ゲームセンターCX 有野の挑戦状
【げーむせんたーしーえっくす ありののちょうせんじょう】
ジャンル
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ゲームinゲーム
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対応機種
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ニンテンドーDS
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発売元
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バンダイナムコゲームス (ナムコレーベル)
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開発元
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インディーズゼロ
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発売日
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2007年11月15日
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定価
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5,040円
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判定
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良作
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フジテレビ関連作品リンク
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概要
CSのテレビ番組「ゲームセンターCX」とタイアップしたレトロゲーム風ミニゲーム集。
ストーリー
「ゲームセンターCX」で挑戦に失敗した有野課長の無念の思いがDSに宿り実体化した「ゲーム魔王アリーノー」によって、プレイヤーは子供にされ、80年代に飛ばされてしまう。
現代に帰るためにはアリーノーから出される挑戦状を全てクリアしなければならない。
内容
全部で8種類の「ファミコンっぽいゲーム」が収録されている。
最初は「コズミックゲート」しか遊べないが、挑戦状を一つのゲームにつき4種類クリアするごとに、新しいゲームが登場しプレイできる。
挑戦の内容は「特定のステージをクリアする」「特定の技を発動させる」「目標スコアを達成する」など、ゲーム内で特定の条件を満たすものとなっている。
あくまで「ファミコンっぽい」だけでグラフィックやサウンド、演出などは2007年相応。画面が綺麗で、操作性も良いため遊びやすい。
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プレイヤーは過去の時代の有野少年の家でゲームをプレイしているという設定。有野少年はプレイ中にいろいろ話しかけてくるため、友達の家でゲームをプレイしている気分になる。
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作中には「ゲームファンマガジン」(以下、作中の略称に倣いゲーファン)というゲーム雑誌が存在し、ゲーム本編のストーリーを進めると新しいものが発売され読めるようになる。
雑誌内では攻略のヒントや多くの裏技が紹介されていてプレイヤーの助けとなる。番組のスタッフが編集者として登場するネタも。
収録ゲーム
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コズミックゲート
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「ギャラクシアン」を彷彿とさせる1画面のシューティングゲーム。特定のアイテムを入手してパワーアップしたり、特定の敵を倒すとワープゾーンが出現するといった要素もある。
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からくり忍者ハグルマン
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「忍者じゃじゃ丸くん」に似たアクションゲーム。開けると同じ色の扉が開き、攻撃にもやり過ごしにも使えるからくり扉を活かし、アイテムでハグルマンや手裏剣を強化したり、仲間の助けを得て各ステージにいるボスキャラを倒して進む。
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連続踏み、扉に隠れたボスを出すことによるタイムボーナス、隠しアイテムなどのスコアアタックも魅力。
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『二周で真のクリア&二回食らうとアウト』は「魔界村」から着想した有野が提案したルール。
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ラリーキング
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真上視点で車を動かすレースゲーム。コースを二周するのが目的だが、車には耐久力ゲージが存在し壁や他車にぶつかると減る。ゲージがなくなったり、ゴールしても順位が低い場合はゲームオーバー。
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どことなく「F-ZERO」を見下ろし型にしたようなゲーム。ドリフトやターボの要素も存在し、車のような挙動を楽しむ事ができる。
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ちなみに主人公の「マーサー・アリオ」は有野の考案。マリオと魔界村のアーサーの名前を混ぜたもので、イラストも顔はアーサー・体はマリオとなっている。
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スタープリンス
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縦スクロールシューティングゲーム。アイテムをとることでショットの軌道を変えられる。ステージ各所にさまざまなボーナスも隠されている。
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ショットボタンを押しっぱなしにする事でバリアを発生させそれを反撃に使える、アイテムを撃ってボムに使えるなど、レトロゲーム風にしてはただ撃って敵を撃破していくだけでない戦略性がある。スコアアタックもアツい。
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現実のハドソンSTGのように連射が得意な名人が登場したり、連射コントローラーが使えたり、出場は出来ないが公式試合があるというネタもある。
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ラリーキングSP
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ラリーキングのガワ替えゲームで、障害物が増え難しくなっている。
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『「井の吉製麺」と「ゲームファンマガジン」とタイアップした、懸賞で手に入る非売品バージョン』という設定で、コース各所に商品名が書かれた看板があったり、コースクリア後にラーメンのCMが入ったりする。
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現実にもかつて永谷園と「マリオブラザーズ」シリーズだったり、カップ麺「アルキメンデス」と「グラディウス」といったタイアップはあったので、それのパロディと思われる。
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からくり忍者ハグルマン2
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前述のハグルマンの続編。基本システムは前作と変わらないが、ステージが広くなり難易度はかなり上がっている。
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こちらも初代の大ヒットを受けて、やり込んだプレイヤーに向けた高難易度作品としてリリースされた「スーパーマリオブラザーズ2」のパロディと思われる。
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ガディアクエスト
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「ドラゴンクエスト」のような王道ファンタジーRPG。出てきたマークにより攻撃力が変動する「アタッキングマークシステム」や、特定の敵をガディアとして仲間にできる独自のシステムがある。
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仲間が三人なのは「ドラゴンクエスト2」、一部モンスターのグラフィックは「Wizardry」、そして発売延期など、ネタも豊富。
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からくり忍者ハグルマン3
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ハグルマンシリーズの3作目だがシステムはがらっと変わり「忍者龍剣伝」のようになった。内容は広大で複雑なステージを探索し、アイテムを購入しながらボスにたどり着き倒すというアクションゲーム。つまり、メトロイドのような探索型アクション。
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落ちる床、連続ジャンプ、ノックバックによる落下など、「有野の挑戦」で実際に課長が苦戦させられたギミックが多数登場。まるで自分が「有野の挑戦」をしているかのように遊べる。理不尽なクソゲー部分は端折られている。
その他のモード
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やりこみモード
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4つの挑戦状をクリアしたゲームは本編とは別にここでプレイできる。
本編で使えた一部の強力な裏技(無敵、ステージセレクト)は使えなくなり、本編とはセーブデータが別物。
評価点
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80年代のテレビゲーム流行期を表現したバリエーション溢れるゲーム
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シューティング、アクション、レース、RPGと一通りの人気ジャンルは網羅されており、どれも元になったゲームはあれど、オリジナリティかつやりごたえがあり、一つ一つのゲームを商品単体として見てもクオリティが高い。
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ゲームの一つ一つどれもしっかり作り込まれており、ゲームinゲームであることを忘れてしまうほど夢中になることも。
特にスタープリンスは弾幕シューティングならではの爽快感も相まってやり込んでしまう中毒性がある。
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BGMも良曲揃い。解禁条件付きでサウンドテストも用意されている。
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ゲーファンの特集や攻略情報でゲームを攻略できる
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今でこそネット文化が普及し、Wikiで調べれば解決する現在の攻略法だが、攻略本が発売されるまでは口コミやゲーム雑誌の情報を頼りに攻略していた当時の雰囲気を掴める。
便利になりすぎた反面、情報過多の現在において、ゲーム雑誌の情報を頼りに頑張って攻略するという今では中々味わえないプレイスタイルを楽しめる。
本作の攻略Wikiも調べれば存在するが、まずは自力で攻略法を探し出すのも一興だろう。
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攻略情報に限らず、ゲームライターの記事や質問コーナーが実際のゲーム雑誌の記事を雰囲気を醸し出してる。思わずニヤリとしてしまうだろう。
さすがにゲーメストの誤植ネタまでは取り入れなかったようだが。
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また、裏技の情報が入手でき、苦手なジャンルのゲームであっても活用すればかなり楽になる。
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解禁したての挑戦で役に立つ裏技は、最新の雑誌に載っている傾向にあるので、ほとんどのゲームではさほど苦労しない(例えば、「後半以降のステージをクリアする」挑戦が出るタイミングで、雑誌にステージセレクトの裏技が掲載される)。
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特に高難易度であると想定されたスタープリンス及びラリーキングには、無敵技や敵マシン全消去と言う強力な裏技が用意されている。
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また、説明書もデザイン・内容共に再現度が高い。
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雑誌共々、ゲームの攻略に役立てるだけではなく、読み物としても充分楽しめる。
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友達と一緒に遊んだ感覚にさせてくれる、有野少年の存在
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有野少年が友人となり、遊んでる側で応援してくれたり助言をくれたり、他のゲームを遊ぶ前に有野母に注意されたりと、友達の家で遊ぶ感覚がよく表現されている。
またゲームセンターCX内の発言も喋ってくれたり小ネタも充実している。
ただし、必ずしもこれらが良い方向に向かっているわけではないが……(詳細は問題点にて)
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番組ネタが豊富
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「ゲームセンターCX」のキャラゲーでありながら、収録ゲームに番組要素はほとんどない(皆無なものもある)。
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そのかわり、有野少年とのやり取りやゲーファン内にファンならニヤリと来るような番組ネタが仕込まれている。この辺りの作り込みも上質。
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ファン要素が番組ファンでないプレイヤーの邪魔にならない構成は秀逸。
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そもそも
「ゲームをプレイしていて、有野少年にリアクションを取られる」
という状況は
「番組で、有野課長のプレイにリアクションを取る視聴者」
と同じ構図である。
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そっくり立場が逆転していて、有野の気分を体験できる。この着眼点は斬新かつ面白い。
問題点
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ラリーキングSP・挑戦3「スタートブーストを成功させろ!」で詰む危険がある。
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ゲーファンで説明されている、スタートブーストのタイミングがやや不適切で、ハマると一向にクリア出来ない。
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ネットでタイミングを調べてしまえば何てことのない話だが、ゲーム雑誌を頼りに攻略することが評価点の本作でそれはコンセプトが破綻してしまっている。
誌面では「シグナル3と2の間でアクセルを踏む」となっているが、より正確には「シグナル2の直前に踏む」が正解。
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挑戦のパスが出来ない
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ゲーム1本ごとに、4つの挑戦をクリアしないと次のゲームがプレイ出来ない。
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難易度はほどほどとはいえ「コズミックゲート」「ラリーキング」は多少テクニックが必要。プレイヤーの苦手なジャンルだった場合や、未解禁のソフトを早く遊びたい場合には辛い。
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次回作及び「1+2 REPLAY」では、アリーノーに電話を掛けることで、パスできるように改善された。
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一部ゲームの作りがやや粗い。
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からくり忍者ハグルマン
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ハマり要素がある
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ラストステージで雑魚敵を全て倒した時に、ハグルマンがダメージを受けた状態で、同じ段にずっといると現れるヒトツメが珍幻斎の左下に発生すると、ハグルマンが強制移動するためにヒトツメにやられて即死なんて事が起きる。ステージの構成上、最下段にヒトツメが発生する確率も高い。
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巻物について
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ハグルマンと同じ段の敵を一掃するからくりケーン、画面内の敵を全て怯ませるゼンマイちゃん、画面内の敵を一掃する小梅と、性能差が大きい。
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怯ませてから連続踏みで高得点と言うテクニックがあるため、ハイスコアを目指すならゼンマイちゃんも有効なのだが、ケーンは完全に小梅の下位互換。そしてどの色の巻物が出るかは完全に運次第。
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3つ目の巻物を拾った瞬間に即時発動するため、システム自体がそもそも使いにくい。
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からくり忍者ハグルマン3
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セーブポイントが少ない
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セーブがステージクリア時のみ。
つまりクリアするまで中断できない。
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さすがに「メトロイド」や「悪魔城ドラキュラ」ほどの長丁場ではないにしろ、
探索型のゲーム(しかも携帯機)でステージ中にセーブポイントが無いというのはかなり痛い
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特にエピソード3がキツく、更にギアをコンプリートしようとすると物凄く苦労する。比較的序盤にある某ギアを取るには赤いブロックを壊すギアが必要だが、その赤いブロックを壊すギアは後半の店にある。しかも部屋の繋がりが結構ややこしいため、買ってまた戻るのは結構な手間。
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ハグルギアについて
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「3種類のサイズから、それぞれ一個ずつ装備可能」という仕様で、ゲームファンマガジンで絶賛されているほど好みのカスタマイズは出来ない。特にカタナ強化系のギアはほぼ死に装備。
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「ネオ◯◯ギア」というハグルギアは、万一出現させてから取りこぼしてしまうと再入手が出来ない。ここで前述のセーブポイントの少なさが響いてくる。
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その他
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ボス5体のうち4体は、見た目や攻撃が殆んど使い回し。しかも攻防共に単調でつまらない。また、ホバリングギアを装備しているとハメ殺しされる場合がある。
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ストーリーも、シリアスな雰囲気をアピールしていた割にあっさりしすぎている。新キャラ・ハグルマンレディの設定も突飛。
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挑戦をクリアする度にステージ1の最初からスタートさせられる。これまでのゲームと違い、ランダム性がほぼなく、テクニックも要求されないため作業感がかなり強い。
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アイテムの巻物を取得すると仲間が助けに来るが、有効な場面が極めて少ない。相変わらずタイミングも選べず、テンポも悪くなるなど進化していない。
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ガディアクエスト
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戦闘中のメッセージが自動送りではない
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ほぼ連打になってしまい、頑張りどころでもないのに疲れやすい。
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道具を売る時、毎回気に障るコメントをされる
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武器屋だと「なんだかキズがついてるな…」、道具屋だと「なんだこりゃ?ひどく汚れてるな…」という内容。
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挑戦4が、他のゲームの挑戦と比べてかなり時間がかかる
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「デモンズダンジョンB4Fのボスを倒せ!」というもので、真面目に育てて強化しないと勝てない。
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ボスを倒してセーブすることがクリア条件のため、その後のプレイは続きからできるので、努力が無駄になることはないのが救い。
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「ハグルマン2」「ラリーキングSP」は無印版とあまり変わっておらず、どうしてもかさ増しに見える。
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ネタとしてはよく出来ているが、特にラリーキングSPはゲーム性の変化が少なく、蛇足感がある。
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このため、本作の収録ゲームは実質6本。
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それでいて挑戦もあるためプレイ必須。本編に入れず、おまけ要素に留めて欲しかったところ。
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有野少年の声のON、OFFを切り替える事が出来ない。本編では常時ON、やりこみモードでは常時OFFとなる。
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セリフのパターンがそれほど多くない上に、眠さをアピールしてプレイヤーのやる気を奪う、唐突にゲームと無関係なことを話し掛けて集中力を削ぐなど、有野のファンでない人にとっては相当に鬱陶しい。
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逆にファンがやり込みモードを遊ぶと有野の声がないため寂しいことになる。記録はやり込みモードにしか残らない。
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続編では台詞のパターンがかなり増え、ONOFF切り替えも実装されている。また、1+2REPLAYでは1でもONOFF切り替えが出来るよう改善された。
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「やり込みモード」で特定要素の回数が一定に到達すると★の数で評価してくれるのだが、その設定が適当すぎる。得られるのは評価とそれに伴った称号だけでそれ以外の特典はないので、気にしなければ良いといえばそれまでなのだが。
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全評価★5を得るためには1,000回ゲームオーバー、10,000回リセットなどが必要。相当な作業になるしゲームオーバーの方は狙っても厳しい。その割に、プレイ時間の評価に関しては60時間という割と現実的なプレイ時間で★5に到達する。
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Aボタン、Bボタンを押した回数で★5を取るにはそれぞれ100万回が必要と、これも途方もないノルマ。上の2つと違い狙わずともプレイし続ければ溜まっていくので、★4の10万回あたりまでは比較的なんとかなるのだが、そこからいきなり10倍は厳しい。
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最後の挑戦「ゲームをすべてクリアせよ」を出現させると雑談がプレイ中は「話しかける暇があったらさっさとクリアしろ」と言われ、プレイしてないと「挑戦忘れた?」以外は一切喋らなくなってしまう。
総評
全体的に非常に丁寧に作られた良作。8ビット機や16ビット機時代なら1本のソフトとして出せるレベルのゲームばかりなので、ボリュームも十分。
難易度にばらつきがあるなど細かい欠点はあるものの、一つのゲームとしての完成度は大変高い。実在するゲームのパロディ的要素もあり、当時のゲームが好きな人なら楽しいだけではなく、懐かしい感覚も味わえる。
余談
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テレビ番組とのタイアップゲームとしてはかなりのヒット作。10万本以上売れている。
元の番組がゲームを扱っているためゲームとの相性が良かったとも言えるが、単純に「有野課長や番組スタッフがキャラとして活躍するゲーム」としなかったのも成功の要因だろう。
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海外では『Retro Game Challenge』のタイトルで発売されたが、英語版Wikipediaによると海外での売上はやや低調だった様子。
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ゲームファンマガジンの顔写真では番組ADがアメリカ人に差し替えられている。
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ゲームも調整されており、ラリーキングとラリーキングSPのクリア条件はステージセレクトなしでクリアしなければならない。
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続編が発売されている。そちらの内容は『ゲームセンターCX 有野の挑戦状2』の記事を参照。
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なお今作は発売元がナムコレーベルだったのに対し続編以降はバンダイレーベルに変更された。おそらく限定版収録DVDでプレイされているゲームタイトルの版権都合と思われる。
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リマスター版『ゲームセンターCX 有野の挑戦状 1+2 REPLAY』が2024年2月22日発売された。ハードはNintendoSwitch。
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タイトル通り2とのカップリングになっており、新たに『ダウンタウン熱血物語』モチーフのベルトスクロールアクションゲーム「炎の格闘サラリーマン ヤッタロー」が新規追加された。
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他にもオンラインランキングの追加や、1にギブアップ機能の追加などの追加要素がある。
最終更新:2024年06月12日 16:06