幻想水滸伝カードストーリーズ
【げんそうすいこでんかーどすとーりーず】
ジャンル
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カードバトルRPG
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対応機種
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ゲームボーイアドバンス
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発売元
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コナミ
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開発元
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コナミコンピュータエンタテインメント東京
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発売日
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2001年9月13日
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定価
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6,090円(税込)
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プレイ人数
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1人~2人
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周辺機器
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GBA専用通信ケーブル対応
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判定
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シリーズファンから不評
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良作
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ポイント
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カードゲームで戦う『幻想水滸伝II』 カードゲームとしての出来は良い シリーズとしての出来は悪い
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幻想水滸伝シリーズリンク
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概要
当時コナミが販売していたTCG『幻想水滸伝カードストーリーズ』のゲーム化作品。
ストーリーは『幻想水滸伝II』(これ以降『原作』と表記する。)を下敷きにしているが再編集・簡略化されている部分も多い。
ストーリー
皇子ルカ・ブライトが実権を握るハイランド王国と、ミューズ市長アナベルが指揮するジョウストン都市同盟との間にはいつ終わるともわからない戦争が続いていました。
ハイランド王国に住む主人公は、義理の姉ナナミの心配をよそに、大切な故郷を守るため、少年だけを集めたユニコーン少年兵部隊に、幼なじみの少年ジョウイと一緒に所属していました。
そんなある日、主人公とジョウイはルカの陰謀によって、裏切り者にされてしまったのです…。
主人公とジョウイ、そしてナナミの運命はどうなってしまうのでしょう?
(公式サイトより)
特徴・ゲームシステム
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基本的には原作をなぞったストーリーで進行して行き、ストーリーの各所での戦闘は全てカードバトルで行うこととなる。
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ストーリーの合間には町やダンジョンを探索することが出来る。
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町ではデッキ編集のほかデッキレシピの閲覧やカードの購入と交換、訓練所でのバトルなどが行える。
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ダンジョンでは敵とのランダムエンカウントがあるほか、宝箱・強敵のシンボル・ストーリーでの登場キャラとの会話がある。
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宝箱からはカードかポッチ(お金)が入手出来るが敵が潜んでいることもある。
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ランダムエンカウント・宝箱の敵・強敵シンボルとのバトルは開始時に逃げるを選択すれば100%逃げられる。バトル開始後は逃げられない。
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ストーリーキャラとは会話後にバトルとなったりカードをくれたりとキャラによってまちまち。なおこのバトルは逃げられないがキャラに話しかけなければ回避可能。
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バトルに勝利すればカードやポッチやデッキレシピが手に入る。バトルや探索やカード購入などで手持ちカードを増やし、デッキを編集し強化して次のストーリーを攻略するのがこのゲームの流れとなる。
カードバトル
ルール
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カードは総大将・キャラ・ミッション・施設の4種類があり、総大将を0~1枚とそれ以外を50枚で1つのデッキとする。
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他のカードゲームによくある同一カードの枚数制限は無い。
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総大将はバトル開始時に場に出し、そのバトル中は様々な恩恵を受けることが出来る。だが後述する陣営によってデッキ構築の際に制限がかかる。
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ミッションには攻撃力勝負と兵力勝負のものがある。
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キャラはリーダー・一般・職人・フリーの4種類に分かれ、さらに攻撃力・兵力・建設力・性別・紋章の有無・陣営・リンクと多くのステータスが設定されている。
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攻撃力は攻撃力勝負のミッション・施設破壊で、兵力は兵力勝負のミッションで、建設力は施設建設の際に参照される。
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性別には男女のほか獣・ロボ・?(不明)・剣がある。
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男・女・獣については参照するカードも多いが後の3つはフレーバー的な意味合いが強い。
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紋章が設定されているキャラは一部カードによるサポートが受けられる。
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陣営は新・連・王・三・独の5つがあり、リーダー及び一般のキャラに設定されている。特定の陣営を強化したり参照するカードがある他、総大将を使っている場合は総大将と陣営が異なるリーダー・一般キャラは使用不可となる。
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それぞれ【新】都市同盟・都市同盟【連】合軍・ハイランド【王】国・第【三】勢力・【独】立勢力の一文字。
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職人・フリーに属するキャラは陣営を持っておらず、総大将の影響を受けずにデッキで使用することができる。
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リンクはA~Iまでのアルファベットのうち幾つかを各キャラが持っている。
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これら基本ステータス以外に、各キャラごとに固有の効果が設定されている。
バトルの流れ
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勝利条件は「規定数のVP(Victory Point)を貯める」「施設を10個建設する」「相手の山札が0枚になり、新たな手札を引けなくなる」のいずれか。
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VPの規定数は対戦相手や進行度によって変わる。主要キャラとの対戦では同数であることが多いが(有利不利問わず)差のあるハンデ戦もありうる。
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まずコイントスにより先攻後攻を決める。総大将カードを使用する場合はここで開示する。
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手札は6枚。最初に手札を引いた際、3枚まで選択して山札に戻して引きなおすことができる。
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手番プレイヤーは「ミッションor施設を場に出す」「継続ミッションor施設にキャラを派遣する」「手札を任意の枚数捨て、捨てた分を山札から引いてターンエンド」のいずれかを行う。
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「ミッションor施設を場に出す」「継続ミッションor施設にキャラを派遣する」を選んだ場合派遣フェイズとなる。
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手番プレイヤーが「ミッションor施設を場に出す」際は相手が、「継続ミッションor施設にキャラを派遣する」場合は自分が先に派遣することとなる。
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交互に手札からキャラカードを派遣する。この際派遣せずパスしてもよい。
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一人目は必ずリーダーを派遣しなければならない。
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二人目以降はリンクを参照する。既に自分が派遣したキャラの誰か一人と1つ以上共通したリンクを持っていなければ派遣出来ない。
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また場にはどちらのプレイヤーが場に出したかに関わらず同名のキャラカードを二人以上同時に出すことはできない。ただし[裏](裏切り)の能力を持つキャラは、相手が既に出していた同名キャラを捨てて場に出すことができる。
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攻撃力勝負・施設の場合はどちらかの攻撃力・建設力の合計が設定された数値に達した場合にクリアとなる。
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兵力勝負の場合はお互いにパスするまでキャラを派遣し続ける。その後お互いの合計値を比較し、大きい値から小さい値を差し引いたものを残存兵力とする。残存兵力が設定された数字より大きければクリアとなる。
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単純な引き算ではなくキャラの兵力を用いた引き算となる。例として1000のキャラ+500のキャラvs600のキャラとなった場合、1500-600=900とはならず、600のキャラを倒すために1000のキャラが犠牲となり、残存兵力は500となる。
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クリア条件を満たさなかったミッション・施設は継続ミッションとして場に残る。
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クリアとなった場合、成功させたプレイヤーは派遣したキャラの内一人を駐留させなければならない。施設破壊の場合は駐留させる必要はない。
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クリアしたミッション・施設を自分のものとし、ミッションに設定されているVPを獲得する。
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施設にはVPが設定されていないが建設成功させると自分に有利な効果がある。また、施設2つで1VP得ることが出来る。
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派遣フェイズが終わったらお互いに手札が6枚になるまでカードを引き、相手のターンとなる。この流れを先述した勝利条件が満たされるまで行う。
評価点
バラエティに富んだカードの数々
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カード総数250種というのは可もなく不可もなくといったところだが、ほぼ全てのカードが何らかの特徴を備えているため気になりにくい。
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キャラカードの能力は原作を意識したものとなっており原作プレイ済みならニヤリとできるだろう。単純にゲーム性を高めるのにも一役買っている。
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一例を挙げると男キャラを誘惑し除外するリィナ、圧倒的なステータスを持つルカ、五匹出せば条件を無視しミッションをクリアできるムクムク達など。
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また一部のカードは[協](協力攻撃)の能力を持つ。連続でキャラカードを派遣できるので攻撃力勝負や施設建築の際にアドバンテージを得られる。
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原作で固有の顔グラを持っていたキャラはほぼ全員がカード化されている。
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ただし原作の仲間キャラの内、ルロラディアとチュカチャラのカードは存在しない。原作でも108星としてカウントされなかったキャラだが扱いが悪く感じる。
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一部のキャラ・総大将は通常バージョンのほか枠が銀色のレアカードが存在する。ステータスが強化されている他、通常はリーダーではないキャラがリーダーになっていることも。
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原作の前作にあたる『幻想水滸伝』の主人公(マクドール名義)や『幻想水滸伝外伝』の主人公ナッシュのカードもある。
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また原作の続編にあたる『幻想水滸伝III』のとあるキャラもカード化されているが…詳しくは問題点にて。
丁寧なチュートリアルの存在
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キャラカードの各ステータスや2種類のミッション方法など覚えることは多々あるが、それらについてはゲーム中でチュートリアルを受けることができる。
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ストーリーの各所で攻撃力勝負・兵力勝負・施設建設を主体としたチュートリアルバトルが行われるためプレイしながらルールを覚えられる。
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ミッションや施設以外にも、総大将やキャラのリンクなどについても解説される。
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だが施設に関するチュートリアルが行われるのはストーリーがある程度進んだ時点のため、人によっては受ける前に体感し理解していることも多い。
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ストーリー中で行われるチュートリアルはキャンセルすることも出来るので周回プレイ時にテンポを損なうことはない。
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また、タイトル画面からもチュートリアルを受けることが可能。
問題点
ストーリー・本拠地システム・108星の省略や簡略化
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シリーズの特徴である本拠地システム・108星集めの要素は存在しない。ストーリーも大小さまざまな省略や改変がされている。
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原作で任意に仲間にできるキャラはほぼ全員が登場せず、進行上絶対に登場する・仲間になるキャラもその多くはリストラされた。
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その一部を紹介、ネタバレ注意。
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序盤から省略の嵐。リィナ達と共に国境を超えハイランド王国に帰るイベントがない。主人公の義姉であるナナミが単身国境を越え都市同盟側に来ることになった。
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傭兵砦はフリックとビクトールだけで切り盛りしている。レオナやゲンゲン達はおらず戦いに備えてツァイを迎えることも無い。アップルは遅れてやってくる。
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その後もミューズ陥落・本拠地入手・トゥーリバーやグリンヒルなど様々な部分で端折られたストーリー・キャラ多数。
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原作中盤の山場であるルカ討伐戦も省略。ルカは死なず、その後に起こるハイランド王国との会談ももちろん省略。
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マチルダでのナナミ死亡イベントやジョウイとの共闘もない。
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そしてルルノイエに突入、ラスボスはルカ。原作ではラスボスより強いとの声も多かったが本当にラスボスになるとは…
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また、クライブやフッチやヒックスらのサブイベントも全て存在しない。
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システム周辺の不便さ
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ゲームデータのセーブやデッキの編集、使用するデッキの切り替えは基本的には町の宿屋でしか行えない。
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宿屋はほぼ全ての町にあるものの、ストーリー中に襲撃され壊滅した町ではデッキ編集すら出来ない。
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ダンジョンの一つである「燕北の峠」へは壊滅した町を経由しなければならないので地味に面倒。
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ダンジョンでデッキの編集や切り替えを行いたい場合は、ランダムに登場するアップルに話しかけるかバトルに一度負けて再戦を選択しなければならない。
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ストーリーでの戦いは3連戦以上となることが多いが、この時もデッキの編集や切り替えなどは出来ないし中断セーブも無い。
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カードファイルの閲覧は紋章屋でしか行えず、デッキレシピの登録や閲覧は食堂でしか行えない。
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本拠地には宿屋・紋章屋・食堂があるが訓練所がないため、編集したデッキや拾ったデッキレシピを試すには別の町やダンジョンに移動する必要がある。
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デッキ保存可能数は4つだが、その4つのデッキで使用カード枚数を共用することとなる。
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あるカードを5枚持っていてそれをデッキデータ1番に3枚入れた場合、そのカードは残りのデッキデータ2~4番で合計2枚しか使うことが出来ない。
カードファイルの収集率が100%にならない
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幻のポケモンのような、データはあるが絶対に入手できないカードが存在するためカードファイルの収集率を100%にすることができない。
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そのカードは評価点の項でも触れた『幻想水滸伝III』のキャラ「ジョルディ」のカード。
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このゲームのディレクターを務めた太田顕喜氏によれば、このカードはコナミ主催のカードゲームのイベント等で配布する予定があったもののその機会が無かったとのこと。
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一部デッキレシピや攻略本でグラフィックや能力を見ることはできる。
総評
ルールに独自性があり覚えることは多いものの、全体としては破綻無く仕上がっている。
チュートリアルがあるためプレイしながらルールを覚えるのも難しくはない。
いわゆるソリティアプレイのようなことも起こらないため、カードゲームとして楽しむ分には何の問題もないだろう。
一方、シリーズとして見た場合の出来はあまり良くはないと言える。
本拠地システムや108星の要素が省略されたため幻想水滸伝らしさは失われてしまった。
さらに、評価点で述べたようにキャラカードの能力は原作を意識したものとなっており原作を知っていると楽しめるのだが、
一方で原作を知っているとストーリーの粗が目立つというジレンマを抱え込んでしまっている。
余談
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概要で述べた通り、このGBA版以外にリアル版のカードゲームも発売されていた。そちらは『幻想水滸伝IV』までのキャラクターが収録されている。
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GBA版のパッケージの中にリアル版カードが一枚封入されていた。
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パッケージには『幻想水滸伝』の主人公も描かれているのだが、今作の中で彼がキャラクターとして登場することは無い。原作でもデータコンバートを行わないと会えないため、『幻想水滸伝』を未プレイだった場合何者なのか分からずじまいとなってしまう。
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評価点でも述べたようにカードとしては登場している。ノーマルの総大将、レアの総大将、レアのリーダーと3種類ありどれも使いやすい。
最終更新:2022年11月04日 10:45