真・三國無双4
【しんさんごくむそうふぉー】
ジャンル
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タクティカルアクション
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対応機種
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プレイステーション2 Xbox
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メディア
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DVD-ROM 1枚
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発売元
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コーエー
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開発元
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コーエー(オメガフォース)
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発売日
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【PS2】2005年2月24日 【Xb】2005年8月25日
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定価
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通常版:6,800円 TREASURE BOX(PS2のみ):12,800円 一騎当千パック(PS2本体(SCPH-70000)とのセット):24,800円 ※全て税別
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プレイ人数
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1~2人
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セーブデータ
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【PS2】150KB以上 【Xb】不明
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周辺機器
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【PS2】PlayStation BB Unit 対応(HDDインストールのみ)
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レーティング
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CERO:12歳以上対象
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コンテンツアイコン
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セクシャル・暴力
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廉価版
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PlayStation 2 the Best:2006年10月12日/3,980円 同・価格再改訂版:2009年11月26日/1,980円 ※全て税別
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配信
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【PS2】PS2アーカイブス:2013年5月15日/1,429円(税別)
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判定
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良作
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無双シリーズ
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概要
コーエー(現・コーエーテクモゲームス)より発売された、『真・三國無双』シリーズ4作目。
本作から新たに曹丕・龐徳・凌統・関平・星彩・左慈の6名が追加され、これによって本作の使用可能武将数は48人とそれまでのシリーズ最大数となった。
シリーズ前作である『真・三國無双3』が猛将伝で多少の改善を見せたとはいえ、練り込み不足が原因で多くのユーザーの反発を受け、その煽りで本作も不安視する意見もあった。
その一方でシリーズを通じての難点であった処理落ちやステルスの問題に対応するための描写エンジンの強化、“生きざまを、武器にしろ”のキャッチコピーに違わない、武将それぞれの生き様にフォーカスを当てた無双モードなどの要素に期待を寄せる意見も少なくなかった。
特徴・新要素
無双モード
『3』では勢力単位で描かれた無双モードは、再び武将それぞれにストーリーが用意され、そのほとんどがそれまでの作品に比べて原典となる『三国志演義』に非常に忠実なステージ構成となった。
前作までは居ないはずの武将が登場している、女性武将が本来の武将を差し置いて登場しているといった点が不満点として挙げられていたが、本人のストーリー以外では一切登場しなくなり、雰囲気が『三国志演義』にぐっと近くなった。
一方で、典韋を始めとした史実・演義において早々に戦死などして退場してしまう武将や、そもそも戦場に立たないような女性武将などに関してはIFストーリーが展開される。
その上で本作では、大半のステージの準備画面前に武将の心情やその時の情勢などを語る独白と、次の戦いの総大将または所属する勢力の君主からの説明台詞、リザルトはマップリプレイの代わりに総大将による総括台詞が挿入され、キャッチコピーの通りに武将の生き様や歩みというものに強く焦点を当てたシナリオを演出するようになった。
武将ごとの無双モードのステージ数は基本的に1武将あたり5ステージで、他勢力の武将は1つ少ない4ステージ、君主や左慈など一部の隠し武将は8ステージの長丁場になっている。
新描写エンジン
描写エンジンが改良されたことにより、敵が数多く群がってもほとんど処理落ちもステルスも発生しなくなった。
シリーズを通してついて回っていたパフォーマンス問題を払拭出来た事は非常に有意義であったと言える。
新拠点システム
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長いのでクリックで展開
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新登場の拠点
新しく「攻撃拠点」「防御拠点」「補給拠点」の3つが登場。
進入拠点と違い、ステージの端ではなく建物として設置されている。
拠点を守る拠点兵長を倒すことで拠点を陥落させることができるが、この際に敵全軍の士気を僅かに下げると同時に、他の拠点を混乱させて一時的に機能停止させる。
ステージによっては最初はどの陣営にも属さない中立拠点となっていることがあるが、その場合の拠点は最初に足を踏み入れた武将の所属する陣営のものになる。
拠点
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概要
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攻撃拠点
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拠点の作りは木で作られた簡素なもので、門が存在しないため侵入・通過も容易。 その代わり、この拠点に設置された巨大な弩または投石機が周囲の敵に攻撃してくる。 拠点兵器はたとえ味方のものでも当たると大ダメージを受ける。 拠点を守る兵士は皆軽装で双剣を装備し、攻撃頻度・速度が高く、一斉に無双乱舞も繰り出すこともある。 拠点兵長を倒すと攻撃力アップの剣アイテムを落とす。
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防御拠点
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石造りの堅牢な砦で、四隅の塔上に弓兵が配置されている。 敵が近付くと門を閉ざして行く手を遮るが、門前に居る門兵長が倒されると強制的に開門となる。 味方の防御拠点にいる時にも敵が近付くと門が閉まってしまうので出られなくなってしまうが、 その場合は門の近くに脱出用として置いてある足場を利用する事で拠点から出られる。 拠点を守る兵士は皆重装備で、こちらの攻撃をガードしてくる。 拠点兵長を倒すと防御力アップの盾アイテムを落とす。
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補給拠点
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防御拠点と類似した作りの拠点。門の存在も同様だが、拠点を守る兵士は普通の野戦兵士と大差ない。 その代わり拠点に武将が侵入すると、一定時間おきに拠点内の仲間全員にアイテム効果で強化・回復をする。 これは味方の補給拠点でも同じで、プレイヤーが味方補給拠点内で敵将と戦闘していればサポートしてくれる。 また拠点から補給物資を届けるという形で、友軍の士気を徐々に上げ続ける効果があるため、戦略的な意義が最も大きい拠点であると言える。 難易度「修羅」でなければ、拠点兵長を倒すと体力と無双ゲージを完全回復する華陀膏を落とす。
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進入拠点の仕様変更
マップの出入り口として配置されている進入拠点は、本作から制圧後に自軍のものへと変更され、奪い返される可能性のある争奪形式になった(『3 Empires』以降と同様)。
それに伴い、故意に奪わせて繰り返し制圧する行為への対策としてか、拠点兵長のドロップアイテムが老酒(無双ゲージ全回復)に替えられた。
前述した新登場の3種類の拠点は従来どおり、陥落させると消滅し、再利用することはできない。
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新アクション・武器システム
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長いのでクリックで展開
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一部のチャージ攻撃とジャンプチャージの変更
「チャージドライブ」であったチャージ5は新たに「チャージシュート」に変更された。
追撃がなくなった代わりに、攻撃範囲が広く、見た目も派手な技となっている武将が多い。
前作では(一部を除き)地面に武器を叩きつける攻撃だったジャンプチャージも武将ごとに固有となり、複数の敵を打ち上げてのラッシュ攻撃や衝撃波を放つなど、強力な技を修得した武将もいる。
地面に武器を叩きつける動作のままの武将も多いが、この場合もモーション・当たり判定などの性能が変更されて個性化が図られており、その大抵は使いやすくなっている。
『3』で存在していた「投げ技」はすべて別の技に差し替えられた。概ね削除された「名乗り」に近いアクションになっているが一部突進系に差し替えられた武将もいる。
チャージ6で衝撃波を前に飛ばす武将が非常に多かったが、そのすべても差し替えられた。
夏侯惇や姜維のように連撃を加えるようになった武将、典韋や董卓などチャージ4の強化版と言える周囲を攻撃する武将もいるが、単に衝撃波が飛ばなくなっただけのモーションになってしまい、一見では弱体化したように見える武将もいる。
無双覚醒
R3で発動する共通特殊アクションは「無双覚醒」という自身を強化するシステムに変更された。
無双覚醒は戦闘中、「覚醒印」というアイテムを入手することで一度だけ使用可能となる。
無双覚醒によって、一定時間得られる効果として下記のものがある。
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発動時に殆どの動作をモーションキャンセル可能。
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攻撃力・防御力が倍になる。(それぞれ一時強化ドロップアイテムである攻撃力倍増の戦神の斧、防御力倍増の戦神の鎧と効果重複)
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敵の通常攻撃で一切のけぞらなくなる。
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攻撃モーションは後述の武器重量に関係なく、軽いもの以上に高速化。
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発動時に無双ゲージを満タンにする。さらに効果中の無双乱舞が残りの体力に関係なく真・無双乱舞に変化。
覚醒印は親衛隊長・武将などステージごとに特定の敵を倒した時に落とす他、戦場にある木箱から見つけたり、第四武器を装備していれば100人撃破するごとに入手出来る。
覚醒印は複数個のストックが不可能で、既に覚醒印を所持している場合および無双覚醒の効果中は覚醒印に触れても入手出来ない。
また、この無双覚醒はプレイヤー操作武将だけではなく、ハイライト戦闘など一部の敵武将が使ってくることもある。
エボリューション攻撃
マークの付いた第三・第四武器を装備し、無双ゲージが満タンの時に限り、最大6発までだった通常攻撃が最大9発まで拡張されるようになる。
武将によるが基本的に通常攻撃5から再び通常攻撃1~チャージ4のモーションで攻撃。技や重量にもよるが、途中の攻撃も範囲と速度が強化され、浮かせたまま一方的に攻撃するのに使える。
なお、チャージ攻撃の方は従来までの6種類から変更は無く、エボリューション攻撃の途中にチャージ攻撃を組み込むことは出来ない。
武器重量の概念の導入
本作では全ての入手する武器に重量の概念が追加された。
「軽い」「普通」「重い」の3種類あり、軽い武器は攻撃力が減少してしまうが攻撃モーションが素早く、逆に重い武器は攻撃力が増加する代わりに攻撃モーションが鈍重に、普通の武器はどちらも従来通りの性能になる。
なお、第四武器の重量は追加効果と同様、武将毎に固定されている。
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その他仕様変更
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長いのでクリックで展開
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敵無双武将との邂逅・敗走ムービー削除・一騎討ちの廃止
今までは敵の無双武将(プレイアブルキャラクター)と遭遇すると邂逅ムービーが、撃破すると敗走(戦死)ムービーがそれぞれ挿入されており、テンポを悪くする要因にもなっていたのだが、本作ではこういった状況でのムービー挿入が基本的にはなくなった。
例外的に、主に史実や演義における戦いで大きな活躍をした敵武将や、無双モードの最終ステージにおけるほとんどの敵総大将と遭遇した時のみ、邂逅ムービーが挿入される。
これはその武将との戦いが「ハイライト戦闘」となっている事を示している。
ハイライト戦闘の主役となる敵武将はハイライト武将と呼ばれ、オーラエフェクトをまとって大きく強化されている他、本作では一時アイテムの能力強化や前述の無双覚醒も特定条件で使って来るため、文字通り難易度的にも山場となる。
ハイライト武将から一定以上離れると戦いから逃げたものとみなされ、自軍の士気が下がる。
弾き飛ばしの連鎖ダメージを削除
チャージ4やチャージ6の多くは、敵を弾き飛ばし、衝突した他の敵味方を巻き込んでダメージを与える効果があるが、本作からは弾丸になったキャラにぶつかっても吹き飛ばされるのみでダメージは受けなくなった。
NPCの無双乱舞予備動作追加
以前の作品では、プレイヤーと同様に予兆無し・プレイヤーの攻撃コンボ中にも割り込んで使われることがあった無双乱舞が、動きを止めたNPCの体に赤いオーラが走るという演出をはさまなければ出せなくなった。
この際、通常攻撃ではひるむことはなく、動作を止めさせるにはチャージ攻撃か乱舞を当てなくてはならない。
プレイヤーの能力値に応じた敵の能力補正の廃止
これまではプレイヤーが攻撃力・防御力を上げると敵の防御力・攻撃力と弓攻撃力なども連動して上がってしまい、味方NPCが相対的に弱体化したり難易度がむやみに激化する遠因になったりとバランスの悪化を引き起こす影響があった。
特に『戦国無双』の反省を受け、今作からこのような補正は行われなくなり、気兼ねなく能力値を伸ばして高難易度に備えることができるようになった。
騎乗中モーションに無敵付加
馬に乗る途中に敵の攻撃を一時的に喰らわない状態になり、敵の攻撃で邪魔されにくくなった。
護衛武将
今までの作品にあった護衛兵システムが一新され、本作ではひとりの「護衛武将」を引き連れて戦いに挑むことが出来るようになった。
護衛“武将”であるだけあって、レベルを最大まで上げるとNPC一般武将や無双武将にも匹敵するほどの成長を遂げる。
本作では戦闘に勝利した時に護衛武将が仕官してくることがあり、その時の水鏡(司馬徽)の人物鑑定はその護衛武将の成長力を大まかに掴めるものとなっている。
護衛武将は剣・槍・弓・弩・杖・羽扇のいずれかの武器を使用し、一部の武器には特殊なアクションもある(例えば「羽扇」の回復能力など)。また戦いの中で武勲を積ませて階級が上がることで特技を修得する。
なお、護衛武将の名前・得意武器は元々用意された候補からランダムで選出され、モーションも武器ごとに統一されている。
属性について
本作では4つの属性が存在。基本的に特定のチャージ攻撃にその効果を発揮するようになっている。
プレイヤーは、対応した属性玉を装備することで、特定チャージ攻撃に追加効果を得ることが出来る他、一部武将のチャージ攻撃には装備などにかかわらず、必ず一定の属性が付与されているものがある。
玉名
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属性
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効果
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炎玉
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炎
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対象が浮いている間、追加ダメージを与える。 真・無双乱舞や呉・他勢力の一部武将等、固定付与で発動する機会が比較的多い。
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氷玉
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氷
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一定確率で、地上の敵を氷漬けにして動けなくする。凍結した敵への与ダメージは増加する。 魏の一部武将はこの属性がつく技を持っている。
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陽玉
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陽
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この属性が付いた攻撃はガードする事が出来ない。また、PS2版のみごくわずかに与ダメージが上昇する。 蜀の一部武将はこの属性の技を持つ。
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陰玉
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陰
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下級兵卒は一定の確率で一撃死、敵武将には防御力に影響されない追加ダメージを与える。 その代わり属性効果が発生した(雑兵の即撃破判定が行われた)時点で、無双ゲージは強制的に0に戻る。 周泰と曹丕の一部の攻撃だけ固定で付与。
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これまでよりも数を減らしたが、その多くは武将によって相性こそあれ、しっかり使えるようにはなっている。
…のだが陰属性に関してはデメリットが大きすぎる(これに関しては後述する)。
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評価点
新描写エンジン
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これまで処理落ちやステルスなどに悩まされ続けてきた無双シリーズにおいて、それを払拭することが出来たのは非常に大きい。
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それでいてキャラクターの数は多く出るので、無双シリーズの根底にある「一騎当千の爽快感」…圧倒的な力で無数に群がる敵を薙ぎ倒す爽快感は非常に強く得られるようになった。
戦闘システムの調整
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弾き飛ばしによる連鎖ダメージがなくなったことで、彼方から弾き飛ばされてきた味方に突然圧殺されたり、味方を巻き込んで殺してしまったりと言った事故や理不尽を解決した。
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ちなみに弾丸となったキャラはガード不能なうえ、見てから避けるのも難しく(そもそも乱戦で見えないこと多し)、敵味方問わず武将にまとわりつく兵士は危険因子だった。
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一方、ダメージは発生しないものの一緒になぎ倒されるということは変わっていないため、広範囲攻撃で複数の敵を倒しにくくなり、一気になぎ倒す爽快感が減ってしまった。
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馬に乗る際に無敵をつけただけでなく、その際に敵が攻撃をためらうようになり、スムーズに騎馬できるようになった。
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割と長い無敵なので、敵の攻撃を見てから騎馬移行無敵でかわすという芸当も生まれた。
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プレイヤー以外の無双乱舞に予備動作が入ったことで、こちらの通常攻撃を見て乱舞、こちらの通常攻撃を食らっているときに乱舞といった理不尽がなくなった。
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この要素は本シリーズでは『6』以降は無双乱舞側の仕様変更に伴い鳴りを潜めることになったが、他シリーズである『戦国無双』だけでなく『北斗無双』などの次世代機シリーズではしっかりと継承されている。
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事実、『無双OROCHI2』ではこの予備動作の仕様が廃され、『戦国無双』&『無双OROCHI』シリーズオリジナル武将の無双奥義の仕様が『3』以前のような仕様に戻ったことで、事故死の確率が跳ね上がるという問題点を生むことになった。
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真・無双乱舞の上方修正
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真乱舞は〆のモーションが一新され、広範囲を衝撃波で薙ぎ払うものが多く全体的に強化されている。衝撃波の種類は少なめなため、武将間での既視感が強いが、前作の使い辛さを考えると仕方がないか。
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また、真乱舞の〆で無双ゲージを消費するタイミングが攻撃判定が出ているときのみに軽減され、短押しによるゲージ節約が意味を持つようになった。
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前作と違い炎属性も有効なダメージソースとして機能するようになり、例外はあるが使いやすくなっている。
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他にも、『3』では非常に少なかった無双ゲージの増加量が『2』ほどではないが上昇したりしている。
NPCの行動傾向を変更
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前作まではダッシュ攻撃や、ジャンプチャージなどを唐突にしてきていたがそれがなくなり、出会い頭にこちらを囲むような動きをとるようになった。囲もうとしている間は無防備であることが多く、出会い頭の面倒くささがなくなった。
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また、今作からこちらがガードしている間、敵が自発的に通常攻撃をしてくることが殆ど減った。そのためプレイヤーも安易な弾き返しゲーにはできなくなった。
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『3』の場合は猛将伝で改善は見せたが、無印の段階では敵があまり集まらないように敵兵部隊があちらこちらを遊撃していたりといったこともあった。
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敵兵は基本的に数人のグループを組んで行動するのだが、その全員が一斉にチャージ攻撃やジャンプ攻撃を出すことがある。
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散発的で唐突だった以前に比べ、対処のわかりやすさや兵の統率がとれた動きの演出といった様々な点の改善に寄与している。
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目立った所でのこれらの要素がバランスよく噛み合ったことでプレイ中のストレスを出来る限り削ぎ、圧倒的な強さで敵を薙ぎ倒す爽快感を得られるようなゲームデザインを確立している。
無双モード
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前述の流れで進むためにやや冗長な感もあるが、今までの作品ではあまり描かれることのなかった武将毎の心情などに深くスポットが当てられているため、従来作以上に感情移入が出来るようになった。
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ただ、流石に48名分のシナリオがあるために個々で見た時の内容が若干駆け足気味になってしまう面も否めず、武将の独白やその後の戦況説明で途中の戦いを済ませてしまったりという面も散見される。
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武将毎の固有エンディングはシリーズ中では本作が初めて。
良質なサウンド
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前作のBGMは中華楽器を多用したリアル調の曲が多く、重苦しい雰囲気の曲も目立った事で非常に賛否が割れていた。
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本作のBGMは中華楽器の多用は変わらないものの、曲調でいえば『2』の路線に近いものとなり、好意的に見る意見が非常に多い。
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無双モードにおける武将の独白画面で流れるBGMは武将の立ち位置や性格に応じて4曲あり、血の気の多い猛将には熱いBGM、落ち着いた雰囲気の武将にはゆったりしたBGM、内面に抱え込む物がある武将にはどこか哀愁を誘うBGMなど、武将のイメージに合った曲が採用されている。
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戦闘BGMでは合肥の戦いの「GREAT RED SPIRIT」などがその手の話になるとよく挙がる曲である。
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オプション画面のBGM「MEMORIES」も人気が高く、この曲をバックに武将事典を閲覧していると三国時代に散っていった数多の武将たちの生き様が目に浮かんでくるだろう。
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本作では『三國志VIII』に参加し『3Empires』のOP曲も提供したプロの作曲家、長谷部徹氏が書き下ろし・『2』楽曲のアレンジともに楽曲を提供している。
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『2』の路線を強く残すテクノ風デジロック系統の楽曲は長谷部徹氏が主に担当した楽曲が多く、そのためかそれらは後作に再録されていない。
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さらにヒット音を除いた全ての効果音も一新されており、音質面は間違いなく全体的に強化されたといえる。
武器のシステム
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『2』や『戦国無双』シリーズに近いシステムは、やはり収集という要素では飽きが来にくくなるシステムで、より良い武器を厳選し集めるという楽しみがある。
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本作はこの上で武器をランク問わず4つまで自由にストックできるため、ステージによる使い分けなども行い易くなった。
育成環境の改善
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育成自体は繰り返しの作業プレイを強要されるとはいえ、『3』と比べれば格段に楽になっている。
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前作に比べ育成に有用なステージ(特に防御力)の追加。
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剣アイテムや盾アイテムと同じように、体力と無双ゲージの最大値をそれぞれ10増加させるアイテム「点心(体力)」「于吉仙酒(無双ゲージ)」も、上位難易度ステージではそれぞれ最大値+20の増加「大点心」「南華仙酒」に変更される。
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また「点心」「大点心」は「最低でも1ステージ1人ずつ設定される、特定武将を撃破した時にドロップ」に変更されたため、さほど意識して探さずとも体力を上げやすくなっている。
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無双ゲージは伸ばさないことにも利点があるためか、「于吉仙酒」「南華仙酒」は「特定地点の壷に隠されたアイテム」のまま。
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武将を一定以上のコンボ数で撃破すると、出現する剣および盾のアイテムランクが上昇する効果が復活している。残念ながら1ランク分しか上昇させられない『2』仕様であるが…。
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装備アイテムも過去作に比べればLvMAXが出やすくなっている。隠しアイテム・武器も含め、アイテム収集のやりこみに関しては難易度「難しい」までで済む仕様になっている。
問題点・不満点
対戦・修羅・エディットの各モードが無くなってしまった
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元々対戦に向いているゲームではないが、特に対戦モードは過去作の『2』・『3』では多数のステージを用意するほどの練りようだった。それが本作で突如無くなってしまったため、疑問の声も挙がっている。
属性・兵士の種類の減少
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前作では毒属性などの属性と弩兵や妖術師など多くの種類の兵士が登場したが、今作では属性は4つだけになり兵士も通常の兵士以外は女蛮兵や藤甲兵程度になってしまった。
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確かに一部はゲーム的すぎる側面もあるかもしれないが、本シリーズの持ち味の1つと言えるだけに残念なところ。なお、この傾向は次回作以降さらに強まった。
無双モードのシナリオの内容
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確かに武将それぞれの生き様を描いていると言える内容なのだが、ひとりの武将あたり4~6(多くても8)というステージ数では流石に足りないため、展開が駆け足気味であるのは前述したが、それ以外にも中途半端な終わり方をするものも少なくない。
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今までの作品は最終ステージのクリアで所属している勢力が三国統一するという流れに纏められていたが、本作では最終ステージをクリアしても「戦いはこれからも続く」という終わり方を見せる武将もいる。
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例えば関羽は樊城の戦い(本来ならば敗戦して戦死)が最終ステージで、これをクリアすると樊城を守り抜いて関羽・張飛共々生存して仲良く城を警備するエンディングとなる。
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ちなみに、こういった内容のシナリオでも最終ステージで撃破した敵武将は一部を除いて皆戦死となるため、違和感を覚える者もいたようだ。
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これはやはり相当批判意見があったのか、『5』では再び最終ステージのクリアで三国統一に至るストーリーに回帰したが、こちらはこちらで別の問題も発生してしまっている。
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余談だが孫尚香の結末はあまりにも鬱であり、歴史ベースの創作やアクションゲーム全体を見てもそうはないほど悲しすぎる事で有名。せっかく無双シリーズとしては初めて劉備との関係性が強く描かれたというのに…。
システム面の調整不足
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属性玉に関して、本作での陰玉(陰属性)は『3』までの斬属性が猛威を振った故の調整なのだろうが、無双ゲージ全消費のデメリットが大きすぎてほとんど使い物にならない属性になってしまっている。
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効果自体も弱体化しており即死する確率は100%にはならないほか、即死効果の対象が「兵卒」などの下級の雑魚に制限されている=堅めの雑魚敵が殊更残りやすいためリスクリターンが見合っていない。
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調整の意図はわかるものの、些かやりすぎと言わざるを得ず、これが「修羅」の抗しがたい難度を更に後押ししているのは否定できない。
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今作の武器には「重さ」の設定があり、軽い武器だとダメージが少なく振りが速い、重い武器だと逆になるという要素があるが、これは武器固有で変更不可能。
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ユニーク武器となる第4武器にもキャラ別に設定されているため「本当は能力的に優遇されている第4武器を使いたいが、重量設定とプレイスタイルが合わないので第3武器にするしかない」となってしまう場合がある。
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特に許褚・孫堅の第4武器は軽く攻撃付加もないため、敵に与えられるダメージ量がとても少なく、後述の難易度「修羅」の場合クリアするのにとても時間が掛かってしまう。
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孫尚香・貂蝉・大喬・小喬の第4武器は「重い」ため、元々通常攻撃の範囲が狭く割り込まれやすいうえ、有効なチャージ6までもっていくのに遅すぎるため、かなり使い勝手が悪い武器になっている。
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なお、武器の重さによる振りの速さの変化の度合いは武将ごとに異なる。
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大きいと「軽い」で超高速になる反面、「重い」は極端に遅い。元々の振りが遅い武将に多い。
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小さい場合は「重い」でも通常攻撃の範囲が広ければ割り込まれにくく、チャージ攻撃の発動が遅い程度。「軽い」は実質的に威力が下がってしまうだけのデメリット。元々の振りが速い武将に多い。
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能力値が高い護衛武将の場合、成長して付与される攻撃属性がほぼ氷属性になってしまう。
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氷属性自体は有益な属性だが、敢えて氷属性以外を付けたいプレイヤーは護衛武将の能力を妥協しなければならない。
途中セーブの仕様変更
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本作では戦闘中の途中セーブの仕様が変更され、ゲーム難易度設定によって途中セーブ可能回数に制約が課されている。
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具体的には難易度が「易しい」の場合は無制限、「普通」の場合は3回、「難しい」の場合は1回だけ、「修羅」に至っては途中セーブ自体ができない。
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難易度によるゲームバランス調整の手段としては安直過ぎる上に、この機能自体が特殊条件で取れる第四武器やレアアイテム入手のためだけに用いる機能ではない事が問題。
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つまり「難しい」以上だと途中で止めるに止められない(場合によってはプレイ放棄が必要)ことも起こり得る。そのためバランス調整と利便性のそれぞれの理由から批判意見が挙がっている。
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『5』でもこの仕様は引き継がれているが、流石に遊びやすさを重視した『6』以降はセーブの制限回数も撤廃された。
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なお、制限されたのは途中セーブの回数だけであり、逆にロードを行った後の中断データは公式に消えなくなった。別のステージを遊ばない限りは(ソフト)リセットすれば何度でもその途中セーブした所から再開することができる。
難易度「修羅」
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NPC(特に敵武将や兵士の能力・思考ルーチン)の大幅な強化に加え、回復アイテムが限られた場所の肉まんのみとほとんど制限されている。敵の能力だけで考えても「難しい」のおよそ2倍近くはあると思われるほど。
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一方で、本作の難易度「難しい」は過去作と比べて全体的に易しめである。
このため「「難しい」ならちょっと物足りないが、「修羅」だとゲームバランスがぶっ壊れている」としてその間の難易度を用意して欲しかったという意見が出た。
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その意見を受けてか、『5』では「難しい」と「修羅」の間に「達人」という難易度が設けられた。「修羅」自体の難易度も仕様の変更を受けて、やや下がっている。
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難しいだと数発受けても体力半分も減らずといったものが、修羅だと同じ手数で体力赤(瀕死)になる位。
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限界まで育てても満足なダメージが与えられず、敵の一撃は非常に強力であり、おまけに途中セーブも出来ないとあって、いくら何でもバランスが崩壊しすぎていると批判されている。
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ちなみに、もともとダメージが飛びぬけて大きい落石・攻撃拠点の弩・崩れる櫓は割合ダメージだが、これも一撃で瀕死になる。
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一応、装備時100人撃破ごとに体力を50回復できる「百草丸」や羽扇の護衛武将による瀕死時の少量回復といった手段もあるものの、回復としては心もとない。体力ゲージは黄色の状態(体力半分以下)か、そうでなくても1秒ほどで致死圏内である以上、終始ダメージを避けるというプレイを徹頭徹尾要求される。このモードに関しては爽快感を求めるべきではない。
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中には被弾をしなければいいとの事で、高い攻撃力付加のある武器、場合によっては重い武器まで使用し、防御力を下げ攻撃力を大きく上げる「背水護符」を装備し、「避けゲー」と割り切って隙のない立ち回りをして、高火力で敵をなぎ倒して楽しんでいる人もいるにはいる。
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ちなみに猛将伝で装備アイテムとして、撃破した時に敵兵が体力回復アイテムの肉まんを落としやすくなる「饅頭袋」やチャージ攻撃中にモーションをキャンセルしてジャンプをすることが出来るようになる「飛龍甲」が追加され、幾分かは立ち回りやすくなったものの、根本的な部分はほとんど変わっていない。
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もちろんプレイを強制されるものでもなければ、この難易度でプレイしないと解禁されない要素は一切なく、見返りが「難しい」と全く同じで完全なお遊びの難易度ではある。各種隠しアイテム・武器も全て「難しい」で取れる。
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拾得武器の質に影響するのではという懸念もかつてはあったが、影響がないことが解析から断定されている。
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猛将伝で武将のステータスや武器の付加能力を強化する育成消費アイテムが追加され、その拾得量が難しいの2倍に設定されて、初めて報酬に差がつけられた格好になっている。
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なお、無双モードを完走した場合のシリーズ伝統の伝記エンディングは難易度によって最後の一文が異なるが、「修羅」だとプレイヤーが操作していた武将が神認定される。
ハイライト戦闘
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ハイライト戦闘の敵武将に対してある程度の距離を取ってしまうと「敵前逃亡した」と見なされ、味方全軍の士気が下がってしまう上にその敵武将から罵られるというおまけ付き。
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確かに武将が敵に背を見せるのは恥ずべき事なのかも知れないが、目標地点に向かう上で接触することが避けられない位置にいるハイライト武将でも、近づいて倒さずに離れると容赦なく全軍の士気が下がる上に罵られるため、不愉快だという意見も少なくない。
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一応、士気の高い味方に倒させるなどの方法も取れるが相応に時間がかかる。
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ちなみに、ハイライト武将の側から距離を取った場合でもこれまた士気が下がって罵られることになる…いくら何でもあんまりだ。
アクション面でのマンネリ感・相変わらず悪い武将の性能バランス
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チャージシュートやエボリューション攻撃が追加されたものの、根本的な所は変化がなくマンネリ感が付きまとってしまっている。
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そのため、大規模な刷新を望む声も根強いものとなっていたのであり、『無双OROCHI Z』を経た『5』はこれまでのチャージ攻撃式から「連舞システム」という新システムを用いた攻撃モーションの刷新を試みることになるのだが…。
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そして4作目だというのに未だに無双武将の強弱の格差は大して改善されていない。比較的バランスが良かった『3 Empires』よりも明らかに酷くなっている。
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やたらとC4が強すぎる新武将の凌統や左慈、元が強めなのにさらに強化された呂布や甘寧がいる一方で、過去作よりも強化されてなお相変わらず集団戦に弱い孫策や、『2』や『3』での主力攻撃が削られ大きく弱体化された貂蝉などもいる。しかもこれは本作に限った事ではないが、弱い武将に限って第四武器の取得条件が厳しいことが多い。
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逆にあえて強キャラ・弱キャラを作っているとも考えられるが、力強い猛将に限って実際の性能が大した事ない点が問題である。
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とはいえ本作ではジャンプチャージ・チャージシュートといった多数の新技や無双覚醒など、以前に比べ弱キャラ救済自体が多めになっている(謎の弱体化を施された武将もいるが)。
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小喬や曹仁らの「攻撃モーション中の小ジャンプが空中判定で、防御力関係なく横槍一発で浮かされる」という点が「見た目は空中だが地上判定」の導入で耐えられるようになったのは非常に大きい。
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ただそのチャージシュートやジャンプチャージに関しても強さがまちまちであり、特に本作以降はエフェクトの攻撃範囲やアイテム「真空書」の効きやすさがそのまま武将格差に繋がりやすい傾向が強くなってきている。
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本作ではエボリューション攻撃8段止めを繰り返すだけで永久コンボになるというものがあり、これを救済措置などと捉えるか否かも分かれており、そのようなコンボの扱いもまた歯がゆい問題としてシリーズを通して続いている。
弾き返しの弱体化
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前作『3』では同作で導入された弾き返し(敵の攻撃に合わせてL1+△)への依存度が非常に高い調整だったが、本作では弾き返しの判定の持続が短くなり(武器を戻す動作に判定がなくなった)、また敵の攻撃頻度も落とされたことから、無理して使う必要がなくなった。
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『戦国無双』の受け返しのように産廃というわけでもないし、モーション自体は強化された武将がいたため、カウンター戦法を主体にしていたプレイヤーからは残念がられている。
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全体的にガードや仰け反りの硬直が短くなったので、武将に対してのカウンターは取りやすくなっている。なお敵武将は一切弾き返しを使用してこない。
育成の面倒さ
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特に批判されやすいのは防御力の伸ばしにくさ。
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このシリーズでの敵武将は防御力アップの盾よりも攻撃力アップの剣をドロップしやすい傾向にあるためである。
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『1』『2』では進入拠点を守る拠点兵長が盾を落とすためにまだバランスが取れていたが、『3』からはその傾向がそのままに拠点兵長が無双ゲージ回復アイテムを落とすようになったせいで防御力アップのアイテムを得にくくなった。
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本作では新しく防御拠点の拠点兵長を撃破すれば盾を落とすようになったが、防御拠点は進入拠点ほど数が多くない上、他の2種類の拠点と併せて不規則に配置されているため、解決には至っていない。
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攻撃力以上に他の手段でのフォローが利きにくい分、争奪形式の進入拠点も初回制圧時のみ落とすようにしてくれれば違ったのだろうが…。
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100人撃破ごとに攻撃力が2アップする「百虎秘石」があるが、これに頼らずとも攻撃力は勝手に伸びる。むしろ同じ条件で防御力がアップする「玄武秘石」が猛将伝までお預けになってしまっていたことが防御力の伸ばしにくさに拍車をかけ、それにより『猛将伝』を見越してあえて削ったのではという疑念を抱かせる結果になった。
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上記の通り、育成自体は楽になっているが、それでも防御力だけはどうしても成長しにくいのである。『3』と比べれば防御力成長に有用なステージもあるのだが、そこまで意識しないと伸び悩む場合が多い。
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酷い場合は体力・無双・攻撃力の3つが最大値まで到達したにもかかわらず、防御力だけは他の半分といったこともある。
『戦国無双』で改善された点が未実装
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『戦国無双』自体問題点の多い作品ではあるが、一方で『三國』シリーズから改善された部分もある。
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例えば、『戦国無双』では戦闘準備画面からキャラクター選択画面・タイトル画面に×ボタンで戻ることができたのだが、本作では未だにソフトリセットが必須なまま。
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制限回数があるためか、中断セーブの後は強制的にタイトル画面に戻されるままで、終了コマンドも存在しない。
兵士の悲鳴
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戦場上でのモブキャラの声にピッチがかかりすぎている上、兵士のやられ声に関する評判が特に悪い。
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特に徐晃と兼役の「うわー」というボイスが、こちらの戦意を大きく萎えさせる。
賛否両論点
新アイテム「覚醒印」
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無双覚醒も上に書いたように強化内容がかなり凄まじく、そこそこ長い時間効果が持続するため、やりすぎという意見も目立つ。
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肯定的には、使用や非使用を強制されるものではないので使っても使わなくても問題は無いことと、逆に初心者やアクションが得意という訳ではない人のための救済手段としてはありという見方もある。
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前述の難易度「修羅」やハイライト戦闘での敵の飛躍的な強化は、この覚醒の存在を前提に調整されている節がある。
武将(キャラクター)に関する変更点等
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星彩
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「せいさい」と読む。張飛の娘であり、父と同じように戦場に立つことを選んだという設定の新たな無双武将。一応元ネタとされる人物は居るのだが、シナリオにおける登場の必然性が薄く、オリジナルキャラと言っても差し支えがない存在。『戦国無双』の「くのいち」同様に必要以上に出しゃばって見える部分もあるため、非常に批判意見が強い。
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その一方で同じく本作から無双武将になった関平とのストーリー上における絡みなどを評価している者もおり、決して満場一致で批判されているわけでもなかったりする。
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本作での扱いは彼女の元ネタであるとされる敬哀皇后・張皇后よりも、
関銀屏
に近いと指摘されていた。
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嫌う者はとことん嫌っている節もあり、次作『5』では武将数名が削除され、星彩も削除されたのだが、他の武将の削除は批判意見がかなり強い中で星彩に関してだけは「『5』の一番の評価すべき点は星彩を消したこと」と言って憚らない者も少なくない。
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ある武将のEDで「張飛の娘が挙兵しました!」という台詞があったり、トレジャーBOXの設定資料集の張飛の絵に星彩らしき少女が描かれていたりと、存在が完全に抹消された他の無双武将たちと違って『5』の世界観でも星彩が存在している事を匂わせる描写がある。
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ちなみに星彩は『6』で復活したが、本作での批判を受けてかあまり表に出なくなり、さらに星彩以上に賛否のある武将やシナリオがあるためにそれほど目立たなくなっている。
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…のだが、『4』で批判されたオリジナル設定の修正はあまりされていない上に『6 猛将伝』では関わりのある劉禅を主役にしたシナリオもあるため、否定的な層からは「また出しゃばるようになった」と不満の声も出ている。活動時期上、当初の特徴だった関平との掛け合いも減ってしまっている。
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もっとも劉禅と関わりが深い人物を元ネタに組み込んでいる上、登場しうるキャラも減る時期のシナリオとなる以上、劉禅が主役のシナリオにおいて彼女を出さないわけにも行かないといった点は考慮されるべきだろう。
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甄姫
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曹丕が一般武将から無双武将になったため、それまでの自立したキャラクターから、曹丕の追っかけのようなキャラクターになってしまった(この傾向は後の作品でさらに強まった)。
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露骨な劉備贔屓など、国ごとの描写
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蜀という国自体が劉備のカリスマ性で成り立っていると言っても過言ではない描写をそれまでもされていたが、本作では蜀に所属している武将の多くが劉備が君主であることを踏まえても不自然さを拭いきれない程に劉備を讃えたり持ち上げたりしているため、劉備という存在が蜀に所属する他の武将の描写を破綻させているという意見がある。
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蜀に所属する武将の描写破綻に留まらず、本作で登場した左慈はひたすら曹操を低く評価し、劉備をやたら持ち上げたりしているなど、別勢力を巻き込んでの持ち上げ描写も目立つために批判意見が強い。
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一応、左慈が曹操を貶し劉備を持ち上げるのは『三国志演義』の通りではある。演義の左慈は曹操の死を予言するなど本作より悪質だが本作ほど長く曹操に付きまとったりはしない。
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持ち上げ描写に反して、劉備本人がさほどの魅力ある描写をされていない所もあるため、「劉備という武将は好きだが、無双の(劉備)だけは嫌いだ」という意見も本作で目立つようになった。
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一方で曹操を持ち上げるためにライバルたる劉備を無理やり持ち上げているのではないか、という指摘もある。
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要約すると、ストーリー上で各君主の政治思想がわかりにくい。
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無双シリーズでは曹操は「覇道」・孫権は「孫家の絆」・劉備は「仁の世」をキーワードとしているが、いかんせんこの単語だけが目立つ印象である。アクションゲームである以上他ジャンルのゲームほど政治的要素を詳しく語れないのは仕方ないが…。
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誤解のないように言うと、持ち上げといっても劉備を褒めるのは配下である蜀の武将と左慈だけで、他の勢力の武将は独白で劉備に対して自らの主君に仇なす敵として辛辣な評価をする。
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ちなみに、ステージ構成で最後に立ちふさがることも多い関羽は魏武将の多くから敵と割り切りつつも高い評価を受けている。曹操自身が劉備・関羽に対してその態度であるため、魏国としての思想は一貫している。
諸葛亮の魏延に対する冷遇
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『三国志演義』に忠実と言えばそれまでだが、魏延を主人公としてプレイしている時に見られるものであり、その内容もただ一方的に因縁をつけられるだけなのでかなりの不快感を覚える。
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しかもストーリー上、どれだけ劉備のために尽くして奮戦しても、最後の最後まで魏延を認めることなく不信の念を寄せてくる始末。
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「
反骨の相
」の逸話など、ベースにした作品が作品なので間違ってはいないのだが、せっかくのゲームという媒体、あくまで形は演義に忠実にするにして魏延そのものを受け入れることはせずとも、せめて劉備への忠心だけでも認めるような形にすれば、幾分かは不快感も軽減出来たのではないだろうか。
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一方で、『3』では諸葛亮に対する不満からとはいえ、「魏延を本当に魏軍に寝返らせる」という、演義の描写を拡大して解釈したにしてもあまりにも酷すぎるイベント描写に対する反発もかなり強かったため、それに比べれば、諸葛亮に対してかなりの不快感を覚えこそすれ、あくまで蜀に尽くす魏延の描写になっているだけマシという意見もあったりする。
なお、劉備や諸葛亮とそこまで深く絡まないということもあって、呉や他勢力は全体的にキャラクターの掘り下げが薄い感を受けるものとなっている。
逆に言えば、歪なキャラクター描写にあまり巻き込まれていない分マシとも言えるが…。
流石に無双モードが長すぎる
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勢力ごとから個人に切り替わったが、それでも重複ステージは多め。流石に「1人辺り5~8ステージ×48人=最低240ステージ」をコンプリートするのには時間がかかりすぎる。
全キャラをアンロックするだけでも19周もかかり、これは全キャラ分の4割に相当する。
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『5』でキャラ削減、『6』で再び勢力ごととなり一応解決。
一騎打ちの廃止
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前作の特徴の1つであった一騎打ちはすべて削除された。
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これ以降、武将のみで戦うことができるのはシリーズ内でも稀、あったとしても『無双OROCHI2』のデュエルモードのように多対多となっている。
総評
シリーズを通じてどうしても避けることの出来なかった処理落ちやステルスといった要素、同じPS2というハードの枠の中で描写エンジンの強化によって完全とは流石に行かなくとも、大きく排除出来たことはやはり無双シリーズの中では特筆すべき事である。
更に、過去のシリーズで不満に上げられていた要素に対しても調整の手が入ったこと、そして充分すぎるほどの敵の群がりとの対峙をより快いものとする調整が実現したことで、シリーズコンセプトの「一騎当千の爽快感」を見事に体現したと言えるだろう。
しかし、長く続いてきたシリーズ故のマンネリという問題がどうしても重くのしかかってきてしまうこと、そして、それに対してのテコ入れとも言える新要素を含めたゲーム全体的に見られる調整不足な点。
さらには後に『猛将伝』を出すことを見越し、そのウリとするためと解釈をされても仕方のない、不自然に前作から削除された要素など、1つのゲームとして見た時に指摘せざるを得ない粗も決して少なくはない。
これらの要素に対して猛将伝やあるいは今後の展開での改善を望む声が多く上がることとなった。
前作までの問題点に対する大小様々な改善点が手堅い完成度につながったが、それでもやりこみ要素のバランスに難があるという点だけは完全に解消しきれていない。
しかし、無双覚醒もバランスなどを深く気にしなければ強敵を一気になぎ倒せる切り札システムであり、難易度の「修羅」も相当やりこもうとしない限りまず手は出されないであろうモードである。
『真・三國無双』は本作と『猛将伝』を以て、ライト層向けの三国志演義アクションゲームとして充分に完成したと言えるだろう。
余談
生きているのに…
無双モードの黄蓋伝、南中侵攻戦前の黄蓋の独白の中で「(赤壁の戦いの後に)呂蒙が死んだ」という内容の語りが入る。
しかし、チェックの漏れかそれ以外の要因によるミスかは解らないが、死んだはずの呂蒙がなぜかその南中侵攻戦で当たり前のように登場する。
結果的に「呂蒙が勝手に殺された」「黄蓋がついにボケを発症した」などと散々ネタにされてしまった。
死んでいるのに…
基本的に無双モードの敵将は最終ステージでしか討死セリフをしゃべらない。
官渡の戦いの袁紹など例外はいくらかあるが、一般武将に関してはこの設定が行き届いていないのか、無双モードの関羽伝:官渡の戦いでは「関羽が顔良を討ち取る」という実機ムービーで討ち取られて死んだはずの顔良が、ムービー後に「次は負けない!」と発言するという変な現象が起きる。
曹叡について
魏の2代目皇帝・
曹叡
は無双武将ではなく一般武将なのだが、敵として遭遇すれば「俺がぶっ飛ばしてやる!」と、味方の時には「勝てそうですぜ!」と言葉遣いが非常に荒々しくなっていた。
親である曹丕と甄姫の美形なグラフィックや普段の冷静な性格との差、演義や史実での曹叡と全く異なる印象だったことから、一部のプレイヤーから大いにネタにされ、「勝てそうですぜ!」が曹叡の代名詞とまで言われることもある。
一方で父の曹丕が延命され、彼が曹叡の活躍を吸収する形になっていたことに対する同情の声もあったりする。
ちなみに曹叡は『5』では一般武将のままながら、おおむねイメージに沿う描写に変更されている。
南中について
本作から、孟獲・祝融勢力については南蛮ではなく、南中と呼ぶように統一された。蛮という文字がまずかったのだろうか?
もっとも、蜀という文字自体にも悪いイメージはあるのだそうだが…。
その後の展開
2005年9月15日には本作の追加ディスクである『真・三國無双4 猛将伝』がPS2で発売された。
こちらではエディットモードと修羅モードが復活し、オリジナルキャラクターで一兵卒からの成り上がりを目指す立志モードが追加されている。
本作で語られなかった戦いや完全オリジナルの戦いが楽しめる外伝モードなど、他にも細かい追加や変更があるものの、本作ではほとんど見られなかった処理落ち・ステルスが目立つようになってしまったため、これらに関しての批判意見がある。
2005年12月22日に360向け、2006年6月22日にWin向けに『真・三國無双4 Special』が発売された。
こちらは本作と『猛将伝』の要素を一纏めにしたものだが、『猛将伝』で追加されたエディットモードと立志モードは収録されていない。
また、敵の思考ルーチンなどにもさらなる調整が加えられている。
360のマシンスペックを生かし、PS2版に比べてさらに敵が群がるようになっており、これはWin版でもそれなりのマシンスペックがあれば十二分に体感できるものとなっている。
2006年3月23日にはPS2/360のマルチプラットフォームで『真・三國無双4 Empires(エンパイアーズ)』が発売された。
「Empires」とはコーエーが元々得意としているシミュレーション要素と無双シリーズのアクションが融合した外伝作品で、前作『3』で初出した新たな派生作品である。
前作はシミュレーション要素が非常に薄味になっており、あくまでアクションの合間のスパイスといった程度に留まっていた。
だが、本作ではシミュレーション要素が本格的な影響度を持つようになり、ベースである『3 Empires』の "簡略化されすぎの内政" に不満を持っていたユーザーをも納得させる仕上がりとなっている。
『真・三國無双4 Empires』の発売と同時に本作に登場する全ての無双武将と麻雀勝負を楽しむことができる外伝作品、『雀・三國無双』がPS2で発売されている。
別ジャンル外伝だからこそできるぶっ飛んだシナリオなどの評価は高い反面、イカサマ無しを謳っているにもかかわらずイカサマをしているとしか思えないほどに理不尽な強さのコンピューターの影響で、こちらはあまり評価は芳しくない。
最終更新:2024年06月18日 17:08