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MONOPOLY
【ものぽりー】
ジャンル
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ボードゲーム
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 高解像度で見る 裏を見る
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対応機種
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Wii
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発売元
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エレクトロニック・アーツ
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発売日
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2009年3月19日
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定価
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6,090円(税込)
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プレイ人数
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1~4人
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廉価版
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EA BEST HITS:2010年12月16日/2,980円(税込)
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判定
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クソゲー
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ポイント
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ルール崩壊でモノポリーファン大いに落胆 対CPU戦目的で買ってはいけない リモコンしか使えないせいで操作性劣悪 うるさいだけのモノポリーおじさん フルプライスに見合わない内容の薄さ パーティーゲーム目的なら他に良作が沢山ある
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モノポリーシリーズリンク
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概要
世界で最も人気があり、世界大会まで開かれているボードゲーム『モノポリー』をWii向けに発売したもの。
家庭用ゲーム機向けのモノポリーのゲームソフトは2003年にPS2、GC向けに発売された『モノポリー ~めざせっ!!大富豪人生!!~』(トミー)以来、6年ぶりとなる。
なお、本作品は海外では他機種でも発売されているが(後述)、ここでは唯一日本語版が発売されているWii版について説明する。
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本編ゲームの「Monopoly」、簡易アレンジルールの「Richest」、Richestで用いられるミニゲームを単独で遊べる「Mini Games」の3つのモードが用意されている。
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発売元がFC~PS2&GC版までほぼ一貫して発売し、現在では「クソゲーマイスター」の名をほしいままにしているタカラトミーから、洋ゲーソフト界の雄、エレクトロニック・アーツに変わったことで、モノポリーファンはそれなりに期待していたのだが……。
問題点
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一人で遊ぶのには不向きな仕様。
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「ストーリーモード」「トーナメントモード」といった1人用モードが用意されていない。
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一人プレイは、多人数対戦モードで自分以外の全プレイヤーをCPUに設定することで行えるが、その場合でも勝率などの成績は記録されない。
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後述するがモノポリーのルールが再現されておらず、腕を磨く目的にも使えない。
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CPUプレイヤーのAIの出来が悪く、三段階あるという強さの違いも感じられない。
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そのCPUの行動(交渉や物件を抵当に入れるなど)が、一瞬で終わる。ゲームテンポ面ではいいのかもしれないが、状況把握をしづらい。
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しかも価値基準の作りこみがおざなりなため、「多額の現金を持たせた上でカラーグループを揃えさせる」など、対戦バランスを崩壊させる事象を頻繁に起こす。
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モノポリー本来の醍醐味を自ら否定し、殺してしまっている仕様。
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「他のプレイヤーとの交渉、家の建設or売却、物件を抵当に入れてお金を工面するorそれを解除する(以下、簡略化のために「物件を弄る」と表記)」タイミングが、プレイヤーターンで、かつサイコロを振って移動した後に現れる「アカウント」コマンドからしかできない。(本来、モノポリーにおいては物件を弄ることは他人のターン時でも可能。実際、今までのモノポリーのゲームソフトでは、それを「挙手」という形でできていた)
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その結果、「機会損失」が生じることになる。
例えばプレイヤーAがカラーグループを経営(対象物件を全て所持すること)していて、プレイヤーBがその手前に位置し、Aが他の物件を抵当に入れて家を建設しまくったとする。
それでBがうまく止まってくれて大金をゲットできたとしても、Aはすぐに物件を弄れない仕様のため、家の増築や抵当を解除できず、1ターンで他のプレイヤーからさらなるレンタル料を徴収することが不可能になってしまっているからだ。
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現金が1ドルでも不足すると、他の資産があってもなぜか
「破産」コマンドが現れる。
もちろん、前述の「アカウント」コマンドから物件を弄ってお金を工面することは可能だが、その際にはモノポリーおじさんから「物件を抵当に入れるとレンタル料が得られなくなりますよ?」「家を売ってどうするのですか? たいした利益になりませんよ?」などと説教を受ける(もちろん家建設の資金を工面するなど戦略的に物件を抵当に入れても説教される)。ここまで来るとモノポリーおじさんに殺意を覚える。
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モノポリーは「自分以外のプレイヤーを破産させること」が目的であり、逆に自分の破産はいかなる犠牲を払っても回避すべきことである。
つまり、このアドバイスは将棋でいうなら「王手をかけられたので飛車で王を守ろうとしたら『これでは飛車が次の手で取られてしまう』と説教される。」ようなものである。本末転倒にもほどがある。
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前二者に比べると問題点としては弱いが、最初の振り番決めも特異的。
本来のモノポリーのルールでは、「純粋にサイコロの出目が大きい順」に振り番が決まるのだが、本作においては、「プレイヤー1>プレイヤー2>プレイヤー3>プレイヤー4」の順番があらかじめ決まっており、「誰が一番大きい目を出したか」によって順番が変動する方式をとっている。
たとえば、プレイヤー3が一番大きい出目を出した場合、他のプレイヤーの出目に関係なく、順番は「3>4>1>2」となる。
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また、プレイ人数は最大4人のため公式ルールである5人プレイに対応していない。
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なお、「自分のターンでしか物件を弄れない」「特異的な振り番決め」は、後述する「MONOPOLY STREETS」や、その他EA発のモノポリーゲームソフト共通の問題点である。
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パーティー用ゲームとして割り切ってみても、出来の粗さが目立つ。
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蛇足としか言いようのない過剰な演出。
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いちいち鬱陶しいモノポリーおじさんの実況。パーティーゲームとして場を盛り上げようとしているのだが、ただゲームテンポを悪くしてしまっているだけ。例えば、前述の「アカウント」コマンド選択時にはモノポリーおじさんがズームアップしながら「面白い……」「ワクワクしますね」などとのたまう。
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ターンエンドの際、モノポリーのマス目を模したオブジェが右から左へ雪崩を打つ。普通に次のターンのプレイヤーの駒をアクティブ表示にするだけでいいのでは?
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Wiiリモコンを無理矢理使わせているとしか思えない劣悪な操作性。
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コマンド選択は基本ポインティング。一部コマンドはポインタを画面から外しているときに十字ボタンでも操作可能だが、物件を選択するときはポインティングしか受け付けない。
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物件をポイントするとき、(テレビの画面環境にもよるが)マス目が非常に小さいためにポインティングがしづらい。リモコンの1ボタンを押すと盤面が拡大するが、拡大し過ぎの上、十字ボタンでスクロールできるもののもっさりしているので役に立たない。
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そしてこの問題を如実に思い知らされるのが、3カ所あるカラーグループの物件に2軒(2カ所)だけ家を建設したいときである。例えばオレンジグループ(セントジェームスプレース、テネシー通り、ニューヨーク通り)のうち、テネシー通りとニューヨーク通りに家を建設したいとき、「テネシー通りをポイント」>「『家1軒建設』を選択」>「『決定』を選択」>「ニューヨーク通りをポイント」>「『家1軒建設』を選択」>「『決定』を選択」という、非常に手間のかかる入力をしなければならない(家3軒一気に建設するコマンドはあるのだが……)。
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リモコン縦持ち限定。GCコントローラ・クラシックコントローラーはおろか、ヌンチャクでさえ未対応。ヌンチャクのスティックが使えるだけで、前述の盤面拡大時のスクロール操作がどんなに楽になっただろうか。
その他
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「Richest」モードのルールは、まずサイコロが4つ振られ、次にミニゲームをこなし、その時の順位の順番でサイコロの出目を選択し、出目に応じた物件をもらう。
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しかしどの物件がもらえるかはランダムの上、他のプレイヤーが所有している物件を引いてしまったら、自分の物件をそのプレイヤーに献上しなければならない。要は運ゲー、あるいは「モノポリーボードを使ったビンゴゲーム」である。
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ミニゲームは本編以上にリモコンを使わされる仕様になっている。
例えばパトカーからひたすら逃げるミニゲームは、
「リモコンを振って加速し、障害物を飛び越える際はリモコン振りを止める」
というもの。当然リモコンを止めてもジャンプしてくれないこともある。
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いずれのミニゲームも、一度やったらすぐ飽きるレベルの出来。変則ルールや、高難度モードなどもないのでやり応えは皆無と言って良い。『メイド イン ワリオ』のプチゲームのほうがよっぽど面白い。
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いわゆる隠し要素は、「新しいボードのアンロック」しかない。モノポリーモードで自力で購入したとき、「Richest」モードで配布されたり、他のプレイヤーから献上を受けたとき、「パスポート」にカウントされ、一定数貯まったらアンロックされる。
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ここで手に入るボードは「未来都市」「お菓子の世界」「チーズの世界」などがあり、グラフィックやBGMもなかなかにいい出来なのだが……。
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「オプション」の項目には「字幕のON/OFF切り替え」と「スタッフクレジット」しかない。せめて「モノポリーおじさんを黙らせる」という選択肢は設けられなかったものか。
評価点
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先述したがグラフィックとBGMは及第点レベル。
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特にBGMはジャズ風のメインBGMのほかに、「お菓子の世界」はメルヘンチックに、「チーズの世界」はラテン音楽風に仕上がっておりバリエーションが豊富。
総評
Wiiソフトにはパーティーゲームに特化したタイトルがたくさん出ており、「自分のターンしか物件を弄れない」のもローカルルールとして解釈すれば、同時期にリリースされた「人生ゲーム (Wii)」ほど酷くはない。
しかし過剰な演出その他に力を入れすぎ、「モノポリー本来の面白さ」をおろそかにしてしまっているため、モノポリーファンから見れば「これはモノポリーっぽい何か」としか思われていない。残念ながら、それがこのゲームに下された評価である。
また、パーティーゲーム目的で買おうと思っても、前述通り他に出来のいいパーティーゲーム、ボードゲームソフトがすでに沢山あるため、本作品が購入の選択肢に最初から入らないのは至極当然といえる。ボリュームもはっきり言って携帯アプリゲームレベルである。
あまりにも売れていないため、クソゲー界隈では話題にすらなっていないものの、購入した者からのレビュー評価は総じて低い。
平たく言ってしまえば、「モノポリー」の皮をかぶった超劣化マリオパーティ。
クソゲーとしてのパンチは弱くとも、ファンが激怒し一般層からも支持されない誰得ゲーとは言えるだろう。
なお、海外ではこのゲームはXbox360、PS3、PS2でも発売されている。操作体系が違うこと以外はゲーム内容は全く同じである。簡単に言えば操作がマシなだけで、それ以外の問題点は同じ。
余談
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推測に過ぎないのだが、このゲームの制作スタッフは「モノポリー」というゲームを「他プレイヤーを破産に追い込むゲーム」ではなく
「盤面をダラダラ回って、現金の収支に一喜一憂するゲーム」
ととらえているのではないのだろうか。
パッケージ裏の説明には「一番多くの資産を得ることがゲームの目的です」と書かれており、モノポリーおじさんも「お金を集めること」をやたらと強調するし(間違ってはいないのだが)、「現金不足だけで即破産=ゲームオーバーになれる」のも、こう考えれば合点がいく。
しかしそれでは麻雀が「手役を作るゲーム」ではなく「ダラダラ牌を引いて捨てていくゲーム」ととらえているのと同じである。……単に物件を弄って現金化できる部分を計算に入れていないだけかもしれないが。
その後の展開
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2010年12月16日、廉価版(EA BEST HITS)が発売された。価格は税込2,980円。
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また、Wii、PS3、360のマルチタイトルとして、『MONOPOLY STREETS(モノポリーストリート)』が発売されている。盤面が3Dグラフィックになっており、またPS3と360版はオンライン対戦にも対応しているとのこと。
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しかし『STREETS』の日本語版発売はされなかった。
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また、海外版ではこの作品と『STREETS』とのセットもあるが正直言ってこの作品は蛇足でしかない。
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2017年11月9日にはNintendo Switchソフトとして『モノポリー for Nintendo Switch』が発売。発売元はEAではなくユービーアイソフトになったが、相変わらずルールが間違っている、ロードが長くテンポが悪い、操作性がいまいちなど評価が悪く、「モノポソー」と言う蔑称が付けられてしまっている。
最終更新:2021年05月02日 21:11