北斗の拳7 聖拳列伝 伝承者への道
【ほくとのけんせぶん せいけんれつでん でんしょうしゃへのみち】
ジャンル
|
対戦格闘アクション
|

|
対応機種
|
スーパーファミコン
|
メディア
|
20MbitROMカートリッジ
|
発売元
|
東映動画
|
開発元
|
ショウエイシステム、オフィス恒環
|
発売日
|
1993年12月24日
|
定価
|
9,700円(税抜)
|
判定
|
クソゲー
|
ポイント
|
北斗クソゲーの頂点 シン戦が無理ゲー 技が出なすぎる
|
北斗の拳シリーズリンク
|
概要
もはや知らない人の方が少ないであろう人気漫画&アニメ『北斗の拳』を題材にした格闘アクションゲーム。
前作『6』同様、ショウエイシステム製作の北斗ゲーである。
基本システム
-
プレイヤーはケンシロウ、シン、レイ、シュウ、サウザー、ジュウザ、ラオウの7人の中から使用キャラクターを選んでプレイする。
-
十字ボタン左右で移動及びガード、下でしゃがみ、上でジャンプという操作は一般的な格闘ゲームと共通。Yボタンでパンチ、Bボタンでキック、Xボタンで強パンチ、Aボタンで強キックと、今回はパンチ及びキックに強弱の概念がある。
-
Lボタンで奥義ゲージを消費して、敵の必殺技である奥義をガードする「奥義ガード」が出来、Rボタンで一定値以上奥義ゲージがある場合のみ、奥義を出せる。
-
制限時間の概念は無く、どちらかが1本取った時点でそのステージは終了となる。
問題点
-
東映動画の北斗ゲー全般に言えることだが、原作ありのキャラゲーなのにどこぞの『ゲーメスト』並みに誤字脱字が多い。おまけに捏造奥義も多い。原作に出た技だけでは足りないので追加するのはよくあることだが、代わりに原作で使った技が無くなっているのはいかがなものか。
-
例えばケンシロウの技で、どう見ても岩山両斬波なのに「残悔破」と言う東映奥義になっている。他にも飛翔有情脚という東映奥義があり、原作では有情拳ならあるが有情脚などない。さらに何故かシンがレイの技「虎破龍」を使ったりする。
-
なお、南斗虎破龍は南斗聖拳の使い手ならば知っている可能性があり、特にシンは元々ケンシロウとは友人関係であり、更に六聖拳として継承した南斗孤鷲拳以外にも南斗108派の内の複数の流派を習得しているので、使う事自体は問題ない。が、これは北斗龍撃虎と同時に撃ちあう事で互いを仮死状態とし、北斗・南斗の拳士を無駄に殺し合わせることを避けるためのある意味平和的な技なのでやはり違和感は拭えない。
-
このゲームにおける最も酷い仕様として、SFC版『餓狼伝説』すら凌駕する異常なまでに出にくい必殺技(以後はゲームの説明書に従い「奥義」と記載)がある。
-
格闘ゲーム経験者であっても「↓→+ボタン」といった簡単なコマンドすら受け付けてもらえず、大抵の場合は通常技が暴発する。
-
コツとしてはボタンを一つ押すたびに少し間を置いて入力していくと成功する。タイミングは感覚で覚えるしかないだろう。
-
こちらが奥義をろくに出せないのにCPUは異常に奥義を連発してくる。悪いことにこのゲームの奥義は全部通常ガード不能であり、奥義をガードする場合上述のようにLボタンで奥義ゲージを消費する「奥義ガード」を使うしかない。しかも奥義ガードを使うと一気に奥義ゲージが減ってしまう。
-
グラフィックは悪くないのだが、とにかく動きがカクカクしておりまるで下手なパラパラ漫画状態で、格闘ゲームとして致命的。
-
この点に関しては同じ東映動画の『1』『2』と比較してもなお劣化している。格ゲーだと言うのに…。
-
アニメーションの少なさと繋ぎの大味さ、コマ数の少なさはとてもSFCソフトとは思えない劣悪加減。前作は少なくとも当時の平均点はクリアできていたのにどうしてこうなった…。
-
当然のように当たり判定もSFC版『餓狼伝説』ばりに劣悪。これも前作より更に劣化してしまっている。
-
ジャンプする度に画面が上にスクロールするという無駄に凝った仕様なのだが、このせいでいちいちせわしなく画面が上下する為、カクカク具合と合わせてキャラの動きの把握の妨げになっている。相手と交互にジャンプで攻めあおう物なら画面はガクガクカクカクと激しいことに。
-
1人プレイ用としてストーリーモードがあるが、使用キャラはケンシロウで固定。ストーリーモードと言っても、対戦前と勝利後にセリフが出るだけである。
-
原作を再現しようとしたためか、CPU専用キャラとしてハート様、牙大王が登場する。それはいいのだがハート様は明らかに手抜き仕様であり行動パターンはひたすら張り手を連発してくるのみ。
-
ステージ2のシンは異常に強く、ここで詰まる人多数。なぜかと言うとシンは他キャラ以上に通常ガード不能の奥義をこれでもかと連発してくるため。一方のプレイヤー側は上記の出にくすぎる必殺技コマンドのせいで対策を知らないと一方的な試合となる。最早不公平とかそういうレベルではないだろう。因みにラストを飾るラオウも鬼のように強い。
-
実はこちらも敵の起き上がりに重ねて飛び道具を当てることでハメ殺しができる。言うまでもないがそれは正確にコマンド入力できればの話であり、そもそも今作はコマンドが(ry
-
一応難易度が低めならば、ジャンプ頂点でキックボタンで出せる奥義を当ててダウン→ジャンプで近づいて相手の起き上がりにパンチ連打で出る奥義を重ねる、という流れを繰り返し、奥義ゲージをLV4まで溜めたら後は超強力な無想転生を発動して殴る…で勝てる。
-
幸い(?)、本作のストーリーモードはコンティニュー制限はなく、上記のとおり1ラウンドとった時点で決着がつくので、負けたとしてもやりなおしはたやすいのが救いではある。
-
本作は前作とは違い、通常技では相手をKO出来ず、奥義でしか相手をKOできない。また本作は時間経過で体力が回復するので、対人戦では互いに奥義が出せなくて、いつまでたっても決着が付かない事さえままある。最早対戦ツールとしても機能していない。
-
「無想転生」といった強力な奥義は、奥義ゲージが多く溜まった状態でRボタンを押す事によってしか出ない。また、救済としてか、コマンドを入力する代わりにボタン1つで出せる奥義もあるのだが、肝心の奥義ゲージの溜まる速度が亀より遅い。そしてゲージ消費無しの奥義は上述のように非常に受付が悪いコマンド入力が必要という…。
-
本作は前作とは違い、通常技の威力は相手のライフを数ミリ減らす程度の威力しかない。おまけにヒット時もガード時も効果音は同じであり、ガードエフェクトも無いので、当たっているのかガードされているのか当たっていないのか非常に分かりづらい。
-
通常技ヒット後にのけぞっている相手に対して奥義を出しても、連続ヒットしない。つまりこのゲームにコンボは存在しない。
-
投げは「投げ奥義」という扱いになっているが、持っているのはシュウ、サウザー、ジュウザのみ。そもそも、投げは一般的な格闘ゲームなら全キャラに搭載されている(もっとも前作では投げという概念が無かったので、その点では進化といえるかもしれない)。
-
奥義の強さ、バランスもメチャクチャ。特に「無想転生」は発動すると30秒間も無敵になり、その間に出した通常技(当然、通常ガードは不可能)が当たれば発動、体力6割5分を奪う大ダメージとなる。奥義ガードされても途中で絶対にゲージ不足になるため、凌ぎきることはほぼ不可能。いくらなんでも強すぎである。
-
前作が(見た目だけは)保てていた格闘ゲームとしての体裁を本作は残していない為、『6』→『7』とプレイしたプレイヤーに前作への相対的な好評価すら引き起こしてしまう程である。
評価点
-
グラフィックはSFCとしてはまずまず良好。
-
だが、動きの中間アニメ数が少ない&なめらかでない為、格闘ゲーム以前にアクションゲームとしてあり得ない程カクカクしており、結果意味が無くなっている。
-
また背景のリンのドット絵は酷い出来で全く似ていない。おまけに大抵の技のモーションは使いまわしである。
-
ジュウザが使える
-
後に外伝漫画『彷徨の雲』が描かれるなどかなり人気が高いキャラにも拘らず、ジュウザを使用できる北斗ゲーは長いこと本作とRPGの『5』のみだった。
-
しかし19年後に発売された『真・北斗無双』で使用可能となったため、その価値すらもなくなってしまった。またストーリーモードには出てこないため(原作通りだが)、非常に存在感が薄い。
-
BGMの質は相変わらず良く、特にラオウ戦のBGMは非常に出来が良い。
総評
東映動画は出した北斗ゲーを悉くクソゲーにしてきたが、本作はその中でもトップクラスに酷い。ここまで読んでいただければ分かると思うが、「北斗ゲー=クソゲー」の方程式を生み出したのは東映動画とショウエイシステムである。
結局東映動画はFCとSFCを通して万人向けの北斗ゲーを発売する事はできなかったのだった…。
余談
-
本作以降、東映動画が北斗ゲーを発売した事はない。
-
発売こそしていないもののバンプレストの北斗ゲーにおいて、開発に協力はしていた模様。こちらも本作と並ぶ北斗ゲー史上最悪のクソゲーと言われてしまっている。
-
FCの1からの開発元であるショウエイシステムは本作発売6年後の1999年に倒産している。
最終更新:2021年11月18日 12:15