メタルギアソリッド スネークイーター 3D
【めたるぎあそりっど すねーくいーたー すりーでぃー】
| ジャンル | タクティカル・エスピオナージ・アクション |  
  
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| 対応機種 | ニンテンドー3DS | 
| メディア | 4Gbyte3DSカード | 
| 開発元 | コナミデジタルエンタテインメント(小島プロダクション) イマジカデジタルスケープ(バウハウス・エンタテインメント)
 ヘキサドライブ
 オーツー
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| 発売元 | コナミデジタルエンタテインメント | 
| 発売日 | 2012年3月8日 | 
| 定価 | 通常版: 5,980円 本体同梱版: 22,980円
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| プレイ人数 | 1人 | 
| セーブデータ | 1個 | 
| レーティング | CERO:D(17才以上対象) | 
| コンテンツアイコン | 恋愛、セクシャル、暴力、犯罪 | 
| 配信 | DL版:2014年12月16日/4,500円 | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 『メタルギアソリッド』シリーズ初の任天堂携帯機作 『MGS:PW』をベースに『MGS3』をリメイク
 立体視対応により迫力・臨場感がアップ
 オリジナルのPS2版よりフレームレートが低下
 それでも3DSにしては頑張っているクオリティ
 ストーリーなどゲーム内容自体に大きな変更は無し
 
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| メタルギアシリーズ | 
 
概要
『MGS3』のシステムや操作性を『MGS:PW』準拠にリメイクした作品。蛇柄仕様の3DS本体同梱版も限定販売された。
『メタルギア』シリーズが任天堂携帯機で発売されたのはGBの『ゴーストバベル』以来である。
据置機ではFCで『メタルギア』が、ゲームキューブでは『MGS1』のリメイクである『ザ・ツインスネークス』が発売されている。
また、『メタルギアソリッド』シリーズとしては本作が初の任天堂携帯機作品。
立体視はもちろん、グラフィックも色鮮やかに作り直してあり、ジャイロセンサーの機能を使った不安定な足場でのバランス調整、下画面にマップや体力ケージ、敵兵の警戒状態の表示、サバイバルビュアーを集約、タッチでの装備の着脱、写真や画像で迷彩服を作れる「フォトカムフラージュ」など、3DSならではの機能が搭載されている。
プラットフォームが任天堂ハードになったため、ケロタンに代わり『マリオ』シリーズの「ヨッシー」が登場。
対応する迷彩服も「フルーツ迷彩」に変更されたほか、配置も殆どがオリジナル版とは異なるものとなっている。
評価点・特徴など
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追加された要素
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『MPO』『MGS:PW』などの作品で培った、携帯機でメタルギアをプレイするためのノウハウを活用しており、『MGS:PW』のシステムや操作を搭載。
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中腰移動・肩越し視点・照準表示・アクションアイコン・ヒットエフェクトなど。アクションアイコンとヒットエフェクトに関しては設定で自由にオンオフが切り替えられる。
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『MGS4』や『MGS:PW』準拠のシステムが搭載されたことにより、初心者でも快適なプレイが行えるようになっている。
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別売りの拡張スライドパッドを装着すればカメラ操作が快適になる。逆に言うとオリジナル版経験者はこれでないとカメラ操作が厳しい(後述)。
 
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写真を迷彩服として使用できる、「フォトカムフラージュ」の追加。
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3DS本体のカメラやゲーム内アイテム「デジタルカメラ」等で撮影した写真や画像などを、迷彩服として装着可能。
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使用した写真と地形には相性があり、その効果はピンキリ。相性が良ければホフク状態でカムフラージュ率100%を叩き出すことも。
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なお、装備したフォトカムフラージュはムービーにも反映される。柄によっては雰囲気を壊しかねないのでその点には注意。
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上述の中腰移動と合わせると、高カモフラージュ率とある程度の移動速度を両立したプレイが可能。
 
 
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操作性の改善点
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武器構えの操作がわかりやすくなった。
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使用する武器にかかわらず「Lボタンを押しながらRボタンで攻撃」という操作に統一された。
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これにより、オリジナル版やHD版の感圧操作で問題となっていた「銃器の暴発」の危険性はほぼ無くなった。
 
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装備品の切り替えやサバイバルビュアーがタッチパネルに集約されているため、メニューを開かずにマップの確認ができるなどオリジナル版よりもテンポよく進められる。
 なお、動体探知機やアクティブソナーで探知した敵兵や動物などの位置もマップ内に表示されるようになり、視認性が上がった。
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下画面には武器や食料の使用・交換へのメニューに直接移動できるアイコンがあるため、いちいちメインメニューを開く必要がなくなっている。
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サプレッサーの着脱やアイテム(虫ジュースなど)の使用も、メニューを開くこと無くリアルタイムで行うことができるようになった。
 
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3DSには本体機能としてスリープ機能があるため、中断プレイで休みながらのプレイも可能となった。
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長期プレイも必要となる本作と相性が良く、この機能の恩恵により初プレイだと長期戦になりやすいジ・エンド戦や、グロズニィグラード脱出がやりやすい。
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他にも、捕獲した食料を腐らせずに持っておく、といったことも可能。
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これは据え置きでの発売であったオリジナル版にはできない、携帯機ならではの利点であろう。
 
 
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グラフィック、サウンド
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ハードの関係上グラフィックはオリジナル版やHDエディションと比較すれば解像度の低さが目立つものの、3DSとしてはかなりの高水準。従来の携帯作品では表示されなかったゲームパート中の出血表現も実現している。
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特にテクスチャや光源処理はオリジナル版より強化されており、解像度の低さやポリゴン数の少なさという短所を補っている。
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問題点で記述するようにオリジナル版よりフレームレートが下がり、処理落ちも増えているもののPS2よりポリゴン生成能力の劣る3DSで美しいジャングルを可能な限り再現した上で立体視に対応し、ゲームプレイに耐えうるフレームレートを実現した点は見事と言える。
 
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立体視による演出は非常に好評。オリジナル版から臨場感や迫力がパワーアップした。またジャングルが舞台ということもあり、立体視との相性は抜群。
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また本編中のムービーの一部分が3DSの立体視を意識したカメラアングルになっている他、本作専用に一部新規ムービーがある。
 
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3DSとしては大容量の4GBカートリッジを採用。原作の醍醐味である無線・ムービーはフルボイス・リアルタイムレンダリングで収録されている。ケロタンがヨッシーに代わったことや操作方法の変更から一部音声が新録されている。
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サウンド面に関しては3DSは擬似サラウンド出力に対応しているため、オリジナルやHDエディションの据え置き版に一切引けを取らない。またイヤホンを使用した場合でも充分な臨場感を得られる。
 
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その他
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新規プレイ時の質問の選択肢が追加。『HDエディション』では使用不可能なバナナ迷彩も入手できる。
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難易度選択からVERY EASYとEUROPEAN EXTREMEが無くなり、EASYとEXTREMEがそれぞれ近いものになっている。
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現在および総合のプレイ状況を確認できるようになった。現在のプレイ時間や殺傷人数、使用した特殊アイテムなども逐一確認でき、高レベルの称号を取得する際に役に立つ。
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取得済みの称号や、まだ取得していない称号のヒントなども確認可能。
 
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クリア時の称号が『MGS4』のように条件を満たしたもの全てが取得できるようになった。称号をコンプリートすると国旗のフェイスペイントが手に入る。
 
問題点
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操作性の問題
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オリジナル版で使い勝手の良かった主観視点での左右ステップ・背伸びが行えなくなった。
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これは要するに「遮蔽物に隠れつつ、自分は発見されることのないまま対象を一方的に視認・攻撃できる」というもの。当然超強力なテクニックであるため、オリジナル版経験者にとってはこれができないだけでも難易度は大きく上がってしまった。
 
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俯瞰カメラへの切り替えが不可能になった。
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一部のマップでは俯瞰カメラを使った方が見通しがきく場合もあるので、原作をプレイしたプレイヤーから不満が出た。
 
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拡張スライドパッド無しの操作はカメラ操作などがPWのシューター操作(『MGS4』ベース)になるのだが、この操作だとカメラ移動を活用する一部イベント戦がきつくなってしまう。このためオリジナル経験者は拡張スライドパッドでのプレイが推奨されている。
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拡張スライドパッドを使用する場合、カメラ操作は右スライドパッドで行い、拡張スライドパッド無しの場合は、カメラ操作は A・B・X・Y ボタンに割り当てられる。
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PSPで発売された『MPO』や『MGS:PW』で選択できた「左手はアナログパッドでの移動と十字キーでの視点変更、右手はアクション」という操作(いわゆるモンハン持ち)に慣れたプレイヤーからすると、携帯機という共通点がありながら操作性が極めて悪い。
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『MGS:PW』ではご丁寧に3種類もの操作体系があっただけに、手抜き感が否めない。
 
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本作で追加されたジャイロセンサーによる足場のバランス調整はむしろやりにくくなっただけであり、携帯機なのに寝転んでプレイできないなど評判が悪い。
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これに関しては、何故オプションでジャイロ操作と通常の操作に切り替えるなどといったことが出来なかったのか、などと言う意見も多い。
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元々ジャイロセンサーによる足場操作自体、本作の紹介ムービーや発売前のe-shopの体験版や先行体験会でも評判が悪く、本作の地雷要素として警戒されていた。ゲーム中の難所でジャイロ操作を要求されることがないのだけまだマシといえるが。
 
 
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視認性の問題
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3DS自体の画面解像度が低いため、遠方の敵兵などを確認しづらい場合がある。
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特に問題となってくるのが、グロズニィグラード滑走路に置かれているヨッシーを撃つ時。それこそヨッシーの姿が緑色の点にしか見えないほどで、狙撃難易度は極めて高い。
 
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ハードの仕様であるため不可避かつ仕方がない点ではあるが、画面が小さいことに起因する見づらさもある。
 
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システム面の問題
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セーブデータが1つしか作成できない。そのため強敵との戦いの前に別のセーブデータを使って練習するようなことができない。
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周回前提のもと強い仲間を集めていく『MPO』や幾多のミッションを繰り返す『MGS:PW』でもセーブデータ枠は複数用意されていただけになおさらこの点が目立ってしまう。
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代わりに周回時に難易度選択ができるようになっている。クリア特典も引き継ぐため、高難易度がクリアしやすくなっている。
 
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フレームレートが低下しており処理落ちも増えている。雨や霧のマップなどでの処理落ちもオリジナルから改善されないままである。
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数値としてはオリジナル版が30fpsで、3DS版が20fps。
 
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3Dやエフェクト表示をオフにすることである程度はマシになるが、根本的な解決策ではない上、3DS版の目玉要素も減ってしまう。
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どちらかと言うとフレームレートが目に見えて問題になるのはプレイ中よりもムービーの方である。激しいアクションのあるムービーはカクつきが目立つ。
 
 
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オミットされた要素
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敵を探知するアイテムである生体センサーが無くなった。
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「敵が近づくとコントローラの振動で知らせる」という仕組みの都合上、今作では再現できなかったものと思われる。
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ただし、同じ携帯機であるHD・PSV版では「アイコンの点滅とソナー音(敵には聞こえない)で知らせる」という形でオリジナル版の性能を再現している。
 
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残念ながらHD版と同じくガイ・サベージや猿蛇合戦などといったミニゲームは収録されていない。
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食事とキュアーをする際のムービーが削除された。
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細かいことではあるのだが、ナイフなどで草やロープを切ることが出来なくなった。プレイに大した影響はないが。
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上述の通りVERY EASY(VE)とEUROPEAN EXTREME(E-EX)はオミットされた。
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前者はEASYに、後者はEXTREME(EX)に統合されている。VEとEASYにおける顕著な差は少ないため大した影響はないのだが、問題は後者。
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E-EXの「発見即ゲームオーバー」の仕様がEXに持ち込まれたため、EXでは常に隠密プレイを強要されることとなり、結果としてEXにおける遊び方が大きく制限されてしまっている。
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ノーアラート目標でのプレイングに限れば影響は大きくないが、そうではない普通の無制限プレイやアラート・殺傷上等のお遊びプレイなどが一切許容されないという点は明確に欠点である。
 
 
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その他
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発売当初、拡張スライドパッドを使用した状態で特定の場所でスリープするとフリーズ、最悪取り返しのつかなくなる恐ろしいバグが存在した。現在は修正パッチが配布されている。
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PS2版のバグは消滅しているが、細かい部分でもバグがあったり、裏技の一部や隠しコマンドの入力が出来なくなっている。一応これもいくつかのバグは、上記のバグとともに修正パッチで修正されている。
 
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録音環境が悪かったのか新録された音声(特に銀河万丈氏)の音質が悪い。またシギントの新規音声による説明が間違っていたりする。
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HDエディションとの比較になるが、値段が5,980円とHD版より比較的高い。
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据置機版よりやや高い上に、同じ携帯機であるPSV版に至っては『MGS2』『MGS3』同梱の上に1,000円近く安い。
 
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もちろんHD版より迷彩や追加要素は多いし、一応値段が高い理由としては本作はリメイク扱いとなっているからもしれないが、実質アレンジ移植に近いのもあり値段に関しては批判が多い。
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また、本作は3DS発売前の2010年のE3から既にハイクオリティなデモ映像付きで発表されていたのにもかかわらず、何故か後発の『MGS2』『MGS3』同梱のHD版より発売が遅く時期も3DS発売から1年以上過ぎた状態だったこともHD版との比較に拍車をかけてしまった。
 
 
総評
リメイク作といっても基本的には原作をベースに『MGS:PW』のシステムを搭載したもの。
操作性や難易度は初心者でも楽しめるようになっており、どちらかといえば『MGS:PW』など近年の作品で『MGS』を知った層向けの作品といえる。
3DS版の発売前に『メタルギアソリッド HDエディション』が発売されており、従来のファンからはどうしても比較されがちだが、追加要素は概ね好評。
特に立体視で描かれるジャングルやムービーの迫力は他バージョンでは味わえない本作ならではの魅力である。
原作を違った形で楽しみたいなら購入する価値は充分にあるだろう。
余談
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本作のプロデューサーである松花賢和氏は、発売前のインタビューにて「すれちがい通信に対応するか?」という質問に対し、「詳細は話せないが、対応は決定している」という旨の回答を行ったが、実際にその機能が搭載されることはなかった。
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小島監督のインターネットラジオ番組「ヒデラジ」にて、小島監督が今作に対するネガキャンとも取れる発言を行ったために、それに対して不満を表すユーザーもいた。
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内容は「綺麗なPSV版に比べたら3DSは××(ピー音)」というようなもの。
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一応、開発側は直後に操作性やしゃがみ歩きなどの追加要素の良さを挙げてフォローしている。
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小島監督は3DS版の開発には関わっていないものの、コナミの副社長(当時)としての立場を考えれば非常識な発言ではある。
 
 
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2023年5月25日には本作に次ぐ『MGS3』の2度目となるリメイク『METAL GEAR SOLID Δ(デルタ): SNAKE EATER』がPS5/XSX/Win向けに発表され、2025年8月28日に発売された。
最終更新:2025年08月28日 10:50