メトロイド ゼロミッション

【めとろいど ぜろみっしょん】

ジャンル アクション
対応機種 ゲームボーイアドバンス
メディア 64MbitROMカートリッジ
発売・開発元 任天堂
発売日 2004年5月27日
定価 4,800円
配信 バーチャルコンソール
【WiiU】2014年6月19日/702円
判定 良作
ポイント 初代メトロイドのリメイク版
初心者に優しいゲームバランス
1周当たりのボリュームは少なめ
メトロイドシリーズ


概要

メトロイドシリーズ6作目(プライムシリーズ含む)。
1986年にディスクシステムで発売された『メトロイド』(以下、初代)のリメイク作品であり、同時に当時マガジンZで連載されていたコミカライズ版『メトロイド』とリンクしている。

ストーリー

コスモ歴2003年。銀河系では各惑星からの代表者からなる「銀河連邦」が設立。異文化間の交流が盛んに行われ、多くの星間連絡船が行き来する繁栄の時代を迎えていた。
しかしその影で星間連絡船を襲うスペースパイレーツ(宇宙海賊)が登場、銀河の平和を乱し始めていた。
銀河連邦軍および連邦警察がその取り締まりに当たっていたが、広大な宇宙において神出鬼没かつ凶暴なスペースパイレーツを確実に取り締まることは事実上不可能であった。
そこで連邦当局は腕利きのバウンティーハンター(賞金稼ぎ)を雇い、スペースパイレーツと戦わせた。

コスモ歴20X5年、深刻な事件が起きる。
銀河連邦の調査船団が惑星SR388にて捕獲した未知の生物「メトロイド」がスペースパイレーツにより奪われてしまう。
メトロイドには「他の生命体に取り付き、その生体エネルギーを吸収する」というとても危険な特性があり、しかもβ線を照射する事により爆発的に増殖させる事が可能だという。
そんなメトロイドがスペースパイレーツの手に渡ったら、脅威的な生物兵器として使われるのは火を見るよりも明らかであった。

このままでは銀河連邦はスペースパイレーツによって壊滅させられてしまう。
銀河連邦は必死の捜索の末に、スペースパイレーツの本拠地が「惑星ゼーベス」にあることを突きとめ総攻撃を行ったが、スペースパイレーツの激しい抵抗により攻め落とす事が出来なかった。
そしてゼーベスの地下要塞の中心部では、メトロイドを増殖させる準備が着々と進められているらしい。

銀河連邦は最後の手段として、銀河最強のバウンティーハンター、「サムス・アラン」を惑星ゼーベスの内部に侵入させ、スペースパイレーツを操っている機械生命体「マザーブレイン」を破壊させる作戦を決定した。
サムスはこれまでに解決不可能と思われる事件をいくつも解決してきたが、その正体は僅かな関係者のみ知るところであり、いまだ多くの謎に包まれていた。


単身惑星ゼーベスへの潜入に成功したサムス。
実は惑星ゼーベスは幼き日のサムスの育った場所であり、マザーブレインはいずれ決着をつけなければならない因縁の相手であった。
果たしてサムスはこの「記録に残らない任務(ゼロ・ミッション)」を全うし、銀河を守る事ができるのだろうか?


特徴

  • 二部構成となっており、第一部は初代と同じ「マザーブレインの破壊」が目的だが、第二部は「帰還時に追撃を受け、絶望的な状況に陥ったサムスが、死中に活を求めてスペースパイレーツの母船に潜入する」という完全新規ストーリーとなっている。
    • 第一部のマップは基本的に初代のそれを踏襲しつつも、かなりのアレンジが施されている。
      • 初代にはなかったアイテムやエリア、中ボスなどが追加されている。
      • クレテリアや宇宙船など『スーパーメトロイド』に登場したエリアのような新マップも追加されており、ファンをニヤリとさせる。
      • 初代で「小ボスの部屋」と呼ばれていたエリアは、そのボスの名前から「クレイド」「リドリー」と命名され直されている。
      • アイテムは『スーパーメトロイド』以降に登場したものが多数追加。新アイテムとして前作にあたる『メトロイド フュージョン』の「崖つかまり」をアイテム化した「パワーグリップ」が登場。また、初代以降登場していない(というよりデフォルトで装備している)「ロングビーム」もアイテムとして復活したため、初期のビームの射程は画面端に届かない程短くなっている。
    • 第二部では、パワードスーツを失い生身となったサムスを操作する。この状態のサムスはとても貧弱で、敵に触れただけでエネルギータンク1個分もの大ダメージを負うほか、武器は「単発では全くダメージを与えられず、フルチャージでようやく敵を短時間しびれさせるハンドガン」しかない。したがって、敵から逃げながら深部を目指す『MGS』風味の隠れながら逃げる「潜入アクション」に一時的に変化する。
      • 「パワードスーツのアンダーウェア」ともいえる姿がこの作品で再設定され、以後のシリーズもスーツ下はこの姿でほぼ統一された。外部作品の『大乱闘スマッシュブラザーズX』にて「ゼロスーツサムス」と命名され、以降ファンの間ではこの名称が用いられている。
      • CMでは当時の森下千里氏がゼロスーツサムス役で、そこからパワードスーツ姿になる。おそらくこのCMと『スマブラX』で「サムスは女性なんだ」と知った人が大幅に増えたようだ。
    • 操作性も『フュージョン』を受け継いでいるため快適。初代には無かったマップ機能やナビゲーション機能も追加されている。

評価点

探索の自由度の低さの改善

  • 前作で指摘されていた「探索の自由度の低さ」が改善された。
    • 基本的なルートの指示は特定の位置にある鳥人象にアクセスすると知ることができるが、「無限ボムジャンプ」「片面キッククライム」といった技が復活したため、これを無視して進む事もできる。
    • 更に本作ではスーパー程ではないが、「大ボスを倒す順序を提示されるものと逆にする」「その段階では入手出来ない装備を無理やり手に入れる」といった「シーケンスブレイク」も可能となっている。

初心者向けなゲームバランス

  • 第2部でスーツを失っている間を除き、ゲームクリアの壁となるほど激しい攻撃力を持った敵はほぼいない。しかも各所の鳥人像がそのまま回復ポイントになっている他、その上でも厳しいなら難易度EASYも選択できるなど、初心者に優しい作りとなっている。
    • 反面、ノーマルでも難易度がシリーズ最低クラスでありハードになって歯ごたえのあるバランスということで、「ゼロミッションはヌルゲー」と言う意見もある。
      元々メトロイドシリーズは高難易度系のアクションというよりも探索に重点を置いたゲームシリーズであり、そちらの完成度は十分高いため大した問題にはなっていないとされている。
    • マップデザインも非常に練りこまれており、たとえスクリューアタックなどのアイテムを手に入れずに抜け道に入ったとしても、さらに復帰用の隠し通路も込みで構成されているなどの配慮からハマることは無い。結構やり込んだ人でも気づかない抜け道もあったりする。
    • 低難易度化も相まって、1プレイのテンポは良く、慣れれば1~2時間ほどで1周できるようになる。タイムアタック、特定%の縛りプレイなど目標を設定した周回プレイがナンボの本シリーズにとっては、それを押し出した大きな長所といえる。

快適な操作性

  • 前作にて程よく簡略化された操作性がベースとなっており、ストレスを感じにくい。
    • ジャンプの高速化、ミサイルとスーパーミサイルの分離、ボムの起爆タイミングの短縮など、細かな調整がいくつか見られる。
    • また、『フュージョン』ではできなかった一本壁蹴りが出来るようになり、壁蹴りの仕様が『スーパー』に近いものになった。

グラフィック・サウンド

  • GBAとしてはグラフィック・BGMともに高レベル。単独潜入の緊張感・恐怖感をあおるものだけではなく、序盤と終盤の勇壮なテーマも印象的である。
    • BGMはもちろん初代をベースにしたものが多い中、なんとスーパーのクレテリア・幽霊船のアレンジも聞ける。シリーズファンはにやりとするだろう。もちろん新規BGMのクオリティも高い。

豊富な隠し要素

  • 1プレイの時間は短めだが、周回プレイを前提としたさまざまな追加要素がある。
    • 前作と同様のギャラリーモードが追加。「難易度HARD、かつアイテム回収率15%以内」のクリアが鬼門か。
    • また前作『フュージョン』と連動させることで、本作のソフトで『フュージョン』でのEDイラストを全て見ることが出来る。連動には『フュージョン』のソフト以外に別個でGBA本体と通信ケーブルが必要。
      『フュージョン』の1%クリアに挫折した人にとっては嬉しい救済措置である。
    • 他に難易度HARDでクリアすると、シリーズ初のサウンドテストも追加。
    • クリア難易度不問のおまけで、NES版(海外用ファミコン)の初代『メトロイド』もプレイ可能になる。海外版と国内版の違いは一部のBGMやパスワード制であることと、一部敵の攻撃パターン。

賛否両論点

  • ジャンプの挙動がかなり速い
    • 前作『フュージョン』にて上昇・下降ともに程良く調整されたのだが、本作ではさらに高速化しており、慣れるのに少々苦労する。
  • 『スーパーメトロイド』との世界観の差異
    • 本作は惑星ゼーベス、つまり後の『スーパーメトロイド』と同じ舞台・世界観なのだが、世界観のデザイン・雰囲気が漫画版を意識していたのか、『スーパー』とまるで異なる。該当記事を見れば分かる通り、『スーパー』の世界観はハードでダーク、BGMも全体的に暗く恐怖心を煽るものが多かった。しかし本作は同じ舞台でありながら、若干明るい雰囲気のロケーション・BGMが多く、世界観のデザイン(主に足場・地形等)にも共通点をあまり見出せない。
    • ちなみに『スーパー』は、地形やそのデザインを意図的に『初代』に似せて作っていた。そのため「久々に来た・戻ってきた」とプレイヤーが感じられたのだが、本作では上記の理由からどうしても違和感を禁じ得ない。勿論ゲームプレイに影響を及ぼしている訳ではないが……。
    • 具体的には、ブリンスタスタート地点付近の地形、マザーブレインのステージなどにしわ寄せが来ている。『スーパー』では、同じ場所である事を演出するためマップチップや配置を『初代』にとても似せていた事に対し、本作は地形自体は似せてはいるものの、全体がアメコミ調となっておりハードの解像度故か、マザーブレインの大きさやモーフボールまわりなどのスケールもまた『初代』『スーパー』と比べるとだいぶ異なる。
    • 『スーパー』で導入された特殊アクション「キッククライム」と「シャインスパーク」は、同作内にて友好的な生物であるダチョラ及びエテコーンの動きを見て覚えたという設定で、『フュージョン』でもそれに基づくサムスの独白があった。しかし本作では時系列的に彼らに出会う前でありながら、これらアクションを使用可能であり、設定に齟齬が生じている。無論ゲームプレイの幅が大きく広がるという面では良い点ではあるのだが。
  • 一部のBGMが日本語版と異なる
    • アイテム取得時のジングルが海外NES版のアレンジであるため、シリーズの国内ファンからみると違和感に感じられやすい。
      ちなみに、国内版のジングルは「終盤のあるタイミングでゲーム中一度だけ流れる」。
    • また、脱出の際にかかる曲はディスクシステム版準拠であり、NES版にのみ追加された部分はカットされている。
  • 初代スーツ仕様ではないバリアスーツを操作できない
    • リメイクであることやゲームの進行上、「シリーズお馴染みのバリアスーツ姿のサムス」を操作できる場面が存在しない。実際に操作できるのは初期状態の「ノーマルスーツ」と「バリアカラーのノーマルスーツ」、そして「グラビティスーツ」のみとなっている。
    • いつものバリアスーツそのものは演出でのみ登場しており、グラビティスーツに移行した時点でバリアスーツも自動的に獲得済になるという細かい仕様はある。
      • 一応、データ上はバリアスーツのモーションも存在しており、チートを利用すれば操作も可能。本来は不可能だが未詳アイテムを持たずにここまで進めた場合の挙動が、没データながら細かく作り込まれている。

問題点

  • 一部のタンクアイテムの入手難易度がやたらと鬼畜で前年に発売された『フュージョン』と同じくスピードブースターを酷使される。
    • クリア直前に取れるようになるアイテムには、「正気か!」と叫びたくなる様な取得難易度のもの*1もしばしば見受けられる。全てがエネルギー以外の所有数増加のタンク類で、クリアに必須な装備は含まれないのが救い。
  • 1周のボリューム不足
    • 遊びやすさ、周回プレイ要素を重視しているためか、1周のボリュームはシリーズでも最底辺。難易度が低くサクサク進められるため、初見は相当味気なく感じられるだろう。
    • 本作は「初代のリメイク(一部)+後日譚(二部)」という内容なのだが、どちらもボリュームはかなり少ない。一部はそれなりのボリュームだが、初代以外と比べれば規模が大きいわけではない。二部に至っては、敵地に潜入してスーツを復活させたら、後はもう最終ボスを倒してクリアするだけである。スーツ復活までの道のりはともかくそこからボスを倒すまでの道のりは結構短く、後半戦というよりはアイテム回収のためのおまけに近い。
      • 二部で解禁される装備の必要性も薄い。攻撃能力に直結するプラズマビーム・スペースジャンプ(≒無限スクリューアタック)はまだしも、グラビティスーツとパワーボムはアイテム回収に使うものでしかない。二部のボリューム不足にもつながっているため、ストーリー上で必要となる場面を用意して欲しかったという声も。
    • 追加マップも遊びやすさを重視したのか狭め・少なめにされている。真新しいギミックも少なく、本作で新登場したギミックはアンノウンブロックぐらいのもの。
    • ボスは中ボスを含めればそれなりの数がいるが、最終ボスを含むいずれのボスもかなり弱く、あっさりし過ぎて印象に残りにくい。人によっては難易度HARDでもあまり苦戦しないかもしれない。
  • エンディングイラスト数の減少
    • クリアタイムとアイテム回収率に応じてエンディングのイラストが変化するギミックは健在だが、前作では「コドモ向け」表示用のイラストもあったのに対して、本作では文章内容問わず「大人向け」の物に統一され、イラストの総数も約半分に減少してしまった。
    • このため、主に前作をやり込んだプレイヤーからは物足りなく感じる事がある他、「コドモ向け」表示設定自体もエンドイラストが分岐しなくなったことに伴って文章の違いを楽しむ程度の機能になってしまったのは否めない。
    • なお、この仕様については『フュージョン』とは違って文章内容が変更する箇所が2箇所しかないため、文章設定はあくまでおまけとなっているからかこの仕様になったのだと考えられる。
  • サムスの幼少期と現在のギャップ
    • とあるイベントで幼少期のサムスの顔が、現在のサムスの顔にスライドしていく演出があるのだが、幼少期はマガジンZ版の絵柄で日本人ウケする可愛らしい絵柄となっているのに対し、現在のサムスはゼロミッション全体で採用されているアメコミ調となっている。そのため二枚の絵柄が非常に違いすぎて浮いてしまっている。元々サムスの顔は日本人ウケする物ではなかったが、スライドする演出上、あきらかに絵柄が違う二枚の変化に違和感を覚えてしまう。
  • メトロイドがやたらと強い
    • アイスビームを撃つと動きが止まるという点は同じだが、NORMAL以上だと怯む時間が非常に短く、5秒未満程度しかない。
    • そのため2体以上での戦闘がかなり苦しくなる上にかなりの数を処理しなければならないためかなり鬼畜。

総評

初代のリメイク作品という立ち位置ではあるが、上述の通り追加点も多く、厳密には初代をベースにした新作というべきかもしれない。それゆえ、シリーズファンからは意見が分かれる部分もある。
しかし、全体的にシンプルかつ高水準でまとまっており、初心者への配慮を行いつつ、上級者のやりこみにもそれなりに耐えうるゲームバランスとなっている。2Dメトロイドとして十分な品質を保っている作品といえるだろう。


その後の展開

  • 本作以降、2Dのメトロイドは2017年の『メトロイド サムスリターンズ』まで13年間発売されなかった。
    • DSで『メトロイド ドレッド』という2Dメトロイドが開発されていたが、結局、開発中止となってしまっている。
    • その後、2021年に約15年越しで上記の『ドレッド』がNintendo Switchにて発売となった。

余談

  • 当時の公式サイトでは、上記のコミカライズ版『メトロイド』の1~2話がFlashアニメによるモーション付きで公開されていた。
  • サムスのスーツのデザインは『II』にてアレンジが加わっているのだが、『II』から14年後に発売された本作にて、ようやくその理由が後付とはいえ明かされる形になった。
  • クリア後に隠しコマンドを入力すると「タイムアタックモード」でゲームを開始する。このモードでクリアし取得したタイム(パスワードで暗号化)は公式サイトでランキングが行われた。
  • 久々に自由な探索が可能となった本作だが、前述のようにマップ構造やフラグ管理は緻密に構成されており、どんなルートで進めてもゲーム進行に支障が出る場面はほぼない。
    • そんな中、唯一詰む可能性があるのがツーリアン。もしアイスビームを獲得せずに侵入してしまった場合「メトロイドを倒してゲートロックを解く」という条件が満たせなくなるため、脱出不能となる。
      とはいえ、アイスビーム自体は進行ルート上で必ず通過・発見可能な箇所に配置されており、この現象を起こすには意図的にアイスビームをスルーして強引に進行する必要がある。
    • なお、アイスビームをスルーしてウェイブビームを獲得すると、きちんとウェイブ専用の紫色のビームエフェクトが存在していることが確認できる。
      ちなみにデータ上はプラズマビームの専用エフェクト(緑色)も存在しているが、こちらはチートなどを利用しないと確認できない。
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最終更新:2024年06月19日 14:31

*1 特に『フュージョン』のシークエンスブレイク的な小ネタルートのように、シャインスパーク→スピードブースターの維持を複数回利用しながら長距離を移動しなければならないタンク類。