みんなでぷよぷよ
【みんなでぷよぷよ】
ジャンル
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落ち物パズルゲーム
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対応機種
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ゲームボーイアドバンス
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メディア
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64MbitROMフラッシュメモリ型カートリッジ(フラッシュメモリ)
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発売元
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セガ
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開発元
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ソニックチーム / CARET HOUSE
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発売日
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2001年10月18日
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定価
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4,800円
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廉価版
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お買い得版:2003年7月3日/3,800円
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判定
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なし
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ポイント
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ぷよぷよとしての基本はおさえてある それ以上でも以下でもない出来 後の『ぷよぷよフィーバー』への踏み台
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魔導物語・ぷよぷよシリーズ関連作品リンク
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概要
90年代に一世を風靡した落ち物パズルゲーム『ぷよぷよ』シリーズの外伝(?)的作品。特に記念というわけではないが、ぷよぷよ誕生から10周年にあたる2001年に発売された。
本作は生みの親のコンパイルではなく、セガが独自に制作した最初のぷよぷよである。コンパイルは本作発売の数年前に経営破綻をしており、セガ(当時はセガ・エンタープライゼス)にぷよぷよシリーズの知的財産権を売却していた。とはいえ当時はコンパイルが依然としてシリーズの制作を請け負っていたため、セガが独自に制作・発売することにファンは驚いた。
ストーリー
プロローグ
ある日のこと
いつものように
カーバンクルといっしょに散歩をしていたアルルは
町はずれの草原で
変なしるしのついた板をみつけました
何だろう?と思って見ていたアルルですが
ふと気がつくと
ついさっきまで何もなかったところに
なんだか不自然なゲートがあるではありませんか!
アルルが不思議そうにながめているすきに
カーバンクルがゲートのほうへかけだしました
あわてたアルルも
カーバンクルを追って走っていきました
こうしてまたいつものように
アルルのちょっとおかしな冒険がはじまったのです!
(取扱説明書より)
特徴
従来シリーズにおける「ポイントをおさえた」だけのある意味無難な作りであり、新要素やこれといった大きな特徴はない。
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ゲームシステムはシンプルな『ぷよぷよ通』、個別連鎖ボイスなどは『ぷよぷよSUN』がベースと、ある意味無難な作品である。
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基本システム、漫才デモ、連鎖ボイスなどシリーズのポイントはきちんとおさえてあり、(若干の操作性の悪さはあるものの)ゲームとして、あるいはぷよぷよシリーズの作品として大きな問題があるわけではない。
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強いて本作独自の点を挙げるとすれば、「ひとりでぷよぷよ」ではステージによって「固ぷよ」「得点ぷよ」など降ってくるおじゃまぷよの種類が変更されたり、場合によっては『ぷよぷよ~ん』の遺跡ステージのようにおじゃまや固・得点ぷよがいくつかのパターンで最初から敷き詰められる等ぐらい。
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登場キャラクターは総勢17名。ほとんどが『ぷよぷよSUN』に登場したものだが、一部『SUN』に登場していないキャラクターもいる(新キャラクターはいない)。
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なお、キャラクターデザインは旧作を担当したイラストレーターではなく、本作が初となるNANA SHIRAO氏が担当。こちらも特にクセのない画風。
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登場キャラ
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アルル・ナジャ、スケルトンT、インキュバス、セリリ、のほほ、すけとうだら、キキーモラ、ドラコケンタウロス、ミノタウロス、ハーピー、ウィッチ、シェゾ・ウィグィィ、ぞう大魔王、ルルー、ラグナス・ビシャシ、サタンさま、カーバンクル
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連鎖ボイスは基本的に『ぷよぷよSUN』から多くが流用されている。
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ただし、大人の事情で変更になったサタンは新規のもの、『SUN』はGB版のみ参戦で当時ボイスの無かったセリリは『よ~ん』と同内容の台詞だが新録ボイスになっている。
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また、ミノタウロスの連鎖ボイスは本作新規収録。彼の連鎖ボイスを聞けるのは声優を起用したPCエンジン版2作以外では本作だけである。
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BGMも基本的に『ぷよぷよ通』からのアレンジがほとんど。Windows版『なぞぷよ』からの輸入曲もあるが、新曲は無い。
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CPU戦の「ひとりでぷよぷよ」のストーリーは章区切りで小分けされている。そのためか、道中では同じ敵が何回か再登場している。
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一章ごとにセーブされるため、少しずつ小分けでプレイできるのでオールクリアはしやすくなった。
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また、何度もクリアしていく毎に微妙に台詞の反応が変わったり、新しいアイテムを入手できたりする。アイテムを入手すると様々な隠し要素が解禁されていく。
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必要なアイテムを得て一定条件を満たすと、登場キャラクター全員と連戦する「試練の迷宮」も解禁される。『通』の一部機種にあった「通モード」のようなもの。
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通信ケーブルによる対人戦モードは1対1の「ふたりでぷよぷよ」、そしてタイトル通り最大4人対戦の「みんなでぷよぷよ」を収録。
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1カートリッジのみでの対戦プレイにも対応しており、人数分のGBAとケーブルさえ用意すればソフト1本のみで対戦できる。ただし、この場合はキャラクターやルールが選べず、シンプルな標準ルールのみ。
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ソフトを複数持ち寄ったマルチカートリッジプレイではキャラクターやルールを選択可能。前述のアイテムで解禁した追加ルール等も選べる。
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エンドレスの「とことんぷよぷよ」も収録。
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従来通り制限無しでひたすら消していく「ノーマルモード」の他、次々と出されるお題をクリアして制限時間を伸ばしていくいわゆるとことんなぞぷよに相当する「タスクモード」の2種類を収録。
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日本語表示と英語表示を切り替え可能。英語表示にするとタイトル画面と各種ボイスを除くゲーム中のメッセージ全てが英訳される。
問題点
以下に挙げるような問題点があり、特に漫才デモや対戦中のエフェクトに関する演出が皆無と言っていいほど存在しないせいで、ひどく地味な仕上がりになってしまっている。これらのことから過去作と比べて「劣化している」と言われることが多い。
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ぷよの落下タイミングのテンポが多少悪く、ぷよを設置してから次のぷよが出るまでが一瞬遅い。このため他作品と比べると操作に違和感を覚えることも。
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「横への移動の時に十字キーを一瞬ニュートラルに戻す」といった対策を心がけることである程度違和感を軽減することは可能。
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対戦画面には連鎖時のカットインや戦況を伝えるアニメなどは一切なく、表情の変わらない一枚絵(漫才デモのものと同じ)が中央に表示されているのみで、淡々とぷよを落としていくだけの味気ないものになっている。ぷよを落とす効果音さえ出ない。
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理由は不明だが、おじゃまぷよが落ちてきた時のボイスが次のぷよが出てきた時点で途切れる現象も見られる。
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「ひとりでぷよぷよ」の問題点
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前述通り章区切りなのだが、1章クリアするごとにランキングのネームエントリーを経ていちいちタイトル画面まで戻されるため、テンポがやや悪く面倒。
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漫才デモは上半身の一枚絵とテキストが表示されるだけで『ぷよぷよ~ん』のようにボイスがつくこともないどころか、キャラの表情すら変わらないため、非常に淋しい。また、漫才デモが終了してから画面がフェードアウトするまでの時間が微妙に長くイライラさせられる。
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プレイ回数ごとに微妙にデモが変化していくのだが、セーブデータを初期化することはできないため、一度見ると二度と見られなくなってしまうデモも存在する。残念ながらギャラリーモードにも漫才デモ鑑賞は非実装。
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1人のみでプレイする場合の問題点
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対戦モードは「ふたりでぷよぷよ」「みんなでぷよぷよ」の2つがあるが、どちらも通信対戦(ワンカートリッジ対応)しかできず、任意のキャラクターを選んでコンピュータと対戦するフリー対戦モードはない。
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そのため、1人で遊ぶときは「ひとりでぷよぷよ」か「とことんぷよぷよ」しかできないが、その場合使えるのはアルルだけ(「とこぷよ」の連鎖ボイスもアルルのもの)である。
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「ひとりでぷよぷよ」でアイテムを集めていくと、ギャラリーモードで鑑賞できるグラフィック、対戦モードで使える隠しキャラクター・追加ルールなどが解禁されるが、前述のとおり1人でプレイする場合はアルル以外は使えないので、ソロで遊んでいる限り対戦モード関連の解禁要素は何の恩恵もない。
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そもそも、ふたぷよの追加ルール自体も「得点ぷよ」「固ぷよ」「2個消し」「6個消し」「えでぃっと」等、元は『ぷよぷよ通』でデフォルトで選べたものを隠し要素に回しているだけである。さらに1カートリッジプレイでは選択不可。
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一応、各キャラの連鎖ボイスや勝利時などのリアクションボイスはギャラリーを収集すればいつでも聴くことができる。
評価点
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ストーリーそのものは旧作の流れから逸脱しておらず、イメージを大きく壊すような内容も無い。
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従来どおりの雰囲気で安心ではあるが、逆に言えば新鮮味はあまり無く、今までのテンプレ通りにまとまった平凡で無難な内容。
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キャラデザが変更されたものの、こちらも絵柄に違和感はそれほどない。
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GBAの性能を活かし、携帯機向け作品としては初めてぷよがくっきりと大きく表示されるようになった。
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タイトル通り対人戦に特化しており、ソフト1本さえあれば皆で遊ぶことができる。
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BGMは『ぷよ通』や『なぞぷよ』からのアレンジが使用されており、どのアレンジも悪くはない。
総評
セガが初めて開発したこともあってか「お手本どおりに作ってみただけ」で終わっている部分が多く、パズルゲームとしての作りからキャラクターの使い方まで全体的に「カタさ」が残っている。操作性の悪さや演出のショボさからシリーズの作品としては「ガッカリゲー」という感じが拭えない。
後に同じくソニックチームが製作した『ぷよぷよフィーバー』はシステムが1から作り直されており、キャラクターの大幅入れ替えなど賛否両論の要素はあるが、ゲームモード・操作性・演出面などが本作から大幅に改善されている。本作の教訓は『フィーバー』に活かされているといえるだろう。
その後の展開
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日本で発売された翌年、欧米でも『Puyo Pop』のタイトルで販売された。基本的には本作の英語設定と同じでボイスも日本版のままだが、会話メッセージのテキストが全面的に改めて英訳し直されている。
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2003年発売のゲームキューブ用ソフト『ジャイアントエッグ ~ビリー・ハッチャーの大冒険~』にて、GBA連動要素としてゲーム中に獲得できる「ジョイキャリーのタマゴ」でGBAリンク用のセガゲーム各種をダウンロードすることができ、その中の1本として『みんなでぷよぷよ(とこぷよ限定)』が収録されている。
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iアプリに本作をベースとした『ぷよぷよDX』がある。ただしストーリーは全く異なる新規のものに変更。対戦画面が味気ない等の問題点はほぼこのゲームと同様だが、iアプリなので「ボイスもアルルのもののみ」(対人戦では2P側の表示がカーくんになるものの、2Pボイス無し)と、さらに短所が増えている。
余談
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「ソニックチームによる初のセガ独自のぷよぷよ」という名目であるが、実は開発下請けを担当した「CARET HOUSE」は旧コンパイルを退職した元スタッフによる下請けであることが明かされている。(参考インタビュー)
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英語版でのサタンの名称は、宗教的な問題を考慮してか「Dark Prince(闇の貴公子)」と改名されている。
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この名称は元々は欧州アーケード版初代『ぷよぷよ』で使われていたもの。
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海外版が発売されていてかつサタンが登場する『ぷよぷよテトリス』以降も使われている。
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前述の登場キャラクター全員と連戦するモードの対戦画面の、CP側ツモ上部のタイル配置が不自然な繋がりになっている。
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恐らく1P側のフィールド上部のタイル配置の反転処理を忘れてそのままCP側にコピペしているからだと思われる。
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サンプル動画(英語、0:26~1:24辺り)
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最終更新:2025年04月26日 05:01