【けっせん】
ジャンル | リアルタイムシミュレーション | ![]() ![]() |
対応機種 | プレイステーション2 | |
発売・開発元 | コーエー | |
発売日 | 2000年3月4日 | |
定価 | 6,800円(税別) | |
セット |
決戦&決戦II スーパーバリューセット 2001年03月29日/12800円(税別) |
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廉価版 |
コーエー定番シリーズ 2004年10月14日/1,680円(税別) |
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レーティング | CERO:全年齢対象(*1) | |
判定 | なし | |
ポイント |
歴史愛溢れるストーリー 高い自由度と高品質のグラフィック 女体化した真田十勇士 内容は非常に薄い 攻略本が説明書がわり |
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コーエー歴史SLG作品 |
コーエー製PS2ローンチタイトルであり、豊臣秀吉死後に起こった関ヶ原の戦いから大坂夏の陣までを描いた戦術級のシミュレーション。
コンセプトは「ゲームと映画の融合による、新しいエンタテインメントの実現」となっている。
プレイヤーは東軍もしくは西軍の大将となり、部隊の布陣や策略の設定、そして合戦中の行動を指揮して勝利を目指す。
ローンチタイトルであるがグラフィックは当時としてはかなり高水準であり、PS2のグラフィック性能に対する実験的作品でもある。
制作の陣頭指揮を執ったのは、コーエー(旧:光栄)の創業者で『信長の野望』の生みの親でもある襟川陽一氏。
襟川氏はこの頃既にコーエー社長として経営に専念しておりゲーム開発から離れていたが、本作を機に社長を辞任(会長に就任)し開発現場に復帰している(*2)。
シナリオや音楽、時代考証にはNHK大河ドラマにかかわっている人物を採用しており、ゲーム版大河ドラマと言える作品。
+ | ネタバレ |
+ | 本作の猿飛佐助と霧隠才蔵 |
モーションキャプチャーを活用することによって実現した優れたモデリングに加え、当時としてはトップクラスのグラフィックを誇り「ゲームと映画の融合による、新しいエンタテインメントの実現」というコンセプトは一応果たされたと言える。
同年8月に発売された『真・三國無双』とあわせて「ある程度史実をもとにしながらド派手にぶっ飛んだデザイン」という路線は批判もあったもののそれなりに受け入れられたことから、これ以降のコーエー作品はこの路線に沿ったものが多く、その路線を確立したゲームの1つとしてもその意義は大きい(*38)。
しかしながらローンチタイトルであることを抜きにしてもゲームとしての内容は薄く、難易度のあまりのヌルさも相まってせっかくの自由度の高さも生かされずじまいとなった。
加えて全編マスクデータだらけであり、自由度を生かすための基礎情報さえ攻略本を買わないとほぼわからないのはさすがに問題である。
こなれていない仕様や謎仕様も多く、良くも悪くもPS2時代の「映像偏重」路線にはまってしまった感は否めないゲームではある。
しかしその映像は秀逸であり、キャラの魅力や歴史愛にあふれる演出やストーリーに加えて、基礎知識さえあればかなり自由にいじれるという楽しさから、今でも「傑作」と呼ぶファンは多い。
*1 廉価版で付与されたレーティングを記載。
*2 後にコーエーテクモホールディングス設立を機に社長職に復帰している。
*3 ゲーム内では政略と呼んでいるが、パート名と紛らわしいので便宜的に調略としておく。
*4 当時の軍はそれぞれの武将がそれぞれの領地から兵を集めて参戦しているので当然と言えば当然である。なお、徳川家康とその家臣団、宇喜多秀家とその家臣の明石全登というように、主君と家臣が兵を分け合っているケースはあるが、このケースでも兵数は変更不可。
*5 もっとも、出陣しない武将ともこれらは共有で、兵科を変更することで出陣しない武将の部隊から持ってくることも可能。現実的には極端な編成をしなければ足りなくなることは序盤を除きまず無い。
*6 特殊戦術を使うのに必要なパラメーターで使用すると減少する。時間経過や敵部隊を壊滅させる・一騎打ちで勝利することでも上昇するほか、総大将のみ使用可能な特殊戦術「激励」で任意の部隊の戦意を回復させることができる。
*7 各部隊は兵数が壊滅寸前になると敗走することがある。その場合には追撃するかどうかを選択でき、追い打ちが成功すると敵部隊に打撃を与えて高確率で壊滅させられる。ただし失敗することもあるほか追い打ち後一定時間は命令が出せず、さらに疲労が激増する。
*8 似たような境遇、言動を示す武将に、福島正則の家臣である可児才蔵が居る。
*9 コーエーは結構この手法をやっており、PS3の『ブレイドストーム 百年戦争』でもウィリアム・シェークスピアの作品からキャラデザインを流用している。
*10 敵総大将が特殊戦術で壊滅することは基本的にない。
*11 2014年になって黒田如水が大河ドラマの主役になったこともあって、その息子黒田長政の兜として「黒漆塗桃形大水牛脇立兜」が紹介されることが多いが、このゲームが間違っているわけではなく、朝鮮の役の後に両者がお互いの兜を交換したためである。実際に黒田長政は関ヶ原~大坂の陣にかけて「一の谷兜」をつけて合戦に臨んだとされる。つまりこのゲームの扱いは正しい。
*12 この文句はコーエー公式サイトにそのまま載っているものであり、公式がネタにしている。実際の三成は天衝脇立乱髪形兜であったとされる。このゲームの井伊直政のような角に、信玄のような毛がついた兜である。
*13 何人かの武将は戦闘開始時に槍を披露したりするのだが、明石全登は戦闘開始時に踊る。踊り自体もぶっ飛んでいるが、隅の1人がずれていたりとプレイヤーを驚愕させた。完全にネタである。
*14 本作では上杉景勝がほとんど出てこないこともあってフリー枠で数回登場するのみである。
*15 通称:イカ兜。富士山をモデルにしているのだが見た目はそのままイカのえんぺらである。
*16 このあたりは時代劇の影響も大きい。コストの問題もあって武田信玄や上杉謙信のような「江戸時代以来の紋切り型がある人物」以外の鎧が再現されるケースは、潤沢な予算を持つ大河ドラマでさえかなり稀である。
*17 このほか、より史料や証言が正確になる近代に目を向けると、会津戦争では実際に女性兵が銃兵や薙刀兵として多数参加している。
*18 淀殿の乳母兄弟で、兄の大野治長は大阪の陣における重要人物。ゲームでも史実通り西軍として参戦してくる。実は史実の関ヶ原では東軍所属なのだが、今作では西軍の予備武将として出てくる。明らかに史実と異なっているケースはこのゲームでは珍しい。
*19 江戸冬の陣で敗戦した場合三成が戦死するのだが、その際に毛利はともかく宇喜多を差し置いて真田幸村が大将になるのも、不自然と言えば不自然ではある。
*20 「箱根死守戦」では東軍が勝利した場合には西軍の宇喜多秀家が戦死、西軍が勝利した場合は東軍の細川忠興が離脱するという具合。よって細川もこれ以降登場しない。「関ヶ原の戦い」ではムービーにも結構出ていた人物であり、こちらもやはり違和感がある。
*21 ムービーで出番があるわけではないが、配下の九州軍で加藤清正だけは、東軍劣勢ルートでのみ最後まで家康に力を貸してくれる。
*22 このあたりもやはり前述の「離脱する可能性がわずかでもある武将はムービーに出せない」ことに起因していると思われる。
*23 全ステージに参戦するのは全武将で徳川家康のみ。
*24 逆のケースとして、島津豊久は「関ヶ原の戦い」以降ずっと出てこないのだが「江戸冬の陣」ルートの「関ヶ原決戦」でのみ突如復活参戦する。
*25 さすがに回数増加した次の大合戦でいきなり出てこないということはないが…。
*26 特に西軍の場合、控え武将の中には高難易度になるとほとんど言うことを聞かない武将が混じっている。後述するように立場バーが機能していないためゲーム内で使ってみるまでわからず、地雷である。
*27 ただし、接近戦に弱くなる・使える特殊戦術が減るといったデメリットがあるため、運用方法を間違えると逆効果になりかねない。
*28 両者とも低難易度で圧倒的有利になるとある程度動いてくれる。最高難易度ではまず無理。
*29 一応、撤退してしまうことでどんな状況であろうとも無理やり負けることはできる。これを利用して相手を寝返らせながら負けていくことも可能。
*30 本来「部隊数で圧倒的不利な東軍が多数の西軍の攻撃を耐えながら援軍を待って巻き返しを図る」というシナリオなのだが、高難易度の場合味方の援軍は一向に到着しないかわりに西軍の援軍がどんどんやってくる…という状況になる。
*31 レーダーチャートの頂点がわかりにくいことも大きい。さすがに80と100くらい差があるとかろうじてわかるが。
*32 しかも、終盤になっていつの間にか使えるようになっているという具合のため、知らないとまず見逃す。
*33 一応、使用後に敵の戦意の数値が下がったことが表示されるが初見では分かりにくい。
*34 「播磨決戦」で東軍が勝利すると次の合戦は「瀬田攻防戦」になるが、これは「家康と高虎2部隊のみで援軍を待つ」というシナリオのため、もしここで西軍に寝返ってしまうとシナリオが破綻してしまう。
*35 本作のムービーでは完全に西軍側の武将として動いている島津なのだが、西軍編を高難易度でプレイした場合、関ヶ原の戦いではほとんど動いてくれなくなる(関ヶ原以外では非常に従順)。史実での島津は東軍に合流できなかった結果仕方なく西軍についたという経緯があり、関ヶ原では石田から要請があっても全く動かなかったためであるが、軍議で「この布陣でごわしたら、敵を打ち破れもそう」と言っておきながら動かないので若干違和感はある。なお、命令拒否のセリフ「馬上のまま伝令とは無礼!帰れ!」もちゃんと伝説由来。以下やや余談ではあるが、史実における関ヶ原の際の島津の兵力は「1000から1500程度」という説と「3000程度でしかも東軍と交戦した」との2説がある。このゲームの関ヶ原では固定枠の島津義弘が1500を率いており、自由参加枠の島津豊久が1000を率いているという具合。そして島津豊久は高難易度でもそれなり戦ってくれる。芸が細かい。
*36 加藤嘉明配下の鉄砲大将。史実では関ケ原での命令違反を機に離反した後、大阪夏の陣に西軍として参陣し戦死している。鉄砲大将らしく遠距離戦が得意で戦闘力もなかなか高いが、史実を反映する形で立場パラメータはどっちつかずで、知謀もかなり低い。
*37 東軍は中盤以降は不戦状態にすらならない場合が多い。
*38 なお、デザイン的な系譜で言えば1997年『三國無双』ですでにその傾向があったのだが、PSであるにしてもグラフィックはしょぼく地味であったうえ、ゲームとして全く注目されずに終わったことから、これをもってこの路線が確立されたとは言い難い。
*39 開戦前にダンスしたり、登場人物が女性化していたり、変な性格だったり等。
*40 2018年に10代目の松本幸四郎を襲名したため、現在は同氏の息子が8代目の市川染五郎を名乗っている。
*41 他には『FabStyle』に大東駿介氏やミッツ・マングローブ氏、テクモ系列も含めれば『仁王2』に竹中直人氏が出演しているぐらい。また、声付きではないが『ウイニングポスト』シリーズには今村聖奈氏や武豊氏が実名で登場している。
*42 今作登場した武将やオリジナルキャラ、幻影で登場した信長も同キャストで登場している。
*43 『鬼武者』の場合は「幻魔と契約する以前は人間らしい一面もあった」とされているが、『戦国BASARA』に関しては正真正銘の極悪非道な暴君として描かれている。