Super Pang
【すーぱーぱん】
| ジャンル | パズルシューティング・パズルアクション |  
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| 対応機種 | アーケード スーパーファミコン
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| 発売・開発元 | 【AC】ミッチェル 【SFC】カプコン
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| 稼動開始日 | 【AC】1990年11月 | 
| プレイ人数 | 【AC】2人同時プレイ 【SFC】1人プレイ専用
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| 発売日 | 【SFC】1992年8月7日 【PS】1997年3月14日
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| 定価 | 【SFC】7,500円(税抜) 【AC】5,800円(税抜)
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| 配信 | ゲームアーカイブス:【PS】2011年9月28日/600円 | 
| 判定 | 良作 | 
 
概要
くさび付きのワイヤーを射出し、画面上で弾むボールを全て割ればステージクリア、というシンプルな作りのゲーム。
ハドソンがPC-6001で発売した『キャノンボール』を開発元のミッチェルが業務用向けにアレンジした『ポンピングワールド』の続編にあたる作品で、パンシリーズの第2弾。
開発元のミッチェルは「パズルシューティング」、家庭用に移植を行ったカプコンは「アクション」または「パズルアクション」と銘打っており定義がかなり曖昧。しかしそうなってしまうに足るだけの要素が詰まったゲームである。
システム
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プレイモードは2つ。全40ステージ面クリア型の「ツアーモード」と、オブジェクトの存在しないステージ内で落ちてくるボールをひたすら割りまくる「パニックモード」
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ツアーモードはアジアエリアとヨーロッパエリアの2つのワールドで構成されており、ステージ1から最終ステージまで通し番号が降られている。
 アジアエリアの1面目、ヨーロッパエリアの1面目と最終ステージを除く各ステージは3ステージでひと区切りとなっており、それぞれ朝・昼の時間帯に分かれている。裏技を使うことで好きなステージから始めることが可能。最終面クリアでゲーム終了となる。
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パニックモードでは99レベルまでの区切りが設けられており、ボールを割る度に画面下部のレベルメーターが上がってMAXになると同時に次のレベルへ移行する。(進行に伴って背景も徐々に変化していく)。障害物や足場の類が一切存在しない分、ボールが動く範囲も大きくなり、常に大量のボールの雨が降り注ぐため、的確な読みと射撃・回避スキルが求められる。
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時折、普通のボールに交じって落ちてくるストップアイテム入りのボールが☆マーク付きのボールに変化することがあり、これを割ると画面上のボールが全て消滅する。
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レベル99に到達して全てのボールを消せばモードクリアとなる。
 
 
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ワイヤーはプレイヤーキャラの足元から上方へ一直線に伸びていく。天井かボール、破壊可能なオブジェクトに触れるまで伸び続け、画面に残っているうちは次弾は撃てない。
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ボールには大きさがあり、ワイヤーに触れるたび一回り小さくなって二つ(一部四つ)に分裂してく。一番小さいサイズのものにワイヤーに当てて初めて消滅する。
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ワイヤーのどの部分が触れてもボールは割れるため、先端を当てるために狙い撃ちする必要は無い。
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ボールは「放物線を描きながら落ち床や壁や障害物に接触すると跳ね返って弾む」という現実的な動きをする
丸いボール
と、物理法則を無視して回転しながら画面内を直線的に飛び、壁やオブジェクトにぶつかると直角にバウンドする
八角形のボール
の2種類。後者の場合も割ってから消えるまでのプロセスは丸いボールと同じ。
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丸いボールはサイズによって横方向への弾む距離(放物線の大きさ)が異なり、サイズが小さいものほど横方向への動きが小さくなって避け辛くなる。
 
 
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一撃死残機制。プレイヤーはボールに接触するか、タイムオーバーを迎えることでミスとなる。再開はステージの最初から。
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ボールを割ったり、オブジェクトを壊すなどの行為によって色々なアイテムが出現する。自機の攻撃方法を変えるアイテムも何種類かあるが、常に最後にとった物が適用される。
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ちなみに取らずに放置したアイテムは、しばらくすると自然消滅する。
 
    
    
        | + | アイテムの一覧 | 
ダブルワイヤー
一度に撃てるワイヤーの数が二本になる。
汎用性があり、どこで手に入れてもそれなりの働きをしてくれる。
 
パワーワイヤー
天井に接触してもワイヤーが消えず一定時間張りっぱなしになる。消滅までの時間はボタン連打で短縮可能。
刺さったときの音が嫌に生々しいのも特徴。またしばらく残る特性により当てやすいため、残り1個の際の殲滅力がかなりあるのも便利。上下が狭い場所や周囲が壁に囲まれた場所に密集するボールを処理する時など局所で有効だが外した時のリスクも大きい。
 
バルカン砲
ワイヤーの代わりに、上方四方向に扇状に広がる高速の弾丸を撃ち出すようになる。
殲滅力は抜群だが、オブジェクトを壊すことができない。また発射位置が手元になり弾も高速なため「置いておく」ことができず左右の死角が広がり、梯子を利用した下部への攻撃もできなくなる。そしてその殲滅力故に、ボールが吐き出すアイテムも大量に降ってくるためそもそもこれの寿命が短い、といった欠点も備えている。
 
バリア
一度だけボールの接触を防いでくれる。
コレの真価は消滅時に無敵時間がつく所。その時間を利用してボールに密着して一瞬で大量破壊する戦法が非常に有効。
 
ストップ
数秒間時を止めてくれる。その間ボールの自機に対する当たり判定も消えるのでバリア同様の戦法が可能。スローと違って残り時間を教えてくれる。
 
スロー
しばらくの間ボールの動きを鈍くしてくれる。ただしいつ切れるかはわからないので不意を突かれてミスの原因になることも。
 
爆弾
ゲーム一の厄介者。画面上の全てのボールを最小単位まで分裂させる。
「分裂」させるだけであり、消滅はしないのがミソ。大抵は画面上のボールの総数が激増し、結果ミスの危険も増す。
基本的にマイナスアイテムだが、「同じ大きさのボールを連続して割るボーナス」狙いのスコアアタックなど、これを戦術に組み込む上級者も存在する。また終盤はコレを使うことで返って楽になるステージもある。
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自機の移動は基本的には左右であること、破壊対象を下から迎え撃つ形であること(ワイヤーは横には撃てない)、弾が(ノーマル状態では)単発であることからプレイ感覚はあの往年の名作シューティング『スペースインベーダー』に近い。名古屋撃ちのような真似もできる。
評価点
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とっつきやすさと奥深さの両立
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ルールは単純明快、操作もレバー一つにボタン一つと非常にシンプルでとっつきやすい。正に説明書要らず。
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ただしそのシンプルさとは裏腹にゲームは非常に奥深い。ボールは分裂するし、オブジェクトも足場になったり囲いになったりするのでただ闇雲に撃ちまくればよいと言う物ではない。
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またそれぞれのステージにはそれらを見越したかのようなパズル要素が仕込んである。簡単そうに見えて制限時間が極端に少なかったり、開幕からボールが絨毯爆撃の如く襲ってきたり、足元に隙間が開いていてボールをこぼすと下から襲われたりとバラエティに富んでおり、一筋縄ではいかない。
 
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こう書くとかなり難しそうなゲームのように見えてしまうが(実際難しいのだが)そこに程よくスパイスを効かせてくれるのがアイテムの存在。
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上記で説明したように、一つあるだけで攻略が相当楽になるような有用なものが多く、基本的な高難易度を下敷きにこれらが乗っかることによって、初心者やパズルが苦手な者でも楽しく遊べる間口の広さを作り出している。
 上の記述と矛盾するようだが、どんなに頭を捻っても敵わなかったところが全ての思考をかなぐり捨てて本能の赴くまま撃ったらあっさりクリアしてしまった、ということもあるから面白い。
 もちろんそんな甘い話ばかりではなく、開幕爆弾で阿鼻叫喚の地獄絵図やスローがいきなり切れて接触死など、ボールでなくアイテムに殺される日常もそこにはあるが、これもまた醍醐味の一つではある。
 
 
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隠しコマンドでラウンドセレクトが可能。
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これのおかげで好きなステージを優先的に練習できるのも嬉しいところ。
 
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魅せるグラフィック
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ツアーモードの各ステージはそれぞれ世界の主要な都市や地域が舞台となり、それらを象徴する一枚絵が背景として飾られている。
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アジアンカオスな歓楽街、壮大なヒマラヤの雲海、テムズ川に堂々と佇むタワーブリッジ等々、新しいステージに到達する度これらがプレイヤーの旅情を大いにそそる。さらにその一枚絵も、ステージの進行に伴って、「昼から始まって夕やけに染まり、夜の闇に沈んでいく」という変化をみせてこれまた風情がある。
 
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時折落ちてくる食べ物(得点アイテム)も最初こそ小さく地味なものであるが、ステージが進むごとに徐々に大きく、そして豪華になっていく。
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中盤以降の漫画肉や巨大スイーツの数々は見た目が非常においしそうであり、点数も高いので危険を冒して取りにいってしまうこともしばしば。
 
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プレイヤー以外のキャラクターも「設定はトゲの化け物なのにどう見ても炎にしか見えない汗かきクリーチャー」や「ラ○ダーキックを食らった怪人のように派手なリアクションをする恐竜」などシュールでコミカルな奴等が揃っている。
 
問題点
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開幕のアイテムの「引き」でその後の展開が決まりやすい
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オブジェクトを壊して出るアイテムはその場所・種類ともに固定だが、ボールから出るアイテムはランダム性がある。
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仕様上、画面のボールが減れば減るほどミスの危険も減るので、初っ端にストップやバリアなどを引くと難易度が劇的に下がる。逆に爆弾を引いてしまうと大抵どうにもならない。
 こればかりはプレイヤーの運に任せるしかないため、理不尽さを感じさせられることもある。
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ランダム性もステージ毎にかなりはっきりした傾向があるので、それらを把握すれば運の要素は大分抑えられるが、それらを把握できるようなら、もう立派な上級者と言えるだろう。
 
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また自機は基本的に左右移動とはしごの昇り降りしかできないため、床に落ちたアイテムを飛び越える等して避けて通過することができない。これもアイテムの引きが占めるウエイトを大きくしてしまっている
 
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クリアまでの道のりが遠い
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ステージ一つ一つを見ればゲームとして程よいバランスを保てているのだが、クリアを目指すのであれば話は別。特にワンコインクリアともなると相当な知識や技量、集中力の持続、そして何よりそれなりの運が必要となる。
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どんなゲームでも「運悪く」ミスというのはプレイヤーのモチベーションに大きくダメージを与えるもの。そしてこの作品はツアーなら40ステージ、パニックならLv99という長丁場を戦い抜くので必ず一度くらいはそうした状況が出てきてしまうのだ。
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ミスすればステージの最初からやり直しという仕様も相まって、前半のミスでやる気が無くなる、後半のミスで集中が途切れそのままバタバタ死んでいくということが良く起こる。
 特に残り小ボール一個でのミスがもたらす絶望感は筆舌に尽くしがたい。
 
 
総評
見た目の単純さとは裏腹に、手も目も頭も(もちろんよい意味で)忙しいゲーム。
ステージが進むごとに緻密なキャラ移動や正確な射撃、有効な破壊手順やルート構築など色々な要素が要求されるようになるので、プレイすれば自ずとジャンルの定義が曖昧になってしまう理由もわかってもらえるだろう。
移植
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SFC『スーパーパン』(1992年)
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AC版の移植。
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ステージ構成自体はAC版に忠実だが、ツアーモードで巡る国が一部アーケード版から刷新されており、それに伴うBGMの刷新・新規曲の追加などの変更が施されている。また、2P同時プレイはオミットされており、1人用ゲームになっている。
 
 
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PS『スーパーパン コレクション』(1997年)
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オムニバスソフト。第1作『ポンピングワールド』、第3作『PANG3!』と共に収録。
 
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PSP『CAPCOM PUZZLEWORLD』(2007年 国内未発売)
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海外でのみ発売されたカプコン製パズルゲームのオムニバスソフト。シリーズ初期3作品がPS版ベースで移植されている。
 
シリーズ作品
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『ポンピングワールド』(1989年)
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シリーズ第1作。ゲーム性の根幹は既にこの時点で完成されている。
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PCECDに移植されており、追加ステージ・追加BGMなどの追加要素が施されている。鳥山明の画風に酷似していた面クリア時のグラフィックが『ロックマン』シリーズのキャラデザ風の画風で書き下ろされている。
 また海外ではホビーパソコンやゲームボーイなど日本以上に移植版が豊富。
 
 
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『PANG3! ~怪盗たちの華麗な午後~』(1995年)
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シリーズ第3作。世界中を巡りながら風船を割っていくという世界観は同一だがキャラクターが一新されており、怪盗が世界中を巡りながら名画を盗み出していくという設定になっている。それに合わせ、ゲーム画面の背景も世界の名画になっている。
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また、キャラクターごとの性能差で個性づけられている。
 
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『マイティパン』(2000年)
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シリーズ第4作。ポリゴン風のプリレンダリンググラフィック描画になっており、世界観は1・2作目、キャラクターデザインは2作目に準拠しているが、デザインはかなりポップになっており、プレイ中にもボイス演出が多く追加されている。
 
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『マジカル・ミシェル パン』(2010)
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シリーズ第5作。こちらは初の家庭用タイトルだが「ニンテンドーDS版かつ欧州のみ」と言う限定的なものだったため非常に知名度が低い。
 
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『パン・アドベンチャー』(2016)
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『マジカルミシェルパン』発売後にミッチェルが事業停止した後、フランスのデベロッパー、DotEmuが手掛けた新作。
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PS4やXBOX ONE等でDL販売されているが日本では販売されていない。PC版も日本のSteamストアでは
何故かおま国
だが、正規の外部サイトで販売しているSteamキーは普通に通るという有志の報告がある。
 
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スタッフクレジットの著作権表記にミッチェルの名前があるため、版権はミッチェルの社長であったロイ尾崎氏が保有しているものと思われる。
 
最終更新:2025年08月04日 10:33