Batman: Arkham Origins
【ばっとまん あーかむびぎんず】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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プレイステーション3 Xbox 360 Wii U Windows Vista~8(Steam)
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メディア
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【PS3】BD-ROM 【360】DVD-ROM 【WiiU】Wii U専用12cm光ディスク 各1枚 【Win】ダウンロード専売ソフト |
発売元
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ワーナー・ホーム・ビデオ
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開発元
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WB Games Montreal Splash Damage(マルチプレイ) Iron Galaxy Studios(Windows版) Human Head Studios(WiiU版)
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発売日
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2013年12月5日
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定価
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7,980円
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プレイ人数
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1人 ※オンライン時:3~8人
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セーブデータ
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4個
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レーティング
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CERO:C(15才以上対象)
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判定
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なし
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ポイント
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アーカムシリーズの原点を描く システムは『Arkham City』から変化なし ゲームの出来は間違いなく良作なのだが… バグとフリーズの嵐が最大の敵
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バットマンシリーズ
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ストーリー
『Batman: Arkham Asylum』の数年前を描くストーリーで、最も危険な犯罪が起こる前のゴッサム・シティが舞台。
若く未熟なバットマンが、彼のまだ浅いキャリアの中で“犯罪と闘う戦士”としてダークナイトになることを決定づける瞬間を描く。
ゴッサム・シティを支配するギャングのボスであるブラックマスクがただ1人彼に立ち向かう男、バットマンの抹殺計画を遂行。
バットマンの首に5000万ドルもの懸賞金を懸け、全世界から名だたる暗殺者を招集する。
ゴッサム警察にもまだその存在を認められておらず、未来の仲間からも現在の敵からもその身を追われるバットマン。
孤高のヒーローの孤独な戦いが幕を開ける。
(公式サイトより抜粋)
概要
言わずと知れた名作『Batman: Arkham Asylum』から始まったアーカムシリーズ、その3作目。
正確にはスピンオフに当たり、開発も今までのRocksteadyでは無くWiiUの『Batman:Arkham City Armored Edition』を手掛けたWB Games Montrealが担当。
また、シリーズで初めてのオンラインマルチプレイが搭載された。
時系列的には第1作『アーカム・アサイラム』よりもさらに前に当たり、ブルース・ウェインがバットマンとして活動し始めてからまだわずか2年半しか経過していない時期のクリスマスイブの出来事とされている。
本作中では、未だゴッサム市民はバットマンという存在を架空のもののように認識しており、警察権力もバットマンに敵対している。
その中でバットマンは後に協力者となるゴードン警部と如何にして友情を育むこととなったのか、そしてバットマン最大の敵・ジョーカーが如何に生み出されたのか、という点がシナリオの骨子となっている。
これらのシナリオは原作のエッセンスを取り入れつつも大幅にアレンジされており、それでいて違和感なく第1作『アーカム・アサイラム』に繋がるように構成されている。つまり、本作は「アーカムシリーズのルーツ」を描いた作品でもある。
時系列の都合上、リドラーなど一部のヴィランは未登場。しかし、本作のあるサイドミッションが、「リドラー・ビギンズ」と言うべき内容になっており、エドワードも意外な形で登場している。
ちなみに、本作は『バットマン:アーカム・ビギンズ』というタイトルで日本語販売されているが、原版のタイトルは「Begins(ビギンズ)」ではなく「Origins(オリジンズ)」である。
特徴
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「フリーフロー・コンバット」「プレデター戦闘」「捜査モード」等、前々作・前作から継続している要素についてはそちらを参照。本項では本作から新たに追加された要素のみに限定して述べる。
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ガジェット
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バットマンが戦闘・罠・謎解き等に使用するアイテム群。ここでは前作から追加要素があるもののみ説明する。
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本作は前々作・前作よりも過去の話を描いているので、前作に登場したガジェットのうち多くは登場せず、別のガジェットに役割が置き換わっている。具体的には「ラインランチャー」「リモート・エレクトリカル・チャージ」「フリーズブラスト」が削除された。
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バットラング
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お馴染みバットマンのメイン飛び道具、コウモリ型手裏剣。今作では初代のマルチ・バットラングが復活し、再びトリプル・バットラングが使用可能になった。
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遠隔クロー
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本作初登場ガジェット。特殊な地形の場合に限定されるが、二点間にワイヤーを張り、その間を渡ることが可能とする。
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衝撃起爆装置
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本作初登場ガジェット。翻訳の関係で名前が分かり難いが、相手を混乱させる手投げ爆弾のようなもの。使用感は前作のフリーズブラストに近い。
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グルーボム
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本作初登場ガジェットではあるが、用途は前作のフリーズブラストと全く同じ。瞬間的に凝固する特殊樹脂を使った爆弾で、高温の蒸気が出ているパイプに蓋をしたり、水に投げ入れて簡易足場を作成したりする。敵に投げつけて固め、足止めすることも可能。
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ショックグローブ
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ガジェットの一種だが、ガジェット欄には表示されず、入手直後から常時使用可能となる。前作のRECと同じく、電子機器に電気を供給し、一時的に稼働させることが可能。また、戦闘では一定数のコンボを重ねることで「充電」され、充電が完了すると一時的にバットマンの能力を攻撃性能が向上する。
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具体的には攻撃のコンボ数増加が2倍になる他、バットマン自身の攻撃力が上昇、さらにガード不能攻撃となりスタンバトンやシールドを持つ敵にも正面から攻撃可能となる。アーマーを装備した敵はおろかベインをも感電させながら一方的にボコれるため、使いこなせば非常に爽快。
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このシステムは前作WiiU版に於いて「B.A.T.モード」という形で導入されたものだが、本作では正式に本編に取り入れられることとなった。ただし、あちらとは違って発動中もプレイヤーの視界は暗くならない。
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ステージ
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本作の舞台はゴッサムシティ全域。前作の舞台アーカム・シティは「ゴッサムの一部区画を巨大刑務所として隔離した」という設定だったので、本作でもアーカム・シティと同様の地形を見受けられる部分もあるが、新規エリアも多く、少なくともマップは前作の1.5倍以上の広さとなっている。
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当然ながらアーカム・シティになって以降とは違って荒廃しておらず、どの地区も当時はこんな風情だったと言った感じで見ることもできる。見比べて見るのも一興。
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マップの中にはブラックゲート刑務所ももちろん完備。立地こそ前々作とは違うが、そちらとは違って内部の間取りなどは、ある程度余裕を持って眺めることが可能。
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また、マップの広大化に伴いファストトラベル機能が追加。屋外であればどこからでも、バットウイングに乗って特定ポイントまで瞬時に行き来することが可能となった。
評価点
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難易度とカタルシスが共存する戦闘システム
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前作WiiU版限定の要素だったB.A.Tモードが正式に戦闘に組み入れられたことで、充電と放電のメリハリが利いた戦闘を実現している。充電中には苦戦するシールド持ち敵や巨大敵も、放電に切り替わった途端バシバシとコンボ攻撃できるようになり、何とも爽快感がある。
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しかし敵の種類が増加した他、全体的に前作に比べ敵が強化されており戦闘が易化した訳ではない。忍者やカンフーを使用する難敵や巨体敵なども雑魚に織り込まれるようになり、より一層戦闘に歯ごたえが出ている。
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演出面の強化
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グラフィックは最早言うことなしのトップレベル。遠景からビルの看板・雪の質感に至るまで細部まで作り込まれている。
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加えて本作では過去作では見られなかった様々な演出手法が取られており、ストーリーを盛り上げる。
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例えばバットマンを操作して戦闘していると、突如画面がTV局のカメラに切り替わり、そこにバットマンが暴漢と必死に戦う姿が映る。画面の中のバットマンは変わらず操作可能であり、プレイヤーはTVカメラ越しに応援する視聴者の心情になりながらも、バットマンとして多くの人々の期待を受ける重圧と高揚感を味わうことが出来る。
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ジョーカーの独白シーンではプレイヤーはジョーカーを操作し、彼の精神世界を旅するのだが、そこには口から火を噴くピエロやトランプの暴漢など、およそ常人の精神には登場しない様々なモチーフが登場する。これによりプレイヤーは狂人・ジョーカー目線で世界がどのように見えているのか、ということを擬似体験することとなる。
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ボス戦闘の強化
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前々作・前作と本シリーズの課題の一つであった点が、「ボス戦闘が味気ない」というものだった。本シリーズのボス戦闘はそれ以前に登場した雑魚敵・中ボスのパターンを複合・工夫しながらも使いまわしているものが多く、「強敵との勝負」という実感を今一つ得難かった。しかし本作のボス戦闘は演出面・歯ごたえ共にかなり強化されており、文字通りの「強敵」として仕上がっている。
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例えば百戦錬磨の傭兵・デスストロークとの戦闘はガチンコの格闘戦。それもデスストロークの攻撃を見切ってかなりシビアにカウンターを決めていく必要があり、迂闊にこちらから殴ろうものなら逆にカウンターの餌食となるので、ヒリヒリとした緊張感のある戦闘に仕上がっている。
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対して放火犯・ファイアフライとの戦闘などはガジェットを多用して全力で挑む必要がある。一応有効な、模範解答的な攻撃方法は存在しているものの、ファイアフライに対しては様々なガジェットが有効であり、自身のスタイルに合った方法で攻めていくことが可能となっている。
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ただし、ファイアフライは攻撃範囲と射程、移動速度が桁違いになっているため回避も攻撃も死に物狂いでやらないとあっという間に直火焼きとなってしまう。
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ベインとの戦闘はイベントとしての演出優先な感が強いものの、なんと3回も用意されており、3戦目に至ってはまさかのプレデター戦闘。バットマンがあのベイン相手にどうやってプレデター戦闘を繰り広げるかは、ぜひその目で確かめてほしい。
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ストーリー
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本作のストーリーはまだ未熟なバットマンと協力者、そしてヴィラン達との闘争の幕開けという非常に濃い内容となっている。
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登場するヴィランはブラックマスクを中心に、デスストローク・ペンギン・ベイン・アナーキー・デッドショット・ジョーカーなど多数。
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彼らは1人取ってもそれだけで一本漫画が描けるくらいの魅力的かつ強力な悪役たちであり、扱いの格差はそれなりに大きいとはいえ、その彼らを違和感なく組み込みつつ「仲間とは・友とは何か」という主題を、超展開を発生させることなく描き切ったメインシナリオの評価は極めて高い。前々作を髣髴とさせる、勝利の余韻を素直に感じ取れる終わり方になっているのも好印象。
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特にベインは前作までとは違って原作コミック通りの文武両道なスーパー・ヴィランとして描かれており、本作ではそんな彼がなぜ前々作と前作ではあんな有様になったのかが判明する。
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蒐集要素
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本作も多数の蒐集要素が点在しており、中でも「エニグマの脅迫ファイル」は特定の条件を満たして集めれば入手できる、と言う前作における音声ファイルの入手条件をブラッシュアップするのと同時に、音声ファイルを入手できる理由付けがなされている。
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これらの音声ファイルの中には、対象ではなく関連人物のみによる会話も含まれ、多様な内容の会話を耳にすることが可能。なお、本作の音声ファイルは前作までとは違い、盗聴によって得られた記録なのが特徴。
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原作愛
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やはり一番の評価点はここに尽きる。本作にはスタッフの惜しみない原作愛が注ぎ込まれており、恐ろしいことに個々のビル看板に小ネタが仕込んであるレベルで作り込まれている。
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特に人気ヴィラン・Mr.フリーズについてはメインシナリオに登場しないながらも「Mr.フリーズのルーツを描いたDLC」を配信して補完している。
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この「Mr.フリーズ・ビギンズ」同然のDLC、本編では消化不良に終わったとあるヴィランとの対峙も補完されていたりする。
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本作の登場ヴィランの1人・アナーキーはマイナー過ぎて日本語のWikipediaに載っていないようなヴィランだ、と言えばスタッフのバットマンフリークぶりが伝わるだろうか。
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このアナーキー、言動こそアレだが行動理念は正義感に基づいており、目的と思想もあくまで「世のため人のために巨悪を討つ」で一貫している。コミックではあのレックス・ルーサーはおろか、サノスの元ネタとしても有名なダークサイドにも立ち向かったことがある筋金入りで、時にはヒーローとの共闘もやってのける、ヴィランではあるが善悪の境目に立つ存在とも解釈できる非常に魅力的な人物でもある。
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本作にはリドラーが登場しないので、前作までの「?」マークに変わってアナーキーのシンボルである「A」一文字のタグをスキャンすることに。前作におけるアーカムシティ・ストーリーとしての役割を兼ねており、アナーキーの思想がどういったものかが嫌と言うほど理解できる一方で、的を射た箇所もあるので意外と読み応えがある。さらには前々作の「亡霊アマデウスの声」の役割も兼ねる、サイラス・ピンクニーの隠し日記まで用意されているので、テキストで得られる情報の総量はかなりの物に。
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また、本作の舞台はバットマンの本拠地ゴッサムシティであり、敵側もバットマンの主要ヴィランは概ね押さえてある。バットケイブも完備。つまり本作はシリーズ中でもいわゆる「いつものバットマン」像に最も近く、ハイクオリティな「バットマンごっこ」を求めている層にはたまらないものとなっている。
賛否両輪点
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ヴィランの人選
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何方かというと精神異常者よりは、正気な犯罪者が多めなので一部のファンからはそこが不満に感じられている。
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舞台のブラックゲート刑務所は重犯罪者刑務所なので間違ってはないのだが…。
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とは言っても時系列ではアーカムアサイラムも異常犯罪者矯正施設として未だ機能していないし、バットマンに触発されてヴィランに堕ちた異常者も誕生してないので仕方がない。一応、インターンのハーリーンは登場しており、ジョーカーとの馴れ初めもしっかり描かれてはいるが。
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アーカムアサイラムがなぜ異常犯罪者矯正施設として機能し始めたかは、最終盤でさらりと触れられている。この時の演出の都合上、本作のクィンシー・シャープとジャック・ライダーは声のみの出演でキャラクター・データも用意されていない。
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戦闘システム
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歯応えがあると言えば聞こえはいいが、本作は序盤から倒すのに各種ガジェットや特殊アクションを要する敵が出てくるため、腕と難易度次第では逆に爽快感不足になりがち。特にカンフーを使用する敵は一部のテイクダウンが効かないため、余計にストレスを助長させられることが多い。だからこそショックグローブ入手後のカタルシスは絶大なのだが…。
問題点
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バグやフリーズが多い。
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本作はここで一気に評価を下げてしまった感がある。本作のゲームとしての完成度は極めて高い水準にあるが、残念ながら本作をバグ・フリーズなしにプレイすることはほぼ不可能である。こう断言できるほどにバグ・フリーズの頻度が極めて多い。
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数度のパッチ配布により現在は比較的マシだが、発売直後はマトモに遊ぶことすら難しかった。
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「敵を尋問しなければならない場面で尋問ボタンが出ない」程度ははっきり言って日常茶飯事。「攻撃対象の人間が壁や車に埋まっている」「敵が柱に引っ掛かってずっと走っている」「クリアしていない筈のチャレンジのクリア判定が出る」など、バグ報告に関しては枚挙に暇がない。
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原因は現行機(特にPS3版)のスペックをギリギリまで使用しているからではないか、と言われている。事実、次回作の『アーカム・ナイト』は次世代機での発表となった。
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ではスペックをギリギリまで使用した分良いものが作れているのか、と問われるとこれも首を傾げざるを得ない。本作のマップの広さが前作の更に1.5倍以上になっていることは上述した通りだが、ここまで広くする必要があったのか、という点は甚だ疑問。
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イベントも何も無い「ただあるだけ」の空き地や無駄な路地も多く、「オープンワールドを作り込む」ことに固執し過ぎた結果、無駄に容量を食っているのではないかとも言われている。
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実際フリーズやバグの多くは屋外、つまりオープンワールド部分で発生しており、オープンワールド部分の作り込みが甘いことは疑いようがない。
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前作『アーカム・シティ』の時点でロード時間がかなりかかっていたにもかかわらず、本作でマップ拡大を行ったことが失敗の要因であることは明らか。見通しが甘いと言わざるを得ない。
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一部やり込み要素の難易度
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前々作・前作のリドラートロフィーと同様、本作にも多数のやり込み要素が仕込まれている。しかしこのうちの幾つかの要素が嫌がらせじみており、問題視されている。
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本作の蒐集要素には上記の「エニグマの脅迫ファイル」「サイラス・ピンクニーの日記」「アナーキーのタグ」の3種類が存在する。問題視されているのは後の2つ、「ピンクニーの日記」と「アナーキーのタグ」である。
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「脅迫ファイル」に関してはゲーム内ヒントである程度の位置を特定することが可能なのだが、この2つについては完全にノーヒントで蒐集する必要がある上に、どちらも入り組んだ地形の裏側などにあることが多く、自力でマトモに探そうとすると、本作のマップの広大さも相まってかなりうんざりする。
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また、本作には「ダークナイト・チャレンジ」というチャレンジ要素が設定されており、設定された課題をクリアする度に経験値などの特典が貰えるが、この「ダークナイト・チャレンジ」は、高レベルになってくると「1度も攻撃を受けずにコンボ倍率50倍と15バリエーション以上を達成しつつ脅威度中以上の敵に勝利する」と言った無理難題を吹っかけてくる。
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特にその内の「ワースト・ナイトメア」は失敗したらリカバリが効かないものが非常に多く、高レベルあたりまでクリアしないと、ソニック・バットラングとそれを使った一撃ダウン攻撃がアンロックされなかったりと、かなり底意地の悪い仕様となっている始末。
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これで「ダークナイト・チャレンジ」のクリア報酬が軽いものならば無視すればいいが、全てのチャレンジをクリアすると「ダークナイトのスキン」が使用可能になるため、気になる人は非常に気になるものである。
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翻訳の質の悪さ
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前々作・前作と同様、やはり翻訳の質はあまり良くない。
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一例を挙げると、マッドハッターに誘拐された少女を救助したシーンの会話で、バットマンの「これでもう大丈夫だ(Everything's going to be all right.)」という呼びかけに少女は「大丈夫じゃないわ(No, It's not)」と返す。「大丈夫じゃないわ」という言葉は不穏な雰囲気であり、「何が大丈夫じゃないんだ?」とプレイヤーも不安になるのだが、これは単なる直訳のミス。
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この少女の台詞は「酷い目に遭ったわ」程度の意味であり、日本語と英語のニュアンスの差異が意味深な雰囲気を助長してしまっている。まあ、これに関しては相当酷い目にあっていたのをプレイヤーも目の当たりにしていたので、直訳でもある程度察することは可能だろうが…。
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また、これは翻訳担当者の責任ではないかもしれないが、本作の日本版タイトル「アーカム・ビギンズ」にも批判は多い。「オリジンズ」では日本人に意味が分かり難いという配慮なのかもしれないが、「Origins」という英字タイトルの下に「ビギンズ」と片仮名で書いてあるので、「どちらが正式タイトルなんだ?」と余計に分かりづらくなってしまっている。
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加えて「Origin」は単に「原点」「起源」を意味するだけではなく、アメコミ界に於いては伝統的に「ヒーローの誕生」を意味する語である。それだけに「Origin」という言葉は独特の重みを持っており、これを安易な判断で変更した日本版販売側への批判は強い。
総評
アーカムシリーズ3作目にして、アーカムシリーズの原点を描いた本作。
ゲームとしての完成度は前作に勝るとも劣らないのだが、バグとフリーズの多さがネック。
「アーカムシリーズ」という看板の大きさも相まって、必要以上に出来に落胆されてしまったようにも感ぜられる。
とは言え、致命的なバグに遭遇することは然程多くないのが救いだ。
バグの多さに敬遠せず、一度はプレイしてみることをお薦めしたい。
極上の演出とシナリオは、必ずやあなたをバットマンの世界に没入させてくれるだろう。
余談
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本作ではアーカムシリーズ恒例の「隠し部屋」が未だ見つかっていない。
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本作には隠し部屋は仕込まれていないのではないかとの疑いが強いが、前々作の事例を鑑みるに全世界のプレイヤーが血眼になっても見つけられない程に隠されている、という可能性も否定できない。
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本作の開発を担当したWB Games Montrealはアーカムシリーズのゲームをもう一作開発する予定だったが、開発中止となった模様。
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そちらはアーカムシリーズの完結編『アーカム・ナイト』の数十年後を舞台としており、ブルース・ウェインの息子であるダミアンが主人公だったとのこと。
その後の展開
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2020年8月にWB Games Montrealの新作『ゴッサム・ナイツ』が発表された。
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バットマン亡き後のゴッサムシティを舞台にバットガール・ナイトウィング・レッドフード・ロビンの戦いを描くアクションRPGで、オンラインCO-OPが可能となっている。
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ヴィランには本作のDLCで登場したMr.フリーズに加え、ゴッサムシティを裏から支配する秘密結社「梟の法廷」とその手先である「タロン」が登場する。
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対応機種はPS5/XSX/Winで、2022年10月21日に発売された。なお、レーティングは『バットマン』のゲームとしては異例のCERO:Z(18歳以上のみ対象)となっている。
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ちなみに、この『ゴッサム・ナイツ』の発売から3週間後にアーカム3部作でもバットマンを演じたファンからお馴染みのケビン・コンロイ氏が死去した。
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そのため、世界中のバットマンファンが「『ゴッサム・ナイツ』が現実になってしまった」とその死を悼んだ。
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2024年にMeta Quest3独占タイトルとしてアーカムシリーズ最新作『バットマン:アーカム・シャドウ』が発売予定。
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こちらは本作『アーカム・ビギンズ』の2年後を舞台としており、過去作では名前のみ登場していたヴィラン「ラットキャッチャー」が敵として登場する。
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バットマンやゴードンが本作に近いデザインである他、バットマンの声優も続投する模様。
最終更新:2024年06月08日 10:00