ストリートファイター 30th アニバーサリーコレクション インターナショナル
【すとりーとふぁいたー さーてぃーす あにばーさりーこれくしょん いんたーなしょなる】
ジャンル
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対戦格闘
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対応機種
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Windows 7~10 Nintendo Switch プレイステーション4 Xbox One
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発売元
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カプコン
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開発元
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Digital Eclipse
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発売日
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2018年10月25日
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定価
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パッケージ版 【Switch/PS4】4,990円 ダウンロード版 【Win/Switch/PS4/One】4,500円
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プレイ人数
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【Win/PS4/One】4人 【Switch】8人
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レーティング
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CERO:B(12才以上対象)
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備考
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Switch版のみトーナメントモード搭載
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判定
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良作
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ポイント
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AC版を忠実に完全再現 日米まとめて24タイトル 資料は『ウルII』から拡張 AC版重視の為、家庭版の追加要素無し
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ストリートファイターシリーズ
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概要
『ストリートファイター』シリーズ生誕30周年を記念して発売されたコレクションソフト。
同社の『カプコン クラシックス コレクション』『ロックマン クラシックス コレクション』を手掛け、近年はM2の様に移植のクオリティが概ね高評価されつつあるアメリカのDigital Eclipseが担当。
発表当初は全世界同時発売の予定でバージョンは海外版のみ収録だったが、それに対する日本ユーザーの不満の声を受け止めたカプコンは日本版のみ延期して10月に発売となった。
収録タイトル
日本版のみそれぞれのタイトルで日本版・海外版を同時収録している。
タイトルを2種類併記しているものは後者が海外版。
※印を付加したタイトルは海外版のみネット対戦に対応している。
各タイトルの評価については個別ページを参照のこと。
特徴
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オンライン対戦
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対応するタイトルは各シリーズの最終版の海外版4タイトル。
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モードはオンラインアーケード・ランクマッチ・カジュアルマッチ・ロビー作成・ロビーに参加・リーダーボード・オンラインオプションの7つ。
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オンラインアーケードはゲームセンターの様に「プレイ中に乱入してくる」と言う当時のリアルタイム事情を現代風に再現した環境である。タイトルの選択は可能。
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ランクマッチはタイトルの選択も拒否もなくランダムに対戦相手と戦う。切断を繰り返すとペナルティになる。
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カジュアルマッチは特定の相手を任意に選んで3試合まで遊ぶ。
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ロビーは複数のタイトルの場合、お互いに選んで、同じタイトルなら100%選ばれる。それぞれのタイトルはランダムになる。単体でロビーを作成した場合、選択無しでスムーズに連戦できる。Switch版のみアンテナは無い。
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リーダーボードはオンラインランキング。フィルターはプレイヤーの周り、ベルトスコア順、フレンドの3種類。人数は最大50人まで。
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ミュージアムモード
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『ウルII』に収録済みの資料に加えて2010年代以降の新資料だけでなく、海外のグッズや発売中止になったファミコン版のスト1の写真やラフ画、コンセプトアート等の本作初公開の社内資料が幅広く収録されている。
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キャラクター紹介は1限定キャラクターと3のギルを除いた全プレイアブルキャラクターはプロフィールだけでなく各シリーズを総合した説明、技モーションを閲覧する事が出来る。
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また、各タイトルのBGMを聴けるミュージックプレイヤーも収録。
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スーパーストリートファイターII トーナメントモード
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Switch版のみ限定収録のタイトル。
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ソフトとSwitchを4セット用意して、システムリンクさせた状態でプレイする。勝者は別のSwitch本体に移動してからプレイする、めんどくさいと思うだろうが、これも元のAC版にある仕様をそのまま移植しているため。
評価点
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プレイ面での移植度は高い
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ゲームスピードやガイルステージの紋章等を除き、くっ付きバグなどのオリジナル版のバグ、スコアの大きさ、ドラマチックバトル等の裏技等のアーケード版の特徴を残している。II初代のヨガリセットや、3rdのケンvsまことのN投げKOフリーズ等のごく一部は修正済み。
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ただし、『III 3rd』は修正版の新基板ではなく、ガード不能連携やトゥエルブのスペルミスの「TWELEVE」等の旧基板がベースになっている。
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これまでの移植作は、解像度やスコアの位置を再現できなかったり、操作が劣悪だったり、一部のボイスとエンディングがカットされたり、ロードが長かったり、処理落ちが激しかったり等様々な問題を抱えていた為、家庭用移植においては恵まれていなかったが、アーケードより高性能なスペックであるPS4/One/Switch/Winのお陰でこれらの問題を見受ける事無く楽しめるのが大きい。
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『I』は国内ではPCエンジンCD-ROM2のみ、アーケード版を忠実に再現したものでは日本未発売の『CAPCOM CLASSICS COLLECTION Vol.2』とXbox版の中古値段が高騰した『CAPCOM CLASSICS COLLECTION Vol.2』ぐらいで日本国内でのプレイ環境を整えることは困難であった。だが、本作が発売されたお陰でちょうどいい価格、手軽にプレイできるという結果にもつながっている。
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『II』シリーズは移植された数も多いが『カプコン クラシックス コレクション』に収録された方はPS1とSSの『カプコンジェネレーション』の使いまわしの為評判は良くなかった。一方、本作はアーケード版を元に1から作り直した為、概ね好評。
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『スパII』シリーズはアーケード版そのままという基準から見れば『CAPCOM CLASSICS COLLECTION Vol.2』から12年越の移植となるがこっちは『無印スパII』を飛ばして『X』のみ収録という不自然な形での移植だったことから、今回アーケード版無印『スパII』もそのまま移植されたことで、長く期待していたユーザーは歓喜した。
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『ZERO』シリーズは『ストリートファイターZERO ファイターズジェネレーション』から12年ぶりで、任天堂ハードでの移植は『1』がGBC版の『ALPHA』から17年ぶりかつ『ZERO1』名義で任天堂ハードに発売されたのは発売中止になったSFCからの正式移植、『3』はGBA版の『ZERO3↑』から16年ぶりの移植となる反面、『2』の携帯機は長らく携帯電話のiモード版しか無かったのだが、本作では初の携帯機移植になった。
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『ストIII』シリーズは『1st』と『2nd』がDCの『ストIII W IMPACT』以来19年ぶりの移植、『3rd STRIKE』は直近に配信されたPS3/360の『3rd STRIKE ONLINE EDITION』が存在するがこちらは元のドット絵をぼかしただけだったり、勝利の台詞とエンディングのテキストが英語仕様だったり、UIのデザインがリメイクの印象と何とも期待外れ感が強かったが、本作では日本版と海外版を収録した初めての「アーケード版準拠」での移植となった。
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延期の末に導入した日米のバージョン選択も好評。『ストII』は海外でネタにされているSheng Longの用語を日本国内でも調べられるようになった。
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『ウルストII』に引き続き1人プレイ中の乱入機能も搭載。ゲームセンターの雰囲気を再現する事を出来る。
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充実したオプション
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2010年代のレトロゲームの移植作ではお馴染みのいつでもセーブ・画面のサイズ変更・操作変更・ブラウン管を再現したフィルター・トレーニング・ゲームスピード調整・時間設定など、痒いところに手が届く仕様となっている。
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操作変更は全シリーズ共通で態々設定し直す必要が無くなった。
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充実したミュージアムモード
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全体的に『ウルII』の使いまわしであるがこれらを除き、ボリュームがこれ以上に無い程の数に増加。
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ヒストリーモードにおいては年表形式で本作の収録作のみならず、伝説の劇場版アニメ『ストリートファイターII MOVIE』やテレビアニメの『ストリートファイターII V』、ガイルが主人公の『ストリートファイター USA』等のアニメ、ジャン・クロード・ヴァンダム主演の実写映画、過去の移植作、サービス終了になった『ストリートファイター×オールカプコン』等のソーシャルゲーム等幅広く載っており、各項目から画像や解説を詳しく見ることができる。
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その中には上記の通りFC版の『ストI』の写真、筐体の設計図、ラフスケッチのみならず、タイトルロゴ案や海外のイラスト、グッズ写真等の貴重な資料が収録されており、それまでの資料付きの移植作よりもさらに充実している。
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Switch版のみ収録だが、トーナメントモードを初移植。
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X68000版から25年ぶりに、アーケード版を忠実に再現したバージョンとしては初めてである。
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Switch4台のお陰で場所を取らずに手軽に楽しめることも大きな特徴と言える。
問題点
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過去の一部の追加要素の廃止、一部タイトルが未収録。
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ベースが北米アーケード版準拠の移植であるため、アップグレード版『ZERO2 ALPHA』と日本専売のNAOMI『ZERO3↑』は収録されていない。
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家庭用専用であるPS/SS『ZERO2'』、PSP『ZERO3↑↑』等の追加要素も当然ながら省かれている。
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また、北米でもアーケード版として登場しているものの、PS2からアーケードに逆移植された『ハイパーストリートファイターII』も今回の移植対象外である。
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『ストII』シリーズは全種類網羅されているものの、異作品間の対戦はできない。
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『ストリートファイターEX』シリーズも収録対象外となっている。
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『ストEX』のオリジナルキャラクターの版権はARIKA側にあるため、こればかりはどうしようもない。
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アーケード版で使用できなかったボスキャラクターは、今作でも使用できない。
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過去にPS2で発売された『ストリートファイターZERO ファイターズジェネレーション』等ではアーケード版を忠実に再現しつつボスが使用可能になっていたため、残念な点ではあるが、強力なボスがネット対戦で使用できたらバランス崩壊必至のため、その兼ね合いもあると考えられる。
しかし、バランスを考慮するならばネット対戦では使用不可にすれば良いだけの話ではある。現にネット対戦に対応している『X』では豪鬼は使用不可になっている。
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なお、『III 2nd』『3rd』については、後にアーケード版共々バグ技でギルを強引に使えてしまう手段が2022年に発見され、次いで2023年に『1st』でも使用する方法が発見された。ただし手順に制限が多く、幸いネット対戦では使用できない。
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あくまでアーケード版の移植であるため、過去の家庭用における追加要素などは全て省かれている。
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目を引く追加モードは本作独自のオンライン対戦、家庭用初移植となる『IIX』のトーナメントぐらいであり、シンプルな内容である。
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ただし、家庭版の追加要素はあくまで家庭版独自の要素で元々アーケード版には存在していない要素であり、アーケード版に逆移植する手間や技術面のことを考えれば仕方なくはある。
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某メーカーの「元を生かして拡張移植」「ソースコード単位で解析して初心者向けモードやアレンジモードを制作」と比べてしまうのが一番の問題かもしれない。
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肝心のオンライン対戦のラグが酷い
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PS4/One/Win版は問題ないが、Switch版のみラグが激しく、対戦が長引いてしまう。
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『3rd STRIKE』はブロッキングが鈍いと言われており、どうしても不向きな印象になる。
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強制切断されたらランクが下がり、10回に達するとペナルティを受ける。
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海外版でしかネット対戦できないことによる弊害
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これにより大きく影響を受けるのが海外版『スパII TURBO』であり、日本版『スパIIX』と比べてゲームスピードが速い、一部のボイスが異なる等変更点が多く、純正『スパIIX』のネット対戦を期待していたプレイヤーからは不満の声が上がった。
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特にSwitch版はゲームスピードとラグの関係でかなり技が出しにくくなっており、日本版の感覚で遊ぶのは難しくなっている。
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ロビーの仕様が不親切。
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同じ地域以外も普通に表示してしまう為、オンオフの設定が無い。
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また、出る時に確認メッセージがない。
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初心者への配慮不足
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本作から入った初心者にとっつきにくく、説明不足になっている。
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『ロックマン クラシックス コレクション』と同年に発売された『カプコン ベルトアクション コレクション』は当時の取扱説明書が収録されているためオフラインでも見られるが、本作は『ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online』と同様に説明書がソフト内に収録されておらず、ミニFCの様に公式サイトを閲覧する必要があるため、ネット環境の無いユーザーを冷遇している。
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ZEROコンボやオリジナルコンボ・ISM・スーパーアーツセレクト等の固有システムは、説明文には書かれているのだが、ボタン変更の食い違いと取説の未収録のせいでいまいち分かりにくい。
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近年の格ゲーでお馴染みの1ボタン同時押しの設定が出来ない。これにより手軽にザンギエフのダブルラリアットとT・ホークのコンドルダイブ等の技を出し辛くなった。
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一部のグラフィックが諸事情により当時とは異なるものに差し替えられている。
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『ストII』の春麗ステージの『コカ・コーラ』の様な箱がただの赤い箱に、ガイルステージの紋章が変更されているなど。
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ただし、これらは『ストII HD』の時点から差し替えられており、当時はいい加減だった商標権の問題も絡むため仕方ない面もある。
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トレーニングモードはオンライン対応タイトルの日米版のみ。
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キーコンフィグでボタン同時押しが設定できない。
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このためアーケードスティックなどでプレイする場合は問題ないが、パッドでプレイする場合ボタン同時押しの技、特に3つ同時押しのダブルラリアットや『ZERO』でのLx3スーパーコンボなどが出しにくい。
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最近の対戦格闘では標準の機能であり、PSやSS時代でも可能だった事ができないというのはやはり問題と言わざるを得ない。
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一部タイトルにバグ
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『III1st』、『III2nd』にはキャラクターの色がおかしくなり、プレイを続行するとゲームが落ちるバグがある。
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再現率はほぼ100%で、最初は正常でも次第におかしくなっていく。「ほぼ100%」とはバグが発生する前にプレイを終えるかどうかの差異である。
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悲しいことにプレイ人口の少なさ故か、修正放置どころか話題にすらなっていない。
総評
シリーズ30周年を記念したオムニバスであり、家庭でアーケード版の往年のタイトルをほぼそのまま楽しめるようになったのは非常に喜ばしいことだろう。
ロビー等のラグの激しさ等の不十分な調整不足等の粗が目立ったものの、過去作をオンラインプレイできるように環境を整備したことは、過去のアーケード資産を活かす意味でも非常に意義が大きい。
海外版を前提として作られていたため、国内版における追加要素が未収録だったり、オンライン対戦が海外版タイトル限定のため、国内版と同じプレイ感覚で遊び難い点が存在するなどの残念な点も多いが、数々のゲーム資料などの魅力的な特典もあるため、ファンであれば手に取って損のない内容になっているといっていいだろう。
余談
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本作を手掛けたDigital Eclipseは同年に『SNK 40th anniversary collection』を手掛けた。
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本作から流用したUIが存在しており、こちらも移植度や膨大な資料等の魅力を引き継いでいる。
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本作に収録されなかった『ハイパーストリートファイターII』は、後に2022年6月24日発売の『カプコン ファイティング コレクション』にて収録されることになった。
最終更新:2024年09月13日 00:41