街ingメーカー4
【まっちんぐめーかーふぉー】
| ジャンル | 街づくりシミュレーション |  
  
 | 
| 対応機種 | プレイステーション3 Xbox 360
 | 
| 発売元 | D3パブリッシャー | 
| 開発元 | インディソフトウェア メディアファクトリー
 | 
| 発売日 | 2011年11月23日 | 
| 定価 | 6,800円(税別) | 
| 判定 | クソゲー | 
| ポイント | 2011年クソゲーオブザイヤー据え置き機部門次点 シリーズのアイデンティティ消失
 住民との交流がほぼ無くなる
 あまりにも少なすぎるテナント
 有り余る待ち時間
 「町の形をした積み木遊び」
 | 
| 街ingメーカーシリーズ 1(++) / 2(2.1) / DS / 3 / 4
 | 
| クソゲーオブザイヤー関連作品一覧 | 
 
概要
『街ingメーカー』シリーズは、自分だけの大きな街を作るシミュレーションゲームである。
同ジャンルの有名どころである『シムシティ』などと異なり、このシリーズはマクロ視点で経済や治安、災害といった要素に対処するのではなく、プレイヤー自らが街に降り立って住民1人1人とミクロ視点でコミュニケーションを図る。
それによって「この辺りは治安が悪いから何とかしてくれないか」という意見に応えて警察を置いたり、「この街に越してきたい○○さんという人がいるんだけど」という紹介を元に住宅や店を設置したりということができ、他にも買い物や食事をしたりといった住民との触れ合いを楽しむことができる。
本シリーズもう1つの特徴として、数十種類も登場する実在テナントがある。
吉野家やモスバーガーといったファーストフード店からコンビニ、レンタカー、ビデオショップなど様々な業種の企業とタイアップしており、それらのチェーン店を実際に建てることができる。
見ようによっては若干作業ゲーチックで文句なしの良作とは言い難いものの、『SIMPLE2000シリーズ』においてバージョンアップした廉価版『SIMPLE2000シリーズ Vol.121 THE ぼくの街づくり2 ~街ingメーカー2.1~』の評価は高く、近年も評価は落ちるものの定期的に新作が発売されていた。
本作は、そんな『街ingメーカー』シリーズの最新作だったのだが…。
問題点
- 
最大の変更点は住民との交流がほぼすべてと言っていいほど無くなってしまったことである。
- 
前作までは個々に名前と個性(ある程度パターンは限られるが)があって親密になってゆく過程を楽しむことができた住民は、ただ家や職場の往復を繰り返しながら「家に帰ります」「うどんそばに行きます」「スマホって1度もったら手放せないね」といった独り言をブツブツ呟いているだけで、こちらとのコミュニケーションを一切取ってくれない。
- 
ならばその代わりにパターンが増えたのか、と言えばそういう訳でもなく、男性も女性も大人も子供もメッセージは全く同じか似たり寄ったりであり、そもそもセリフ自体上記のようなひと言二言のものばかりであることからも逆に手抜きになっている。
- 
自分が建てたテナントに入ることができなくなり、買い物や食事はおろか店舗の内装を眺めることもできなくなった。
- 
住民を呼ぶにも入居希望者を紹介してもらうなどの要素は撤廃され、「ポイントを使って建物を建てれば勝手に住民が入って人口が増える」という良く言えばオーソドックス、悪く言えば味気ないものに。面倒臭さは無くなったが、これなら既存の街づくりシミュレーションで十分であり、シリーズのアイデンティティの崩壊もいいところである。
- 
一応「住民から建物の配置について不満が出る」という要素は残されたが、建物から要望のマークが出るだけなので住民とコミュニケーションを取っているという感覚は限りなく薄く、解決してもお礼を言ってくれる訳でもない。単に星が発生してポイントが貰える(後述)だけのドライな関係である。
- 
「住民数さえ増えればクリア」という方式になったため、一定の進捗度で発生する特別なイベントももちろん消失。
 
- 
これだけなら「尖ったゲームが普通のゲームになってしまった」で済まなくもないが、撤廃された要素はこれだけに留まらない。
- 
過去作は複数のステージがあったりしたのだが、本作のステージは1つだけ。建物を置ける広さは住民が増えるごとに広がるが、それだけである。
- 
坂道などの高低差要素も撤廃。
- 
主人公のキャラクターメイキングも撤廃。
- 
天候や季節の概念も撤廃。
 
- 
何より建てられるテナントの種類自体がかなり少なく、たったの82種類である。ちなみに、シリーズでもっとも評価が高い『2.1』のテナント種が315。この頃は「漁港」「畑」なども作ることができたが、本作ではなし。
- 
携帯機作品では今作とテナント数がそれほど変わらない作品もあるが、今作は紛うことなき現行据え置き機のフルプライス作品である。同列に見られることが恥ずかしい。
- 
学校からして小学校・中学校・高校と建てられるのではなく、「総合学園」1種類しか建てられない。このような例は当然ながらシリーズ初めてである。
 
- 
そして新しく「ポイントを消費してテナントを建てる」という方式に移行した訳だが、このポイントのバランスが明らかに悪い。
- 
ポイントを貯める手段は「ゲーム内で1日経過した際のボーナス」「住民の不満を解決した際、建物屋上に出る星を取ったボーナス」「時間経過による微増」の3つだが、実質的には貰えるポイント量の差から最初に挙げた日数経過ボーナスで大半を稼ぐことになる。
- 
住人の不満を解決すると出る星だが、貰えるポイントは1000と少なめ。しかもこの星は時間経過で消滅するため、高層マンションの屋上などに出現すると昇っている最中に消えてしまうこともままある。
 
- 
その日数経過ボーナスだが、貰えるポイントは(評価にもよるが)おおよそ(10000+住民数)ポイント。住民数3000人を達成するとゲームクリアなので、それまでの増減幅は多くても3割である。
- 
これに対し、200~500ポイント程度の消費で済む序盤はまだいいが、中盤以降に建てることになるマンションなどのテナントは数千ポイント単位の消費が必要なものがあり、こういったものを建てると貰ったポイントをほとんど即座に使い切ってしまう。
- 
このゲームはテナントが建てられなければ実効性のあることは殆どできなくなるので、貰ったポイントが無くなってしまうとすることがない。ゲーム内の1日は現実の約10分に相当するのだが、この1日経過させる時間はスキップ・早送りが一切できないため、最大10分間なんとかして暇を潰さなければならないのである。
- 
待っている間は分身となるキャラで自分が作った街の散策や撮影もできるが、建物の種類や住民との意志疎通の少なさから時間を潰す手段に乏しい。結局自分の街を楽しむことに飽きてきた場合は、ゲーム自体を放置して本でも読むなりテレビでも見るなり、何か他のことをすることになる。
- 
結果クリアまでの時間は5~8時間ほどだが、中盤以降はほとんどが待ち時間になる。
 
- 
ゲーム中のBGMが、昼間の曲と夜の曲(昼の曲のアレンジ)の2種類だけ。ゲームスタート画面用の曲やエンディングの曲を含めても4種類。
- 
つまり、ゲームクリアまで同じ曲を何度も聞くことになる。2曲あるぶん『人生ゲーム』よりマシではあるが。
 
- 
バスや電車に乗って移動することが出来るが、普通に走った方が速い。
- 
グラフィックはシリーズ過去作に比べればよいが、ハード性能からは見劣りしておりPS2レベルと言って差し支えない。
- 
大量のテナントを設置してもほぼ問題なく表示されるため、これはまあ精度と安定性の妥協点なのであろう。
 
- 
新たなテナントがDLCとして配信されているが、大半が有料。
評価点
- 
少し前述したように(住民とのコミュニケーション以外の)散策要素は強化されており、通行人や乗り物の視点で自分の街を眺めることができる要素もある。主人公の移動の自由度が高く、色々な方向からテナントを眺めることができる。
- 
クリア後にはポイント消費や住民の不満といった制限が一切なく、自由に好きなだけテナントを設置できるフリーモードが登場する。ポイントが必要ないので待ち時間も発生せず、こちらは本当にストレスフリーである。
- 
実在テナントも手伝って、箱庭遊びが好きなプレイヤーはむしろ「こちらが本編」と言えるほどに楽しめるだろう。ただしすぐに飽きてしまうプレイヤーも少なくないだろうし、テナントの種類が少ないことがここでも足を引っ張るのが残念である。
 
総評
箱庭ゲームとしての彩りも自由度も無くなり、建てて待つだけの作業ゲーになってしまった。
4年以上前に2,000円で発売された『2.1』の足元にも及ばない出来であり、単体で見ても単なる劣化シムシティである。
『街ingメーカー2.1』の進化版が世に出てくるのを待ちわびるファンも多い。
余談
- 
ファミ通レビューの評価は29点とやたら高い。短期プレイなら待ち時間が気にならないためそれほどの点数がつくのも分からないこともないが。
最終更新:2023年02月18日 10:39