ハリー・ポッターと賢者の石
【はりー・ぽったーとけんじゃのいし】
| ジャンル | アクションアドベンチャー |  
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| 対応機種 | プレイステーション2 | 
| メディア | DVD-ROM 1枚 | 
| 発売元 | エレクトロニック・アーツ | 
| 開発元 | Warthog | 
| 発売日 | 2004年1月22日 | 
| 定価 | 5,800円(税別) | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| セーブデータ | 3個 | 
| レーティング | CERO:全年齢対象 | 
| 廉価版 | EA BEST HITS 2004年7月15日/3,129円(税5%込)
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| 判定 | なし | 
| ポイント | 秘密の部屋の焼き直し シナリオとUIに粗あり
 相変わらず長いロード画面
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| ハリー・ポッターシリーズリンク | 
 
概要・特徴
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主人公ハリーを操作してホグワーツの罠や敵をかいくぐったり、退治していくアクションアドベンチャー。
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映画化にあわせて、本作よりも先にPS2でゲーム化されていた秘密の部屋の素材やシステムを再利用している。
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左スティックで移動、□△○ボタンに呪文及びアイテムを装備し使用、×ボタンで肉体的なアクションを実行。魔法は溜め打ちが可能だが、溜めすぎると暴発する。
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R1で敵や物体に狙いをつけられる。その間はジャンプなどの飛びのき移動は可能だが、移動が遅くなる。
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章別構成であり、ひとつの区切りごとにいくつかの目的を用意される。それをクリアすると、メニュー画面から×ボタンで次の章に移動可能。
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セーブはイベント以外であればメニューから基本的にいつでも可能。
 
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ハリーの体力
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左上の稲妻マークでハリーの体力が表現されており、0になると大抵はその場から稲妻マークの半分だけの状態になってやり直し。
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各所に落ちている魔法使いのカードは集めるとハリーの体力が増加する。また校内のNPC生徒に話しかけるとダブっている分を別のカードに取り換えてくれる。
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校内の雑魚敵を全滅させたりすると入手できるパターンが増加。一度に5枚入手できる宝箱が置いてあることも。
 
評価点
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美術面
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声優は映画のキャストと異なるものの豪華。
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映画の後に製作されたことを生かして、映画のシーンは全てとはいかないがかなり上手に再現してある。
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3Dのキャラとマップは相変わらずきれい。ホグワーツといった常に通るような範囲には前作の使い回しこそあるものの、ダンジョンは基本的に新規に作り直してある。
 
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攻略への配慮
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ゲーム攻略のカギとなる謎解きアクションは、初見でも簡単に進めないように、かつ少しは頭をひねって解決するようにというバランスに仕上げている。
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前作ではあまり使う機会のなかった溜め打ちがそれなりに必要になるように仕掛けを調整してある。
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障壁解除の使い道しかなかった魔法が近作では少なくなっている。
 
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ダンジョンに入る前に敵の説明をしてくれる本が設置されるなどヒントが丁寧になった。
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ダンジョンに落ちているアイテムの所在は音声を頼りに見つけられるように。
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学校の先生、ロンやヘドウィグといったNPCが親切に次の目標地点を教えてくれるので、マップ自体は広いものの迷うことは基本的にない。
 
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システム
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箒の方向操作を通常とリバーシブルの二段階で調節できる。
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音声・字幕を日本語/英語に切り替えられる。
 
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秘密の部屋での理不尽仕様の削減
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走る速さと壁はりつきの速さが増加した。移動時や潜入時の操作がしやすい。
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ロード時間は短くなってはいないものの、ロードを必要とする箇所が圧倒的に減少した。
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深夜冒険が全体的に快適になった。原作の通りに透明マントを使って潜入するようになった。
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ルーモスの効果範囲がわかりやすくなり、先に製作された秘密の部屋の時と比べて、ナイトガッシュと戦いやすくなった。
 
賛否両論点
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寮対抗杯の易化、やりこみ要素の縮小
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ハリー以外の行動も反映されておりリアリティが増したが、余程のことがない限りグリフィンドールの圧勝になるためやや物足りない。
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呪文を習得できるダンジョンに再挑戦ができ、チャレンジメダルを集めれば成績をつけ直してくれるが、このようなバランスのためあまり意味はない。
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前作と比べて魔法使いのカードを集めるのがかなり楽になり、今作ではダンジョンが全体的にあっさりとした内容に変わっている。
 
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攻略パターンについて
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敵や仕掛け自体の種類は豊富で前作のように限られた魔法のみが役に立つといったことは減ったのだが、シナリオ一貫して同じような敵・仕掛けが登場するので、よく言えば攻略しやすいが悪く言えば作業感が強い。
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ラストダンジョンにあたる3階の廊下の「悪魔の罠」、ヴォルデモートの前座であるオオカミのモンスターもそれぞれ毒触手草、ナイトガッシュと基本的な対処法が同じ。ただし、悪魔の罠は毒が強化される、オオカミはヴォルデモートが体力回復をする、遠隔攻撃をしてくるといった差異はつけられている。
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また打撃呪文である「プリペンド」を使用して人間を相手に怯ませることができなくなっている。
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前作では可能だったということもあり、潜入シナリオでの難易度が上昇している。
 
 
難点
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シナリオが無理矢理すぎる
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ハリーのアクション性と無関係なところは非常に早足に進める傾向があり、原作ではフラグとして機能していた出来事を端折っている一方で、展開上面白いイベントは完全再現したりしているので物語の整合性がおかしくなっている面が多々ある。
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原作を知らずにプレイする人自体は少ないと思われるので、大問題となる可能性は低いだろうが、もし知らずにプレイするとかなり意味不明な展開が多くなる。
    
    
        | + | ネタバレ長文 | 
ハリーが生き残った男の子として魔法界で有名な理由について説明不足。ハグリッドの「お前さんは有名人だな」の一言で殆ど済まされてしまっている。
例のあの人がどのように滅んで現在どういう状態なのかについての情報も、殆どハグリッドが軽く言及するだけ。ハリーは彼の名前について最初は知らないはずだが、いつの間にかヴォルデモートと呼ぶように。
原作通り、ハリーたちは3階廊下のフラッフィの件から、彼らが守っている何か(賢者の石)の正体に興味を持ち調べるのだが、ヴォルデモートの描写不足のため彼らが賢者の石を取られないように3F廊下に侵入する理由がわからない。
組み分け後の大広間宴会で頭の傷が痛むシーンはカットされ、禁じられた森でユニコーンを吸血する所で頭の傷が痛むだけ。フラッフィに噛まれた描写も不自然な形で改変されているので、ハリーがスネイプをヴォルデモートの手先と疑う理由も、プレイヤーからはせいぜい授業でいびられた腹いせ程度にしかとれない。
ヴォルデモートと決着がついた後、医務室でダンブルドアと会話するシーンがカットされているので、みぞの鏡を見たハリーが賢者の石を手に入れた理由がいまいち不明。ヴォルデモート自体も賢者の石の入手にハリーが必要なのに、入手前からハリーを殺しにかかるなどの矛盾も存在する。
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ストーリーの根幹からはややそれるが、論理的におかしい話もいくつかある。
    
    
        | + | 例 | 
箒に乗って思い出し玉をマルフォイから奪い返すシーンはあるにもかかわらず、ハリーがマクゴナガル先生にスカウトされてクィディッチの選手になるくだりはカットしてあるので、マクゴナガル先生からニンバス2000を贈呈されるシーンや魔法薬の後にはじまるクィディッチの試合が非常に唐突に感じられる。
1年でトロールに立ち向かうことをマクゴナガル先生に窘められるシーンはきっちり再現してあるにもかかわらず、その後の授業で何体かトロールと戦うことになる。
ウィンガーディアム・レヴィオーサの呪文を本編では教わらない。その件が発端でハーマイオニーが女子トイレにこもってトロールに襲われるという理由づけがカットされている。
マルフォイの非行や仲間のピンチに対してロンはよく憤慨するものの、なぜかおもに問題を解決するのはハリーの仕事。特にハーマイオニーが女子トイレで襲われた時のロンは、トロールと戦うハリーを見ているだけになってしまっている。
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回復アイテムやチャンスが妙に少ない
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一発死となる落とし穴も妙に多いが、これに一度でもかかるとゲージの半分だけの体力でやり直しに。リスタート地点に戻されるでもよいので、全回復してもよかったのではないか。
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章をまたいでちゃんと寝ている描写があっても体力は減ったまま。
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その辺の茂みをフリペンドで攻撃すれば回復アイテムが出てきた前作とは異なり、今作は宝箱からのドロップが主になってしまっている。
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救済用の回復アイテムも1度とると復活せず、回復薬のウィッゲンウェルド薬も2回目のチャレンジ以降は使ったままなので、一度でもボスなどで敗れると難易度が急増してしまう。
 
 
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死にアイテムの存在
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めまいを止める薬を新たに保持することができる。毒がまわるとハメられてしまうといった凶悪さを持つ悪魔の罠戦では重宝しなくもないが、すぐに消耗してしまうのであまり意味がないなどするので、素直に体力回復薬でそろえた方がよい。
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行動を邪魔してくる監督生を止めるアイテムとして投げたと同時に悪臭をさく裂させる「臭い玉」に加えて、魔法を当てることで手動で炸裂させられる「フン爆弾」が追加された。後者はタイミングを決められるというメリットがあるのだが、実用面ではあまり役に立たないため、臭い玉の陰に埋もれがち。
 
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細かい操作性の悪さ・重さ
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壁はりつき時に進む方向と、倒すべきスティックの方向が一致していないことがある。
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扉を開く、宝箱を開ける、呪文を唱える振りかぶりなどの動作がいちいち重く、特に呪文を唱えるときは隙になりやすい。
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アロホモラが効果を発揮した時の演出はものすごく長い。
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R1ロックオンの使い勝手がやや悪いため(難易度が高いだけととらえれば問題ないかもしれないが)、トロール、毒触手草との戦闘になるとやや長期化しやすい。
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箒の方向転換、加速が全体的に大仰になってしまっているので、繊細な操作が求められる。
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思い出し玉の奪還やクィディッチではあまり問題はないのだが、背後から無数の鍵が追いかけて視界不良のさなか建物の狭い隙間を縫うことになる魔法の鍵は難関。
 
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マップのわかりにくさ
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NPCの存在に気付けば大問題でもないのだが、マップに目印となる地形が配置されていない。
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どこに向かうべきかは初見だと混乱しやすい、特に肖像画からの抜け道を使うときの目的地は分かりにくい。
 
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不具合について
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ロード時間は章を移行する際等、タイミングは限られるようになり前作よりもマシにはなったが、相変わらず20秒ほどと長い。
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ジャンプを駆使するダンジョンでは、少し下の段差に降りただけで一発死判定されることがある。
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誰もいないのにしゃべるコマンドが出る時がある。
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取ったアイテムが宝箱やフィールド上に残り続ける。
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ダンジョンで戦闘不能になると先に進んだところで復活する。
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狭い場所だとカメラが地形にひっかかってハリーを追いかけられない。
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ロンとハーマイオニーに踊り場でハメられる。
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古い機種でプレイすると、モンスターが空中でフリーズするなど処理落ちが起こる。
 
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その他細かい難点
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作中で、箒に自由に乗り降りできるようになるタイミングが遅い。
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BGMがやや地味。
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翻訳及び台詞回しがおかしいところがある。
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女子トイレに来たトロールを撃破した後のイベントで、ハリーとロンはハーマイオニー本人が同じ場にいるにもかかわらず、めいめい「彼女」「あいつ」呼ばわり。
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寮対抗杯の結果をダンブルドアに発表されているにもかかわらず、ロンが「スリザリンに勝てるかもしれない」と発言。
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敵モンスターの説明文に「どんな呪文も避けてしまうがフリペンドに弱く」という意味的におかしい文章がある。
 
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オリバンダーの店主のキャラが、物静かだったり急に声高で元気になったりと軸が定まっていない。不気味さを出すための演出の一環な可能性もありえるが、原作や映画にはそのような設定もなくシュールなこと請け合い。
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字幕がスクロール方式をとっているのだが、読み上げの速度が合っていない場合がある。
 
総評
精度の高いグラフィックは健在で、手軽さの点ではなかなか遊びやすいゲームであり、適度に難しい謎解きアクションも楽しめる。しかし細かい設定の粗のため攻略に関してどこか残念な一面を持つ。一方シナリオには大きめの穴を抱えており、原作の知識の有無を問わずに楽しめるかどうかはプレイした人次第といえるだろう。
余談
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本ゲームのパッケージ裏では「クライマックスでは例のあの人との戦いが待っています」と親切丁寧にネタバレ記載をしている所もネタポイント。原作の読書や映画の視聴を前提に作られたと言われれば納得できなくもないが・・・
最終更新:2024年07月13日 22:22