ソニック・ザ・ヘッジホッグ
【そにっく ざ へっじほっぐ】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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メガドライブ
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メディア
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4MbitROMカートリッジ
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発売元
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セガ・エンタープライゼス
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開発元
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ソニックチーム
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発売日
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1991年7月26日
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定価
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6,000円(税別)
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セーブデータ
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なし
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象) ※バーチャルコンソール版より付加
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判定
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良作
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ポイント
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シンプルな操作のハイスピードアクション 海外ではマリオに並ぶ人気
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ソニックシリーズ
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概要
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後にセガの代名詞の地位を獲得した音速ハリネズミ「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」が主人公の、2Dアスレチックタイプのアクションゲーム。
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方向キーとボタン1つの簡単操作で、かつてないスピード感が味わえる。
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BGMの担当は「DREAMS COME TRUE」の中村正人氏となっている。
システム
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ソニックは十字キーの左右で移動。押し続けて助走をつけるとダッシュする。
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走行速度が十分であれば、リング状に一回転したシャトルループを駆け上がる事もできる。
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どれかのボタンを押すとジャンプ。ジャンプ中は身体を丸めて回転するモーションを取り、体当たりで敵を倒せる。
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ダッシュ中に十字キー下を押すと身体を丸め、地形に沿って転がりつつ敵を攻撃できる。下り坂で転がれば一時的に更なるスピードを出せるが、行動の自由度は制限される。
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丸まっていない状態で敵やダメージ床に触れるか、水中で溺れてしまうか、ステージごとに10分経ってしまうとミス。
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ステージに散在する「リング」を一枚でも所持した状態でダメージを受けた場合、持っているリングをすべてばら撒いてしまう代わりにミスにならない。ただし時間が切れたり、場外に落下したり地形に潰されると問答無用でアウト。
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6ゾーンに対しステージが3つずつの計18ステージ(+ラスボス戦闘)。
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リングを50個持っている状態でゴールプレートにたどり着くと、空中に巨大なスペシャルリングが出現している。これに飛び込むとスペシャルステージに進める。
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スペシャルステージでは、全体がグルグル回転する迷路の中でトラップを避けつつ、「カオスエメラルド」という宝石を取るのが目的となる。
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各ZONEのACT3はゴールプレート(とスペシャルリング)が出現せず、エッグマンが操るメカと戦い、カプセルを破壊して動物たちを解放するステージとなっている。
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ZONE6はステージの最奥に行った後、FINAL ZONEを経由してエッグマンと戦うことになる。
評価点
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ボタン操作は攻撃を兼ねているジャンプだけで、ダッシュは方向キーを押し続けるだけと、操作が極めて簡単。
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ソニックはダッシュ力・ジャンプ力ともに高く、ジャンプ中やスピンダッシュ中は普通の敵ならどこから当たっても一方的に打ち勝てる。
自機の基本スペックが高いので、爽快感のあるアクションを楽しめる。
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素晴らしいスピード感。通常ダッシュの時点でそれまでのアクションゲームよりぶっちぎりで早く、「ジェットコースターのような道を丸まって滑走する」などのアクションで更に加速する点が高く評価された。
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BGMも良曲が多い。
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曲数も多く、ややハードな音であるFM音源でありながら実に聴かせてくれる。疾走感溢れる爽やかな曲から、迷走感を表す迷路に相応しい曲まで、曲調も多種多様。
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本作の楽曲はゾーン2・ゾーン5・ゾーン6の曲や無敵中の曲などがクレーンゲームの『NEW UFOキャッチャー』でも使用されている。セガ系のゲームセンターはもちろん、地方のショッピングモールやデパートのゲームコーナーにも設置されていたので本作をプレイしていない人にも知名度は高い。
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ステージマップは縦横いずれにも広大で、動く足場やダメージトラップ、隠しアイテムといった細かいギミックと探索要素にも溢れている。
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穴に落ちたり水中で窒息死したり壁に挟まれたりしない限り、リングを1枚でも持っていれば即死しない点はかなりプレイしやすいと好評。
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映像面の演出も良い
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メガドラにはなかった1軸回転・拡大・縮小表示をソフト側でカバーしている。シャトルループをぐるりと回りながら走る様や、スペシャルステージでの画面全体の回転は大きなインパクトを残した。
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曲と同じくステージも変化に富んでいる。機械的であったり、それとは一転した夜空の美しいものであったり...。
問題点
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一部のステージでは、醍醐味のスピード感が仇となり「なんだかよくわからないけど転がってるうちにクリアしてた」「走ってたらいつの間にか穴に落ちたり敵や罠にぶつかったりした」な状況になる事も。また、そういった構造のステージはゴール地点でスペシャルリングを取りこぼしてしまいやすい。
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一番顕著なのは意外にもGreen Hill ZoneのAct1、つまり最初のステージ。無敵アイテムと移動速度が上がるアイテムが比較的近い位置にあるため、その速度上昇が異常で加速した状態でジャンプするものならカメラがソニックの速度に追いつけなくなって画面外に消えることなどざら。但し、その速度がまた爽快感があり、最初に体感できるのがまだ救いか。
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ダメージを受けるとリングをすべて失う仕様上、高得点やスペシャルステージを目指すには、コース後半をノーダメージで通過しなければいけないというシビアな面もある。
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加えて今作のラスボス戦にはリングが一枚も登場しない。地形で押しつぶすことが主体の攻撃パターン故に、この点は移植版でもそのまま。
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パターン自体は単調なので慣れればそこまで辛い相手ではないのが救いか。
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また、本作では「トゲのみダメージ後の無敵時間中でもダメージ判定がある」というバグがあるため、トゲが敷き詰められている地帯に落ちるとバリアやリングを所持していても実質的に即死してしまう(「ブン」(バリア解除)→「チャリーン」(リングを落とす)→「チョイーン」(トゲでミス)のコンボはよくある光景)。尚このバグは半ば名物化したせいか、移植の際に修正されたりされなかったり、オプションでバグのON/OFFを切り替えられたりと扱いが様々である。
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カオスエメラルドを6個全部集めた時のエンディングの変化が地味。
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以降のシリーズでもそうだが、入ることすら難しいスペシャルステージを必死にクリアしてカオスエメラルドを集める、その苦労に、全く見合わない。(次作「2」はまだ集めるだけの価値がある方だが、この1ではかなり地味。のちのGG版などではただスタッフロール等が追加されるだけだったりする)
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ハイスピードアクションに見合わぬスローテンポな進行を余儀なくされる箇所の存在。
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マグマの上を小さなブロックに乗ってゆっくりと進むMarble Zoneや、水中での息継ぎ管理と雑魚敵による足止めが厄介なLabyrinth Zone等が挙げられる。
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水中にて酸欠でミスした時のSEは人によってはエグいと感じる事もある。
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まだゲーム性が十分に定まっていない1作目故、ある程度仕方がない点ではある。
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スペシャルステージは常時丸まり状態をコントロールし続けなければならないため、本編以上に難しい。中には完全にステージ構成を把握してないとクリア不可能なステージも存在する。
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Starlight Zoneアクト1では特定の場所に入ると完全に詰む場面が存在する。
総評
初心者でも遊びやすいうえに面白さがストレートに伝わるゲームデザインは、そのシンプルさ故に幅広い層から好評を博した。
また、今までのアクションゲームにはなかったスピード感とそれを生かしたステージギミックがウリであり、同じくアクションゲームの傑作である『スーパーマリオブラザーズ』との差別化が図られているだけでなく、他のどの名作アクションゲームともコンセプトが被っていなかった。
詳細は後述するが、この当時のメガドライブは相当な苦境に立たされていた。そんな中出現した本作は間違いなくメガドライブに光明を与えた傑作である。
そして、その存在感の大きさは、今なおセガの看板キャラクターとして方々で活躍しているソニック自身の姿が物語っている。
余談
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本シリーズの主人公であるソニックだが、本作に先駆けて『ラッドモビール』(AC/1991)に、車内に吊るされるマスコットとしてカメオ出演していた。当作品のSS移植版である『ゲイルレーサー』ではソニック以外のキャラのマスコットが追加されている。
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また、敵キャラのロボットを倒したり、ACT3のゴールカプセルを開けると動物が出てくるが、その中に過去作(1984年のAC作品)の主人公であるフリッキーがいる。
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ソニックの独特なループするステージは先に発売されているアーケード・メガドラソフト「大魔界村」の斜面を駆け上がる場面で「そのまま走らせて一回転させれば良いんじゃない?」の発想から生まれた。
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後のソニックの代名詞の一つであるスピンダッシュが本作にはまだない。実装されたのは続編から。
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ちなみに全ての移植版では実装されており、ON/OFF設定も可能。
但し、当然ながら当時は存在しなかったアクションである為ステージがコレを前提としたつくりをしておらず、特にアスレチック志向の強い偶数ゾーンでは残念ながらほとんど役に立たない。
売上
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惜しむらくは、万人向けだった
このゲームがローンチタイトルでは無かった
ことだろう。メガドライブ発売から三年も経った後の登場だった上、本作発売の一週間前に『FFIV』が出ていたため話題性を奪われるという逆境にあったため、当時の日本では目立った反響を得ることはできなかった。
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しかもメガドラのローンチは2作ともアーケードからの移植品でインパクトに欠けており、加えて2ヶ月目で早くも『おそ松くん はちゃめちゃ劇場』なる年末の魔物をセガ自身が出してしまっていたため、メガドラの評価そのものが冷淡な状態に陥っており、肝心のプラットフォームのユーザー層が「幅広い」とは言いがたい状況になっていたことが悔やまれる。
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『FF』『ドラクエ』といったRPGが既に日本で浸透しており、それを率いるファミコンやスーパーファミコンに分があったのも痛かった。メガドラは先のアーケード移植のように、アクションやシューティングといったハードゲーマーに支持されるラインナップが目立ち、ユーザー側もその影響を多分に受けていた。
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しかし若干一足先に発売された海外(特に北米)では大ヒットし、海外におけるアクションゲームの代表は「マリオ」と「ソニック」と言わしめるほどの状況を作り出した。この海外売上は凄まじく、結果的にはメガドライブで最も売れたゲームソフトという記録を残した。
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海外に関しても、やはりRPGの存在が影響している。日本と文化の異なる海外ではRPGがブームになっている訳ではなく、その影響を受けなかったためにメガドラそのものがいい勝負をしていた。ソニックどころかメガドラのシェアがトップになる程であった。その中で後述の「JFK空港での伝説」が生まれる事になる。
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なお、ソニックのローンチで出なかったのは間に合わなかったのではなく、テコ入れとして大掛かりな記者会見までして発表した社運をかけて出すソフトとして「シャイニング&ザ・ダグネス」と共に大々的に発表されたのがソニックである。ローンチではなかったが、今後のメガドライブを背負った存在なのは間違ってはいない。
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テレビ朝日「しくじり先生」にて、セガのしくじった歴史をメイプル超合金のカズレーザーがプレゼン。あくまでもセガがしくじった歴史で、成功例としてのソニックを紹介。その中で数少ないしくじっていない例としてソニックは売れすぎた結果米国のJFK空港の貨物コンテナがほぼソニックとメガドライブだけになった伝説を披露した。
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しくじりの中で成功している一例としての紹介だったが、テレビでソニックが特集されるなんて感慨深いとかなり高評価。カズレーザーのテキトーなプレゼンの「(ソニックは)アメリカ人は全員持っている」「日本といえば黒澤明かソニックか」等と一瞬驚き信じそうな事をサラッと、そのあと「わかりません!」でピシャリと落とすトークが秀逸で大変面白い内容。
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なお、この回に関しては一部セガファンからは「メガドラはしくじってない!」と反論もあったが、セガからは当時の技術者達が多数裏方で出演し、苦笑いしながらも大変楽しそうであった事からもしくじり先生の神回の一つとあげられる程。ABEMAやテレ朝動画等で見逃し配信もあるので(有料)興味ある方は是非見てほしい。
劇場版「ソニック・ザ・ムービー」
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2020年に、劇場版ソニック・ザ・ムービー(原題:Sonic The Hedgehog)が全米公開された。4167館OP興行収入5700万ドルを記録。ソニックの名に違わぬスマッシュヒットとなっている。
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OP興行収入としては、何かと比較された「名探偵ピカチュウ」を超えただけでなく、(当時における)ゲームの実写映画化としてトップとなった。
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劇場版ソニックに関して、製作途中に公開されたキャラクターがあまりにも似ていないと物議を醸し、作り直しとなった経緯がある。
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この時に日本のゲーム会社の方々から、似ていない事への作り直し要求に「作り直しがどれだけ大変か」を訴える書き込みがSNS等で多く見られたが、この作り直し要求の声を荒らげたのは日本よりも米国のファンであり、その声が本当に作り直しの公開延期という事に至る。その作り直しに至る決定は日本ではありえないほど早い対応でその姿勢は称賛された。
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日本は2020年3月27日より公開予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大により6月へと延期になった。
シリーズ恒例のステージ
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今作の最初のステージ「Green Hill zone」はソニックシリーズの代名詞の一つとなっており、後作にも度々アレンジされて再登場している。
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続編では「最初のステージは自然系モチーフ」という伝統ができた。
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10周年記念作品である『ソニックアドベンチャー2』に隠しステージとして登場する。
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20周年記念作品である『ソニック ジェネレーションズ』に最初のステージとして本格的アレンジされている。
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25周年記念作品である『ソニックマニア』でも最初のステージとしてアレンジされている。
3D ソニック・ザ・ヘッジホッグ
【すりーでぃー そにっく ざ へっじほっぐ】
概要(3D)
『ソニック1』の移植版。立体視に対応している他、オプションが非常に充実している。
特徴(3D)
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国内版と海外版の選択が可能。
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『ソニック ジャム』と同様、スピンダッシュ追加。勿論オプションでオンオフ切り替えが出来る。
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「スペシャル」でステージセレクトが標準で可能に。
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立体視も奥行きかズーム重視かの選択が可能。
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画面モードに当時のブラウン管テレビでの出力(色のにじみと画面の丸み)を再現した「クラシック」の追加。地味に立体視にも対応。
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BGM出力バランスにメガドライブ、メガドライブ2の選択が可能。細かな音源の違いを楽しめる。
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ボタンカスタマイズも搭載されている。
SEGA AGES ソニック・ザ・ヘッジホッグ
【せがえいじす そにっく ざ へっじほっぐ】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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Nintendo Switch
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メディア
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ダウンロード専売
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発売元
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セガゲームス
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開発元
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M2
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発売日
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2018年9月20日
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定価
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925円
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判定
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良作
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ソニックシリーズ
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概要(SEGA AGES)
『3D』版をベースにさらなるグラントノフを追加した第4期SEGA AGESの第一弾。
特徴(SEGA AGES)
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3D版で導入されていたスピンダッシュに加え、『ソニックマニア』収録版のドロップダッシュが更に追加。
オリジナルを遊びたい人向けにオプションで使えなくする事も可能。
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海外アーケードで使われていた「MEGAPLAY」版が初収録。
チャレンジモードとして、このモードを残1でプレイするモードと、グリーンヒルACT1のみをプレイする専用バージョンはタイムアタックがオンライン集計される。
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『3D ソニック2』からリングキープモードの導入。
実質的なイージーモードでもある。MEGAPLAY版にも適用可能。
最終更新:2025年01月03日 19:41