覚悟のススメ
【かくごのすすめ】
| ジャンル | 格闘アクション |  | 
| 対応機種 | プレイステーション | 
| 発売元 | トミー | 
| 開発元 | カンズ、ドラグネット | 
| 発売日 | 1997年3月28日 | 
| 定価 | 5,800円 | 
| 判定 | クソゲー | 
| ポイント | ファミ通クロスレビュー15点 ロードが無駄に長い
 なのに何もかもが薄っぺらい
 一発当てて逃げまくるだけで勝利
 なんだか知らんがとにかく悪し!
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概要
「シグルイ」などでも知られる山口貴由原作の傑作漫画「覚悟のススメ」を原作にした対戦格闘ゲーム。
核戦争と環境汚染によって荒廃した東京を舞台に、旧日本軍で編み出された最強の格闘技「零式防衛術」、及び「強化外骨格」(特撮のスーツのような鎧)を武器に、人を守るために戦う葉隠覚悟の物語である。
強さ・正義を大きく打ち出した独特の台詞回しや、最後までテンポの良いストーリーなどが高く評価されており、コアなファンも多い。
原作はグロ、エロ、バイオレンス満載だが、当ゲームは全年齢対象の為表現はマイルド。
特徴
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ゲームモードは「ストーリーモード」と「VSモード」の2つ。
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ストーリーモードは選んだ1人のキャラで残りのキャラ6人と総当たりで戦っていくモード。
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VSモードは操作キャラと対戦キャラを自由に選べるフリー対戦モード。
 
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3Dキャラが奥行の無いフィールドで戦う、実質2D格闘ゲーム。軸移動はない。
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画面端の概念が無く、前も後ろも延々とフィールドが続いている。
 
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難しいコマンド入力無しで各キャラ飛び道具攻撃と対空技が出す事ができる。必殺技もボタンの同時押しでいつでも可能。
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オプションに「覚悟モード」の項目があり、これをONにすると各項目の名称や文字の表示が原作に沿った表現に切り替わる。
問題点
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登場キャラが少ない。主人公の覚悟(強化外骨格・零)、ラスボスであり覚悟の兄である散(強化外骨格・霞)、覚悟・散の父である朧(強化外骨格・雹)、
 散の部下である血髑髏、知久、ボルト、そしてヒロインの罪子という7人のみ。隠しキャラはいない。
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ボルトは居るのにライはいない。戦術鬼(特撮物でいうところの怪人)や腑露舞はサイズ的に無理だったり、
 我利冷夫や影成など原作で戦闘らしい戦闘をしてないキャラはともかく、中盤の好敵手的役割だったライが居ないのは物足りない。
 
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強化外骨格の3人は未装着状態を選んで戦う事はできない。ファンとしては戦闘中に着脱できる形を望んだはず。
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原作の覚悟は未装着状態でも戦闘シーンが多く、「瞬脱装甲弾」という強化外骨格を飛び道具のように打ち出す技も持っていた。他にも零式鉄球を用いた技などやりようは多くあったはずなのだが…。
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零式鉄球は原作に登場した特殊装備で、覚悟たちの身体に打ち込まれている。攻防両面に用いられ、これを体内に吸引することで身体を鉄鋼化することも可能。散は五体を分断された際に、全身を鉄鋼化して結合させるという荒業も見せた。一発逆転の要素としても映えると思うのだが…。
 
 
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知久は、説明書の挿絵では人の姿なのに、実際に使えるのはライオン形態のみ。対戦相手の場合、動物虐待をしているような気持ちにすらさせる。
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物語が全然語られないストーリーモード。それぞれ
対戦前に一言ボイスだけ
。
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エンディングもスタッフロール後にキャラの一枚絵が出るだけ。これのどこがストーリーだというのか。
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ヒロインが戦う理由も全くの謎。
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原作で「敵の策略で捕われたヒロインが、戦術鬼に改造されて主人公と戦う」という展開はあった。
 だが、このゲームに出ているのはそっちVer.ではなく全く平時のヒロインである。
 強化外骨格と互角にやり合う生身の女の子を出す意味が分からない…が、強いて言うならボイスに価値がある程度。
 
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故に「原作との違い」すらも探すことが難しい。
強いて言うなら「全部違う」
と言っても過言ではない。
 
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格闘ゲームとしての戦略性、面白みが一切無い。
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覚悟であれば必殺技でもある「因果」を決めたいところだが、原作通りなカウンター技という性質上(そもそも判定も微妙だが)決めにくい技になっている。
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「因果」を狙うくらいならパンチコンボを連発していた方が確実に勝てる。
 
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その一方で散の大技であるはずの「螺旋」はボタン一つのお手軽さ。
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体力ゲージの他にダウンメーターがあるが、これが全くと言っていいほど意味をなしていない。
 ダメージでゲージが溜まり一杯になるとダウンするようだが、大技を当てるだけでも相手は普通にダウンする。
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画面端が無いので、ある程度ダメージを与えて
制限時間いっぱい逃げる
という卑怯な手段が通用してしまう。
 
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グラフィックが微妙
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テクスチャべた貼りの地面がどこまでも続き、辛うじて世界観を意識したであろうウゴウゴしている空。
 いくら荒廃した世界だからと言ってあまりにも手抜きである。
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技の見た目が地味すぎる。「因果」も出たかどうかわからない程度の見た目。
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キャラの出来もお察しの通りのレベル。モーションもぎこちなくカクカクしている。
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各キャラの身長や体格もまるごと無視。
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罪子や血髑髏はどう考えてもデカい。原作では覚悟の4倍以上の体格のボルトですら他キャラより少し大きい程度。
 
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キャラ選択画面、及び試合前後の画像は
SFC並みの汚さ
。
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余談ではあるが負けた時の顔がギャグ(知久など)とシリアス(血みどろの朧)の差が激しい。
 
 
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その他の問題点
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原作ファンならば間違いなくONにするであろう「覚悟モード」が
何故かデフォルトではOFF
。
 むしろオプションで選択させる意図もわからない。
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ロードが長い。一キャラ戦うごとにロードが挟まる。そこまで読み込みを必要とするレベルのグラフィックでは無いのに、である。
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何故かずっと螺旋の構えの散。もちろん螺旋が決まっても腸は出ない。即死技のハズだが食らってもみんな元気そうである。
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ゲームモードとキャラクターが少ないため、すぐ飽きてしまう。
 
評価点
総評
「キャラ物格闘ゲームにあたりなし」の法則をきちんと守るゲーム。
カクカクしたポリゴンキャラを殴り合わせて一枚絵を見るだけの、苦行とも言えない作業。しかしその作業もあっと言う間に終了を迎える。なぜなら
これ以上できることがない
のだ。
原作の熱い台詞と裏腹に、あまりにも薄い内容に零式鉄球を食らわせたくなること間違い無しの一品。
「雑草という名の草などない!」しかし、クソゲーという名のキャラゲーはあった。
余談
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『マンガ夜話』という本のvol.11にて「覚悟のススメ」について述べられた際、このゲームに関しても触れられたのだが、
 「残念ながら出来がよくない」「技が少ない」「ヒロインと戦う理由づけがされず展開が理不尽」「
ゲームとしての面白さがまったく感じられない
」「典型的なキャラゲー」と評された。
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「覚悟のススメ」はOVA化もされており、そちらでは原作者の山口氏自ら作詞をしていた。ゲームに関してはまったくのノータッチだったのだろうか?
最終更新:2022年01月28日 06:44