ニンジャガイデン3(NINJA GAIDEN 3)
【にんじゃがいでんすりー】
| ジャンル | アクション |  
  
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| 対応機種 | プレイステーション3 Xbox 360
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| 発売元 | コーエーテクモゲームス | 
| 開発元 | コーエーテクモゲームス(Team NINJA) | 
| 発売日 | 2012年3月23日 | 
| 定価 | 7,800円(税別) | 
| レーティング | CERO:D(17才以上対象) | 
| 備考 | PS3版はPlayStation Moveに対応 | 
| 判定 | シリーズファンから不評 | 
| ポイント | 新生Team NINJA開発のシリーズ第3作 初心者救済の「ヒーローモード」
 シリーズ初のオンライン対戦が実装
 3つしかない武器と1つしかない忍法
 システムの改変と単調な敵AI
 リュウ・ハヤブサの性格が大きく変化
 矛盾があり違和感の多いシナリオ
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| 忍者龍剣伝/NINJA GAIDENシリーズ | 
 
概要
早矢仕洋介氏が率いる新生Team NINJA開発の『NINJA GAIDEN』シリーズの第3作。
人を斬る重みを追求し「断骨」「介錯」という新システムが搭載されている。
斬ることに重点を置いているため武器は「刀」1本のみ。ただ、DLCで「爪」と「大鎌」を追加することができる。
『NINJA GAIDEN 2』で好評を博した「欠損」「滅却」システムが廃止されたり、シリーズの売りであった「絶技」システムが全く別のものに変化しているなど、改変点も多い。
オンラインによる対戦・協力プレイに対応している。ただしプレイには有料のオンラインパスが必要。
新チームによる完全新作の『NINJA GAIDEN』はこの『3』が初。『NINJA GAIDEN』シリーズの産みの親である板垣伴信氏は『2』の発売後に退社しており、この作品には全く関わっていない。
システム
断骨
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いわゆるQTE。コンボ中に敵の出血量、プレイヤーであるリュウが浴びた返り血の量に応じて一定確率で発生し、ボタン入力に成功すると敵を瀕死状態にする。
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敵が出血していればしているほど、リュウの浴びた返り血が多いほど発生確率が上昇する。リュウの返り血は、一定時間経過したり、敵から攻撃を受けると減っていく。
 
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断骨直後のコンボが他の敵に当たると、さらに断骨が発生する連鎖断骨(通称:連骨)がおこなえる。
介錯
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断骨などによって瀕死状態になった敵にトドメを刺すシステム。前作の欠損した敵にトドメを刺す滅却と用途は同じ。介錯すると後述する忍法を使用するための「気力ゲージ」が溜まり、リュウに返り血が付着する。
絶技
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敵を倒すたびに武器が赤く染まってゆき、ある段階まで武器が赤くなると発動可能になる。
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絶技を発動すると、周囲の敵を次々に斬り裂き、一撃で葬り去っていく。ある程度倒すと絶技終了し武器の色も元に戻る。
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凄まじい威力を持つ必殺技であるが、一度使うと再び武器を赤く染めるまで使用不能になってしまう。また戦闘が終了すると、武器の色は元に戻り、再び次の戦闘で赤く染めないと使用できない。
忍法
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敵を倒したり、介錯を行うことで気力ゲージが溜まり、最大まで溜まると「忍法」が発動可能になる。
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忍法を発動すると、周囲の敵を全て一撃で倒すことができる。巻き込んだ敵の数に応じて体力が回復する
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戦闘終了時の気力ゲージの量に応じても、体力が回復する。その際、ゲージは0になる。
スライディング
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『1』『2』における裏風とほぼ同義。違いはスライディング自体に攻撃判定があること。
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上手く当たれば相手を浮かせたり、無防備な状態にすることができる。スライディングからコンボに移行することも可能。
オンライン
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シリーズで初めて、オンラインを使用したマルチプレイヤーバトルが可能になった。
 オンラインでは自分の分身を作成してプレイ可能。外見は自由にカスタマイズできる。
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変更できるのは「使用する刀」「装束の色」「鉢金(頭部に装備する防具)」「腕の防具」「背中に背負う漢字」の5種類。
 
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以下がオンラインのモードである
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Clan Battle
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4対4で戦うチーム戦。制限時間5分内に最も多くのポイントを獲得したチームが勝者となる。
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戦闘中に、各プレイヤーに個別に密命が与えられることがある。特定の技で敵を倒せ、自分を倒した敵に復讐せよ、といったオーソドックスな指令のほかに、自分のチームを裏切る、全プレイヤーが敵になるバトルロワイヤルに突入する、といった密命も存在する。
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裏切りが発生すると、対戦バランスは5人対3人になり、少ない側は非常に不利になる。しかし、その間は相手を倒したときに獲得できるポイントがアップするので、大量のポイントを手に入れて一気にトップを目指すチャンスでもある。
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また、追加DLCで稀にリュウ・ハヤブサが敵として乱入してくるようになった。その強さは圧倒的でプレイヤーを恐怖に陥れる。
 
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NINJA TRIALS
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本編を進めることで選択可能。様々なミッションをこなしていくモード。オンラインでの協力プレイも可能だが、1人で遊ぶことも可能。
 
 
評価点
美麗なグラフィック
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初代から一貫してグラフィックは良質。
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マルチプラットフォームになったにもかかわらず前作よりも解像度が上がり、モデリングや背景の描写も細かくなっている。
 
BGM・SE
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特にタイトル画面で流れる曲「A Hero Unmasked」の評価が高い。
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シリーズを通してそうなのだが斬撃等の効果音も気持ちがいい。
新規プレイヤーに対する配慮
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アクションが苦手な人向けの「ヒーローモード」の搭載。ピンチになるとオートガード・オート回避が発動する。
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低難易度ならボタン連打でもそれなりに見栄え良く戦えるゲームシステム。
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チャプター開始時のロードは若干長いが、チャプター中のロードは殆ど無く快適。
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マップは一本道で、お遣い要素は無い。またR3ボタンで先へ進む方向を示してくれるので迷うことはまずない。
アクション
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追加されたモーションには、空中で3回飛燕 → 冥府落としや、空中から一気に敵を突き刺す攻撃などは好評。
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冥府落としや飯綱落としから直接着地攻撃に派生できるようになったりと、一概に改悪点ばかりではない。
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空中から直接冥府落としが使用可能になった。もっとも強制首欠損ではなくなっているが。
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飛燕が強化され、向きに関係なく出せるようになったほか、人型の敵はヒットすれば相手を1発で瀕死にすることが可能になった。
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ただし、超反応ガードや回避されるようになっているため、工夫しないと当り辛くなっている。
 
問題点
武器が刀(+爪・大鎌)だけ
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発売前から物議を醸した点。『1』『2』共に武器の数は多く、それぞれで全く異なった動きが楽しめた。『3』でさらに武器の数が増えるのかと思いきやまさかの全削除である。
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かといって龍剣のアクションが大きく増えたわけでもない。純粋な劣化といえる。
 
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実際はDLC含み使用可能武器は3つある。しかしDLC配信の告知がされるまでは使用可能な武器は「刀」のみというスタンスだった。しかも、アンロック式である。
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武器が少ないため実行できるアクションの数も少なく、戦闘の自由度も過去作に比べて低くなっている。
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忍法も1つしかない。DLCでの追加がある武器と違い、こちらは正真正銘1つだけである。
アクション
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硬直が長すぎる、動きが緩慢など、前作までをプレイすれば思い通りに動かせず違和感を覚えること必至。
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こちらの仰け反りによる硬直も非常に長くなっており、敵の攻撃速度は据え置きなため、理不尽な被弾や起き攻めが非常に多い。
 
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風路があまりにも出にくい。同時押しの受付時間が短いだけでなく敵を踏みづらくなっている。
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本作の風路は飛燕に派生するための生命線となる技であり、これが出にくいのはあまりにも致命的といえる。
 
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本作のみの仕様として、スライディングから強攻撃ボタンを押すと即座に打ち上げ攻撃が出てしまう。
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便利な部分もあるため問題点と言い切れるかは微妙なところだが、不意に飛び上がって隙を晒してしまうということが増えた。
 
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首切り投げの削除
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『AC版忍者龍剣伝』で登場し『DOA』『NINJA GAIDEN』に輸入されたアクション。武器を用いない純粋な投げ技で『1』『2』共に使い勝手の良いアクションだった。
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装備品に関係なく発動でき、発生が非常に早く、投げ技であるためガードされない。難点は空中弱攻撃に化けやすいこと。
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こちらも欠損・滅却と同様に廃止が嘆かれた。
 
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成長要素の希薄さ
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本作ではエッセンスやカルマも存在しないため、成長要素もそれに合わせて廃止。戦闘場面が多いものの、その戦闘の意味がほとんど無くなってしまっている。
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最大の問題は、アクションの成長がゲームの半分を過ぎないと解禁されないという点。あまりにも遅すぎる。
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最低限戦えるだけの技は最初から備えられているものの、本作で評価される技連携は全部強化後に集約されているため、これがアクションの単調さに拍車をかけている。
 
 
敵AIがお粗末
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プレイヤーの腕前をとことん試す凶悪な敵AIが『NINJA GAIDEN』の売りであったが、本作ではそのAIの内容が単調過ぎる。
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攻撃面はただ投げの頻度が高く、遠距離技がしつこいだけ。防御面も特定の行動にスーパーアーマーを付与しただけ。
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どの敵も同じ攻略法で対処可能。数発止めヒットアンドアウェイ戦法、手裏剣・風路で足止めからの飛燕、着地回転強からの飯綱落とし、遠距離からの弓…最高難易度の敵もこのいずれかで何とかなる。
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厳密には、そうせざるを得ない。長いコンボは高確率で回避・ガードされるため、少ない手数で敵を倒せる飛燕・飯綱に頼らないと攻略が難しい。
 
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初心者からは投げがしつこい・スパアマが理不尽、上級者からは行動がワンパターンすぎてつまらないと、批判を浴びている。
QTE
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前作の滅却もQTEと揶揄され気味なところはあったが、それでも演出のテンポの良さ、上手くゲームシステムに組み込まれていたことから批判はほぼ無かった。
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本作では移動の殆どのアクションQTEを用意されるため非常に鬱陶しい。連打や受付時間は緩いが、割と即死が多いため不意に死ぬといった点も多い。
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前作ではほぼ無かった落下死も復活してしまった。『1』と違ってコンティニュー自体は快適なのが救いか。
 
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クナイクライム・ムササビダイブ
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どちらもただのQTE同然の移動技であり、前者は登るだけ、後者は降りるだけ。QTEに近いため、これを利用した戦闘テクニックも存在しない。
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特にクナイクライムは頻繁に発生する上、登り切るのに要する時間が長いためゲームのテンポを悪くさせてしまっている。
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一見飛鳥返しで登れそうな場所でも発生するが、その場所では飛鳥返しは不可。
 
 
断骨・介錯システム
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発生タイミングは任意ではないため、長いコンボやかっこいいコンボをする最中に発動してしまうこともあり、コンボの楽しみを削いでしまう。
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断骨を任意のタイミングで決められる裏技が存在してしまっている(通称:スライディング断骨)。
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狙える敵は限られているものの、この裏技のせいでただでさえ大味なゲームバランスがさらに酷くなってしまった。
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リーチの長い大鎌で、スライディング → 断骨 → 連鎖断骨 →…と繰り返すだけで戦闘が終わってしまう。ミスしてもまたスライディングから始めれば良い。
 
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介錯も前作の滅却のようにゲームにうまく馴染んでいるとは言いがたい。
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『2』であれば、敵は部位欠損すると戦闘力が下がるがそれでも攻撃は行ってくるし、場合によっては大ダメージの投げ技を仕掛けてくる危険もあるため、滅却で一撃で倒すことが重要となるようにシステムが組まれていた。
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だが、本作では瀕死になった敵は介錯しなくても時間経過で死亡し攻撃もしてこないので、わざわざ倒しにいく意味が薄く気力ゲージ回収程度しかメリットがない。
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一応、『2』同様に自爆攻撃を仕掛けてくる敵もいる。
 
 
無敵時間や当たり判定などの調整不足
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代表的なのは刀装備の介錯始動技(縦斬り)。この技は高確率で外れる。
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加えて『2』の滅却始動技にはモーション終わりまで無敵時間が設定されていたが、本作にそれはない(かなり短めになっている)。
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結果、介錯始動技が外れる → 硬直中に投げを喰らう、という非常に理不尽な目に合う。
 
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高難度であればあるほど無敵時間の重要性は高まるため、この仕様に泣かされたプレーヤーは多い。
 
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捌きも無敵時間が大幅に削られており、成功しても被弾するという意味不明な現象が起こる。
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また、強捌きは反撃まで長すぎるため当たらないことが多い。
 
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スライディング
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ある程度コントロールできるとはいえ、乱戦では不意に暴発することがある。
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問題は、スライディングの追撃が敵を追撃するために狭目の攻撃範囲の物に変化するのと、一瞬スローになるのに敵の攻撃に普通に割り込まれてしまうの2点。このせいで理不尽な被弾が多い。
 
 
回復アイテム
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回復アイテムが存在しない。
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低難易度では大して気にならないが、高難易度ではこの仕様を理不尽に感じるプレイヤーも居る。
 
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そして、その回復に関する不備も多い。
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絶技、忍法ゲージは戦闘終了後に強制的に0にされるため、持ちこして肝心な時に使うといったことはできない。特に忍法ゲージは戦闘が終了すると体力ゲージに変換されるが、余剰分だろうと平気で消費されてしまう。
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よって、忍法ゲージや絶技は積極的というか大した使い所でなくても使わざるを得ないのである。単調な戦闘でゲージを溜めて即吐き出す感じで戦略性に乏しい。
 
 
処理落ち
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頻度は多くないがDAY1の序盤をはじめミサイル兵が多数出現する地帯などで発生する。
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処理落ちが起こると操作を受けづらくなったりする。特に回避が出ないことが致命的。
 
その他
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飛ばせないムービー、というかイベントが多い。
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飛ばせるムービーもスタートボタンで中断から、ムービーをスキップするをわざわざ選択しないといけない。
 
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チャプターチャレンジ、引き継ぎが無い。引き継ぐ要素はほぼ無いとはいえ、迅嵐丸強化後で最初あたりを遊べないのは痛い。
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『2』及び『Σ2』は高いボリュームを誇っていたが、本作のストーリーはややボリューム不足気味。
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とはいえ、ストーリー自体は極端に不足しているわけではない。アクションの幅の狭さでそれが目立っているともいえる。
 
賛否両論点
欠損・滅却システムの廃止
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バイオレンスな描写は人を選ぶが、『2』及び『Σ2』においては概ね好評だったシステム。
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それだけに廃止を嘆くシリーズファンが多かった。一応、滅却システムが「介錯」という形で受け継がれているため、完全に消滅した訳ではない。
 
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本作ではCERO:D(17歳以上対象)でありながら、残虐表現はかなり頑張っている。
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それだけに、敵を骨ごと斬りながら肉体が一切欠損しないといった中途半端な面が目立つ。
 
絶技システムの改変
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上述の変更で、必要ないときに発動可能になったり、逆に必要なときに発動できなかったりする。
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演出も単調な「ワープ攻撃」で派手さがなくなってしまった(大鎌は例外)。
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威力が大ダメージから一撃必殺になる、ワープ攻撃ゆえ遠距離の敵も始末できるなどパワーアップした部分もあるのだが、この仕様変更を残念がるファンは多い。
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といっても、規定数の敵を確殺することが可能ということは、逆に言えば規定数以上の敵を攻撃できなくなり弱体化したともいえるため一概に強化点とは言い難い。
 
    
    
        | + | 『2』までの絶技 ※ゴア表現有・苦手な人は要注意 |  | 
リュウ・ハヤブサについて
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今作はスタッフ達が「人間リュウ・ハヤブサを描く」とコメントしており、過去シリーズに比べて人間性がかなり異なっている。
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「アンマスク」を謳い文句にしているように、リュウが覆面を脱いで素顔を晒したり、他人とコミュニケーションを取る場面が多い。
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寡黙だった『1』『2』に比べてかなり印象が異なるため、そちらのリュウに思い入れがあったプレイヤーからは「こんなのリュウじゃない…」と困惑・落胆する声が多い。
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ただ、リュウ・ハヤブサは源流である『忍者龍剣伝』シリーズの頃は時として感情を顕にする熱い性格であり、『NINJA GAIDEN』シリーズ開始前から登場している『DOA』シリーズでも寡黙ではない。
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故に登場作品全体を見れば人間性が異なるとは言い難いため、あくまでも口数の少なかった『NINJA GAIDEN』シリーズだけを見た際の違和感だということは記しておきたい。
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寧ろ、改変したというよりは本来のキャラクターに近付けたと言った方がよく、そちらのリュウの方が好きな古参ファンにとっては逆に評価点となり得る。特に失声症の少女・カンナとのやり取りは『DOA』どころか『忍者龍剣伝』時代のリュウを彷彿させる。
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また、今作のプロデューサーであり現Team NINJAリーダーの早矢仕氏がディレクター兼プロデューサーの立場で製作指揮を行ったDSの『NINJA GAIDEN: Dragon Sword』でも、リュウは比較的他人とコミュニケーションをとる場面もある。
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『Dragon Sword』の時点で既に今作におけるリュウの片鱗が見えているため、『1』『2』の監督である板垣氏の描くリュウ像と早矢仕氏のリュウ像には大きな違いがあると言えるだろう。
 
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『無双OROCHI2』や『無双☆スターズ』等の無双シリーズのクロスオーバー作品にも『NINJA GAIDEN』枠で出演しているが、こちらも『DOA』寄りの性格でやはり寡黙ではなくなっている。
 
ストーリー
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公式でストーリーに力を入れている旨の発言をしているが、実際のところイベントシーンの量はあまり多くない。
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命乞いをする敵兵士を斬るイベントや、リュウが呪いに蝕まれ苦しむイベントが劇中で何度か発生する。
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どちらも戦闘中または戦闘後に発生するため、上述したクナイクライム・ムササビダイブと共にゲームのテンポを悪くさせてしまっている。
 
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シナリオ担当は『クロノ・トリガー』や『バテン・カイトス』を手掛け、『忍者龍剣伝』シリーズにも関わっていた加藤正人氏。ストーリーは「敵と戦う動機を与えればいい」という程度で、淡々とステージを進む場面が多かった前作と前々作に比べれば登場人物は多く、会話シーンも増加しストーリー性は確かに増している。
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敵ばかりではなく味方キャラも多く、また各々の設定もちゃんとストーリーに反映されており、リュウがよく喋るようになった点もあってドラマチックなイベントが多くなっている。「ストーリーに力を入れている」のは確かに間違いではない。
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しかし、リュウが人殺しの業に思い悩んだり、今まで奪ってきた命と向き合うような本シリーズの在り方を見つめ直す重いテーマを描く…と思わせて、後半になってもそれらに対するリュウ自身の回答は明確に描写されず投げっぱなしであったりなど、単純に完成度も高いとは言えない。ストーリー性が強まった分、そうした粗が目立つようになってしまったとも言える。
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もっとも、過去の『NINJA GAIDEN』シリーズはシナリオよりアクションに比重が置かれていたため、気にしないプレイヤーもいる。
 
 
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『忍者龍剣伝』シリーズや『DOA』シリーズにおいてリュウのパートナーだった元祖ヒロインのアイリーンや、『忍者龍剣伝II 暗黒の邪神剣』とOVA版に登場したロバートなど、過去作キャラも関わって来るという往年のファンへのサービス的演出もある。
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しかし、そもそも『NINJA GAIDEN』シリーズは『忍者龍剣伝』シリーズや『DOA』シリーズの過去のエピソードと言われていたため、それに沿って考えると矛盾が生じてしまう。
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この2人は本作においてもリュウとしっかり面識があり、『忍者龍剣伝』シリーズを経たかのようにリュウからも信頼されている。では、本作は『忍者龍剣伝』シリーズの後の話なのかと言うと、リュウの父・ジョウが存命であり、それも考えられない。
 
総評
ゲーム自体は低難易度でプレイするなら特に問題ない出来である。
被ダメージの量も少なく、敵AIの理不尽さも目立たない。コンボも自由に組め、良質なグラフィック・BGMも相まってそれなりに遊べる。ややボリューム不足な感は否めないが。
しかし、1周だけではなく何周もしてやり込もうと思った場合、随所に見られるつくりの粗さが目に付く。特に『2』の続編として見た場合には酷いことこの上ない。
「絶技」「忍法」「首切り投げ」「欠損・滅却」と言った当たり前のようにできたことのほとんどができなくなっており、自由度は激減。
戦闘はただ飯綱落とし・飛燕を繰り返すだけの作業で、『NINJA GAIDEN』の魅力だったはずの戦闘が退屈なものになってしまっている。
新規プレイヤーにとっても、ただ投げを繰り返すだけの敵AIや、理不尽なスーパーアーマーは間違いなくプレイの障害となるだろう。
最初こそ演出や新システムの目新しさから面白そうな印象を受けるが、数時間やればすぐにアクションとしての欠陥の多さに気付くはず。
『1』『2』がスルメのようにやればやるほど面白みが増していくゲームだとすれば、『3』はガムのようにやるたびに楽しさが薄れていくゲームである。
余談
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ファミ通クロスレビューでの評価は36点でプラチナ殿堂入りとなった(前作『2』は34点)。お の れ フ ァ ミ 通 !
最終更新:2024年07月01日 20:00