ぐるみん
【ぐるみん】
ジャンル
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アクロバティックどりるアクションRPG
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対応機種
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Windows 98~Vista プレイステーション・ポータブル
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メディア
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【Win】DVD-ROM 【PSP】UMD 各1枚
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発売・開発元
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日本ファルコム
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発売日
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【Win】2004年12月25日 【PSP】2006年6月29日
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定価
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【Win】9,240円(ダウンロード版:3,990円) 【PSP】5,040円
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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ディスクレス起動
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不可(ダウンロード版あり)
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廉価版
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【PSP】スーパープライス:2009年12月10日/2,940円 (パッケージ/ダウンロード共通)
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判定
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良作
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概要
ファルコムが初のフル3D、フルボイス作品として送り出した新規タイトル。ドリルを使って破壊しながら進んでいく爽快感あふれるアクションRPGである。
2~3頭身のデフォルメ調のキャラクターデザインに反して骨太で完成度の高いアクションRPGとして評価された。
また、ファルコムのコンシューマー再進出の先鋒となったタイトルでもある。
ストーリー
祖父が町長を務めるティースの街に引っ越してきた少女パリンは、街に自分以外の子供がいないと知りショックを受ける。
ところが、犬にイジメられている少女ピノと出会い、街には大人に見えないオバケたちが住んでいた事を知る。
オバケたちと仲良くなったパリンだったが、ある日ピノの兄プクが余所者の悪いオバケ「ファントム」に浚われてしまった。
オバケホームの真ん中に封印されていた伝説のドリルを手に、プクを助け出したパリンだったが、その間にオバケホームはファントムに襲撃されていたのだった。
システム
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基本部分は同社が発売した『ツヴァイ!!』に近く、拠点となる街から各ダンジョンを探検して進む。
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ダンジョンのゴールにはオバケホームから持ち去られた家具が置かれており、この家具を回収して持ち主に返すことで新たなステージが開けていく。
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アクションの数はさほど多くないものの、分かりやすく自由自在に動き回れるものとなっている。
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基本攻撃はボタン連打で繰り出せるコンボと長押しで使えるチャージアタックがある。ガードダッシュや回転入力、ジャンプと組み合わせることで各種必殺技が使える。
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ジャンプしながらロックオンした敵に向かっていくターゲットアタックなどもある。連続して繰り出すことで通常では行けない場所に行ける。
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画面上部には音楽に合わせて流れてくるクリティカルインジケータがあり、このタイミングに合わせて攻撃を当てることでクリティカルとなる。
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武器となるドリルには3段階のレベルがあり、クリティカルを出す、特定の場所にある土を掘ることでレベルアップできる。
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レベルアップごとにどんどん攻撃力と見た目がパワーアップしていき、レベル3の状態では『ゼルダの伝説』のようにドリルからビームが発射される。
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ドリルパーツを入手して装備することでドリルの属性を変化することも出来る。属性によって技に付加効果が付いたりも。
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その他の装備として、頭部に装備するアクセサリーがある。このアクセサリーは特定の敵が落とすガラクタを使ってお店で改造することで特殊効果を得ることが出来る(水に入ってもダメージを受けない、毒ダメージ無効、HP吸収など)。見た目もリボンやネコミミといったかわいらしいものからガスマスクのようなシュールなものまで多彩。
PSP版の変更点
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新衣装の追加。
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特定のアクセサリーと衣装を合わせた際にボイスが追加された。
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フォントを変更、ミニマップ、クリティカルインジケータの廃止。
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CERO:A対策のためか、回復ポイントでパリンの服が透けなくなっている。また、スカートの中も見えないようになった。
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真エンドの存在をほのめかすヒントが追加。
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トゥーンシェードの処理が簡略化されており、キャラクターの陰影がほとんど変化しない。
評価点
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ステージ上の様々なオブジェクトを破壊できる爽快感あふれるゲーム性
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柱やひびの入った壁、バリア発生装置など破壊できるオブジェクトは数多い。破壊すると必ずお金が出るため資金集めにも重要。
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ステージクリア時の評価は倒した敵の数、壊した壺と開けた宝箱の数で判定される。他のオブジェクトは破壊する必要がないため、タイムアタック時にテンポを崩すことはない。
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最高ランクのS+++は、上記の条件を満たした上でタイムを縮めることで獲得できる。
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最低難易度のビギナーならジャンプに補正がかかったり、氷で滑らなくなるなどアクションが苦手でも遊びやすくなっている。
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全体的にほのぼのとした世界観
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登場キャラも敵キャラ含めどこか憎めないどころか可愛いデザイン。女性にもオススメ。
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敵幹部もオカマの巨大チョウチンアンコウ、コギャル、意味不明な言葉ながら訳すと実はメタ発言全開のモスビーなどネタ要素も多い。モスビーについては攻略Wikiに語録があるほど。
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非常に評価の高いBGM
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ゲームに合わせたほのぼのとした曲からシリアスな曲まで様々。
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代表的な人気曲としては「マイナスイオンの静寂」、「sight of silence」、「SAMURAI DRILL!」、「不可思議オバケ卵」など。
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隠しボス戦のBGM「TO MAKE THE END OF DIGGING」は同社の『イースII』の名曲「TO MAKE THE END OF BATTLE」を彷彿とさせる曲名、曲調になっていたりと遊び心も満載。
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Win版の初回版にはサントラも付属していた。人気があったため、後に通常販売もされた。
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特に本作のラスボス戦で流れる「悲しき蒼穹を翔ける」は、ファルコムBGMの中でも群を抜いて高い評価と人気を得ており、また今作の知名度を大きく上げた一曲となっている。
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特定条件を満たすとパリンの服装を変えるコスチュームが手に入る。完全3D化による利点であり好評な点である。
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ほとんどが2周目からの要素だが、頭部に装着するアクセサリーは1周目から登場する。
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無料配信されたサポート拡張プログラムで衣装が追加された。この追加衣装はPSP版でも搭載されている。
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入手条件が非常にシビアなアイテムも存在することからやりこみゲーとも言われる。
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今作を象徴する棒読み
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ほぼ全ての登場キャラクターのセリフが棒読みとなっている。
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どの程度棒読みかというと、
テキストの感嘆符の数と明らかに合っていないレベルで棒読み。
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アクションにおいても、「これでもくらえー」「きゃー」「ぎゃふん」など
徹底的なほどに棒読み。
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公式によると世界観やプレイヤーの感情移入を考えて、あえて棒演技をしてもらったとのこと。
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今作のほのぼのとした世界観の根幹を支える要素でもあり、
今作についての話題の大部分がBGMとこの棒読みとなっているほど。
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特に主人公のパリンの棒読みはファンの間では語り草となっており、謎の中毒性があるとして彼女の人気を助長している。
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「
やるしかないわめ!
」はファンの間では定番の空耳である。(実際は「やるしかないわね!」)
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なお、声優はパリン役で本作がデビューの大河内雅子氏以外はアニメなどへの出演経験が豊富な声優陣が揃っている。
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シナリオの評価も高い。
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上述の棒読みと独特のノリで隠れがちだが、全体的に手堅く纏まっており、最初から最後までダレる事がなく非常に読みやすい。
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伏線が分かりやすく、無難な展開も今作に関しては逆に安心感があるとして好評。
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エンディングはマルチエンディングとなっており、ノーマルエンディングとトゥルーエンディングが存在する。
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なお、エンディングの分岐は極めて分かりやすいものとなっている。トゥルーエンドの敷居もかなり低い。
賛否両論点
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弱すぎる通常攻撃
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普通に攻撃ボタンを押しただけで発生する攻撃があるが、他のコマンド技の影に隠れがち…というか全く性能が足りていない。
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普通にプレイしていても使う場面が壺などを破壊する程度で、存在理由がほぼない。
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どちらかというと通常攻撃に問題があるというよりコマンド技がお手軽で強すぎる事が問題か。
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まともにプレイしているとまず序盤からダッシュから出せるコマンド技、チャージ攻撃、空中攻撃しか使わなくなってしまう。
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棒読みについて
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評価点として上げたものの、(実際にここまで綺麗に聞き取りやすく棒読みをするのはある意味凄い演技なのだが)人によっては素人が演技しているようにしか聞こえず、受け付けない人にはまず受け付けない。
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棒読みが無いぐるみんはぐるみんではないと言われる程定着しているものであるが、「あえて棒読みをする」というノリ自体が理解出来ない人は特に問題点として上げる傾向にある。
問題点
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カメラワークに若干難がある。
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場所によってカメラが近すぎる。入り口をくぐると突然視点が変わり周囲を把握できない場面がある。
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終盤でのトロッコの激しすぎるカメラワークは語り草となっている。
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一応、カメラは左右に回転できるのでうまく調整するしかない。
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PSP版では画面上下が削られ、クリティカルインジケータも削られてしまったためクリティカルを出しづらくなっている。
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また、fpsもWin版より低かったり、ボタンコンフィグがなくなっているなど、劣化している点も多い。
総評
ファルコムとしては初の完全3Dゲームながら出来は良好。
当時のファルコムゲーの中でもグラフィックの質、BGM、演出、アクションとどれをとっても高クオリティで、特にグラフィックは一昔前という印象の強かった同社のゲームとしては一際目立っていた。
『イース』『軌跡シリーズ』のような知名度こそないものの、全体的に丁寧に作られており安心して遊べる良作である。Win版、PSP版、どちらも一長一短があるので購入する場合は好みに合わせるといいだろう。
本作のPSP移植から本格的にファルコムがコンシューマーへ進出した事を考えれば、現在のファルコムを語る上で欠かすことの出来ないタイトルとも言える。
余談
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2015年3月31日にはSteam版が配信開始された。
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一部開発及び販売は北米のMastiff社が担当。
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最新OSと16:9解像度に対応したグレードアップ版となっている。
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他のファルコム作品のSteam版同様、日本語音声、テキストは削除されているが、日本語版を所持しているなら一部ファイルを上書きするだけで日本語化可能。
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2016年11月30日にはニンテンドー3DS向けに「ぐるみん3D」として配信。国内発売はフライハイワークスが担当。
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移植はSteam版も手掛けたMastiff社が担当。
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基本的にPSP版ベースの移植でfpsの低下など同様の問題を抱えているが、キャラクターモデルの描画はPC版基準のトゥーンシェードが実装されている。
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SDカードの性能にもよるが、最後発の移植だけあってロードは非常に高速。
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タイトルで判る通り立体視に対応、ただ微調整を行わなかった様で立体感は微妙。
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ラスボス戦で数回挿入されるイベントシーン明けに、暗転画面のままフリーズするバグを抱えている事が最大の難点。
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ニンテンドーeショップでの3DSソフトの販売終了伴い、 2023年3月28日に配信終了。
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韓国企業との共同開発で『ぐるみん オンライン』という企画が存在したが、開発途中のままライセンス契約が終了して凍結されている。
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後にPSPで発売された『イースvs.空の軌跡 オルタナティブ・サーガ』に本作のキャラクターが「ぐるみんズ」としてサポートキャラで登場。
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また、一部楽曲の収録やOPムービーが収録されている。とある隠しステージにはあのBGMも。
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2020年末の近藤社長へのインタビューで、新規エンジンの話題になった際「そもそも今の3Dエンジンって「ぐるみん」なので(笑)」と発言。
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本作から創の軌跡発売までの約17年間のファルコム作品は、本作の3Dエンジンで制作し続けていた事になる。
最終更新:2024年05月25日 05:20