機動警察パトレイバー 狙われた街1990

【きどうけいさつぱとれいばー ねらわれたまち1990】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 ゲームボーイ
発売元 ユタカ
発売日 1990年8月25日
定価 3,500円
判定 クソゲー
バカゲー
ポイント 原作蹂躙では済まされない電波テキスト
最低最悪の治安と異常なゲームバランス
「みかん! やかん! どか~ん!」
せっとく→「おわびにじばくしま~す!」
はんどぱわ→「きたきたきたあ~!」
グリフォンより強いぴっけるくん
少年サンデーシリーズ
パトレイバーシリーズ
FCD / 狙われた街1990 / グリフォン篇 / SFC / OPERATION TOKYO BAY
ゲームエディション / ミニパト / OperationExtend


概要

当時TVアニメ版が放送されていた人気作品『機動警察パトレイバー』をゲーム化したもの。
本作はRPG風のアドベンチャーゲームである。


特徴

  • RPG風のアドベンチャーゲーム。トップビューの街または建物内マップを探索し、各所に配置された敵と接触するとバトル開始。
    攻撃や防御といったコマンドを1ターンにつき5回選択、どちらかのHPが0になるまで続く。
    • HPが0になると即ゲームオーバー。コンティニューは無いが面ごとにパスワードがある。
    • マップには回復ポイントがあり、HPの回復や新コマンドの購入が可能。
    • マップ上の特定箇所まで行き、パスコード入力やボスを倒すなどの条件を満たせばクリアとなる。全6面。
  • 通常時はAボタン押しっぱなしで文字送りできるが、戦闘中は1文ごとしか送れない。
  • 建物内のマップはまんまRPGで階段や宝箱が配置されている。
    • 宝箱の中身は空、ザコ敵、回復ポイントとなる警察署の3種類。

バカゲー要素

  • フォントに英字は有るもののカタカナが無い。さらに「ー」が全て「~」で統一されている。
    • 例えば「ヘルダイバー」は「へるだいば~」と表記される。
    • おまけに、表記の法則も今一つ統一されておらず、一見理解しづらいテキストが多数出てくる。見えない敵とエンカウントした際の「と~め~れ~ば~あらわる!」や、アイテムの「ううじい」等。
      • それぞれ「透明レイバー現る」、マシンガンの「ウージー(UZI)」と思われる。「とうめいれいば~」「う~じ~」ですらないのか……。
  • 敵を倒すと何か一言喋る。中には攻略のヒントもあるが、ほとんどは脱力モノか意味不明な事ばかり。
    • 「かなぴ~ くやぴ~」「しおしおのぱ~」「いたいくさ!」「いんけつ!」「や~ん! なのだ」
      「ぽんぽこりん!」「あかんでかんわ!」「いたい つらい こわい」「わたしってきれい??」
      「わや やな~」「たたかないで~。いやいや」「すき! すき! すき! すき!」「あいしてるっていって!」「じ~く じおん
      • 「もう いやだ~!」そう言いたいのはむしろこっちだ。
  • バトル時のメッセージは何故か実況風。そしてひらがなしか無い文章と擬音語使いまくりのせいで脱力感全開。
    • 一例:アナ「せんてをとった!」
         MY(自機)「ががががっ!」
         アナ「てきに○○のだめ~じ!」
         てき「ずばん!」
         アナ「○○のだめ~じをうけた!」
    • そして倒された敵は「みかん! やかん! どか~ん!」といって爆発する。
  • 戦闘中のコマンドにおかしなものが多い
    • スタンスティックやリボルバーカノンといった普通の武器的なコマンドもあるのだが、他はおかしなものばかり。
    • 「せっとく」
      • 成功すると、敵は「ひ~! ごめんなさい。おわびにじばくしま~す!」と言い残して自爆する。無人機のカルディアすら。
      • 後半の敵はかなり耐久力が高いので、成功さえすれば一撃で勝てるこのコマンドを連発した方が効率が良かったりする。
      • 一応、主人公は警察なので「せっとく」は正しい行動ではあるが……。
    • 「どなる」
      • そのターンのみ攻撃力が上がるが、使う必要は無い。
    • 「じゅもん」
      • えろいむえっさいむ!」と唱える。瀕死の場合のみHPが10回復するが、HPが31の場合(おそらくバグで)1になってしまう。まったく使えない。
    • 「なく」
      • MY「え~んえんえん!」 敵「ないたらあかん」というやりとりが交わされるだけ。意味は無い。
    • はんどぱわ
      • MY「きてます!」 成功すると敵は「きたきたきたあ~~!」と言いながら爆発する
      • 成功率は低いが、何故かこちらの回避力も上がる攻防一体のコマンドのため終盤攻略の鍵となる。
  • セレクトボタンを押しながらゲームを起動するとアメリカ編が始まる…と思いきや「なんていうのは じょうだんだよ~ん」と言われて即終了するだけ。
    • その後スタッフロールが流れるが、その内容もメチャクチャ。
      • 体はボロボロで針治療が欠かせないとか、幽体離脱が出来る恐怖新聞の配達人とか、床屋の息子とか、僕の人形返して欲しいとか、納期にうるさいこの道40年とか、鎧を着た恥ずかしいおじさんとか、一人一人にアレな紹介文が付けられている。
    • 奇しくも、このゲーム発売のしばらく後に放送されたのが『CLATよ永遠に*1』である。アニメスタッフも、まさかこんなゲームに先んじられていたとは夢にも思わなかっただろう。
  • RPGマップのおかしな点
    • ループしていたり建物の構造を無視している階段がある。

問題点

戦闘面

  • バランスは悪く、状況に応じてコマンドを選ぶような戦略性は無い
    • 一応敵ごとに特定の行動パターンが決められているのだが、そんなもの気にせずに重火器か即死系コマンドだけをひたすら使う方が楽に敵を倒せる。というかそうしないとクリア困難。
    • 各マップにある回復ポイントで、ノーリスクでHPを最大値まで回復できる。つまり回復ポイントさえ抑えれば後はどうとでもなる。
      • ただし終盤は回復ポイントが奥の分かりにくいところにあるためキツくなる。
    • 結局のところ、「ひたすら同じコマンドを選択」「回復ポイント往復」ばかりやらされる完全な作業ゲー
  • 敵の設定もメチャクチャ。新型のヘルダイバーやブロッケンより旧型の97式、グラウベア*2の方が強い。例えるなら「さまようよろい」「ドラゴン」が序盤に出るのに「スライム」「ももんじゃ」が後半で猛威を振るうドラクエ、といった感じ。
    • 原作のライバル機に当たるグリフォンは何故かザコとしてぞろぞろ出てくる(一応ザコの中では強い方)
    • そのくせボスが作業用レイバーのぴっけるくん。「ぴっけるプロ」というオリジナルの上位機まで出てくる。
    • まともなボスとしてHAL-X10も出てくるのだが、コマンド「どなる」で一撃死する
  • 敵を倒すとYPという数値が増え、それと引き換えに新コマンドを入手することができる。が、中盤以降はコマンド販売が無くなり死に数値と化す。
    • ちなみにYPとはやっつけたポイントの略らしい。…本当にやっつけ仕事にしか見えない。
  • 重火器などの強力なコマンドは、BPというMP風のポイントを消費する。
    • しかしこのBP、戦闘終了後に自動回復する上、戦闘中にもまず枯渇しない(その前にどっちかが倒される)ため、ほぼ完全な死に数値になっている。
    • こちらのBPを下げる特殊攻撃をしてくる敵もいるが、やっぱり無意味。

シナリオ面
ストーリーも突っ込みどころしかない。

  • 原作に登場した、環境保護系テロ組織「海の家」がレイバー(作中におけるロボットの総称)で暴れているので鎮圧する、というあらすじなのだが…
    • ある面では「軍用レイバーが奪われた」と言われ、街には陸自レイバーの97式やヘルダイバーが重火器を持ってたむろしている。もう警察どころか自衛隊が治安出動するレベル。
    • しまいには核ミサイルまで奪われる。そしてそれを普通に使おうとする海の家。あんたらが環境破壊してどうする。
      • もっとも創作作品では「自分達の正義を信じるあまり、目的と手段が入れ替わっている悪役」なんてのは定番なのだが。現実世界でも居たり
  • 自機は主役機のイングラムだが、そのパイロットである野明は回復ポイントでHP回復したりコマンドを売ったりする係。
    ん? じゃあ今イングラムに乗ってるのは誰? ひょっとしてプレイヤー自身?
    • 後藤隊長からは「ゆうしゃよ!」と呼ばれるシーンがあるが…?
    • その後、突然新型レイバーに替えたからと言われ、イングラムが零式に変わる。
      そして「れいしき」と読むところを「ぜろしき」と誤記
    • 零式になるとデフォで「はんどぱわ」が使える。何故に?
  • ラスボスは「かみりん」。誰だお前。レイバーの名前なのか海の家ボスの名前なのかも分からない。
    • しかもラスボスなのに一切攻撃してこないが、ある程度HPを減らすとイベントが始まり、実はレイバーの操縦法が分からなかったと発覚。そして降伏する。
      • ちなみにラスボスにも「はんどぱわ」が効くので、上記のイベントを見ずに倒すこともできる
  • ラストステージのボスフロアの床には堂々と「Gool!」と書かれている。
    • 最後の最後にまで誤字とは、もはや言葉も無い。

評価点

  • 戦闘時のBGMは悪くない。
    • 特にボス戦のBGMはかなり盛り上がる曲調なのだが、肝心の敵がぴっけるくんと怒鳴られて爆発するX10と何もしてこないラスボスでは…。
    • 前半のマップBGMはやかましく、後半のマップBGMはほとんど無音。
    • なおサウンド担当は、最近ではエグゼリカなどで有名なkajaこと梶原正裕氏である。

総評

全方向に突っ込みどころしか無く、ゲームとしてもお粗末極まりない内容。

あるマップの床に「たのしんでいただけましたか」と書いてあるが、こんな出来で楽しんでいただけるとでも思っているのか?


その後の展開

  • 『パトレイバー』自体はこの後も様々な形でゲーム化されるのだが、携帯機で出たパトレイバー単独のゲーム化は『かむばっくミニパト』のみ。
    • こちらは「クソゲー」というほどでもないのだが「オマケ作品のゲーム化」ということで扱いは小さい。
    • 2013年にPSPでDL販売された『スーパーロボット大戦OperationExtend(OE)』に『パトレイバー』が参戦した。DL専売だが現在は販売終了している。
    • その後『巨影都市』にも参戦が決まったがPSV版は開発中止になってしまった。どうも携帯機に恵まれない。

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最終更新:2023年03月01日 19:39
添付ファイル

*1 アメリカのレイバー部隊CLATが活躍するエピソード。ただし夢オチであり、それを良い事にやりたい放題な内容である。追跡戦闘車を判る視聴者がどれだけ居たのだか…。

*2 ゲーム中は「くらうべあ」と誤記。