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『人生ゲーム ハッピーファミリー』
『人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ』
を取扱います。
人生ゲーム ハッピーファミリー
【じんせいげーむ はっぴーふぁみりー】
人生ゲーム ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ
【じんせいげーむ はっぴーふぁみりー ごとうちねたぞうりょうしあげ】
ジャンル
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ボードゲーム
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 ご当地ネタ増量仕上げ
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対応機種
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Wii
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発売元
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タカラトミー
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開発元
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アイミーマイン
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発売日
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無印
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2010年11月11日
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ご当地
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2011年9月1日
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定価
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6,090円
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判定
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全作
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クソゲー
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ポイント
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無印
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2010年クソゲーオブザイヤー据え置き機部門次点
Wiiウェア版にダメ追加要素5つで価格約6倍 1プレイで枯渇するイベント、そのくせ悪すぎるテンポ 明らかに出目が偏っているルーレット 大人数でやればやるほどクソさが増す
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ご当地
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2011年クソゲーオブザイヤー据え置き機部門大賞
追加要素はご当地貶し、増量でよりクソ化 前作の問題点は放置
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人生ゲームシリーズ
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クソゲーオブザイヤー関連作品一覧
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概要
2010年10月に配信されたWiiウェア『人生ゲーム ハッピーステップ』のフルプライス版。通称『人生2』。
ちなみに『ハッピーステップ』は、Wiiウェア版の『人生ゲーム』(以降『前作』と表記)と入れ違いで配信されたものである。
後に、本作『ハッピーファミリー』に更に追加要素を加えた『ご当地ネタ増量仕上げ』も販売された。当ページではこちらについても扱う。
『ハッピーステップ』にも問題がない訳ではないが、前作よりは値段相応な出来ということであまり話題にならなかった。
しかしそのパッケージ版である筈の本作は、追加要素が乏しいにもかかわらず値段が1,000円→6,090円と大幅に増加している。
更にその出来栄えは、6倍以上にまで跳ね上がった価格に明らかに見合わない、あまりにも杜撰なものであった。
問題点
このゲームそのものの問題点
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使用キャラクターは男女各5人だけであり、名前も変更不可能。顔も進行によって成長・老化したりせず、ずっと若者のままである。
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ありとあらゆる所でこのキャラクターを使い回しており、結婚相手は勿論、生まれてくる子供やイベント内でのモブキャラですら、この10人のパーツの流用で構成されている。
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つまりテキストで「おじさん」や「老人」と表記されている人だろうが顔は若者。違和感を通り越して手抜き感丸出しである。
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生まれてくる子供は親と全く同じ顔になるように設定されており、男プレイヤーの子供が女だとオカマが誕生してしまう。逆もまた然り。
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勿論、「ご当地」で追加されたご当地ネタ(後述)でも当然のように使い回されている。
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なお、産まれてくる子供には自分で名前を付けることが可能。プレイヤーキャラにも付けさせて欲しいところである。
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イベント数が少なく、1回のプレイだけで同じイベントを何回も見る羽目になる。
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CPU数人と1ゲーム回すだけでもかなりのイベントが生じるのに、4人同時プレイとなると最早飽きるというレベルではない。
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特に「婚活」「バカンス」「子育て」といったミニマップでは、片手で数えられる程度の種類しかイベントが無い。
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一応、一部のイベントは就いている職業によって若干内容が変わる。
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イベント自体も微妙な内容のものが多い。
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財布を家に置き忘れるだけで4,000万円失われる世界観。これは前作でも指摘されていた問題点である。
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一部のテキストがひどい。例えばフリーターの給料が一定ターン増加するイベントの場合…
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「最近、世間ではフリーターの給料が安すぎると問題になっているようです。おかげでバイト代が少し上がって、フリーターの人たちはウハウハのようです。でも、就職したほうがもっと収入が上がると思いますよ。フリーターは・・・3ターンの間、給料が5倍になります。」(句読点は本来は1マスのスペースまたは改行。それ以外は太字による強調を除いて原文ママ)
問題になったから上がるという主旨自体が変な上、言い回しも余計なお世話のように感じられる。
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他にも、爬虫類が嫌いという意見が一致したので仲良くなったり、態々国会議事堂でデートしたり、挙げ句の果てには
暇なのか、
指名手配犯が何回も現れたりという有様である。場合によってはこれらのクソイベントも、仕様通りに何度も行う破目になる。
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テンポが悪い。
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到着したマスの種類をその都度読み上げたり、イベント終了後、所持金やステータスが変化する度にアニメーションが入る為、内容の無さに反してやたら時間がかかる。他のゲームでは高速なり、一瞬なりの数値変化がゆっくりと進む。おおよそ、数十秒待つというのだが、苦行の他ない時間が搭載されて実にストレスが溜まる。
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中盤以降で給料マスを踏むと前述の「婚活」ミニマップに、移動しマスを踏むと「バカンス」ミニマップに強制的に飛ばされ、その間通常マップでは一切進行できない。
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少なくとも3~4ターン、多いと10ターン以上消費させられる上に、上述通りイベントパターンが少なく同じイベントを何度も見る破目になる為飽きやすい。
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結婚した状態で恋愛マスに止まると高確率で子供が生まれ、その際も「子育て」ミニマップに飛ばされて同様に最低3ターンを消費する。
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こちらは拒否する事もできるが、そうすると子供のパラメータが上がらない。
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CPUは高確率でミニマップに移動する為、CPUがいる場合はゲームテンポが悪化しやすい。
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確率の偏り
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KOTYスレ住人の検証の結果、出目の確率が大きく偏っている事が判明。サイコロも満足にプログラムできていない。
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進むマス数を決める1~8のルーレットは、明らかに「4」以下の目の方が出やすくなっており、テンポの悪さに拍車をかけている。
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KOTYスレで試行した所「3」や「4」が各20%近く出た一方「7」は6%以下という結果であった。この結果はあくまで少人数での試行なのでバラつきを含んではいるが、殆どのプレイヤーは明らかに出目が偏っていると体感できる筈である。
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「おじゃましマス」の被害に遭う確率も偏っており、3~4人目が被害に遭う確率が異様に高い。KOTYスレでの試行結果は合わせて70%となっている。
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ルーレットの方は長くプレイしてもらう(プレイ時間を引き延ばす)為に、わざとそう設定したと一応の理由は推測できる。しかし、こちらに関しては完全に理由不明。
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CPUの思考能力が非常に低い。
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好感度0%の恋人にプロポーズしたり、賭けマスで賭け金0円の賭けを行う(当然当たっても払い戻しは0円)など、普通ではおおよそ考えられないようなプレイングをしばしば見せる。
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お金の価値が後半インフレ化するため、コツコツ貯める必要がない。
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後半のギャンブルを活用すれば億単位で稼げるので、簡単に逆転できる。しかもこのギャンブル、賭ければ外れる事がほぼ無い。
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要素「株」の存在意義が分からない。
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本当に稀にしか変動しないので、実質ただの金券にしかなっていない。
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クリアしてもゴールした順位が表示されるだけ。資産も借金も表示されない。早くゴールした者が勝ち。これでは人生ゲームではなくただのスゴロクである。
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それまでの全ての人生を否定するギャンブルと、そのギャンブルさえも否定するゴール。もはや言葉も出てこない。
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CS版人生ゲームでおなじみの天使と悪魔は、本作では一切登場しない。
パッケージ版に起因する問題点
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追加要素があまりにも少ない。
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Wiiウェア版からの追加要素はマスの種類、トロフィー(実績)、家族システム、プライスレスモード、Miiの5つだけ。これで1,000円→6,090円という超強気の大幅値上げである。
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単純計算で1つの追加要素につき約1,000円の価値を有する筈だが、明らかにおまけ要素らしい項目が複数含まれるのを見ても解るように、どの要素も1,000円には値しない。
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これらの追加要素がつまらなさを緩和しているのであればまだよかったのだが、大半が何らかの欠陥を抱えている。
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ここまでの記述を読んで頂ければ察せるとは思うが、家族システムはテンポの悪化により一層貢献してしまっている。
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プライスレスモードは通常のモードと異なり、お金ではなくイベントの発生で増減するハピネスポイント(幸福度)で順位を決めるモードなのだが、あろうことかCPUのAIがこのモードのルールに対応したものとなっておらず、ハピネスポイントそっちのけでお金を稼ぐようになっている。幸福とは一体…。
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Miiの導入によりようやく自分が作った容姿でプレイできるようになったのだが、Miiでのプレイは1回クリアしないと使えない隠し要素となっている。そこは最初から使わせてくれても良かったのでは…。
ご当地ネタ(『ご当地ネタ増量仕上げ』のみ)
タイトルにある通り、ご当地ネタという申し訳程度の追加要素を引っ提げて堂々販売。
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「よろこびマス」(プラスイベント)や「かなしみマス」(マイナスイベント)の際に、都道府県がフィーチャーされた各地の名産品や名所、方言などの絡んだイベントが追加されている。
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基本的に毎回「○○県に旅行に行った!」などとご当地要素が唐突過ぎて違和感が大きく、「○○県の○○は○○なんだって!」といった感じでテキストがたいへん説明臭い。
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大半はテキストでその都道府県が説明されるだけで、食べ物の話が出ても特にそれがグラフィックで出てくる訳ではないので余計に盛り上がらない。
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背景イラストではそういったものも割とあるが、あまり有効に活用できてはいない。背景のスポットを無視して「どこに行こう?」などとほざく場合もある。
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しかも、「富士の樹海では方位磁針が役に立たない」「長野県民はカラオケで必ず長野民謡を歌う」といった嘘知識まで混じっている。
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全体的に名産品の扱いが酷い。「熊野筆はくしゃみを出すのに便利」「加賀友禅の小物入れは入れ歯を入れるのに便利」など。地元民や圧力団体から苦情が来てもおかしくない。
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ガイドブックから漁ってきたのか、食べ物ネタがやたら多い。感想は何を食っても「おいし~」しか言わない。
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なお、これらの誤当地イベントの多くはよろこびマスで発生するが、一部かなしみマスで発生するマイナスイベントもある。ただそれらも「名産品食べ過ぎてお腹壊した」「讃岐をこよなく愛する讃岐おじさんのクイズに正解したら『一流の讃岐人にしちゃる』と言われたので逃げた」と無理矢理マイナスにした感が強い。
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「イベントが増えた分、イベントの被りだけは改善されたのでは?」と思いきや、元の量が少なすぎる所為か相変わらず1プレイでも被り放題。
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各種の問題点は放置したまま微妙要素を付け足しただけでありながらお値段据え置きのフルプライス。
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控えめに言っても駄ゲーレベルのWiiウェア版→あからさまな水増しでパッケージ版にしてフルプライスで販売→さらにそれを焼き直して再販売、という露骨な手抜きぶり。
評価点
総評
ボードゲームというものは、その性質から大なり小なり「友情ブレイク」に関する逸話を有しているものである。
だが本作は駆け引きや妨害により白熱しすぎた結果として友情を破壊してしまう他作品とは異なり、
劣悪なテンポや幾度となく繰り返される中身の無いイベント、「人生とは何なのか?」という疑問さえ生じかねない無為性といった
ゲーム作品としての欠陥によりプレイヤー間の空気が冷え切った結果として、場の雰囲気もろとも友情を粉砕してしまう。
大人数でやればやるほどクソさが増すという、ボードゲームとしては勿論、パーティゲームとしてもあるまじき状態になってしまっているのである。
『ハッピーファミリー』の時点で此処までやらかしていたにも拘らず、申し訳程度の誤当地ネタを加えただけでお値段据え置きの新作として再販売してみせた、当時のタカラトミーの面の皮の厚さには只々呆れる他無い。
かつての家庭用ゲーム版人生ゲームは本家ボードゲームにない家庭用ゲームならではの要素も充実し、ファンも少なくない良作パーティゲームのシリーズであった。過去作でわいわい楽しんだ思い出のあるプレイヤー達からは、あまりの凋落ぶりに対する落胆の声も数多く上がっている。
人生ゲームを遊びたいなら本記事で取り上げた2作品ではなく、おもちゃ売り場で普通(ボード版)の人生ゲームを買うか、中古ゲームを扱うショップで『DX人生ゲーム』シリーズを探すのをお奨めしたい。
話の種にする為のクソゲーが欲しい場合でも、人間関係を完膚無きまでにブチ壊したい等の特別な事情が無い限りは、別の作品を手に取った方が良いだろう。
その後の展開
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2012年1月に『iPhone(App)版 人生ゲーム2012』が配信されたが、「評価★1すら付けたくない」と『Big Rigs』にも似た評価を受けた挙句たった4日で配信停止となった。
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そしてそのiPhone版人生ゲームシリーズも2015年までは配信を続けていたものの、酷評からの配信停止が相次ぎ、結局国内では『人生ゲーム 確定拠出年金編』を最後にシリーズ打ち止めとなってしまっている。
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2021年1月時点では、海外デベロッパーが開発した『THE GAME OF LIFE: 2016 Edition』のみ配信が続いている。但し一部プラットフォームを除き日本からの購入はできない、所謂「おま国」状態となっている点には留意されたし。
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2012年、タカラトミーは子会社のタカラトミーアーツにコンピューターゲーム事業を移管し、事実上コンシューマーゲーム業界から撤退した。
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しかし、2019年2月に発売されたSwitch用ソフト『ゾイドワイルド キングオブブラスト』がタカラトミー名義での発売となっており、実に7年ぶりのコンシューマーゲーム業界復帰と相成った。
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長らくCS版人生ゲームの発売は途絶えていたが、2023年6月21日のニンテンドーダイレクトにて12年ぶりの新作『人生ゲーム for Nintendo Switch』が同年10月6日に発売されることが発表された。
余談
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クソゲーオブザイヤー据え置き機部門では、『ハッピーファミリー』は2010年度次点、『ハッピーファミリー ご当地ネタ増量仕上げ』は2011年度大賞を受賞した。
最終更新:2023年12月25日 15:41