敗しても「穴を掘るのに失敗した」などのメッセージも出ない。失敗を表現する為かピエトロが頭を抱えてしゃがむポーズをとるが、まず伝わらないだろう。
    • また成否を問わず、技発動のアニメーションで穴を掘る演出は発生するため、「地面が固くて穴が掘れない」という自然な演出ではなく、「途中まで掘った穴が塞がってしまうと落とし穴設置失敗」という、違和感の強い演出も説明不足に拍車をかけている。
    • 上記の理由から、初めて使用した際に穴掘りに失敗しても気づかず「何故効果が無いのか?」と混乱する恐れがある。
  • ピエトロの必殺技「ドラゴンセイバー」の影が薄い。
    • 重要アイテム「竜の玉」を3つ全部集めた上に専用イベントを経て習得でき、パーティー全員の気力がMAXの時に使用できるが、その効果は敵一体即死である。もちろんボスには無効。
    • 戦闘開始直後の状態でも気力をMAXにするには、全員が攻撃の手を止めて2ターンもの間「気合い」コマンドで気力をためる必要があり*3、しかも今作はHP999を超える雑魚モンスターが存在せず、2ターンの間PT全員で集中攻撃すれば大抵の場合999ダメージは用意できてしまい、低レベル進行やMP切れ状態でもなければ手間と効果が見合っていない。
    • さらに「敵の残りHPをすべて削りきる量のダメージを与える」という仕様であるため、習得直後に周辺の敵で試し撃ちをすると大したダメージが出ず(一撃で倒してはいるが)、拍子抜けな印象を受けてしまう。
    • レベルアップで覚え、ピエトロ一人の気力をMAXにすれば使用可能な「ドラゴンファング」や、不発のリスクがあるものの即死を狙える「おとしあな」で事足りるため、空気に近い扱いを受けている。
    • ネタとしては「まおうのはげまし*4」で巨大化させたHP999モンスターにドラゴンセイバーを放つと続編でもお目にかかれない一撃10000越えダメージを拝むことが出来る*5
    • 竜の玉を入手すれば「竜の剣」が強化されるので竜の玉を集める事自体は無駄ではない。また、ドラゴンセイバー習得イベントは大変カオスなので一見の価値はある。
    • 設定や演出的には最強の奥義の割にいまいちだったせいか次回作『ポポローグ』ではドラゴンファング以上の大ダメージを与える技に変更され、面目躍如となった。
  • 四天王の1人「カウパ」との戦いの際、ラダック仙人が「魔法では勝ち目がないので肉弾戦で勝負をかけろ」といった助言をくれるのだが、確かに魔法防御力は高いが実は物理回避力も高いので通常攻撃もなかなか通用しないという落とし穴がある。
    • この助言を受けて通常攻撃をしかけるも頻繁にガードされて混乱したプレイヤーも多いはず。「かぜのやいば」「ジャンプぎり」といった必中物理攻撃を駆使する必要がある。
  • 2章ラストのムービーが少々分かりづらい描写になっている。
    • 内容としては「崩落していく空中都市ブリオニアから自前の飛行機で脱出したガミガミ魔王が、突如ブリオニアに戻っていく」というものなのだが、その時のアニメーションのせいで「ピエトロ達に体当たりしようとしているのか?」と受け取られかねない描写になってしまっている。
    • そのため、3章冒頭でピエトロが「どうしてブリオニアに戻っていったんだろう」と心配する場面が、その直後に原因が判明するとはいえ分かりづらくなっている。
  • 占い師「シター」に初めて話しかけた時の台詞が無言である事。
    • シターはポポロクロイス王家における意見番兼ピエトロ王子の教育係であり、序盤において助言をくれるキャラなのだが、上記のせいでまさか色々助言をくれる人物だとは思わず、スルーしてしまう可能性がある。
    • 特に第2章開始直後で何処に行くべきなのかを明確に教えてくれるのは彼であるがそのことについて一切言及されないため、話を聞かずに飛び出したものの行き先が分からず、先に港町パーセラの方に行って段違いの強さの雑魚敵に全滅させられるプレイヤーが後を絶たない。
    • パーセラ方面の敵が強いことは、実は街の住人も警告してくれるようにはなっているのだが、これにもあるイベントを見ておく必要があるうえ、シナリオ上初見プレイではわかりづらいものである事も原因の1つとなっている。
  • 初めてゴドリフに訪れた際に、炭鉱が魔物に占拠されたというので炭鉱に行こうとすると鉱員が入り口で通せんぼしており、「まさかお前が魔物を退治してくるっていうんじゃないだろうな?」といったことを言われるのだが、「はい」と答えると怒られて殴り倒され、芸が細かいことにピエトロのHPが1になってしまう。
    • 一応、直後に「大変な時に変な事を言うからだ」と愚痴りつつもお詫びとして宿賃をくれるので、これだけならば何の問題もないように見えるが…。
    • 初めてゴドリフに訪れた時に宿屋に泊ると夜中にガミガミ魔王が宿屋に現れ、寝ているピエトロ達の横で事情も知らないままピエトロの邪魔をする事を決意して去っていくイベントが発生する。
    • そして初めてゴドリフに訪れた時はダンジョンを踏破してくるために消耗しているであろうから先に宿屋に泊ってしまう可能性がある。
    • これらのことから、先に宿屋に泊ってイベントを見てから鉱員に殴り倒されて宿賃を貰うと「あの宿屋イベントを見せる為の布石だったのか」と思ってしまう可能性があり、「もうイベント見たし、2回も宿屋に泊らなくても」とピエトロのHPが1になっていることに気づかないまま先に進んでしまうと直後のフィールドで戦闘になった際に少々危険である。

総評

当時の基準で評価しても目新しさには欠ける印象で、中毒性のあるシステムや膨大なやりこみ要素があるわけでもないのだが、
シナリオ、戦闘、BGM、キャラクターといったRPGの根幹部分の完成度が高く、
大きな欠点も見当たらないためPS初期を代表する名作となった。
少々高めの戦闘難易度も工夫や慣れ、少しのレベル上げで補える範囲。
キャラ同士の協力が不可欠なバランスであり、厳しくもRPGとしてやりがいのある作品と言える。


余談

  • 原作漫画『ポポロクロイス物語』(作:田森庸介)について
    • 1981年から1986年に「朝日小学生新聞」にて連載。ピエトロ王子が竜の力を持たないなど、ゲーム版と設定が異なる点もある。
    • 2003年にはポプラ社より全3巻の単行本が出版され、2017年には「決定版」として復刻もされた。電子書籍化もされている。
    • なお、本作のさらにプロトタイプとして1978年~1979年に発表された短編3部作『竜が行く!!』『フローネルの魔女』『ザ・スターマン』があり、この時点でピエトロ王子やナルシア等のキャラクターは出揃っているものの、現行のデザインとは大きく異なる。
  • ゲーム冒頭、ガミガミ魔王が初登場するアニメムービーは実は、日本版ディスクでは途中でムービーカットされている。
    • 実際はガミガミ魔王が「お前らァいくぞォ~!攻撃ィ開始ィ~!」と檄を飛ばし、ロボサムライが操縦する隊列機たちが、ロボット達を収容していると思しきコンテナを城めがけパラシュート降下させるシーンまで存在している。
      • 参考動画』 (カット版はおよそ38秒付近で暗転する)
    • カットされたシーンは日本版でもディスク解析をすることで見ることができる。
  • BGMが良いこともあり、サウンドトラックが発売されている。のだが…。
    • 収録されているのはEDスタッフロールで流れるテーマ曲、街及びフィールドやダンジョン、中ボス戦、闇の世界のBGM1曲、ムービーで使用されたBGMのみである。
    • そもそもタイトルのBGMが未収録である。他にも名曲と名高い「ピエトロの旅立ち(インストver)」をはじめ、イベントで流れるBGMも全滅である。
    • 何故かゴドリフの街のBGMが無い。サントラに収録されている「ゴドリフ」は実際にはゴドリフトンネルやゴドリフ炭鉱のBGMである。
    • 他にもギルダの館や永遠の番人の館、ダーナ神殿なども未収録であり、街やダンジョンでも全て網羅しているわけではない。
    • 戦闘曲は中ボス戦しか収録されていない。折角種類が豊富なのに…。
    • このように未収録曲が圧倒的に多く、あまりサウンドトラックとしての態をなしていない。
  • その後シリーズ化されていくが、PS2以降の後続作品はロードが長かったり難易度の急上昇等作りが粗く、PS時代ほどの評価は得られていない。
    • さらにはPSPで登場したリメイク作品がタチの悪いバグゲーであり、まともな告知や対応をしなかったため、実質パッケージ販売に置いてはトドメを刺された状態にある。
      • …と思われたが、2015年に牧場物語とのコラボ『ポポロクロイス牧場物語』がリリースされた。『ポポロクロイス』シリーズとしての評価は高かったが…。
最終更新:2024年10月16日 15:09

*1 イベントアイテムがむき出しのまま置いてあることはある。

*2 次回作『ポポローグ』以降はアイコン看板が導入され多少改善されている。

*3 白騎士のみ、必殺技の「きあいため」で一気に気力MAXにできる。

*4 ガミガミ魔王の必殺技。何が起こるか分からない。本文中の「敵の巨大化」は敵のHPが10倍になってしまう。

*5 必殺技の威力がインフレしている『II』でも(複数ヒットさせて合計10000以上のダメージを与えることはあるが)1回のダメージ上限は9999である。