ピューと吹く! ジャガー ビョ~と出る! メガネくん
【ぴゅーとふくじゃがー びょーとでるめがねくん】
| ジャンル | 一般 | アクション |  
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| 公称 | 笛マティックRPG(ローリングピロリーヌゲーム) | 
| 対応機種 | ゲームボーイアドバンス | 
| メディア | 64MbitROMカートリッジ | 
| 発売元 | コナミ | 
| 開発元 | コナミコンピュータエンタテインメントジャパン インテンス
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| 発売日 | 2004年4月29日 | 
| 定価 | 5,229円(税込) | 
| レーティング | CERO:全年齢対象 | 
| 判定 | バカゲー | 
| ポイント | 原作の雰囲気は良くでている作品 アクションとしては薄いがそこそこ遊べる出来
 他のゲームのパロディまみれ(というかそのまんま)
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| 少年ジャンプシリーズリンク | 
 
概要
2000年から2010年まで週刊少年ジャンプに連載されていたうすた京介のギャグ漫画『ピューと吹く! ジャガー』のゲーム作品。
『ピューと吹く! ジャガー』のゲームは本作発売の一か月前にコナミからPS2で『明日のジャンプ』が発売されているが、それとはまったく異なるジャンルで、オーソドックスな2Dアクションゲームである。
ストーリー
ある朝、ジャガーたちが目を覚ますと世界は一変していた!
ハマー(浜渡浩満)がひそかに出版していた自伝、「裸のハマー(オレを理解できない世間がダセーYO!)」を読んだ暇人たちがダメ人間化。
ダメ人間はそのネットワークを一斉に広げ、あっと言う間にハマーは崇拝の対象となり、かつて曲をヒットさせた時以上の人気者となった。
地球をダメ人間の星にするわけにはいかない!ジャガーたちは調子こいてるハマーの根性を叩き直すため立ち上がった。
ゲームの内容と特徴
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公称ジャンル名「笛マティックRPG」から誤解しそうになるが、本作は後述するようにステージごとに異なるジャンルを遊ぶことになるものの基本的には2Dアクションゲームである。そもそも「ロールプレイングゲーム」ではないが。
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プレイヤーは主人公のジャガーを操作。ジャンプと笛による攻撃を駆使してステージを攻略していく。
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ジャガーには体力(笛の耐久力)があり、最初は3。ボーナスステージ攻略で最大値が増加する。攻撃を受けるか穴に転落することで減少し0になるとゲームオーバー。
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攻撃は1ボタンで行う。地上なら連続で三段まで派生する。空中だと回転しながら斜め下へ急降下攻撃。
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ジャガーの性能は「珍笛」を拾うことにより強化できる。飛び道具を出せるようになったり、オプションをつけるようになったり。
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道中にはピヨ彦の父・ハメ次郎がおり、回復アイテムや珍笛を売ってくれる。購入には道中で拾った金(敵を倒すと落とす)が必要。
 
 
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アイテム「松茸」を使うことで仲間を呼び出せる。
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仲間はピヨ彦・高菜・ハミィの三人で、誰が来るかはランダム。
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ピヨ彦は石を投げて攻撃、高菜は肉弾戦、ハミィはジェットで突進攻撃。
 
 
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全部でステージは7つ(チュートリアル1面+5ステージ+最終ボス戦)。ステージクリアごとに会話デモが入る。
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小さなステージがいくつかあり、ゴールにたどり着くのが基本。ゴールに到着するとクリアタイムが表示され、セーブが可能。
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いくつかの小ステージをクリアするとボスステージとなり、ボスを倒せばステージクリア。
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視点は小ステージごとに異なり、横スクロールとトップビューがほとんど(一部クォータービューとトップビューの中間のステージもある)。基本的に任意スクロールのジャンプアクションだが、強制スクロールや水中面もある。
 
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ステージ中の珍笛「海のエンペラー」をとるとボーナスステージに移行。制限時間以内にダメージなどを一切受けずダイヤをすべて集めることが目的。
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一周クリアするとそのまま二周目に移行。耐久力や攻撃力の強化はすべて引き継がれる。
 
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付属の3Dメガネをかけるように指示される場所がある。かけることでステージの一部オブジェクトなどが立体視で見られる。なくても攻略は可能。
おバカな特徴
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やたら多い自社パロや他社パロの数々
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開発と製作がコナミだけあって、コナミ由来のゲームを元ネタにしたパロディがわんさか存在する。
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具体的には背景や地形構成からBGMから『悪魔城ドラキュラ』のような2Dステージ、後述の『グラディウス』風シューティングなどコナミ作品から数多く出典。
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それ以上に他社のパロディが充実しており『戦場の狼』っぽい縦スクロールステージや『聖剣伝説2』っぽい森のフィールドといったゲーマー達が「コレはアレっぽい」を感じてしまうネタも山盛り。
 
 
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ステージ5はファミコン風のグラフィックと音声。スコア表示やデモ画面なども変わるという謎の気合の入りっぷり。
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ステージのグラフィックなどもファミコンの他のゲームのパロディやオマージュまみれ。ファミコン風だけあって、この面だけやたらファミコン系パロディが充実している。
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まず最初のステージが扉や敵などそのままサン電子の『アトランチスの謎』。その次の探索ステージがアスキーの『キャッスルエクセレント』。終盤には任天堂の『ゼルダの伝説』と違う会社の作品なのにやりたい放題。大丈夫か……?
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一方自社パロも充実しており、例えばボーナスステージが往年のコナミ作品『サーカスチャーリー』そっくり。『愛戦士ニコル』を彷彿とさせるスクロールアクション面もある。
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3Dメガネ装着を指示するアイキャッチ画面は完全に『グーニーズ』。
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そしてボスステージがキャラをジャガーのものに置き換えただけのファミコン版『イー・アル・カンフー』。BGMもそのまま。違いを挙げるなら壁の「功夫」が「珍笛」になっている程度。
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しかも隠し要素でこのボスステージが単体でプレイ可能。疑似的にイー・アル・カンフーを遊べる。
 
 
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ステージ6のボスステージがグラディウスのパロディなシューティングゲーム。
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自機はハミィに乗ったジャガーで、敵のデザインはハマーの衣装を取り入れたものになっている。ボスはビッグコア風のハマーの顔・ビッグハマー。
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珍笛でつくオプションなどもまんまである。
 
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コナミコマンド完備。しかも公式サイトで公開されている。隠せていない隠し要素。
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回復アイテムはマグロ丼だが、よく似た大盛りぜんざいがアイテムとして落ちている。
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拾うと回復は全くせず、一定時間自分にモザイクがかかる。それだけ。
 
評価点
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アクションゲームとしてはそこそこ歯ごたえがあり、楽しく仕上がっている。バランスも悪くはない。
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ギミックなどはアクションの王道ともいえるものが多数詰まっている。
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転がる岩の振動で落下してきた岩をよけることになったり、トゲ天井から逃げて障害を乗り越え下へと向かったり、マップを動き回ってゴールに向かうためのカギを集めたりなど。
 
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シューティングや格闘アクションやパズルのような多彩なジャンルのゲームを詰め込んでいるが、ボタン数の少なさなどもあって直感的に遊べるものがほとんど。説明書がなくても楽しめるだろう。
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前述したまんま他のゲームを持ち込んだ部分も目に付くが、それらを含めてもなお楽しいと断言できるだろう。
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仲間も得手不得手はあるが、いずれもどんな場面でもそれなりに使える性能になっている。
 
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グラフィック
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全体的に背景やキャラなどの描きこみが非常に細かく、しっかり作られている。移動時のジャガーのモーションなどはかなり細かい。
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会話デモなどで登場するイラストは原作漫画の絵をカラーで完璧に再現している。
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前述したようにファミコン風グラフィックもちゃんと作りこまれている。
 
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サウンド関連
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良質なBGM。ボス戦などは特に熱い。
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前述のグラディウスステージは地味に原作の楽曲のアレンジ。コナミだからできる芸当。
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『悪魔城ドラキュラ』風ステージに関しても『悪魔城伝説』の「Beginning」ベースのアレンジと思われるが、他の曲もいろいろ混ざったようなアレンジになっている。
 
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主要キャラの音声はドラマCDやPS2版と同じキャスト(後のアニメ版も同じ)が務める。
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コンボを決めたときの「ナイスアクション!」やゲームオーバー時の「アマンドネフ…」など、音声も原作のセリフを完璧に再現。
 
 
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原作のシュールギャグな雰囲気の再現度は非常に高い。
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敵キャラクターには原作に登場したシュールなキャラクターや、単行本の空きページに描かれただけのキャラなど様々な場所からネタを引っ張ってきている。
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原作のギャグの流用も多いが、セリフ回しや展開などもいかにも「ジャガー(うすた作品)らしい」と感じさせるものになっている。
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ジャガーのモーションもジャンプや攻撃などヘンテコなものがそろっておりシュールな見た目。
 
賛否両論点
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あってないようなものとはいえ、シナリオがひどい。
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あらすじは上に述べた通りだが、本当にゲームの最後まで「調子こいてるハマーの根性を叩き直しに行く」で一貫している。
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原作のことを考えると、そもそも期待するべき部分ではないのだろうが。
 
    
    
        | + | 終盤・結末ネタバレ | 
ラスボスはハマー…の前に、巨大なメカに変形して登場した「ゴッサム歯科」の院長と対決。まともにしゃべることすらできていない。
それを倒すと、院長は普通にしゃべれるようになり、「わしはハマーの一番のファンじゃ。なぜならハマー、わしはお前の父親だからじゃ!」と衝撃の告白。
 
ラスボスは院長とハマーが連携して攻撃してくる。これを倒すと会話の後ハマーをぶちのめして謝罪させるジャガーたち。
ジャガー「……という夢を見たよ」と、夢オチで終了。まあ原作の世界観を考慮してもあまりにいろいろおかしいので、夢オチにでもしないと収拾がつかないだろうが。
 
そしてスタッフロールはすみだ川花火大会のビデオを背景に流れる。原作再現だがなんというがっかりイリュージョン。
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問題点
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携帯機とはいえボリュームが少ない。
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シナリオに分岐はなく一本道。隠し要素が前述のジャガー版イー・アル・カンフー(ガリの穴)しかなく、一度クリアしたボーナスステージは同じデータでは再挑戦不可能。難易度設定も本作にはない。
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これらのために、一周してボーナスステージを制覇してしまえば本作で遊べる部分はほとんどなくなってしまう。各ステージのクリアタイムは記録されるのでこれの更新に挑戦するぐらい。
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サウンドは良質でBGMの種類も結構ある割にサウンド関連のオプション等も一切ない。
 
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レトロゲーム風ステージの一部エリアがゴールにたどり着くまでかなり手間のかかる構造。
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ここと水中面を除けばなかなか軽快なアクションで進行出来るため、少々ゲームテンポが悪く感じる。
 
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ゲームそのものに3Dを生かせている部分は少ない。
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前述通り、メガネがなくてもプレイに支障をきたすことはない。
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また、ハードスペックなどの関係もあって見え方には個人差がある。
 
総評
アクションゲームとしては大きな破綻がなく、様々な要素を高い質で詰め込んでおり十分に楽しめる仕上がり。
また原作のシュールな雰囲気の再現も非常に出来がよく、キャラゲーとしては間違いなく合格ラインに達している作品だろう。
ゲーム全体のボリュームがそこまで多くないのが悔やまれるところである。
余談
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原作漫画の作者であるうすた京介氏は自らSEGAマニアを公言するほどのSEGA大好き人間。どれくらい好きかというと、自身の漫画内にロボピッチャ等のSEGA製品をたまに登場させるほど。
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しかしパロディまみれの本作において、実はSEGAゲームのパロディは一切存在しない。ジャガーの回転がソニックのようにも見えなくもないが、正直微妙なところ。
 
最終更新:2024年03月06日 02:16