この記事では原作『ぷよぷよSUN』(判定:なし)とそのGB移植版『ぽけっとぷよぷよSUN』(判定:良作)を扱います。



ぷよぷよSUN

【ぷよぷよさん】

ジャンル 落ち物パズルゲーム


対応機種 アーケード
セガサターン
プレイステーション
ニンテンドウ64
使用基板 AC ST-V
発売元 AC他 コンパイル
PS再販 セガ
開発元 コンパイル
稼働開始日 AC 1996年12月
発売日 SS 1997年2月14日
N64 1997年10月30日
PS 1997年11月27日
Win95 1998年4月17日
プレイ人数 1~2人
配信 PS ゲームアーカイブス
2014年3月12日/600円
判定 なし
ポイント 『ぷよぷよ』シリーズ第3作
キャラゲーとしての演出が大幅進化
新要素「太陽ぷよ」の調整不足
魔導物語・ぷよぷよシリーズ

概要

1990年代に一世を風靡した落ち物パズルゲーム『ぷよぷよ』シリーズの第3作。
闇の帝王・サタンさまが「肌を小麦色に焼いてギャルにもてもてになる」為だけに太陽を巨大化させ、灼熱地獄を生み出してしまった。
我らが主人公アルルは世界を元に戻す為に、変態魔道士シェゾは自身の愛する闇夜を取り戻す為に、そしてドラコケンタウロスは…どういう訳か日光浴をする為に旅立つ。
タイトルである「SUN」は3作目の「3」と、太陽を意味する英語「SUN」を掛けた物。

『ぷよぷよ』は対戦における駆け引きや戦略性が評価されるゲームでもあり、シンプルだが対戦での楽しさを最大限に引き出せるシステムが、2作目の『ぷよぷよ通』で既に確立されていた。
『ぷよぷよ通』が普及した結果、上級者の間では対戦に勝つための戦略が開発され続けており、より広範かつ奥深い戦略性を持つ続編がユーザーに求められていた。

そこで、『ぷよぷよ通』の出来を超えることを期待された『ぷよぷよSUN』だったが…。
『ぷよぷよ通』のディレクターだった森田健吾氏は「セガサターン版『ぷよぷよ通』でぷよぷよは完成した。
3を作るとしたらそれ以上のものにしなければいけないから大変」と発言している(『ALL ABOUT ぷよぷよ通』)。

AC版の使用基板は初代と『~通』まではメガドライブの上位互換基板であった「System C2」が使われていた。
だが、本作はサターンへの移植を見込んだことも考慮してか、サターン互換基板である「ST-V」が使われている。


特徴

※ゲームボーイ版についてはルール変更が多いので後述。

  • 太陽ぷよ
    • 『ぷよぷよ通』では、連鎖をすると相手のフィールドに「おじゃまぷよ」を降らすことができるが、このおじゃまぷよが「予告ぷよ」として自分のフィールド上部に表示されている間(降ってくるまでの猶予時間)に連鎖をすると、こちらがおくった分と同じ数だけの予告ぷよ(おじゃまぷよ)の数を減らすことができる(こちらが送った量が上回った場合は、その残りが相手のフィールドに送られる)。これを「相殺(そうさい)」という。
    • これに加えて『ぷよぷよSUN』では、おじゃまぷよを「相殺」すると「太陽ぷよ」が自分と相手のフィールドに同じ数だけ降る。このシステムは「日輪相殺(にちりんそうさい)」と名づけられている。
      • 「太陽ぷよ」の降る列の順番は決まっており、左列から順番に1→2→3→4→5→6→1→…と規則的に降る。
    • 「太陽ぷよ」を連鎖に巻き込んで消すと、通常より多くのおじゃまぷよを相手に送ることができる。連鎖のうしろで巻き込んで消すとより多くのおじゃまぷよを降らせることができることも含め、前作の「得点ぷよ」を公式に採用したようなものになっている。
      • 太陽ぷよの降るターンは、最後の相殺から少し時間が空くと画面中央の太陽から光が発射、その光がフィールドに差し込む演出が入り、そのターンはおじゃまぷよが降らない。
    • また、「全消し」を行うと、全消しを行った連鎖と同じ数の太陽ぷよが自分のフィールドにのみ降る。代わりに、前作のようなおじゃまぷよ追加ボーナスはない。
    • セガサターン以降、コンシューマで出た『ぷよぷよSUN』は、「太陽ぷよを出現させなくする(太陽ぷよOFF)」機能が付いている機種もある。この場合、得点倍率・14段目の有無などの細かい点を除いて、『ぷよぷよ通』とほぼ同じになる。
  • 3人の主人公
    • 「ひとりでぷよぷよ」モードでは、1作目の『ぷよぷよ』を踏襲して難易度別にコースが分かれており、順番に現れる敵を倒していく形式なのだが、本作では難易度に応じて主人公が異なっている。
      • やさしい『ドラコの休日』:全3ステージ
      • ふつう『アルルの冒険』:全13ステージ+1
      • むずい『シェゾの逆襲』:全8ステージ+1
    • 1作目に準じ、ドラコ編の3体の敵は練習ステージ限定。シェゾ編で戦う敵は基本的にアルル編の6人目以降に相当するが、一部違いがある(後述)。
    • 初代『ぷよぷよ』や『ぷよぷよ通』の移植版の一部で搭載されていた「漫才デモ」が引き続き搭載されており、主人公別にそれぞれ用意されている。
      • ドラコ編EDでのオチが、アルル編第1ステージでのネタになったり、アルル編で経験値を得てレベルアップした勇者ラグナス・ビシャシがシェゾ編で元に戻ったりと、難易度順に一本のストーリーになっている。
      • また、アルル編・シェゾ編では後半に両者直接対決があり、アルル編ではシェゾが、シェゾ編ではアルルが敵として立ちはだかる。
    • アルル編とシェゾ編では、ラスボスのサタンさまを倒した際に条件を満たしていると、隠しボスのカーバンクルが突如乱入してくるサプライズがある。
      • この乱入戦ではカーバンクルの側だけ色数が少なくなるというハンデが与えられる。ただしカーバンクル戦の勝敗がEDに影響を及ぼすことはない。
  • 対戦時のキャラクター選択
    • キャラクター毎に個別の連鎖ボイスが付き、「ふたりでぷよぷよ」等の対戦モードではキャラ選択が可能になった。
      • それまでは声優を採用したPCエンジン版『ぷよぷよCD』『ぷよぷよCD通』だけにしか個別ボイスとキャラ選択は無かった。
    • 「ふたりでぷよぷよ」では、サタンさまとカーバンクルは隠しキャラ扱いで、コマンドを入力すると使えるようになる。
  • 南国風のBGM
    • ストーリーの題材に合わせ、BGMは南国風の曲調が多い。
    • 「ひとりでぷよぷよ」のふつうモードに使用された「ふつうにあそぼう」(NORMAL MODE)は後にアレンジされ、アルルのテーマとして使われた。
    • また、セガサターン版で追加された「とことんぷよぷよ」のBGM「とことんあそぼう」(とことん)は、同じくSS版『ぷよぷよ通』の追加BGMのアレンジである。
    • 本作で一新された効果音も、後のセガの『みんなでぷよぷよ』『ぷよぷよフィーバー』以降に受け継がれており、シリーズのスタンダードになった。
  • 他作品では一部機種を除いて19連鎖が限界だが、本作品のみ最大20連鎖可能。
    • 他作品では画面上の見えない列の限界保持数が1列のみであるが、本作は2列分保持されるため。

評価点

キャラゲーとしての大幅な演出強化

  • 前作ではあってないようなものだったストーリーが強化され、より表情豊かになったちびキャラによる漫才デモでコミカルなストーリーが描かれるようになった。
    • 「むずい(シェゾ編)」で出現する敵は、1作目のむずい同様にふつうの途中ステージからとなり、むずいの方がステージ数が少ない。しかし本作ではそれぞれに異なる漫才デモがあるため、1作目とは違い「ふつう」「むずい」を両方ともプレイする意義がある。
    • 漫才デモの完成度は高く、一部のデモ*1は未だにネタにされることも。
  • キャラクター演出の大幅強化
    • 連鎖時にキャラ別のカットインがフィールドの背景に表示されるようになり、演出がハデになった(連鎖アニメ)。
      • 本作の連鎖アニメは未だにファンの人気が高く、『ぷよぷよフィーバー』以降の作品にも受け継がれた。
    • キャラクター個別の連鎖ボイスも個性に溢れている。
      • プロ声優を起用していたPCエンジン版の初代や『通』と違い、過去のコンパイル作品と同じく、大半の声の担当は豪華コンパイル社員(つまり素人)なのだが、基本的に素人でありながらも「棒読み」の人はおらず、総じてファンにはやたら人気が高い。
      • 主人公のアルルとシェゾの声優は、コンパイル開催の一般オーディションにより前作のPS版『ぷよぷよ通』から採用された小沢美奈子と大塚雄史郎が引き続き担当。彼らは以降のコンパイル作品でも長らく常連となった。
        さらに、後発移植版ではスケルトン-T・インキュバス・ルルーの声優も一般オーディションでの採用者に変更されている。
      • 個人の好みはあるが、プロ声優起用の次作『ぷよぷよ~ん』や『ぷよぷよフィーバー』以降と比べてもこちらのほうが良いというファンも多数。
      • ラスボスである「サタンさま」の声は(当時の)コンパイルの仁井谷社長が演じている。ただし、セガ発売のPS再販版のみ大人の事情で差し替えられた。
  • 新たなキャラクターの追加
    • 前作までは全て『魔導物語』シリーズからの出典のみだったが、本作では新規オリジナルキャラクターの「勇者ラグナス・ビシャシ」が追加。
      • 呪いにより子供の姿にされてしまった異世界の勇者という設定で、レベルアップすると青年の姿に戻るという独特の設定。発言などもいわゆるテンプレRPGの勇者をパロディした雰囲気。
      • 彼はその後、本家『魔導物語』にも逆輸入で登場することになった。
    • その他にも、旧来の『魔導』シリーズからちょっぷん、キキーモラ、コドモドラゴン、ハニービー、そして前述のようにプレイアブルでは初となるカーバンクルが追加された。

問題点

太陽ぷよルールの練り込み不足

  • 太陽ぷよのシステムは初心者でも上級者に勝つための一発逆転要素として導入されたものだが、以下の点からゲームバランスを崩しただけだとユーザーに批判されることになった。
    • ほんの2、3連鎖でも太陽ぷよを混ぜた連鎖で勝ててしまうため、戦略性をかえって削ぐことになった。
      • ちなみに太陽ぷよは連鎖数×6(1連鎖のみ3)の攻撃力を持つため、3連鎖程度でも相当な攻撃力となる。
    • 相殺による太陽ぷよは自分にも相手にも降るので、結局早く連鎖を決めた人が有利になる。
    • 大連鎖を狙おうとすると、太陽ぷよ自体がかえって邪魔物扱いされることがある。
    • 後から連鎖して相殺しきれなかった場合、太陽ぷよの発生タイムラグのせいで、おじゃまぷよ→太陽ぷよ→残りのおじゃまぷよの順で降ってくるため「連鎖に不要なぷよを消し、太陽ぷよを溜めて逆転する」という戦法が取れず、結局意味をなさない。
      • そのため一部では、「相殺できないおじゃまぷよ」とも呼ばれている。
    • ちなみに『ぷよぷよ通』の時点で「太陽ぷよ」に似た性質を持つ「得点ぷよ」が存在していた。こちらはあくまでおまけ要素であり、初期状態では使用しない設定となっている(対戦時に得点ぷよルールが選択できるほか、基板設定の変更で「ひとりでぷよぷよ」の特定のステージが得点ぷよルールになる)。
    • 対人戦であれば太陽ぷよは設定で登場させないこともできるので、不要であれば使わなければよい。

キャラクター関連

  • 前作と比較してキャラクター数が半減
    • 演出が大幅強化された反面、前作『ぷよぷよ通』よりも登場キャラクター数は半減した(通:全36体 ⇒ SUN:旧キャラ12体 + 新キャラ6体)
    • 一応、前作までの人気キャラクターはある程度押さえており、登場メンバーのバリエーションも豊かである。「ひとりでぷよぷよ」の形式も含め、キャラクター数については1作目に回帰したとも言える。
  • キャラクターの僅かな性能差
    • 本作ではどのキャラクターを使用しても基本的に性能差はない…はずなのだが、実は2体のキャラクターのみぷよの消える速度が他のキャラクターと異なり、連鎖の速度に影響する。
    • 具体的には「ぞう大魔王」は他のキャラクターよりも連鎖速度が僅かに速く、逆に「コドモドラゴン」のみ明らかに遅い。彼ら以外は全て同じ速度のため、調整ミスの可能性が高い。
      • 最速のぞう大魔王についてはごく僅かに有利である程度であるため、そこまで深刻な影響はない一方で、コドモドラゴンについては使用すること自体がハンデに近い状態となってしまっている。
    • なお関係があるかは不明だが、ふたりでぷよぷよにおいて隠しコマンドで「全キャラクターをぞう大魔王にしてしまう」という裏技が存在する。

総評

演出が強化されキャラクターの持つ個性がより発揮される等、キャラゲーとしては好評。
本作で進化した演出は後の『ぷよぷよフィーバー』以降にも受け継がれており、シリーズの演出面での基礎は本作で完成したといえよう。
しかし、新要素の太陽ぷよは今一つ逆転の手段にも戦略にも組みにくい微妙な要素となってしまい、ぷよぷよ通のプレイヤーを納得させる事は出来なかった。
本作は決して「クソゲー」ではないのだが、『ぷよぷよ』の続編としては、4作目『ぷよぷよ~ん』と並び、とくに上級者ユーザーには批判され芳しくない評価を得ている不遇の作品である。


他機種移植

  • セガサターン版『ぷよぷよSUN』(1997年2月14日発売)
    • 『ぷよぷよSUN for SEGANET』(1997年9月4日発売) - 通信対戦対応(※サービス終了済)
    • 廉価版「サタコレ」(1998年7月30日発売)
    • 前述のように元のアーケード版がST-V基板で稼働していたことから移植が楽だったためか、最も早く発売された。
    • 新規オープニングアニメと「とことんぷよぷよ」、本体日付連動でイラストが増える「アトリエモード」、スタッフロールが追加。
    • 漫才デモにもボイスが追加され、連鎖ボイスも全て録り直された。それに伴い一部の演出も変更されている。
  • ニンテンドウ64版『ぷよぷよSUN64』(1997年10月30日発売)
    • 最大16人によるトーナメント方式の「かちぬきぷよぷよ」、指示された問題を連続で解いていき2人対戦も可能な「とことんなぞぷよ」が追加。
    • スケルトン-T・インキュバス・ルルーの声優を一般オーディションでの採用者に変更。
    • N64用カートリッジの容量制限の関係か、SS版にあった漫才デモのボイスやOPアニメ、アトリエモードは未収録。
      • しかしキャラクターの動きなどはSS版とほぼ同じままのため、突然口パクだけしたりするシーンがある。
  • プレイステーション版『ぷよぷよSUN決定盤』(1997年11月27日発売)
    • 廉価版「PlayStation the Best」(2001年4月12日発売) - 一部バグ修正
    • 廉価版・発売元/セガ(2003年1月30日発売) - サタンの声優変更・アトリエモードとスタッフロール削除
    • ゲームアーカイブス版(PS3/PSP/PSV)・発売元/セガ(2014年3月12日発売) - 内容は上記セガ廉価版に準拠
    • SS版をベースにN64版の新要素も盛り込んだ移植。漫才デモも新声優で録り直されている。
  • Windows 95版『ぷよぷよSUN』(1998年4月17日発売)
    • ベースはPS版。前作までと違い高解像度化はされていないが、操作性は向上。
    • 元はディスクマガジン『DiscStation Vol.17』に収録されていたスポーツゲーム『白熱!ぷよりんぴっく!』の再録版を同時収録。
  • ゲームボーイ版『ぽけっとぷよぷよSUN』(1998年11月27日発売)
    • ルールが一部変更された独自アレンジ移植。詳細は後述。
  • EZアプリ版『ぷよぷよSUN』(2006年5月11日配信)
    • S!アプリ版(2006年5月17日配信)
    • iアプリ版(2006年11月10日配信)
    • 「ひとりでぷよぷよ」のアルル編のみ収録。ボイスはアルルのみで一部演出も簡略化されている。
  • メガドライブミニ2版『ふたりでぷよぷよSUN』(2022年10月27日発売)
    • MD準拠で新規制作されたタイトル。タイトル通り、2人対戦モード「ふたりでぷよぷよ」のみに特化させた独自アレンジ移植。
    • 太陽ぷよがフィールド内の色ぷよに憑依する「太陽イン」、日輪相殺によるおじゃま遅延のみ発生するが太陽ぷよが落ちてこない「フェイク太陽」という2つの新ルールが追加。
    • インタビュー記事によると、当初は1人用モードも制作されていたそうだが、スケジュールの都合で残念ながらカットすることになったらしい。
      • ただし一応は1人のみでプレイすることも可能で、その場合はとこぷよに近い練習モードとなる。

余談

  • ぷよぷよの全国大会などのイベントは、『ぷよぷよSUN』の発売後にもかかわらず『ぷよぷよ通』が依然として多く使われた。
  • 『ぷよぷよSUN』の不振が、1998年3月のコンパイル経営破綻の遠因につながったという見方もあるが、同社の経営破綻はぷよぷよの大ヒットの頃から既に予兆があった。
  • 後年では「太陽ぷよの失敗から低く評価された」とみなされがちな今作だが、実は世に出た当時は太陽ぷよの存在はそこまで問題視されておらず、逆に変わり映えのなさを批判する傾向が強かった。
    • 96年に入ると『ぷよぷよ』の訴求力はすっかり落ちており、ファミ通クロスレビューでは『通』移植版の濫造に対し「食傷気味」「もう飽きた」といった厳しいレビューが寄せられていた。その上で発売された『SUN』も根本的なゲームシステムに変化が無かったことから「これ一本で続けるのは流石にもう厳しいのでは」などの声が相次いでいた。
    • 「セガサターンマガジン」97年2月21日号の記者レビューでは「キャラが綺麗になっただけで変わり映えしない」「マンネリ」「お色直し程度」と散々な言われ方をしており*2、同誌の読者レースでは「内容は"通"とあまり変わらない」(3/14号) 「さすがにルールにあまり変化がないとつらい」(3/21号)との意見が寄せられていた。
    • 「ファミ通」が「儲かってなさそうなゲーム会社」をアンケート集計した際も、ぷよぷよ頼みになっているコンパイルを挙げる声が存在した。
    • 「ファミ通」97年2月21日号では太陽ぷよが上級者からジャマ扱いされていることがかろうじて確認でき、「サタマガ」3/21号では既に太陽ぷよを「賛否両論だろうが」と評する声もあったが、後者では同時に「ルールが選べるので不満にはならない」「戦法も幅が広がった」という肯定的な意見も紹介されており、太陽ぷよ自体の問題点はそこまで注目されていなかった。
    • よって今作の商業的失敗はシステムの良し悪し以上に、「ゲーマーからすっかり飽きられていたコンテンツにもかかわらず、訴求力のある変化を打ち出せなかった」という部分が大きいようである。
  • 本作の特徴である「太陽ぷよ」システムは、以降はコンパイル開発作品ではGBC版『ぽけっとぷよぷよ~ん』とPS版『ぷよぷよBOX』を除き採用されていない。加えてこれらのタイトルではルールが多少変更されている。
    • 一発逆転可能な要素や相殺で攻撃をしのぐシステムは『ぷよぷよフィーバー』で一応の完成をみることになる。
    • その後、セガ開発の20周年記念作品『ぷよぷよ!! Puyopuyo 20th anniversary』にて、アーケード版準拠の「ぷよぷよSUN」ルールが久々の復活を果たした。
      さらに、隠しコマンドで後述のGB版『ぽけっとぷよぷよSUN』準拠のルールにも変更でき、「通」&「SUN」の裏ルールでは旧キャラクターのみ『ぷよぷよSUN』当時の台詞を現行声優で再現した連鎖ボイスとなる。
  • 本作で色ぷよの形と色、表情が現在にも続くものに統一された*3
  • アーケード版では、「試合開始早々いきなり勝利扱いになってステージクリアする」というとんでもないバグが稀に発生する。
  • この作品では珍しく主人公のドラコ・アルル・シェゾの3人が揃いも揃ってBADEND的なオチで終わる*4
    • ただしバッドエンドとは言ってもどれもコメディ的なゆるい描写のギャグオチであり、後味が悪いというわけでもない。

ぽけっとぷよぷよSUN

【ぽけっとぷよぷよさん】

ジャンル 落ち物パズルゲーム
対応機種 ゲームボーイ(カラー共通)
メディア 8MbitROMカートリッジ
発売・開発元 コンパイル
発売日 1998年11月27日
定価 3,980円(税別)
プレイ人数 1~2人
判定 良作
ポイント 太陽ぷよルールが改善
携帯機移植ながら新要素もあり

概要(GB)

  • 上記『ぷよぷよSUN』のGB移植版。
    • ただし、単なる移植というわけではなく、従来機種のルールから色々と手が加えられている独自アレンジ移植となっている。

評価点(GB)

  • 太陽ぷよのルールが一部変更。
    • おじゃまぷよや太陽ぷよの降る位置が固定されておらず、まったくランダムな場所に降るようになった。
    • 日輪相殺発生のタイムラグがなく、相殺後即座に太陽ぷよが降る。それに伴い太陽ぷよの予告は無い。
      • これにより、後から連鎖して相殺しきれなかった場合、他機種では太陽ぷよの発生タイムラグのせいでおじゃまぷよを防げなかったが、GB版では相殺時に太陽ぷよから降るように変更されたため攻撃をしのぎやすくなった。
    • 全消し時に太陽ぷよボーナスだけでなく、前作同様に全消しおじゃまぷよボーナスを同時獲得できる。
      • それだけでなく、全消し太陽ぷよボーナス自体も直前の連鎖数分ではなく「(直前の連鎖数-1)×2 +直前の相殺分(合算)」に変更され、太陽ぷよの発生量が多くなった。
  • 前作『ぽけっとぷよぷよ通』および次作『ぽけっとぷよぷよ~ん』とのシリーズを超えた通信対戦が可能。ルールは『通』準拠となる。
    • 相手のソフトにいないキャラを使用した場合、相手の画面では雰囲気が似ている別のキャラに変換される。
  • 復活キャラクターの追加
    • GB版限定で4体の旧キャラ(スキュラ・ふたごのケットシー・うろこさかなびと・ミノタウロス)が復活している。
    • ただし追加キャラが登場するのはフリー対戦限定。
  • ゲームボーイカラー使用時は画面がフルカラー表示になる。
    • スーパーゲームボーイでプレイした場合はモノクロ準拠の配色のままだが、前作と同様に専用フレームが表示され、ソフト1本で対戦可能。
  • 優れたビジュアルと音楽
    • オープニングムービーは静止画なものの、味のあるイラストを丁寧に再現している。ゲーム中のちびキャラグラフィックもかわいらしい。
    • 音楽も原作の雰囲気を崩さず正統派なアレンジがなされており、ゲーム内で使われていない曲も非常に丁寧に作られている。
      • 特にふつうモードの対戦中BGMの質が異常に高い。前作『ぽけぷよ通』や次作『ぽけぷよ〜ん』と比べても質の良いアレンジが施されている。
  • 「段位認定システム」の追加
    • 1人用の各種モードのプレイ結果に応じて「段位」が与えられ、ギャラリーから閲覧できるタロットカード風のぷよぷよキャラのイラストが開放される。こちらのイラストもGBながらクオリティが高い。

問題点(GB)

  • ハードスペックの関係で演出がやや簡素になっている。
    • 漫才デモではなく、初期の『ぷよぷよ通』同様のキャラ紹介コメントになっており、そのコメントに対して紹介されたキャラが一言セリフを返すというものになっている。会話デモではないものの、こちらも個性は出ている。
    • 連鎖ボイスや個別のぷよ消えパターンは残念ながら無い。連鎖アニメは、連鎖したキャラが画面中央で相手を押し出すという独自のモーションになっている(押し出されている時はやられイラストに変わる)。

総評(GB)

ハードに合わせて演出は控えめなものとなっているが、練り込み不足だった太陽ぷよルールに手が加えられており、後の『20th』でも隠しコマンドでこのルールが遊べることからも評価されていることが窺える。ビジュアルと音楽も丁寧に再現されており、キャラや要素も追加されているなど携帯機だからと手を抜かれてはいないことがわかる。移植の質という点では非常に良質な一本。

余談(GB)

  • 64GBパックに本作を差し込んだ状態で64版『ぷよぷよ~んパーティ』を起動すると、本作で獲得したギャラリーのイラストを64からも閲覧できる。この連動でしか入手できないイラストも存在する。
最終更新:2025年04月17日 04:59

*1 シェゾ編のウィッチ戦やハニービー戦など。

*2 この中にはぷよジャンキーを自称していながら「太陽ぷよの効果がよくわからない」と書いているいい加減なレビューも含まれていたが、裏を返すと『ぷよぷよ』の対戦考察がそこまで浸透していなかった事情がよく現れている。

*3 緑は丸型で無表情、赤は丸型で怒っている、青は逆滴型で泣き顔、黄色は滴型で笑顔、紫は丸型でジト目

*4 ネタバレ回避のため詳しい説明は避けるが、ドラコは当初の目的を達成できたものの酷い目に遭い、シェゾは最後の最後で手痛いしっぺ返しを喰らう。アルルは何と、サタンさま以外のとあるキャラによってそれまでの苦労を水泡に帰されてしまう