新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女
【しんせかいじゅのめいきゅう みれにあむのしょうじょ】
ジャンル
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3DダンジョンRPG
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対応機種
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ニンテンドー3DS
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メディア
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1Gbyte3DSカード
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発売元
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アトラス(インデックス)
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開発元
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ランカース、アトラス
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発売日
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2013年6月27日
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定価
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6,279円/DL版5,300円
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レーティング
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CERO:B(12歳以上対象)
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判定
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なし
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ポイント
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賛否分かれる新要素 リメイクモードであるクラシックモードが不遇
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世界樹の迷宮シリーズ
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概要
ニンテンドーDSで発売された『世界樹の迷宮』(※以下「初代」と記載)シリーズの1作目のリメイク作。
固定キャラ操作のストーリーモードや「グリモア」によるキャラビルドシステムの新調といった、多くの新しい試みや追加要素がある。
本作は制作サイドのコメントなどから「固定ファンの多い世界樹シリーズに新規ユーザーを取り入れる」事に意欲的な姿勢をとった事が窺える作品である。
特徴
マッピングなどの世界樹の迷宮シリーズを通しての特徴は世界樹の迷宮を参照。
2つのモード選択
シリーズ初となる固定キャラクターによる物語を楽しめる「ストーリーモード」と、従来通り自分で作ったキャラクターで冒険する「クラシックモード」の2つが用意されている。
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ストーリーモード
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「個性的で魅力あふれるキャラクターたちが繰り広げる、重厚なストーリーで描かれる世界樹の迷宮シリーズの新展開」(公式サイトより)
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『世界樹の迷宮』シリーズでは主人公らにセリフは一切なく、各プレイヤーが自由にキャラクターを設定し想像して楽しむ、という特徴があった。その点を評価するファンがいる一方で、そういった遊び方に慣れていないユーザーから敬遠されている面もあった。
そこで、本作で固定キャラを導入することでストーリー・演出面を強化し、とっつきやすさの改善を試みている。
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クラシックモード
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自分でキャラメイクを行い、自由な編成で迷宮へ挑めるモード。立ち絵などは初代のグラフィックがそのまま使用されており変更はない。
バトルバランスの再調整
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クラス、スキルの調整
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新職業が2種類追加されたほか、既存のクラスにもさまざまな調整が施されている。
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スキルツリーが分かりやすくなり、更に一部スキル習得時にいくつかの派生スキルが(スキルポイント消費なしで)自動習得されるようになった。これにより様々なスキルの試し撃ちが簡単になった。
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この他にも戦闘バランスの変更点は多く、後述する新要素も追加されているため、ゲームバランスは初代からは別物となっている。
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グリモアシステム
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「グリモア石」というスキルの宿った石を装備することで、敵や他職のスキルを使用できるようになるというシステム。いわゆるサブクラスの代わりとなるもの。
スキルポイントを多く振ったキャラほど高レベルなグリモアを作ることができる。
システム面の新要素
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フロアジャンプ
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1つのマップエリアの8~9割ほどを踏破し、その階の階段を調べる事で、そのマップ内でなら踏破&調べ済の階段までの移動が行える。
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一度解禁すると何回でも自由に使えるので、少々便利すぎでは?との意見もある。ただしいつでもどこでも使えるわけではないため、脱出アイテムの価値がなくなったりはしていない。
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開発者曰く「マップをしっかり作成しても特にメリットがなかったため、ごほうびとして追加した」との事。
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ギルドハウスの追加
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拠点となる屋敷が用意され、様々な冒険の準備ができる。使用人による支援(一時的にHPアップなど)が受けられるほか、アイテム倉庫の管理やグリモア関連のコマンドなどもここで行う。
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使用人には好感度が存在し、支援を受けたりランダムで提示される依頼を達成したりする事で好感度が上昇する。それにより支援の種類が増えるほか、回復アイテムなどのプレゼントをされることもある。
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難易度の追加
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ピクニック・スタンダード・エキスパートの3つに分かれており、迷宮探索前に難易度を変更できる。
評価点
迷宮全体のブラッシュアップ
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迷宮そのものが初代のマップの面影を残しつつ全体的にブラッシュアップされ、作りこみが増している。
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FOEにも独特な動きをするものが追加され、「初代のリメイク」という前提はあるものの、各階ごとのマップも特色あるものばかりで飽きさせない。
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迷宮の小イベントが大幅に増え、探索中の楽しみが大きく向上した。その際のテキストもユニークなものが多い。
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特にストーリーモードでは、各キャラクターが個性豊かなリアクションをしてくれる。
グラフィック・UI面の向上
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『世界樹の迷宮IV』から引き続きグラフィック面は向上。文字は読みやすくなり、戦闘中のキャラクターグラフィックも大きく表示されている。
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マッピング部分では、自動で壁までマッピングしてくれるフルオートマッピングが追加され、初心者やめんどくさがりなプレイヤー、またマップ描き間違えのないかの確認などにも役立つ機能として歓迎された。これは設定で変更可能。
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オプションで設定変更できる項目が大幅に増え、また戦闘中にもオプションメニューが開けるようになり、そこからタイトル画面に手軽に戻れるようになるなど使い勝手が向上している。
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Bボタンを押しながらの高速移動や、戦闘のテンポや文字速度のカスタマイズなどの充実により、快適に探索できるようになった。
これらは戦闘中でも変更可能なため、雑魚戦では早く、ボス戦では遅くといった変更も可能。
戦闘・育成面の強化
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新職業の追加、各職業のスキルや能力がかなり調整されるなどの結果、パーティ編成やキャラビルドを考える楽しさがアップ。
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初代での死にスキルは強化・あるいは削除されたほか、強すぎたスキルの弱体化、新スキルの追加によって戦術の幅が広がるなど、しっかりと手を加えられている。
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新システム「グリモア」「転職」による、新しい育成の方向性
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グリモアには最大七つまで自由にスキルを入れることができ、前作よりも回復スキルなどを他職に持たせやすい。グリモアを付け替えれば一時的に戦い方を変えたりもできる。
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さらに敵が使用してきたスキルまでグリモア化することができ、その種類は膨大。
偶然手に入ると序盤が楽になるものから、最大レベルを狙う価値がある強スキル、編成によっては取得の難しいバフ・デバフを補えたりなど存在感は大きい。
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中にはかなり強力なスキルの入った隠しグリモアなども存在する。
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転職は「ステータスは元職のまま、スキルも装備可能な武具も別職になる」というシステムで、さらに強力なキャラを作ることも可能。初期に選択した職業とはまったく違った使い勝手を楽しむことも出来る。
ストーリー・キャラクター・演出面の強化
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原作のストーリーをもとに、かなり違った視点で物語が進む。物語の本筋に絡む、原作には存在しなかったNPCなども新規に登場し、新しい方向からのアプローチとなっている。
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クエスト名などでSFネタを多く盛り込んでいた原作らしいキャラも登場し、ストーリーに大きく関わってくる。
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更に今作からシリーズ初の声優陣によるキャラクターボイスも対応され、ゲームのストーリーがさらに盛り上がるようになった。
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各キャラクターはそれぞれ特徴的で、好意的な意見が多い。
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異変の調査をしたり街の人々からの依頼(クエスト)を行ったりする際に、みんなで喜んだり愚痴をこぼしたりといった会話イベントが発生し、にぎやかなやりとりが見られる。
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迷宮内でも見つけた果物を誰かが食べてみたり、泥沼に足を取られたりといった従来の小イベントも、ストーリーモードではパーティキャラクターが様々なリアクションをしてくれ、淡白になりがちだった冒険に彩りを加えるのと同時に、各キャラの過去や性格、仲間をどう思っているかなどを垣間見ることができるなど、各所で掘り下げがされている。
BGM
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作曲は今までのシリーズと同じく古代祐三。本作ではリメイクされた新規音源と初代そのままのFM音源の2つから選択できる。
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新規楽曲にもFM音源版が用意されているほか、通常エンカウントのBGMでは先制や奇襲時にBGMのイントロが変わるなど、かなり手が込んでいる。
本作では戦闘中でも設定の変更ができるため、やり直しのきかないイベントボス戦中などにもどちらのバージョンも聴く事が可能。
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また、初代の特典サウンドトラックに収録されていた未使用楽曲「眠らずの戦場」がリメイクされた上である場所で採用され、初代のファンを喜ばせた。
その他
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クリア後の周回におけるデータ引継ぎについて選択できる項目が増えた。
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店や倉庫の在庫引き継ぎ、お金、マップの書き込み具合などについて、それぞれ引き継ぐかどうか選べるようになった。難易度やパーティ構成を変えて何周も楽しめるように。
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入力文字に漢字が使えるようになった。これにより、メッセージやマッピングのメモに入力できる情報量も増えている。
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予測変換も充実しており積極的にメモを活用できるよう配慮がされている。
問題点
ストーリーの展開
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全体を通して初代世界樹の迷宮の裏設定に関わる内容で、樹海に眠る秘密に関する物語背景を該当イベントが発生する階層に到達する以前の早い段階で開示されてしまうため、原作で好評だったどんでん返し部分は強調されない形となっている。
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初代(クラシック)での冒険、特に裏ボスについて、初代=クラシックのギルドでは解決できない(=エトリアを救うことは出来ない)設定が語られる事となった。
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一方でストーリーモードの物語は、エトリアに迫る事件の全貌を把握でき、樹海の謎もほぼ答えを出せる物語になっているため、結果的に初代=クラシックモードの目標を奪ってしまう。
まして主人公一行はクラシックの冒険者とは違いただの調査の名目でやってきた人間であるため、なりゆきで樹海の謎を解いてしまう構図が初代からのファンには納得がいかないという声も。
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ストーリーモードの後半の展開には強引な部分があり、序盤に提示されていた、主人公とヒロインの出会いに関する伏線も回収されないままな部分がある。
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主人公はストーリーの展開上「厳格な部族の出身で、全ての正義であれという信念をもっている」という設定がついているが、具体的なエピソードや描写に乏しく、また選択肢によって意見を述べる無口タイプな主人公となっているため感情移入しにくい。
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ストーリー中は熱い信念を抱いているキャラとして扱いをされる割に、選択肢の内容はあまりキャラが統一されておらず・彼の掲げる信念と反しかねないようなものまであるのもキャラの掴みにくさを助長させている。
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他細かな不満点としては、初期から全職業が解禁されていることで職業追加イベントそのものが削除され、登場が少なめのNPCのイベントが更に減ってしまったり、スタッフロールでNPCのセリフがカットされたため、あるNPCの生死が分からないまま退場してしまうことなどが挙がる。
固定キャラクターやボイス追加に関して
前作までの世界樹は、プレイヤーキャラの詳細はイラストのみで他はプレイヤーの想像に任せるという、設定の自由さが特徴の一つだった。
今作ストーリーモードではその点を180度方向転換したと言え、旧来の一部ファンからは不満の声もある。
様々な編成やPTを見られるとしてでIVで好評だったギルドカードシステムについても、ストーリーモードといまいち相性が良くない。(PT編成が固定されるため、すれちがいでギルドカードを集めてもストーリーキャラの編成のものばかりが集まってしまう)
バトルバランス
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難易度の調整が極端
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本作では3つの難易度を選択できるようになり、敵からのダメージ量と与ダメージ量の増減で難易度を変化させる形となっているのだが、その差がかなり極端となってしまっている。
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エキスパートではスタンダードと比べて受けるダメージが166%、与えるダメージが66%と極端な補正が課せられる。
具体的に言い換えるならば、エキスパートにした途端ほとんどの職が前衛後衛にかかわらず致命傷を頻繁に受けるほどに被ダメージ量が増加する。そして後半になるほど補正の影響は目に見えて表れるようになり、バフによる軽減もスズメの涙に感じられるほどに。
更に、被ダメージが高くなる高難易度ほど回復スキルの回復量が減る調整となっているため、回復スキルを中心にした持久戦は難しい。
終盤ではあまりにも敵が強すぎるため一部スキルで封殺するしかなくなる、といった事態も発生する。
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また、戦術を最適化する必要が出てきて、個性的(あまり強くない)なパーティは組みにくい。
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しかしそれとは逆に、エキスパートの難度を評価するユーザーも。
エキスパートでも敵の大技を無効化スキル等でふせぎ、連発される前にいかにこちらが最大火力を出す事に特化した難易度であるという意見も。
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一方ピクニックでは被ダメージがかなり抑えられており、オートバトルでFOEにも勝ててしまうほど。全滅してやりなおすモードが搭載されているにもかかわらず活用する機会がほとんどない。簡単過ぎて世界樹の迷宮の醍醐味を味わえるかどうか疑わしい所がある。
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難易度を変更できるのを利用して、特定のグリモアを手に入れたい時や引退して大きく下がったレベルを上げたい時など、一時的に難易度をピクニックに変えて手間を省くという荒業も存在する。
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一部の敵の強行動
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後半のボスが味方の攻撃に対して全体反射技を使ってくるのだが、この技の威力が非常に高く設定されており、一人でも攻撃してしまった瞬間にパーティが全滅する。先制技かつ封印も不可能というかなり理不尽な技で、これらボスとのバトルが終盤の詰みポイントになっている。
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こういった強力な行動はターン固定されていたり予備動作が入ることが多いのだが、この技はランダム行動の中で突然使ってくるため対策が難しく、使われないことを祈るしかないという運要素が入ってしまう。
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非常に全滅しやすい作りになっているのにバトルまでのイベントが非常に長いのも問題。直前でのセーブができず再戦の度に長いダンジョン攻略と会話イベントを見なければならない。
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一応対策としては、この技を使われない(試行回数を稼がせない)うちに短期決戦で倒す、ランダム行動のターンには一切の攻撃をせず固定行動の時だけ攻撃する、という方法があるが、パーティ全体の行動を大きく縛る強力すぎる技となっている。
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グリモア生成のランダム性・転職の高リスク。
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グリモアは戦闘中にランダムで「グリモアチャンス」が発生すると入手できる。しかしグリモアチャンスが発生してもドロップ率は五割ほど。さらにグリモアに付くスキルは、自分が持っているスキルと、敵がチャンスターン中に使ったスキルからランダム。スキルレベルもランダム。ただ普通に戦闘を繰り返しても、狙ったスキルのLv10を入手する事は難しく、ゲーム後半で特定の準備をする必要がある。
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特に敵のスキル入手はかなり運が絡む。使用したターンにグリモアを確実に生成するアイテムも存在するのだが、その使用ターンに目当てのスキルを使用してこなければ意味がなく、生成されたとしてもレベルが低い事も多い。その他、敵の体力が減ってきてから使用し始めるスキルの場合、グリモアチャンスがそれ以前に自然発生してしまう場合も。
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ランダム性以外にも、比較的出やすいスキルと相当スキルポイントを振らないと高レベルのグリモアが出にくいスキルなどもある。
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転職は「レベルが半分まで下がる代わりに基礎能力にボーナスがつく」「現職のステータスのままスキルツリーを他職のものにできる」というもので、メンバー入れ替えの出来ないストーリーモードに合わせたリスペック機能といえる。
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レベル半減というだけでなく、パーティ構成のバランス自体を崩す恐れがあるため、十分に育成計画を練っておかねばならない。
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特に問題となる可能性があるのは、ストーリーモードで他職のグリモアが欲しいという場合。
ストーリーモードでは新規キャラの作成および入れ替えができず、加えて高レベルのグリモアはそのキャラに振ったスキルポイントが低いとなかなか出ない仕様のため、
[誰かをその職業に転職→十分に育てなおす→狙ったスキルが手に入るまで戦闘→元の職業に転職→再び育てなおす]という非常に面倒な手順が必要になり、レベル差も開いてしまうため扱いが難しい要素である。
強スキルについて
一部のスキルが強すぎる。調整が施された一方で強力すぎるものもやはり存在する。
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例えばガンナーのアクトブーストというスキル。
これは「使った次のターン、選んだ行動を2連続で行う(スキルLv10以上で3連続に)」という非常に強力なもの。
しかもアクトブースト後の連続行動全てに各種強化とブースト(ゲージを消費して選んだスキルのレベルを一時的に上げる)が乗るため、尋常でない瞬間火力が出せる。
そのためこのスキルのあるなしで総ダメージ量に大きく差がついてしまう。
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序盤にフレドリカを転職させて第六層で後悔する、ということもあるかもしれない。なおガンナーはストーリー限定職業である。
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パリングなどの攻撃無効化系のスキルも、1発目の無効化は100%(2発目以降は確率)であったり、毎ターン連発可能なのも相俟ってやや強力過ぎるきらいがある。
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ゲーム後半になると攻撃+厄介な状態異常付与をしてくる敵が増えるのだが、いちいち回復して状態異常を回復するよりも無効化スキルを連打すれば完全にシャットアウト可能なので、回復スキルや防御バフなどの出番が減りやすい。
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職業スキルより敵スキルの方が攻撃範囲・追加効果に優れるものが多く、アルケミスト自身の術式の出番があまりない。
ストーリーモードの優遇
先にも述べたが、今作はストーリーモードの「キャラクター・ストーリー性」が大きな新要素であり、それに伴いパーティ編成も固定的である。
それに囚われずに、従来通りの楽しみ方が出来るのがクラシックモードのはずなのだが、結局下記の理由で「クラシックからではなく、ストーリーからの1周目を強制させられる」結果となってしまっている。
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新規追加されたダンジョンはクラシックモードには登場しない。当然そこに出るモンスター、追加ボスも登場せず、それらが落とす素材とそれから作る装備も手に入らない(よく言われるのが最強の刀・天羽々斬)
このため「図鑑をすべて埋める」「宝箱をすべて取得する」等の称号も、ストーリーだけで手に入る称号がクラシックモードのみでは獲得不可能。
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新職業「ハイランダー」「ガンナー」をクラシックで使うには、まずストーリーモードをクリアする必要がある(転職先として選択できるようになる)
これらの要素を解禁したい場合、結局はストーリーモードもクリアする必要があるのだが、一度ストーリーをクリアして加入してしまったストーリーメンバーはギルドから二度と除名できなくなってしまうため、
自分だけのギルドを結成して冒険したい(従来のシリーズに沿ったキャラメイク重視のプレイをしたい)人にとっては上に挙げたストーリー限定要素を犠牲にしなければならなくなってしまう。
その他、ギルド名は両モード共通で二度と変えられないことなども不満点として挙がる。
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追加NPCとストーリーの固定キャラ以外の立ち絵が、ほぼ全て初代からの流用。ストーリーで最初のミッション攻略時にパーティに加わるNPCに至っては、戦闘時のイラストまで初代の立ち絵を流用している(『IV』では共闘するNPC全員に立ち絵とは別の戦闘時用イラストを用意していた)。
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また、クラシックのキャライラストでも、シリーズ3作目から導入されていた色違いの立ち絵(Yカラー)などが導入されず、クラシックのみだとあまり新規の描き下ろしイラストが見られない点も、リメイクとしてはやや味気ないという声も挙がった。
その他システム面の不備
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進行不能レベルのバグはないものの、戦闘システム関連のバグと誤字脱字が多い。バグはスキル・属性に関するもの、消費アイテムの無限増殖など。
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モンスター図鑑の説明文に、そのモンスターの条件ドロップのヒントが記載されるようになった。それ自体は遊びやすく改善された点といえるが、ヒントをねじ込んだために不自然な説明になっている箇所も目立つ。
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「石化の術が危険なので、逆に石化させてしまうといい」など前後の脈絡が無いものや、斬属性が効かない敵に「針を切り落としてしまうといい」とアドバイスするものなど。
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ギルドカードに表示される項目には後半のネタバレも含まれてしまう。
総評
スキル・職業の仕様やマップが大幅にリメイクされ、さらに明確なストーリーとPCを付けることで生まれ変わった『新・世界樹の迷宮』
グラフィック及びBGMは高水準であり、原作のFM音源版を楽しめるなどの配慮もある。
難易度としてはややピーキーさはあるものの、ゲームバランスも決してシリーズに劣るものではない。
しかし、パーティ固定・転職・グリモアシステムなど新要素同士が多少攻略を不自由にしてしまっている面があり、とくにグリモアシステムが扱いにくいという批判が多く挙がってしまった。
また、クラシックモードがストーリーに比べて出来ない事が多かった点も、同様に批判されることが多い。
ゼロから作り出された作品として見れば十分に遊べるゲームなのだが、新要素についての旧来のシリーズファンからの反発、リメイクであるとされたクラシックモードの扱いが悪い事などから、どうしてもナンバリングや原作と比較されることが多く、賛否の激しい作品となっている。
余談
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旧作で超執刀カドゥケウスからのスターシステムで登場していたキタザキ医師が勤めていた施薬院の機能は、今作では宿に移された。 先生及び施薬院の存在は、宿の主人のセリフからうかがえる。
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本作では状態異常の付与に関わるステータスがLUKではなくTECとなっている(おそらく初代の再現と思われる)
最終更新:2023年06月17日 11:30