ソニック ジャム
【そにっく じゃむ】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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セガサターン
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メディア
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CD-ROM
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発売・開発元
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セガ・エンタープライゼス
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発売日
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1997年6月20日
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定価
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4,800円(税別)
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プレイ人数
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1~2人
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廉価版
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サタコレ:1998年7月23日/2,800円(税別)
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判定
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良作
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ポイント
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ソニック初期作品4つを収録したオムニバスタイトル 『&ナックルズ』ロックオン版も全てプレイ可能 救済措置が搭載されて遊びやすくアレンジ おまけ要素の充実度も高い
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ソニックシリーズ
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概要
ハード発売から2年半、満を持して登場したサターン初のソニック作品。
「PROJECT SONIC」と銘打たれた新企画の第一弾として発表された本作は、ソニックシリーズ初のオムニバスソフトとなっている。
MDカセットで発売された4作に加え、おまけ要素となるギャラリーモード「SONIC WORLD」を収録している。
収録タイトル
『ソニック3』以降では一部効果音が『ソニック2』以前から少し変更されている。
評価点
今作の移植度は高く、多くの新要素が追加されている。
そのうえ救済措置が多数用意され、同時期のゲーム相応に遊びやすくなったのはかなりの長所。
原作発売当時のアクションゲームはセーブ機能が一般的では無かったこともあり、プレイ時間を延ばすために高難易度に調整されるのが一般的であった。この点はソニックシリーズも例外ではなく、特に初期2作はかなりシビアな調整となっていたが、『ソニック ジャム』はアクションゲーム初心者でも気軽に触ることができる。
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一番の長所は、原作にはなかった中断セーブ機能が追加されたこと。ゲームをやめる際に自動セーブされ、中断したACTの最初から再開できる(残り人数はセーブ時点のまま)。
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これにより難易度の高かった『1』『2』は何度でもリトライできるようになり、かなり遊びやすくなった(どれだけ難易度が下がったかと言うと、『3』『ナックルズ』の方が難しく感じられるほど。)。
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ボーナスステージのクリアも容易となったため、真エンドも容易に見ることができる。
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『ソニック3』『ソニック3&ナックルズ』原作でセーブ地点から始めるとゾーンの最初から再開となっていたが、こちらもACTごとに再開できるようになっている。原作通りのセーブ機能も健在。
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低難易度モードとして「EASY」「NORMAL」が追加。原作と全く同じ配置の「ORIGINAL」を含めた3段階で選択できるようになり、シリーズ初見のプレイヤーでもプレイしやすくなった。
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難易度によって「ORIGINAL」から敵やトラップが削られていく。
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特に「EASY」ではかなりの数のトラップが省略される他、一部コースはルートが短縮、ボスの耐久力減少、さらに1ZONEにつきACTは規定の1つのみになる。
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クリアしたACTのタイムアタック・スペシャルステージのみを遊べる特殊モードが追加された。
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プレイの快適さを上げるオプション項目
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制限時間の有無(原作にあった10分で強制ミスになる仕様)を設定可能になった。
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『2』以降から登場したスピンダッシュを『1』で使用できる。
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シャトルループを助走無しで突破できる他、至近距離に気軽に攻撃できるため、かなり遊びやすくなる。
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当時の説明書を英語版含めて閲覧可能。
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サターンが一度に表示できる以上の解像度で収録されており、画像を拡大することで詳細な内容をしっかり確認することができる。
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『ソニック&ナックルズ』最大の特徴だったロックオン機能が再現されている。タイトルを選択した際にどのソフトをロックオンするかを選択出来る。
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ソフト選択画面はMD版のカセットを再現したものから選択するようになっており、ロックオンしカセットを挿すシーンもきちんと再現される。
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各ソフトに仕込まれた裏技も難易度選択を問わず再現されている。デバッグモードすらも。
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ただし、『ブルースフィア』と『ナックルズ イン ソニック2』は『1』と『2』に追加された機能を使えない。
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「SONIC WORLD」の各種資料もなかなか充実している。
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シリーズ初の完全3Dステージとなっており、自由に探索が可能。ステージにはシリーズの資料を閲覧出来る施設がある。
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ムービー集を閲覧出来るムービー館は『ソニックCD』のOP/EDムービー、OVAの予告映像、歴代タイトルのCM集や未公開のCG映像…と当時としては充実した映像資料を収録している。特に『ソニックCD』のムービーは高画質化されており、MCD版からBG0Mのタイミングも調整されるなど大幅なブラッシュアップが行われている。
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このモードは『ソニックアドベンチャー』のプロトタイプを兼ねており、おまけとしていくつかのミッション(規定数のリングを拾い、戻ってくるタイムを競う、など)も用意されている。
問題点
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『2』と『3』の間に発売された本編『ソニックCD』は未収録。
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エミーやメタルソニックの初登場作品であり、今回の収録タイトルと同列に扱えるほどの代表作であるが、残念ながらプレイできない。
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メタルソニックは『&ナックルズ』にも登場するため、初登場作品が見られないのは少し勿体ない。
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こちらの他機種移植は、2005年の『ソニック ジェムズ コレクション』を待つことになる。
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説明書のUIが不便。ページをめくるたび、全体を映してから拡大するためテンポが悪い。
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拡大のスピードも遅く、必要な情報を確認するのにいちいち時間がかかってしまう。
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本作自体の説明書はソフト全体の最低限の事しか書かれておらず、収録作の詳細な解説(ベストエンド条件など)はこの説明書に任されているため、煩わしくなっている。
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「SONIC WORLD」のカメラワーク
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完全3Dが初だった事もありカメラワークがこなれておらず、自由に視点を動かす事が出来ない。カメラを固定する事も可能だがまったく動かなくなるため見たい場所が見られない……と、カメラには問題点多数。
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加えてソニックの速度で視点が動き回るため、強烈な3D酔を引き起こす。
総評
シリーズ初期の代表作が一通り網羅されており、ムービーや資料の閲覧が用意されるなどファンアイテムとしての出来も良い。
収録タイトルにも難易度変更や中断セーブが追加された事で原典よりも遊びやすくなっており、良移植といって良い内容である。
MDカセットソニックを一括で遊べる内容なので今作からソニックに入ったというプレイヤーも多く、シリーズファン拡充に貢献した一作と言えよう。
その後の展開
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翌年にはアメリカの携帯ゲーム機「Game.com」に移植された。
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収録されているのは『1』以外の3作のみで、ロックオン機能や「SONIC WORLD」などは無し。ステージ数も各ソフト4つで、全くの別物になっている。
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酷い処理落ち、まともに遊べないカメラワーク、視認性の酷い液晶に数々の未完成部分が重なり、海外の批評家からはしばしば「史上最悪のソニックゲーム」として評されている。
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ちなみに「Game.com」はその低品質さからユーザーにそっぽを向かれ、2007年までに出たゲームハードの中で売り上げワースト3位を記録している(参考)。
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セガの看板キャラ「ソニック」はサターンではハード発売からまる3年を経たここに来てやっと初登場となった。
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サターンは日本では出足好調だった反面、アメリカ市場では任天堂のマリオと人気を二分するほどだったソニックの展開がなかったことでハード自身が大不振に陥ってしまい結果的にサターン終焉の遠因となってしまった。
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本作発売当時は日本でもライバル「プレイステーション」(SCE)がRPGの超ビッグタイトル『ファイナルファンタジーシリーズ』(その第一号となる『VII』がこの年の1月に発売済み)を引き入れたことでアッという間に逆転を許し、更に左記作品発売の同時期には『ドラゴンクエストシリーズ』まで引き入れを確定させ(ただしこちらの移籍第一号『VII』発売は2000年8月と告知から3年半以上を要した)そのまま盤石なトップシェアまで固められてしまい完全にシェア争いで敗れ、白サターンによる無理な値下げが祟ってサターン拡販戦略は打ち切らざるを得ず戦略としては次世代機ドリームキャストへの切り替えを進めていたこともあって、いくらセガ屈指のキラーコンテンツとはいえこの時期での登場はやはり遅きに失したものだった。
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後年では、今作以外にも収録作を遊ぶ手段が増えている。
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2002年には収録数の増えた『メガコレクション』が発売された。
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その数年後には未収録タイトルを集めた『ジェムズ コレクション』も発売されている。
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その後は長らく、メガドライブ部作のソニックは任天堂ハードのバーチャルコンソール配信が一般的となっていた。
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2022年には『ソニックオリジンズ』が発売。現役のゲームハードやSteamがあれば、一通りの初期作品を遊ぶことが可能となっている。
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こちらは『3』『&ナックルズ』単体と「SONIC WORLD」を除く『ソニック ジャム』の要素全般に加え、『ソニックCD』も遊ぶことができる。
最終更新:2024年05月25日 13:02