ロックマン&フォルテ 未来からの挑戦者
【ろっくまんあんどふぉるて みらいからのちょうせんしゃ】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ワンダースワン
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発売元
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バンダイ
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開発元
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レイアップ ヴァンテアンシステムズ フロア
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発売日
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1999年12月28日
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定価
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3,800円
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判定
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シリーズファンから不評
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ポイント
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超微妙なボス達 まさかのクイント再登場 バンダイ系列制作 ロックマン・シャドウのともだちさ
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ロックマンシリーズ
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概要
カプコンのライセンスを得た上でバンダイが販売したソフト。
開発会社はSDガンダムのデザインワークスで知られるレイアップで、企画・監督・全デザインを担当したのは同社所属で後にB級映画監督となる遊山直奇氏である。
スーパーファミコン版『ロックマン&フォルテ』からシステムと曲を流用しているが、敵キャラとストーリーは別物でありパチモノ似て非なるものというところである。
特徴
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本作では『ロックマンワールド2』に登場したクイントをストーリーで取り扱っている。
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お約束のワイリーが黒幕ではなく「クイントの失敗作」という設定の「ロックマン・シャドウ」が今回の黒幕となっている。
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『ロックマン&フォルテ』同様にステージ内でネジを集めるとライトットがアイテムを開発してくれる。
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開発できるアイテムはSFC同様にサポートメカや装備アイテムだが、サポートメカの方は回数制限が存在する。
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ボスから得られる特殊武器は5種類。但し、ロックマンとフォルテで得られる特殊武器が異なる。
+
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本作のボスと特殊武器
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ボス
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特殊武器(上はロックマン用/下はフォルテ用)
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ダンガンマン
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ロックバルカン: 途中で3方向に分裂する弾を発射 フォルテバルカン: 誘導弾を発射
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エアコンマン
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バリアウィンド: 波打つ軌道の衝撃波を放つ。特定の壁を破壊できる フォルテサイクロン: 波打つ軌道の衝撃波を放つ。特定の壁を破壊できる
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コンロマン
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フレイムシャワー: 前方に炎を噴射。噴射を止めると炎は真上に飛んでいく フレイムミキサー: 周囲に炎を回転させる。敵弾は防げない。回転を止めると炎は真上に飛んでいく
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コムソウマン
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ドッペルクラッシュ: チャージを行った後に体当たり攻撃 ドップラーアタック: 4体の小さな影分身に変身する(詳細は後述)
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クロックメン
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タイムスイッチ: 3秒間時間を止める タイムボム: 3秒間時間を止める
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問題点
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「ダンガンマン」「エアコンマン」「コンロマン」「コムソウマン」「クロックメン」「コンパスマン」というボスの微妙すぎるネーミング、及びデザイン。
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特に、エアコンなのに何故か団扇をもっている、外見が劣化エアーマンなエアコンマンと、コンロに手と足がついたデザインのコンロマンは、ファンからネタにされやすい。
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コンパスマンの「おれのなはコンパスマン ロックマン・シャドウのともだちさ」というセリフは公式にすらネタにされる。
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この会話は戦闘直前ではなく、何故かステージ開始前にあるため、面と向かって会話した後ボスのところまでステージを進むという変な流れになる。
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セリフを見て分かる通り本作のテキストは稚拙で全体的にひどい。
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ネーミングについても、前半ボスの4人が全員日本語という類を見ないものである。
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ボス戦のバランスは大味。
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やたらライフバーは長いが、被弾後の無敵時間があまりなく、接近して連射したり、持続時間のある武器を使用したりすると一気に削ることができる。
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ただし、動作ループ中に全くそうは見えない無敵時間が多く、イライラさせられる。
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ボスの動きは適当。棒立ちのままジャンプ…というか画面端に沿って浮遊移動する姿は謎。
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素のフォルテが火力不足で非常につらい
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メットールを倒すのにすら4回打ち込むことが必要になる。
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狭い通路で堅い雑魚が突進してくるところは避けるのが非常に困難で撃破も間に合わない。
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フォルテバスターにとっては中ボスやボスの短い無敵時間が致命的に邪魔なため、特殊武器がないとボス戦も辛い。
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オープニングステージのボスでさえ1メモリずつしかダメージを与えられない。相手は行動の大半が無敵時間のため、いきなり長期戦を強いられる。
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この傾向はスーパーファミコン版でも同様であったが。
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自動連射は自力で連射するより遅いため、ザコ敵を速く倒したいときは自力連射することになる。
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特殊武器を手に入れれば火力問題は大幅に改善する。エネルギー切れの際には再び苦しむことになるが。
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ボリュームが少し薄い。
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ボスは前述の6体とオープニングステージボス、ロックマン・シャドウのみのため、全8ボス・8ステージとなっている。
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一応ステージは少し長めで、各ステージに中ボスもいるが。
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グラフィックは微妙。
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一枚絵のロックマンたちの顔が明らかに老け顔になっている。
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ドットの描画も全体的に低レベル。ロックマンの立ち絵すら微妙。
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『8』から採用されているスタート演出(転送後にロックマンが立ち上がって仰け反りゲージがMAXになる)も大幅に劣化している。文章化に困る微妙さなので興味があるなら各自、動画か何かで確認してもらいたい。
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白黒画面のワンダースワンなのである程度は仕方ないのだが、それを踏まえても画面は見づらい(GBのワールドシリーズではそんなことはなかった)。
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背景と前景の区別がつかないことが多々ある。
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敵キャラや敵弾も背景に埋もれがち。
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また、敵キャラの無敵時間(被弾後ではなく行動パターン中の無敵時間)が全く無敵の様に見えないため、攻撃して無敵の時間を覚えるしかない。
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地面に半キャラ角の■が埋まっていることがある。これは踏んでからしばらくすると爆発する地雷なのだが、ほとんど見えないので地面が時折突然爆発しているようにしか思えない。
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地面に半キャラ角の↑が埋まっていることがある。グラビティマンステージと同じ重力反転の仕掛けだが、やはり見辛い。
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どうでもいいが、オープニングステージのボスは「グレーデビル」となっている(SFC版は「グリーンデビル」)。微妙に細かい配慮である。
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ステージも一言で表すなら冗長。
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ザコ敵が全体的に固く、バスターだと倒すのに時間がかかる。
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ただし、貫通力のある特殊武器を使えば一瞬で倒せる。
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一方、被ダメージは全体的に小さいため、当たって抜けた方が安全で速いことも多い。
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ザコ敵を倒すと、敵弾も消えるという仕様があるため、ダメージ覚悟で特殊武器で瞬殺する流れになりがち。
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本家シリーズでは無かった「トゲをスライディング・ダッシュでくぐる」という動作をかなりの回数させられる。
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本作ではスライディング・ダッシュの距離が短いため、少しシビア。
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一部だけロックマンしかくぐれないルート分岐のためのものもあるにはある。
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ザコ敵の種類も多くないため、同じ敵と戦い続けることになる。
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ステージはやや長めだが、中間地点は中ボス後とボス前の2つしかないため大きく戻されることがある。
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初見ではどっちに進むのかわかりづらい箇所もある。上から来たのでまた下かと思って下に行くと思ったら穴だったりする。
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あるステージではワンダースワンの縦・横切り替え機能を活かした縦長ステージがある。これを面倒とみるか斬新とみるかはプレイヤー次第。
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BGM自体はSFC版と同じだが、こちらはテンポが遅く単調なアレンジ。
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OPやイベントシーンではなぜかバーナーマンステージの曲が流れる。ミスマッチな上に曲調(かなり明るい)のせいでかなりマヌケな印象に。
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特に敵との対峙シーンはこのせいで余計シュールになってしまう。
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仕方がないことだが音質はSFC版にははるか及ばない。
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画面が処理落ちするとなぜかBGMもゆっくりになる。
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効果音も微妙。
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全体的に不足気味で、あまり効果音が鳴らない。
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天井からブロックが落ちてくる仕掛けですら無音で地面に激突する。
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一方で本編と異なり、梯子を上るときに何故か効果音がついている。ピロピロというようなミスマッチな音だが。
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敵に跳ね返された弾は上方斜めの微妙な方角に飛んでいくが、本作ではこの跳弾にも当たり判定が残っている。
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あるステージの中ボスはこれを利用して倒す必要があるが、大抵の場合は弾が画面に残って連射の妨げになるだけである。
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画面固定スクロール中はロックマンを動かすことはできないが敵キャラは動き続けるため、スクロール終了までに敵弾が目の前に迫ってきたりする。
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ある場所では普通に歩いて進むとスクロール終了とほぼ同時にメットールの攻撃にあたってノックバックし、前の画面に戻される。
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こちらの攻撃もスクロール時に消えず、スクロール中も動き続けるため、前の画面から敵を撃つことが可能。
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特殊武器の切り替えはスタートボタンからしかできない。
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WSには二つ十字キーにあたるボタンがあるが、両方とも移動に割り当てられていて、片方で武器を切り替えるなどといったことはできない。
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また、スタートボタンを押すとカーソルが必ずバスターに合っているため、スタートを押して閉じるとバスターに戻る。
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加えて、スタートメニューを開くとBGMが強制的にDr.ライト研究所の物に変更される。当然ながらゲームに戻るとステージBGMも最初からリセットされてしまう。
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スタートメニューでは武器にカーソルを合わせると、何故かライトットが武器を解説してくれるのだが、研究所にいる筈のライトットが解説役になっているのは不自然と言わざるを得ない。
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研究所のアイテム開発に必要なネジ数がやたら多い。
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1ステージを攻略して入手できるネジ数がだいたい30前後、多くて50くらいだが、平気で200以上要求してくるパーツが多い。本作はステージ数が少ない事もあって2周目以降のプレーでは1~2個しか開発できずに終わる事が殆ど。
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研究所限定のエネルギーバランサーとエナジーセーバーが150個とそれなりに妥当なネジ数が必要であるのに対し、道中でも普通に拾える1UPに至ってはそれよりも多い200個を要求される。どう考えても割に合わない。
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ロックマン史上最強の特殊武器「ドップラーアタック」
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コムソウマン撃破で入手できるフォルテの特殊武器であり、効果はフォルテがそれぞれに当たり判定のある4つの分身に分かれ、発動中無敵&上下左右に自由に操作可能&壁抜け可能というとんでもないものである。
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これを使えば、ステージはすべてなかったものとなり、壁を抜けて最短距離で各部屋を入口から出口まで駆け抜けることができる。
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また、ボス戦でも非常に強力であり、発動さえすれば攻撃をよける必要もなくなり、接触しているだけで常にバスター4発分のダメージが入る。ボスは無敵時間がほとんどないため、弱点武器でなくとも簡単に倒せてしまう。
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効果が切れた瞬間に壁の中にいた場合は即時1ミスとなる。一応危険ではあるが、効果に比べれば些細なものである。
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燃費があまりよくないのが最大の欠点か。
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ロックマンの場合は「ドッペルクラッシュ」という完全無敵状態での体当たり攻撃になる。威力が高く発動終了時にも無敵判定が短時間残るが、チャージ必須な上チャージ中は動けないという弱点がある。
評価点
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ロックマンとフォルテで得られる特殊武器が異なる。
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SFC版では共通であったため、進化していると言える。『ロックマンX4』等の影響だろうか。
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前述の様にフォルテの「ドップラーアタック」が強すぎるというバランス崩壊も招いているが。
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キャラクターのチョイス
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本作は概要や総評で触れている通り、様々なところでネタにされているクイントや、ゲームでは『ロックマンワールド5』や『ロックボード』程度にしか登場しなかったサポートメカのタンゴとレゲェを出演させる等、キャラクターの選別に関しては良いと言える。
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プレイヤーの操作性やゲームシステム自体は、従来のロックマンシリーズを踏襲している関係で破綻は見受けられていない。
総評
ロックマンシリーズとしては違和感のあるゲーム性だが、単純にアクションゲームとして考えると難易度が高く歯応えがある並の出来である。
しかし全体的な出来の悪さでファンの間では黒歴史に近い扱いを受けている一作。
『ワールド2』において非常に複雑な設定を背負って登場しながらも適当に放り出されたキャラ「クイント」に着目したストーリーや、『ワールド5』にしか登場しなかった味方キャラ「タンゴ」を再登場させた事など、着眼点を評価する声はあるが、その素材を活かし切れなかったのは残念である。
自分自身の「オリジナル・ロックマン」を作ったと豪語する製作総指揮の遊山直奇氏によれば『何よりも「泣かせる」ストーリーに仕上げたのが、賛否両論を生むかも知れません。』とのことだが、プレイした人が別の意味で泣かされたことは想像に難くない。
余談
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ロックマン・シャドウの設定が噛み合っていない。
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前述のようにロックマン・シャドウは「クイントの失敗作」という設定だが、クイントは「ワイリーに改造された未来のロックマン」なので話が成立しない。
なお、このことは作中で他ならぬロックマン・シャドウ自身も語っているが、矛盾の上塗りにしかなっておらず余計な混乱を招いている。
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ムック『ロックマンパーフェクトメモリーズ』では、一切存在に触れられていない。20周年イベントの公式年表でも端折られていた。
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本作発売後、『ロックマン エグゼWS』の発売を最後にカプコンはバンダイとの提携を解消しタカラと提携したのだが、この事との関連は不明。
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一方で、20周年記念画集『R20 ロックマン&ロックマンX オフィシャルコンプリートワークス』、および25周年記念の増補版『R20+5』では1ページのみだが触れられている。また、25周年記念のシリーズ特集号『アクションゲームサイド Vol.A』では「バンダイ」のカテゴリーで記述されている。
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他にも『ロックマン ゼクス』や『流星のロックマン ペガサス/レオ/ドラゴン』、海外ではアメコミなどに本作の内容に関連した小ネタが登場している。
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更に、発売から実に15年経過した2014年に発売されたサントラ集『ロックマン サウンドBOX 2』(DISK5)に収録されていることから、カプコン側としても本作は特に黒歴史にされている訳ではない様子。
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遊山氏は2019年にTwitterにて本作の資料を公開し、ファンの間で話題となった。
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一部のイラストは発売当時の雑誌でも使用されていた。
最終更新:2024年07月16日 11:08