ストリートファイターZERO ファイターズ ジェネレーション
【すとりーとふぁいたーぜろ ふぁいたーずじぇねれーしょん】
| ジャンル | 対戦格闘ゲーム |  
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| 対応機種 | プレイステーション2 | 
| 発売・開発元 | カプコン | 
| 発売日 | 2006年5月25日 | 
| 定価 | 5,040円(税込) | 
| 廉価版 | BestPrice:2007年11月15日/2,090円(税込) | 
| 判定 | 良作 | 
| ストリートファイターシリーズリンク | 
 
概要
カプコンが'95年から'98年にかけてアーケードで展開してきた『ストリートファイターZERO』シリーズの集大成+α。
家庭用移植版オリジナルの要素や基板のバージョン違いまで網羅した決定版とも言える内容になっている。
特長・評価点
ここでは『ファイターズジェネレーション』独自の内容に触れるに留める。
『ストリートファイターZERO』シリーズのシステムなどについては各作品ページや外部サイトを参照のこと。
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なんと言っても収録されている作品数が目を引く。
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これらに加えて条件を満たすと選べる作品が追加、最終的に9作品が選べるように。
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『ストリートファイターALPHA2』…『ZERO2』の海外版。殺意リュウなど国内版に無い隠し要素が追加され、日本でも話題となったため一部ゲーセンで稼動していた。
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『ストリートファイターZERO2'』…家庭用『ストリートファイターコレクション』に収録された『ZERO2ALPHA』ベースのアレンジ移植。さらに本作のものはキャミィが全モードで使用可能に変更されている。
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『ストリートファイターZERO3↑(アッパー)』…'01年発売。『ZERO3』の家庭用移植版をベースにNAOMI基板に逆移植されたもの。
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『ハイパーストリートファイターZERO』…本作オリジナル。言わば『ハイパーストリートファイターII』のZERO版。詳しくは後述。
 
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もちろん、それぞれの作品の隠し要素なども完全再現。初代『ZERO』のドラマチックモード(リュウ&ケンvsベガという2vs1のモード。劇場版のラストバトルを再現している)においてはBGMの「愛しさと切なさと心強さと」が家庭用で初めて収録された。
 
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アーケード版の完全移植に加え、独自の追加要素を搭載。
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AC版で使用できなかったボスキャラクターが使用可能。さらに、『ZERO3』系統ではCPU専用だった「S(シャドルー)-ISM」もプレイヤー使用可能になっている。
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『ポケファイ』『ハイパーZERO』を除く全タイトルにドラマティックバトルとサバイバルモードを搭載。
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本来ドラマティックバトルが存在しなかった『ZERO2』『ALPHA2』はもちろん、元々隠し要素で当時リュウ&ケンVSベガしかできなかった『ZERO』においても独立モードとして改めて作られている。さらに隠し操作で「ドラマティックサバイバル」も可能。
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『ポケファイ』はドラマティックがなくサバイバルもメニューに無いが、隠し操作で「ランダムサバイバル」が存在する。
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他にもいきなりラスボスと戦える隠しコマンドや、延々とランダム対戦ができるモードも用意されている。
 
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基本的に過去の家庭用のオリジナル要素は省かれているが、ごく一部で家庭用のオリジナル要素が反映されている箇所もある。
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例えば『ポケットファイター』はデモが標準でフルボイスとなり、家庭用で追加されたダンの真・晃龍拳が標準で追加(OFFも可能)、『ZERO』のダンのボイスは標準ではアーケード同様にリュウケンのボイスを加工したものだが、DIPで新ボイスに切替可能など。
 
 
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自由度の高いEXTRA OPTION。
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挑発の回数制限と言った些細なものからスーパーコンボのレベルの選択方法(『ZERO2』以前は押したボタンの数で決まったが、『ZERO3』ではボタンの強弱がそのままスーパーコンボのレベルになる)の切り替えのような便利なもの、通常投げやガードの有無などゲーム性を根本から揺るがしかねない項目まで内容は多岐に渡る。
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このEXTRA OPTIONの変更内容も作品ごとに保存されるため、「『ZERO2』の方は純正ルール、でも『ALPHA2』は『ブシドーブレード』級のガチ仕様」といったことも可能。
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『ハイパーZERO』以外はカラーエディットが可能。標準の1Pカラーを上書きする形で保存できる。
 
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バージョン違いの再現。
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このシリーズに限らず、カプコンのアーケードゲームはバグの修正、バランスの調整などを行った別バージョンの基板が存在する(『X-MEN CHILDREN OF THE ATOM』も参照)。
 『ファイターズジェネレーション』ではこれらほぼ全ての歴代バージョンに変更可能、基板ごとの変遷(初代ZEROが顕著。初期のバージョンでは瞬獄殺のコマンドすら違っていた)を楽しむ事もできる。
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前年に同様のコンセプトで発売されたコレクションソフト『ヴァンパイア ダークストーカーズコレクション』とほぼ同様の仕様であり、好評だったため本作にも搭載された。
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また、DIPスイッチでそれぞれの修正点を個別に変更できるので、どの基板とも違うオリジナルの仕様も作れるようになっている。
 
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ロード時間が皆無。
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作品決定時に一括で読み込んでいるらしく、選択さえ済めばアーケードと(ほぼ)同じテンポでプレイできる。
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HDDインストールにも対応しているので最初のロードも短縮可能。
 
 
ハイパーストリートファイターZERO
他の8作品全てをクリアすると遊べるようになる、このソフト唯一のオリジナルコンテンツにして、今作の目玉とも言える要素。
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名前からわかるように『ストZERO』版『ハイパーストII』。要するにISMどころか作品の垣根をも超えた対戦ができる夢のモードである。
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対戦重視に振り切った内容となっており、ゲームモードはVS MODEとTRAININGのみ。
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このモードの存在は発売までほぼ伏せられており、プレイヤーに「付けてくれとは言ってたが本当に付いてくるとは思わなかった」とまで言わしめた。
 
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全体的なシステムレギュレーションは『ZERO3↑』をベースに、キャラクター別に『ZERO』『ZERO2(ALPHA2)』『ZERO2A(')』『ZERO3(↑)』の4タイトルの性能から選択できる。
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再現率はかなりこだわっており、それぞれのタイトルの固有システムやキャラクターカラーは勿論、『ZERO2ALPHA』のEXキャラクターや『ZERO3』のモード選択などの要素もばっちり取り入れている。
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もちろん本作にもDIPスイッチが存在するため、歴代バグの再現も一部を除いて可能。
 
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上記に加え、どの作品にもよらないこのモード独自の隠しイズムも搭載されている。
    
    
        | + | 隠しイズム解説(名称は通称) | いずれもスーパーコンボゲージの形状はZERO3のシャドルーイズムと同じ(=Xイズム型の1本)。 選択方法は使用キャラクター決定→性能をZERO3で決定→モード選択時に各モード(ノーマル・本気・サイキョー・クラシカル)にカーソルを合わせてスタートボタンを押しながら右or左に入力(カーソルが消滅)→その状態で決定
 隠し操作によるランダムバーサス中のメニュー「RANDOM MODE」では「SHADALOO-○(A・B・C・D)」の名称で表記されている。
 
緑イズム (SHADALOO-C) / ノーマルから変化Zイズムがベース。『ヴァンパイア』シリーズの要素を取り入れたイズムで、ゲージ消費無しのガードキャンセル(昇龍拳コマンドで実質ZEROカウンター使い放題)、チェーンコンボ、アドバンシングガード、空中ガード後の攻撃が可能。
 
青イズム (SHADALOO-B) / 本気から変化Xイズムがベース。『ストリートファイターIII』の要素を取り入れたイズムで、ブロッキング、クイックスタンディング(グラフィックは地上受け身の流用)、スーパーキャンセルが使用可能。ただしベースがXイズムなのでスパコンは固定の1種類のみ。
 
桃イズム (SHADALOO-D) / サイキョーから変化クラシカルモードがベース。『ストII'』に登場した12人のみが使用可能。クラシカルと同じくガードゲージやスパコンゲージが無いことに加え、『ストII'』当時のシステムおよびキャラクター性能をほぼそのまま再現しており、攻撃力・技の判定が非常に強力。
 なお、ランダムバーサスで『ストII'』未登場のキャラクターがこのイズムになった場合は通常のクラシカルモードになる。
 ちなみに「桃」と言われるがあくまで変化前のサイキョーの色からの通称であり、ゲージ類の配色はクラシカルと同じ赤。
 
赤イズム (SHADALOO-A) / クラシカルから変化Zイズムがベース。従来のシャドルーイズムやZイズムに一番近い性能。ただし、一部のキャラクターのみではあるが『マーヴルVS』シリーズのような派手な必殺技・グラフィック、独自の新技(例えばさくらやケンに空中波動拳、ガイにワープなど)が取り入れられている。また、ベガはこのイズムでファイナルベガに変化する。
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余談だが、サウンドテストが凄い事になっており、貴重な歴代BGMを多数収録している。
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SFC版『ストZERO2』のBGM含む歴代家庭用の他、『ストII』シリーズや『ファイナルファイト』のBGM、家庭用『スーパーパズルファイターIIX』のおまけのさくらの歌や警告メッセージまで聞ける。
 
問題点
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9作品とは言うものの半分近くが『ZERO2』ベースの作品であり水増し感が漂う。
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特に、ZERO2→ALPHA2、ZERO2ALPHA→ZERO2'は実質的に隠しキャラクターが増えただけでシステムはほぼ一緒。
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『ALPHA2』は海外版からの移植のため、ゲーム内のメッセージは当然ながらほぼ全て英語(メニューの一部のみ日本語)。これならディップスイッチで日本版と海外版の仕様を切り替えるだけで良かったのでは…。
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前年に発売された『ヴァンパイア ダークストーカーズコレクション』の隠しタイトルも同様にマイナーチェンジ版だったが、あちらはコレクション独自のアレンジタイトルとして新規要素も加えていたのに対し、こちらはアレンジ版にも移植元のタイトルが存在するためあまり代わり映えがしない。
 
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ちなみに本作の海外版『STREET FIGHTER ALPHA ANTHOLOGY』では、元から『ZERO2』ではなく『ALPHA2』なのはもちろん、バージョンアップ版も家庭用のみで『ZERO2'』にあたる『ALPHA2GOLD』しかないためこの2作品はデフォルト収録となり、バージョン違いは『ALPHA3↑』と『ハイパーALPHA』だけの計7作品に減っている。水増しが少し消えただけではあるが。
 
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『ハイパーZERO』のゲームモードがVS MODEとTRAININGのみ。つまり普通にCPUと対戦するモードが存在しない。
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一応オプションなどを駆使して2P側をランダム出現CPUに設定する事で擬似サバイバルのような事もできる(戦いたいキャラクターの個別指定も可能)が、やはりこの点については不満の声も多く挙がった。
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また、対戦ステージも『ZERO』の万里の長城、『ZERO2』の大瀑布(ナッシュがやられた滝)、家庭用『ZERO3』のシークレットポイント31580(岩場)の実質3種類だけ(配色の変化はある)で、他タイトルに比べると圧倒的に少ない。
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さらに、これらのステージは元々処理を軽減するためなのか背景オブジェクトがほぼ存在せず殺風景なのも寂しさに拍車をかけている。
 
 
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コンセプトが「アーケード版の集大成」のため、一部の家庭用専用作品が無視されている。
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GBA版『ZERO3↑』やPSP版『ZERO3↑↑』(ダブルアッパー)、CPSチェンジャー版『ZERO』などが収録されていない。
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CPSチェンジャー版『ZERO』についてはBGMのみ収録。
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おそらく同年発売のPSP版『ZERO3↑↑』との差別化のためだと思われるが、この影響で携帯版追加キャラクター(ユン・イーグル・マキ・イングリッド)は本作では使用できない。
 PSP版の方は「『ZERO3』の最終進化」として制作したと開発スタッフが語っており、基本的に「アーケード版の集大成」である本作とはコンセプトが異なるものであると思われる。
 
 
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あくまでアーケード版の再現がメインであるため、ゲームモードは少なめ。
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かつて家庭用特典として存在した『ZERO3』の「ワールドツアーモード」や『ポケットファイター』の「つくってふぁいたー」などは、今作では未収録。そのため、それぞれの作品別で見るとややシンプルな内容となってしまっている。
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ただし、上述したように『ZERO2』等にもドラマチックバトルが存在する、隠し要素でドラマチックサバイバルが出来る、『ポケットファイター』も隠しでランダムサバイバルが可能などの細かい追加要素はある。
 
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隠しタイトルに一部オリジナルと違う部分がある。
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『ZERO2'』は家庭用、『ZERO3↑』はNAOMI基板なのだが、今作では全てCPS2仕様をベースに内容を近付けたものであるため、厳密に言えば元作品とは異なっている。
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そのためかデフォルト状態ではタイトル画面が『ZERO2ALPHA』『ZERO3』のままであり、設定を弄ることでタイトルが変化する。
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また『ALPHA2』も実は完全移植ではなく、『ZERO2』をベースに改めて『ALPHA2』っぽい仕様に近付けたもののため、一部完全再現されていない。
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これらは元々おまけタイトルであり、別に再現されてなくても誰も損しないレベルのものなのだが「完全移植」の看板に偽りアリとも言える。
 
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他にも細かいところで色々手が加えられていたり、デフォルト収録タイトルについても元作品に無かったバグが増えていたりもする。
 
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説明書が不親切。
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前述のEXTRA OPTIONや隠しタイトル、そして完全オリジナルの『ハイパーZERO』などは隠し要素扱いになっており、説明書には載っていない。
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一応「シークレットファクターが存在する」と言う事と大まかなヒントは書いてあるがそれだけ。
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『ハイパーZERO』に至っては最大のウリになっていてもおかしくないのに広告等でも一切触れないのはおくゆかしいというかなんというか…。
 
 
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見ただけでは内容が分からないDIPスイッチ。
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バグや特殊仕様の個別切り替えが出来るDIPスイッチが用意されているものの、ゲーム内では★が大量に並んでいるのみでON/OFFの切り替えをするだけというシンプルな構造であり、どの箇所を切り替えたらどうなるといった具体的な内容は一切明示されない。
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このため、どの箇所のスイッチにどういった効果があるのか等はユーザー側が自力で試して調査するしかなかった。現在では発売当時から有志達が調査しまとめた情報を攻略wiki等で確認できるが、そういった外部情報に頼らないとお手上げである。
 
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この不親切な仕様は本作の前身となった『ヴァンパイア ダークストーカーズコレクション』からそのままであり、非常に細かい設定が出来る反面、内容詳細は調べないと一切分からないという点も引き継いでしまった。
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ただし『ダクコレ』と違い、本作のDIPスイッチで変更できるのはバグやコンボ可否等の細かい変更のみに留まっており、システムに大きく影響を与えるオプション(例えば『ZERO』で6ボタンチェーン可能等)はDIPから除外されてEXTRAオプションで設定可能となっている。そのため、通常プレイの範囲であれば基板のバージョン選択での一括変更でも充分問題ないレベルである。
 
 
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オンライン対戦ができない。
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尤も、本作発売当時のカプコンは既にPS2におけるネットワーク対戦について消極的であったため、仕方なくはある。
 
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カラーエディットの仕様に一部不可解な点がある。
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デフォルト1Pカラーに上書きするという仕様上、無印『ZERO3』ではZ-ISMの1Pカラーでしか反映されない。
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『ZERO2』&『ALPHA2』、『ZERO2ALPHA』&『ZERO2'』、『ZERO3』&『ZERO3↑』はそれぞれカラーエディットデータが共有となっている。
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他のオプションはアレンジ版もそれぞれのタイトルで独立しているのに、何故かカラーのみ共有という不自然なことになっている。
 
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『ハイパーZERO』ではカラーエディットができない。キャラカラー選択の仕様が作品毎に違うためだろうか?
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当時の公式サイトに日焼けしたさくらが蒼空波動拳を使っている(おそらく開発中の)画像などがあったが、製品版ではそんな事はできないため嘘になってしまっている。
 
 
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サウンドテストは上述のように豊富なのだが、単に収録されているだけで実際のゲームで対戦BGMとしては流せない曲も多い。あくまでも観賞用。
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ごく一部の楽曲は特定条件で流せるが、ほんの僅かである。
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GBC版『ALPHA』やGBA版『ZERO3↑』の曲は収録すらされていない。これらの作品は海外で開発されたためだろうか。
 
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『ハイパーZERO』の桃ISM(『ストII'』再現仕様)で、一部のキャラクターの当たり判定がグラフィックと全く合っていない。
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当たり判定も原作仕様にしている為なのだろうが、特に体格が大幅に変わっているベガやザンギエフなどはかなり差が激しい。
 
総評
カプコンの2D格ゲー全盛期を堪能できるこの1本。不満点もあるが、それもこのゲームのサービス精神が旺盛だったからこそ。
これだけのボリュームを持った作品が今なら2,000円で手に入るとなると、家庭での対戦に応じてくれる友人や家族がいるのならなおの事、買って損はない作品である。
その後の展開
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2018年にPS4/Xbox One/Switch/Steamでコレクションソフト『ストリートファイター 30th アニバーサリーコレクション インターナショナル』が発売されている。
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シリーズ本編全体に収録範囲を広げており、『ZERO』シリーズからは日本版・海外版の『ZERO1~3』『ALPHA1~3』が収録となっている。
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『FG』との違いとして、『ZERO2ALPHA』『ZERO2'』『ZERO3↑』『ハイパーZERO』(と『ポケットファイター』)は未収録で、完全にアーケード版再現のため追加モードも無く、『ZERO2』の真・豪鬼や『ZERO3』のファイナルベガも使用不可となっている。代わりに海外版の『ALPHA』『ALPHA3』が存在する。
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このため『ZERO』シリーズのアーケード版の集大成として見るならば『FG』の方が優れている点も多い。
 
余談
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前述のとおり隠し要素が多いのでプレイの際はまとめWikiの熟読をおすすめする。
最終更新:2024年10月06日 08:53