Rance IX -ヘルマン革命-

【らんすきゅう へるまんかくめい】

ジャンル タクティカルRPG
対応機種 Windows XP(SP2以降)~8
発売・開発元 アリスソフト
発売日 2014年4月25日
定価 パッケージ版:8,800円
ダウンロード版:6,800円(共に税別)
レーティング アダルトゲーム
判定 なし
ポイント 高評価のストーリー展開・新キャラ
最終作への繋ぎとしては及第点の出来
やり込み面の奥の浅さは否めない
Ranceシリーズリンク

概要

  • エロゲー界の老舗・アリスソフトの看板シリーズ『Rance』第9作。
  • かねてからランスシリーズは10で完結することが明言されており、クライマックス前の大詰めとなる本作は『Rance III』から続いていた北の大国・ヘルマン帝国絡みのストーリーを回収。
    「押し寄せる敵」というテーマのもとに、元皇子・パットン率いる少数精鋭の革命軍がヘルマンの圧倒的大軍をあの手この手で切り崩していく様子が描かれる。
  • 戦闘パートは正統派RPGだった前作から、往年のアリスソフトの名作『ママトト ~a record of war~』の流れを汲むシミュレーションRPG形式に変更。
  • また、シリーズ25年目にして初めての恋愛ADV風パート「ランスモード」が採用され、7人のヒロインを攻略する要素が用意されている*1


ストーリー

大陸に現存する国家の中で最も古い歴史を持つ軍事大国、ヘルマン帝国。
歴史の中で長く世界最大最強の国家であったこの国は、数年前から続く腐敗政治によってぼろぼろに荒廃し、疲弊している。
いずれ内乱が起きるか、隣国に攻め込まれるか、その両方か――
少なくない人々がそんな終焉を予見する中、かつて国を追われた男が立ち上がった。

数年前に功を焦って隣国へ侵攻し、失敗して行方をくらませた皇子、パットン・ミスナルジ。
いつか国を取り戻すと誓った彼は修行を積み、たくましく成長して帰ってきた。
「修行の旅で知り合った一騎当千の猛者を集め、少数精鋭で革命を成し遂げる」
その作戦の仕上げにパットンが協力を頼んだのは、最強の鬼畜戦士ランスだった。

なお、前作『ランス・クエスト』では無印版のエンディングと『マグナム』版のエンディングという2つの異なる設定が生まれていたが、本作では『マグナム』版のエンディングを正史として引き継いでいる。



特徴・システム

基本的に「イベント」モードを消化していくことでストーリーが進行。戦闘があるイベントではタクティカルバトルに突入するという流れ。
ストーリーは全16章で構成されており、少々の寄り道要素はあるものの、ほぼ一本道。
1周目の初回は正史ルートしか選択することができないが、条件を満たせば終盤に「if」展開である各ヒロインルートへと進むことができる。

戦闘関連

  • 3Dグラフィックで展開される、オーソドックスなシミュレーションRPG(以下、SRPG)形式。
    戦闘ごとに設定されている「勝利条件」を満たせばステージクリア、「敗北条件」を満たすと一部の戦闘を除いてゲームオーバーとなる。
    • 完全ターン制となっており、1ターンにマップ内の全てのキャラが1回ずつ行動可能。敵味方を問わず、「素早さ」が高いほど行動順が早くなりやすい(行動順は画面左に一覧表示される)。
      行動順が回ってきたキャラは移動と行動を行える。本作では行動を選択するとその場でターン終了となり、先に行動してから移動を行うことはできない。
      • 行動は「通常攻撃」、キャラによって異なる「特殊行動」「必殺技」、何もしない「行動終了」のいずれかを選択。
        必殺技は使用回数が限られている上に「発動ゲージ」を消費。発動ゲージは全キャラで共有されており、戦闘中に攻撃を行う/食らうと1、敵を倒す/倒されると3ずつ溜まっていく(最大20までストック可)。
      • なお、本作にはMPは無い。魔法使い職のソーサラーは魔法が通常攻撃扱いなので使い放題である。
    • 体力が0になると後述の「ねばり」如何によっては戦闘不能となって離脱。キャラロストはない。
  • ステータス類の仕様は少々変わっている。
    • レベルの概念は無く、キャラは戦闘によって得られる「熟練ポイント」を消費して強化していく。
      熟練度の振り分け方は自由だが、キャラによって得意不得意があり、得意な項目は必要な熟練ポイントが少ないため上げやすく、苦手な項目は逆に上げにくくなっている。
    • 武器と防具はキャラごとに固定で、装備品の付け替えはできない。お金をかけて「武器強化」「防具増装」を実行することで一定確率で攻撃力や装甲値が上昇する。
      ただし防具の「装甲」の強化は一時的なもので、一回攻撃を受けるたびに10ずつ下がっていく(増装実行時に稀に発生するボーナスによって基本値を底上げすることは可能だが、1%ずつしか上がらない)。
      • 本作では、装備品による強化はアイテム(一般的なRPGで言う「アクセサリ」類)の付け替えによって行う。
    • 相手の攻撃を防ぐ「回避」と「受流し」は一回発動するごとに発動率が10%下がる(ターン経過で2%ずつ回復)。キャラによっては「受流し」が発動すると一定確率でカウンター攻撃を繰り出す。
      これに対して「クリティカル量」というステータスがあり、攻撃側のクリティカル量の%分は回避や受流しを無視して必ずダメージを与える(魔法攻撃は回避も受流しも不能なのでクリティカル量は無い)。
    • 体力が0になった時に踏ん張る確率「ねばり」。発動すると体力1で生き残り、ねばりが10減少する。『サガシリーズ』の「LP」のようなもの。
  • 浮要塞
    • 本作の戦闘の特徴的要素。序盤~中盤に入手できる移動魔法要塞で、革命軍一行の攻撃拠点としてストーリー上の大きな鍵を握る。
      • 要所で浮要塞を守る戦闘が用意されており、これらの戦闘ではまず「防衛戦」で敵を迎え撃つ。
        防衛戦で突破を許した場合、浮要塞内部での「最終防衛戦」が発生。ここで動力部を守り切れないとゲームオーバーとなってしまう。
    • イベントの合間や戦闘開始前に「浮要塞モード」で整備が可能。整備画面は縦16マス・横21マスで区切られており、この中に機関を設置しておくことで、戦闘中に効果を発揮できる。
    • 設置できる機関は6種類。
      + 詳細
      • 「動力部」:1ブロックにつき、浮要塞の耐久値が50確保される。
      • 「魔砲」:1ブロックにつき、レーザー魔法を1発発射可能。
      • 「魔壁」:1ブロックにつき、侵攻を妨害する壁を1つ作れる。
      • 「魔手」:1ブロックにつき、敵味方問わず任意の場所への移動を1回行える。
      • 「魔活」:1ブロックにつき、行動済みの味方を再行動に戻す行為を1回行える。
      • 「魔球」:1ブロックにつき、範囲攻撃の爆裂型魔法球を1回使用可能になる。この機関だけは浮要塞が使用できない戦闘でも使用可能。
      • どの機関も1ブロック設置するのに「聖魔ポイント」が必要(聖魔ポイントは戦闘勝利時に得られる)。
        また、初期の状態ではどの機関もサイズが大きく、数個ずつしか設置できないのだが、敵を倒したときにたまに手に入る「聖魔石」を消費して6段階まで小型化が可能で、設置できる数が増える
        (魔砲と魔球は小型化できないが、代わりに威力の強化が可能)。
    • 「動力部」以外の機関は浮要塞が参戦する戦闘において「聖魔法」として使用できる。ただし使用した分の機関は消滅し、再設置しない限り回復はしない。
  • この他、いつでも挑戦できる「自由戦闘」が存在。
    • 本編のストーリーと関連しているものもあるにはあるが、基本的にはレベル上げ用のもの、やり込み用の強敵が多数を占める。

ランスモード

  • 7人のヒロインたちを抱いて、めろめろやエロエロにさせていくモード。
    「入れて出して自分が気持ちよければオーケ! がはは!」だったランス君も少し大人になり、今回はなんとなーく、特に気に入った女の子をじっくり攻めてめろめろにしたい気分、らしい。
  • エロシーンは各キャラ4段階まであり(メインヒロインであるルシアンのみ5段階+さらに…が存在)。
    • 実行するには各種条件を満たす(多くはストーリーの進行に伴って解禁)ことに加え、戦闘勝利時に入手できることがある「猿玉」が必要。
      新しい段階に進むには3つの猿玉が必要。一回実行した後は猿玉1つで同じ段階の汎用バージョンを見られる。
      • ランスモードを実行すると、イベント後に「蟹玉」を1つ入手できる。
        この「蟹玉」は戦闘時に消費できる強化アイテムのようなもので、装備したキャラの「ねばり」が50アップ、戦闘終了時に得られる熟練ポイントが倍になるメリットを得られる。
    • 最終章突入時に4段階まで進めているキャラの個別ルートが選択可能(正史ルートを一度クリアすることが条件だが、1周目でもクリア後に終章突入前のセーブデータをロードすると解禁されている)。
    • 全てのヒロインのルートをクリアすると、CGモードにて正史エンディングとは若干異なる「真・エピローグ」が完成。
      この真ENDにおける設定が正史として次回作に引き継がれるものと思われる。

まめ知識

  • 本編に登場するキャラクターや設定・用語の解説を確認できる、オフラインヘルプ的な要素。

キャラクター

+ 登場キャラが多いのでランスと七人のヒロインのみ紹介
  • ランス
    • おなじみ緑の鬼畜主人公。最愛のパートナー、シィルの解凍法と美女を求めてヘルマンへやってくる。
      主人公なだけあって全能力が味方の平均値を超えており、汎用性の高い強力なアタッカーとして活躍する。
  • ルシアン・カレット
    • ランスの新たな奴隷となる褐色少女。今までシリーズにいそうでいなかった正統派ヒロイン。正体はお察し。
      本来はヒーラーなのだが途中で入手できる専用武器が強く、遠隔地にいる敵をどんどん撃ち殺していくことができる。そのため投石機とネタにされる。
  • 見当かなみ
    • 『ランス1』から長い付き合いのへっぽこ忍者。相変わらず不憫な目にあうかわいそうな子。
      攻撃力は低いが移動力が高く、敵をすり抜けて動けるという特性を持つ便利なキャラ。特に魔球を持たせての特攻戦術が単純ながらも強い。
  • チルディ・シャープ
    • 『クエスト』にて初登場した野心家の腹黒少女。しかし今作ではその向上心がランスに利用され…。
      スピードタイプのファイターというべき存在。特に必殺技の性能が単体特化しているためボスキラーとして活躍する。
  • 魔想 志津香
    • ランスとは腐れ縁のツンデレ魔法使い。今回は衝撃の展開が彼女を待ち受けることになる。
      全体的に魔法抵抗が低い敵が多く、必殺技は横3列分×射程∞と広範囲に撃てるので一気に敵をナギ払うことができる。反面防御面は期待できないのでしっかり守る必要がある。
  • 戦姫
    • 『戦国』にて登場した戦い大好きのクールビューティー。一方で母性的な一面が今作では発揮される。
      『戦国』での彼女の性能+『ママトト』の奈菜璃とライセンの要素を折半した結果、攻撃範囲の広いガード役という非常に使い勝手のいいユニットに。
  • ピグ・ギリシアム
    • 本作にて初登場の純粋無垢なマスコット的存在の少女。最初はヘルマン所属だが色々あって仲間入りする。
      『ママトト』のシェンナと同じく分身を作って戦うという固有能力を持っている。敵の進行妨害・肉壁・ボスをタコ殴りと応用の幅は広い。
  • ミラクル・トー
    • 新キャラ。世界最強クラスの魔女なのだが、中二病で人付き合いが苦手という残念な性格。素直になれないだけで実はいい人。
      殲滅力と破壊力では魔想さんに若干劣るが、防御・回避面ではこちらが上で必殺技も着弾点指定タイプと安定感と小回りで勝る。


評価点

  • キッチリとまとまったストーリー
    • 本作の舞台となるヘルマン帝国に関しては『鬼畜王ランス』などにて既に大まかな設定がお披露目されていたため、革命に関してもある程度は予想通りの規定路線であった。
      その上で、どの部分まで鬼畜王設定を踏襲し、どの程度まで変更を加えてくるのかというのが注目点であったのだが、実際に完成した本作のストーリーは概ねファンが満足できるものとして好評を得た。
      完結作である『Rance X』に向けて、消化すべき物語はしっかり消化してくれたと言っても良いだろう。
      • 最も大きな変更と言えるのが、ヘルマン皇帝・シーラの境遇。
        + 重大なネタバレ要素のため注意
      • 鬼畜王におけるシーラはただの傀儡皇帝であり、国政の実権を握る実の父による麻薬漬け&近親姦というあまりにも悲惨な人物として描かれていた。
        しかし本作では父の歪んだ愛情や麻薬には犯されておらず、とある出来事をきっかけに、自らの意思によって軟禁生活を脱出。
        その後ランスとの出会いによって奴隷に身を落とされ、一時は絶望の中に自分を見失いそうになってしまったが、外の世界を知り、周りの人間と触れ合うことで少しずつ人間として成長。
        現皇帝でありながら帝国に反抗する革命軍の一員として戦うという数奇な運命を辿ることとなる。

        お飾りの皇帝である点は鬼畜王設定を引き継ぎつつ、本来は芯の強い人物として、最終的に救いのある結末に落ち着いたことで、どんな鬼畜展開になるのかと心配していたファンも胸を撫で下ろした。
        純粋にキャラとして見ても、本作のシーラは内面の葛藤を描くことで、か弱いながら非常に人間味がある人物に仕上がっており、ファンの好感度を一気に上げた。
      • 前作『ランス・クエスト』が、女性キャラ多めのややゆるい展開が目立ったのに対し、本作はパットンをはじめ男性キャラの活躍が光る硬派かつ骨太の展開が目立つ。
        無論、エロゲーなので女性キャラの比重は依然高いのだが、近年のランスシリーズには無かった男臭さを感じさせる場面が随所に挿入されていることで、「革命」という題材も説得力のあるものに仕上がっている。
    • 本編の正史ストーリーが真面目なノリで最後まで突っ切る分、「if」扱いのヒロインルートは良い意味で羽目をはずしたものが多い。
      国家規模の痴話喧嘩が勃発する見当かなみルート、イカが持っていくピグルート、ハゲが持っていくミラクルルートetc...。
      • 中でもストーリー上大きな進展があったのが、シリーズ古参の人気キャラ・魔想志津香に関するサイドストーリー。
        + 重大なネタバレ要素のため注意
      • 『VI』での事件以来、仇として命を狙われていた志津香の異父妹であるナギ・ス・ラガールとの因縁が、志津香ルートにてついに決着。
        その結末は「死に瀕したナギを前に、志津香が決死の分裂魔法を使用した結果、姉妹ともども幼女化してしまう」という斜め上の展開であった…(幼女化の反動でナギの憎しみの記憶は消えた)。
        が、以前は「ナギの血みどろの復讐劇はナギの死以外の展開では解決されないのではないか」との予想がファンの間で多数を占めていたので、これはこれで予想外ながらも理想的な着地点だったと思われる。

        なお、志津香ルートは大人に戻るバージョン・戻れないバージョンの2種類のエンディングが用意されているが、真・エピローグでは二人とも子供のままなので、こちらが正史扱いになる模様。
        今までの狂気に満ちた表情が嘘のように無邪気に笑うナギの姿や、志津香との姉妹本来の触れ合いの光景に、思わず目頭が熱くなったプレイヤーも多い。
      • そして、真・エピローグではあの娘がついに…。
  • 新キャラとエロシーン
    • 本作のメインヒロインを務めるルシアン・カレットは癖のあるキャラクターの多いシリーズの中で満を持して登場した正統派ヒロインとして逆に新鮮さを感じさせる。
      「厨二病全開だが実際大魔法使いで一見邪悪そうだけど実はただの良い人」な新キャラ、ミラクル・トーの人気が上々で、「ランスの女版」とも評されている。
      もう一人の新キャラである改造人間、ピグ・ギリシアムは人気投票では振るわなかったが、コメディリリーフとしては上手く機能している。
    • もちろん既存ヒロインも好評。家庭的な面にスポットが当てられた戦姫や隠れた才能が明らかになったチルディ・シャープ、シリーズ常連の見当かなみや魔想志津香もそれぞれの新しい顔を見せている。
      • 脇キャラに関しても、素でランスと絶妙の掛け合いを見せる革命軍の後方支援担当、メルシィ・アーチャ、鬼畜王設定からまさかの変貌を遂げた盗賊団のリーダー、エレナ・フラワー、元料理人見習いにして現在パットンの影武者となったポートフ・トカレフなど、良い味を出してくれているキャラが多い。
    • キャラクター同士の掛け合いも好評で日常のやり取りや反応でキャラクターたちをより魅力的に見せている。
    • また、エロシーンに関しても歴代でも屈指の出来と評されることが多い。
      要因として、基本的に一発ヤッたら終わりだったランスの心境の変化によって、段階的に女の子をこましていくという今までのシリーズに無かった要素が功を成している。
      メインヒロイン7人を重点に重点に置いているため一人あたりのHシーンの量や恋愛描写が過去作に比べ内容が濃く、旧キャラ4人が好き、あるいは新キャラ3人が気に入ったという人からかなり好評。
      • …が、ヒロイン以外のエロシーンも評価は上々なので、やはり織音氏らによるCGやシチュエーション設定の良さが光ったということになるだろう。
        戦姫のエロCGに関してだけは不満も見られるのだが(主に構図の問題で)。
  • バランスの良い戦闘
    • 本作の戦闘は独特のシステムを採用しながら非常に簡潔な仕様になっており、1周目に関しては稼ぎに走らなくてもギリギリ何とかなる程度の絶妙な難易度。
      SRPGだからといって細かな戦略を構築する必要はなく、サクサクと進めることができる。
      育成も単純に各キャラの利点を伸ばしていけばよいので、育成方針に悩んで無駄な時間を浪費することはない。
      • ただし、後述するやり込み要素に目を向けると物足りなさの一因となるため、一長一短でもあるのだが…。
  • 堅実な仕上がりのBGM
    • 長らくアリスソフトを支えてきたShade氏が退社したので不安視されていたが、新たな担当者となった三者が手がけたBGMは大国ヘルマンを舞台にした革命物語にマッチした重厚な曲調で概ね好評。
      どうしてもShadeに比べて、と過去作ファンから言われてしまうことはあるが十分に聴き応えのあるクオリティーである。
    • そして正史ルート最終決戦の曲は……。この辺りも『ママトト』プレイヤーには実に嬉しいサプライズとなった。


賛否両論点

  • BADエンディング
    • 特定の戦闘で該当ヒロインを戦闘不能にしたままクリアすると、ヒロイン7人それぞれのBADエンドが見られるようになっているのだが、どれもこれも非常に鬼畜。
      ほとんどは「敵兵に捕縛されて集団陵辱」という流れだけに、いつものランスの鬼畜行為のような酷いなりのギャグ要素などはない。人によっては胸糞が悪くなるほど容赦のない凄惨な展開である。
      • ただし予告無しにいきなり、という訳ではなく、しっかり事前警告が入り、条件を満たしてしまっても「セーフイベント」を選択することで回避できる。
        決して開発側が凌辱描写を嫌うユーザーに対する配慮を怠っている訳ではない…が、それでもCGを回収するためには嫌でも一回は見なければならない。
      • しかし、ランスシリーズには度々悲惨な凌辱シーンが挟まれており*2、このような陵辱シーンが好きだという者も実際にいるので、結局は好み次第だろう。
      • また、ボロボロにされたヒロインを見てブチギレるランスの様子からヒロインへの思いの深さを見て取れる。
    • とあるヒロインのBADエンドだけは少々毛色が異なっており、鬼畜王を彷彿とさせるような鬱展開となっている。これも全く救いはないのだが、鬼畜王プレイ済みなら一見の価値はある。
    • BADが発生する戦闘はわかり易くなっているのだが、どの戦闘でどのヒロインのBADが発生するのかが分かりにくい。
  • 過去作キャラの選出
    • 戦闘ユニットとして戦える仲間は全20人。昨今のSRPGを考えると少ない方と言わざるを得ないが、『ママトト』と同人数なので故意に意識したものだろう。
    • 人数だけでなくキャラクターの方も透琳やピッテンなど『ママトト』に関係深い人物や、見た目は違えど必殺技やユニット特性を『ママトト』に登場していたユニットと瓜二つにするなど小ネタとして面白い部分が多い。
    • が、20人枠にした弊害として過去作のキャラの選出が絞られてしまったという側面も。特に『VI』でパットンと共闘したゼスからの助っ人は皆無であり、登場しなかった人気キャラを使いたかったという声も。
      • ヘルマン・ゼス両国の間には広大な砂漠が広がっている設定なので人や情報の往来は困難であるが、何故かゼスについては不自然なくらい触れられず、空気。
    • 『VI』以外にも『III』や『鬼畜王』初出のヘルマンやリーザスのキャラたちを再登場させるのにいい機会だったのでは、と言われる。公式のランスワールドノートにも記載されているにも関わらず出番が見送られたキャラが多数存在し、これらの登場を期待していたファンは肩透かしを食らった。もっともこの辺に関しては言い出したら際限が無くなってしまう話ではあるが。
  • シリーズもの故のとっつき辛さ
    • 本筋は「国を私物化する政治家を打倒し健全な国を取り戻す」という王道のストーリーなのだが、シリーズものの宿命か一見にはやや理解しづらい所がある。
      + 本編のネタバレあり
      • 初登場の『III』時点ではダメ皇子だったパットンが様々な修業を経て*3成長し、大勢の人の助けを得て皇帝になる。
      • 『IV』にて登場した聖魔教団関連の決着。
      • 『VI』より続く志津香とナギの因縁の決着。
      • ランスのことが気になりつつもツンケンした態度をとっていた志津香とかなみがランスへの想いを認めるようになる。
      • ヘルマン革命を成功させたことでランスが人類圏ほぼすべてに影響力を持つようになる。
    • これらはシリーズファンには感慨深いものがあるのだが、裏を返せばシリーズをプレイしていない人間にはそうした感慨が半減する*4
  • Ranceシリーズは20年以上の歴史を持つことに加え、もともと王道のファンタジー世界にひねりや独自設定を加えた世界観であるため公式や各ファンサイトなどで設定を把握していないと理解しづらい所がある。
    • とくに本作の核である聖魔教団関連は初登場の『IV』以降ではチョイ役位しか出番がなかったため、『5D』以降でシリーズのファンになった人間も設定をあまり把握できていない(作中で説明があるのだが十分とは言い難い)。
  • それなりに重要なキャラや設定でも「まめ知識」に項目がない物がある。製作期間がよほどシビアだったのだろうか。


問題点

  • 戦闘の練り込み不足
    • バランスの良さとテンポの良さでゲーム性は保たれているが、SRPGとしてははっきり言って作り込みが不足している。特に2周目以降にやり込み要素の薄さが露呈する。
      • まず、技が少ない。各キャラの持ち技は通常攻撃が1つ、職業ごとにほぼ共通の特殊行動が1つに、必殺技が1つの計3つだけである。
      • RPGの華と言える魔法に関しても、ソーサラーはノーコストの通常攻撃で強力な遠距離範囲攻撃ができてしまい、種類も各キャラ1つだけ。属性の概念も、(必殺技を除けば)呪文の使い分けもない。
        このため魔法が強すぎる傾向があり、ほとんどの戦闘は「ガードの挑発で敵の攻撃を引き付け、後方からソーサラーの魔法で一掃」という戦法を基本にすれば何とかなってしまう。
        ソーサラーは防御面が非常に弱く、一歩間違えると簡単に死ぬのでバランスは取れているのだが、単調と言わざるを得ない。
      • 高低差や地形の概念などは無く、マップの作りも平坦で似たり寄ったりなステージばかり。
        一応、勝利条件や敗北条件を絞ったり、強制スクロールするマップがあったりと工夫はされているのだが、SRPGならではの利点をいまひとつ活かし切れていない。
      • 各キャラの全能力を2ずつ強化すれば熟練度ボーナスが得られるのだが、そのボーナスはキャラごとに固定であるため『VI』や『戦国』の好感度ボーナスや『クエスト』のスキル選択のようにキャラの成長方向に頭を悩ませるということができない。
      • 出撃コストが空気。出撃コストを抑える激レアアイテム「ゴーストパイプ」も空気なので、貴重な激レアアイテムの中で最初の方にこれが出てしまったら悲しい。
    • 敵の種類も少ない。ストーリー上のメインとなるヘルマン兵との戦闘はほとんどが槍兵・重騎士・魔法兵・弓兵ばかりで構成されており、変わり映えしない。
      特に弓兵は遠距離からの攻撃は厄介ではあるものの、装填に1ターンかかり、1回攻撃するとまた1ターンかけて装填…というテンポの悪さ。こんな欠陥兵種を主力にしているヘルマン軍…。
      • その一方でレリューコフやバステトといった、直接対決が盛り上がりそうなヘルマンの実力者たちとの決着がテキストで済まされるという肩透かし感。専用CGも用意され「立ちはだかる強敵」として印象付けていたにもかかわらず、戦闘用のキャラを作るのが間に合わなかったのだろうか。
    • 浮要塞の調整が極端。
      • 「動力部」は小型化に大量の聖魔石を消費するにもかかわらず、実際はそもそも動力部が活きる最終防衛戦自体が少ない上に、動力部のHPに頼らなければならない状況もほぼ無いので罠に近い。
        フィールドに壁を設置する「魔壁」も強化しても壁の耐久力は変わらないため、敵の攻撃力が強化される中盤以降では一撃で壊されてしまい、敵の攻撃を一回限り引きつけるデコイ以上の意義はなく、他の機能を使った方がマシという有様。
      • 逆に強すぎるのが「魔活」。魔活が残っている限り、同じキャラを何度でも連続で再行動させてしまえるため、「ずっと俺のターン」が可能*5
        しかも設置コストが低めな上に小型化の恩恵が大きく、最大で70個以上も設置できてしまう。さすがにそこまで強化するにはやり込みが必要だが、こうなるともはや戦略も何もない。
      • 範囲拡大を限界まで上げた志津香、素の性能が強力な上に必殺技がゲーム内でも一二を争うほど広いリックの二人と魔活を組み合わせるとまさに無双ゲーである。
      • ただし、シナリオ戦闘では浮要塞が使えるタイミングはそれほど多くなく、魔活無双が必要なのは自由戦闘が大半であるため、本編のバランス崩壊要素、という訳ではない。
  • 自由戦闘の選択の余地の無さ。稼ぎは熟練度稼ぎ用の「ヘルマン砦5」と、アイテム稼ぎ用の「ヘルマン赤備え」(Ver.2.00で追加)の2つさえ繰り返しやっていれば事足りてしまうので、非常に飽きやすい。
    クリアするごとに敵が強くなるやり込み用のステージもあるのだが、クリア時の報酬アイテムは1回しか貰えないので、何度も挑戦する意味があまりない(次の周回に入ってもクリア報酬アイテムが復活しない)。
    • そもそもやり込み要素と言えるものがレアアイテム収集ぐらいしかない。
      周回用に「×2」「×4」「めちゃくちゃ」モードは用意されているものの、単に敵の強化+補正値が高いアイテムが出る可能性があるだけで、新たな敵などは全く出現しないのでモチベーションに欠ける。
      2周目で追加イベントとヒロインルートを回収したら飽きて終わり、というプレイヤーも多いと思われる。
    • もっとも、この程度のボリュームのエロゲーなどザラにあるのだが、『鬼畜王』『戦国』、直近では『マグナム』といった、とことん遊び尽くせる名作を輩出しているランスシリーズとしては、どうしても物足りなさを感じてしまう。
  • ただ、このボリュームは、戦国・クエでやり込みを行うプレイヤー勢の一方で「一周するにもボリュームが多すぎる」という声も少なからずあったための調整ではないかとされている。個別ヒロインルートは1周目正史ルートクリア後に初めて解放される仕様のため、初周のボリュームが大き過ぎると個別ルートに入る前に投げ出すプレイヤーが出てしまい、ヒロインの評価も現在のようにはなっていなかったと思われる。
  • 「エロゲーにしては」戦闘グラフィックはかなり頑張ってはいるが、それでも3Dモデルの出来はせいぜいPS2レベル。技が少ないせいもあって、早々に見飽きてしまう。
  • ご都合主義展開の多さ
    • 全体的に見ればストーリーはよくまとまっているのだが、それは「腐敗したヘルマンに立ち向かう革命軍」という構図で見た場合の話。
      敵対するヘルマン視点で考えると、上層部の判断ミスによって革命軍が助けられる場面が目立つ。
      ステッセルの専横によってまともな人間は上層部から引き離されたという説明はされているものの、腐っても超大国という設定だったはずのヘルマンの威厳はどこへ。
      • まず無能の先鋒として登場するのが、第四軍将軍のネロ・チャペット7世。
        『鬼畜王』では「指揮官としては失格ではあるが、生真面目なエリート」といった彼だったが、本作では正真正銘の無能&クズに成り下がってしまった。彼の発狂顔グラは本作の顔芸ナンバーワンとの評判。
      • 「人類最強の女」という設定であるミネバ・マーガレットは強いことは強いのだが、圧倒的というほどの強さを発揮する描写が無く、やや設定負けしてしまった感がある。
      • ヘルマン腐敗の元凶であるステッセル・ロマノフにしても、最終的に器の小ささが露呈してしまい、どうにも小物という印象が残ってしまう。
      • 正史のラスボスの起動が偶然が重なってという唐突感溢れるもの。作中で何度も存在を言及されているものの、ランスたちとの因縁が浅いという印象はぬぐえない。
        『VI』のアベルト、『戦国』のザビエル、『クエスト』のアムと比べて本作にはプレイヤーに怒りや畏敬を植えつける様な「魅力のある敵キャラ」が足りないと評されることが多い。
        正史ラスボス戦の煩雑さも拍車をかけている。「圧倒的な物量の前の消耗戦」という今作を象徴するようなシチュエーションなのだが、ボス以外の敵ユニットは遠距離攻撃もできないのに動く隙間もないほどにマップを埋め尽くす。見た目は壮観だが、はっきり言ってボス以外を相手をする必要はまったくない。
        しかも最後は味方の移動できるスペースがほぼない中でユニットの位置調整を強いられる。事前にキャラ間で素早さを調整しておくなど対策をしておかないと、最後の最後で泣きをみるハメに…。
    • 『III』と『VI』でランスの活躍を見てきたと言えど、パットンがランスに心酔しきっているのはやや引っかかる。「ランスの外付け良心回路」ことシィルが不在なので、ストーリーを都合よく展開するにはこうするのが手っ取り早かったのかもしれないが…。
      • 『VI』であったパットンとランスの対立フラグも一応回収されるものの、その内容に納得がいくかどうかは人による。
  • ユニットの状態はクリアした時点のものを引き継ぐため1周目の中盤までしか使えないキャラがいる。
    • パッチにて改善することを期待されたが後述のTADAパッチ(Ver.2.00)でも改善されることはなかった。

総評

発売直後は高い評価を得ていたが、時が経つにつれて戦闘面の作り込み不足が目立つようになり、やや評価を落とした感のある作品。
とはいえ、戦闘バランス自体は悪くなく、単体のゲームとして見れば及第点は満たしている。評価を下げたのは『ランス』に求められるハードルの高さゆえという要因も大きいかと思われる。
ストーリーやエロシーンの出来は良いので、世界観やキャラクターに魅力を感じられる人は買って損はない出来である。
正史のランスシリーズ完結編『Rance X』への繋ぎとして、本作をプレイしておくのも悪くないだろう。


余談

  • 今作も『マグナム』と同様発売後に追加マップやキャラクターを内含したTADAパッチ(Ver.2.00)が配布された。あちらと同じく非公式・サポート対象外扱いとなっているので、バグ修正目的だけの人はVer.1.01の方を適応推奨。
    • が、やはりVer.2.00でないと修正及びUIの改善がなされていない部分もある。
    • キャラゲーとしての出来のよさとSRPGとしての物足りなさから『ランス・クエスト』における『マグナム』のようなアペンドディスクも一部で望まれていたが、公式にて本作の開発チームは既に解散し、それぞれ次の作品制作へと移ったことを告知され、TADAパッチ(Ver.2.00)が最後のアップデートとなった。
  • 発売を記念し、イラスト印鑑の製作を行っている痛印堂とのコラボ商品としてランス+ヒロインたちの痛判子と限定レザー捺印マットが販売された。
    • なんと公的書類にも使えるというファンアイテムに収まらない実用性も高い優れ物(現在は全て完売済)。
  • 『ランス9』のもともとのジャンルは地域制圧型であり、ヘルマンからゲームがスタートする『鬼畜王ランス』で登場したキャラクター、ソウルやバウンド等のラフも描かれていた。しかし、『戦国ランス』の続編ランス8として『ランス・クエスト』より早く発売される予定だった本作と同時制作されていたランス・クエストの順番が入れ替わり、ゲームジャンルのみならず、様々な変化が生じた。
    • 『Rance X -決戦-』発売前にヘルマン編のキャラを加えた『ランス・クエスト2*6』が企画されていたが、前倒しになったマグナムの制作によりランクエ2に予定されていた内容が一部組み込まれたという。
  • シリーズ完結作『Rance X -決戦-』は2018年2月23日発売した。詳細はリンク先を参照。
  • 定額で30日間ゲームを遊び放題の「DMM GAMES 遊び放題」に本作が提供されている。
最終更新:2020年10月12日 11:28

*1 「次作のランス10は大作になりすぎて個別のヒロイン攻略のようなシステムを組み込む余地はなく、今回がラストチャンスなので導入を決断した」とのこと。

*2 IFである『鬼畜王』を始め、プレイヤーの選択次第のBadイベントの他にも『VI』のウスピラ、『戦国』の香姫、『クエスト』のカラー達など回避できないものも存在する。

*3 外伝の『なぐりまくりたわぁ』『にせなぐりまくりたわぁ』。

*4 『III』『IV』『鬼畜王』は現在フリーで配布されているため、気になったのならプレイしてみるのもよい。

*5 ターン終了時に魔活を使用する場合。ターン途中に使用する場合は2キャラを交互に再行動させればずっと俺らのターンが可能。

*6 この場合クエスト2がランス10になるため構想はランス11まで存在した