本項ではセガサターン用ソフト『クロックワークナイト ~ペパルーチョの大冒険・上巻~』『クロックワークナイト ~ペパルーチョの大冒険・下巻~』を紹介します。(判定は上巻が「なし」、下巻が「良作」)
【くろっくわーくないと ぺぱるーちょのだいぼうけん じょうかん】
ジャンル | アクション | ![]() |
対応機種 | セガサターン | |
発売・開発元 | セガ・エンタープライゼス | |
発売日 | 1994年12月9日 | |
定価 | 4,800円(税別) | |
プレイ人数 | 1人 | |
レーティング | セガ審査:全年齢推奨 | |
判定 | なし | |
ポイント |
セガサターン初期のマスコット的作品 おもちゃの部屋をヘンテコ騎士が大冒険 癖は強いがコツを掴むと気持ちいい操作感 強引な分割販売で薄すぎるボリュームに |
セガサターンの発売初期に登場した2.5Dアクションゲーム(ローンチではない)。おもちゃの騎士の冒険を描いた、全年齢向けタイトルである。
本作は発売前から雑誌で大々的に扱われており、サターンの初動を支える役目を担っていた。初期のサターンを代表するソフトとして、今なお愛するファンは少なくない。
本作品はセガサターン用に企画された最初のソフトである。
当初は剣と魔法のファンタジーとして制作されていたものの、「世界観に魅力が無い」「画面が暗い」などの理由から没を重ねており、最終的には幅広い客層に訴求するべく、ゲームマニアで無くとも親しめる「おもちゃの国」という世界観に方向性が落ち着き、そこからはスムーズに制作が進んだといい、誰でも楽しめるように難易度を控えめに作られている。(*1)
ゼンマイ仕掛けの人形「トンガラ・ド・ペパルーチョ三世」は、子供部屋の郊外で暮らしている。トンガラ自慢の祖父ガールックは、その昔、子供たちに大人気のゼンマイ仕掛けの騎士で、さまざまな冒険をしてきたが、今は行方知れず。トンガラの楽しみは、三代仕える従者プルンチョから聞いた祖父の冒険を空想することと、オルゴール人形のチェルシーと話をすることだった。
子供部屋のアイドルであるチェルシーは不思議な力を持っていて、夜12時に彼女が歌い出すと、おもちゃたちは自由に動くことができる。ただし、夜明けまでに彼女が飾り時計の家に帰らないと、おもちゃたちは二度と動けなくなってしまうのだ。
おや、今夜も12時の鐘とともに、おもちゃたちが息を吹き返し始めた。おもちゃ箱や戸棚の中から、おもちゃたちが続々と集まってくる。
しかし突然、広場がまっ暗になった!停電だ!すぐに明かりはついたものの、なんとチェルシーの姿が消えてしまった。その上、一部のおもちゃたちの顔つきが凶悪になっている。どうやら屋根裏部屋に何かいるらしい。
大変だ!朝までにチェルシーを助け出さないと、おもちゃの国が滅びてしまう‼︎
トンガラは、騎士の誇りを奮いたたせ、プルンチョとロバのバロバロを従えて、チェルシー救出にむかった。時を同じくして、ライバルのジンジャーも愛馬シルバーとともに出発した。
(『上巻』説明書より。引用にあたり一部省略)
+ | 登場人物 |
セガサターンをゲーマー以外にも手にとってもらえるよう、満を持して送り出された本作。
しかし急いで出したが故に、1本のソフトとしては薄い内容となってしまっている。
本作のシステムを十分味わうには、下巻も合わせて遊ぶことが推奨される。
今から遊ぶ場合には、下巻も購入する前提で手にとるか、上下巻のカップリング移植『福袋』の入手がおすすめである。
【くろっくわーくないと ぺぱるーちょのだいぼうけん げかん】
ジャンル | アクション | ![]() |
対応機種 | セガサターン | |
発売・開発元 | セガ・エンタープライゼス | |
発売日 | 1995年7月28日 | |
定価 | 4,800円(税別) | |
プレイ人数 | 1人 | |
レーティング | セガ審査:全年齢推奨 | |
判定 | 良作 | |
ポイント |
難易度上昇・収集要素追加・ルート増加 これらの調整によりボリュームの薄さを改善 操作性などは前作据え置き 流石にサターンの看板は荷が重かった だがハマったプレイヤーからは「隠れた名作」と評されやすい |
『上巻』から7ヶ月、完結編として本作が発売された。
発売前には雑誌やテレビ番組とのコラボレーションも行なっており、「セガサターンマガジン読者から募集したギミックの採用(*4)」「テレビマガジンで行われたイラストコンテスト採用作品がゲーム内に登場」などの企画が行われている。
+ | ネタバレ注意 |
2作に渡るトンガラの冒険は本作をもって堂々の完結。前作のボリューム面はカバーされ、遊びごたえのある分量になった。
総合的に見ると、本作のゲーム性はファミコン時代のアクションに近い。当時のファミ通の紹介文を借りるなら、グラフィックが進化しても変わらないゲーム性がそこにある。
制約のある操作性の中でテクニックを見出し、難しいステージを一気に突っ切るさまはどことなくストイック。90年代半ばのゲームとしては古い部分もあり、操作性については否定的な見方も存在する。
しかしそのストイックさこそ本作の魅力でもある。上手く動かせたときの爽快感は強く、残機周りは親切でストレスフリー。手ごたえと親切さが同居した、絶妙なバランスを味わうことができる。
アクションゲームに初めて触れる人から、すっかり遊びつくしたという人まで、幅広く楽しめる作品である。
*1 「セガサターン・マガジン」1995年4月号の開発者インタビューより
*2 スタッフ曰く「ギャグっぽさで何か統一感を求めていたら香辛料系がピタっと来た」とのこと(「サタマガ」インタビューより)。
*3 「サタマガ」インタビューより。
*4 採用されたアイデアは「大砲」「新しい攻撃(ゲーム内ではミサイルを撃つ攻撃として採用)」「巨大な本」「折り紙の敵」「レコードのターンテーブル(ゲーム内では歯車として採用)」。雑誌では他にも様々なアイデアが紹介されており、「家の住人が起きて踏んづけてしまう」というユニークなものも存在した。
*5 厄介なことに、隠しコマンドを掲載しているサイトの殆どは、クリア特典であることを明記していない。
*6 加えて「ジンジャーを動かしたい」という要望も多かったのだが、こちらは『福袋』で実現した。
*7 敵を倒さずに放置しておけば自滅も可能だが、普通に死ぬ可能性が出てしまうため有用とは言えない。
*8 前者は水に落ちてしまい、後者はジャンプしながら取る都合で取りこぼしてしまう。
*9 キーコンフィグ画面でLRを押すと別ページに送られてしまう。
*10 メガドライブ以前から活躍していた、セガの元祖看板キャラクター。ソニックに立場を譲ってからは作品数も減少し、『セガガガ』では過去のヒーローとしてその哀愁が描かれている。