将棋 風林火山
【しょうぎ ふうりんかざん】
| ジャンル | 将棋 |  
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| 対応機種 | スーパーファミコン | 
| 発売元 | ポニーキャニオン | 
| 開発元 | リズミックス、クロストーク | 
| 発売日 | 1993年10月29日 | 
| 定価 | 8,800円 | 
| 周辺機器 | スーパーファミコンマウス対応 | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 5人のプロ棋士が実写で登場・監修 ただしCPUの棋力は進化していない
 初心者お断り
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概要
プロ監修のSFC将棋の第3弾。
『谷川浩司の将棋指南II』『谷川浩司の将棋指南III』によりファミコン将棋を飛躍させた谷川九段とポニーキャニオンに、更に4名の棋士の監修によりSFC将棋に新しい風を吹き込む事になる。
実質的に将棋指南シリーズの続編と言っても差し支えはなく、好評だった要素を軸に色々と盛り込まれSFC将棋の本格的な到来を実感させてくれる。
内容
将棋指南IIでも5人の棋士が登場したが、本作は何と実際のプロ棋士5人が登場、実写画像の顔グラと音声も用意されており色々なモードで実演してくれる。
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神吉宏充(かんき・ひろみつ) 七段(引退棋士)
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林葉直子(はやしば・なおこ) 元女流五段、クイーン王将(失効)
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小林健二(こばやし・けんじ) 九段
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塚田泰明(つかだ・やすあき) 九段
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谷川浩司(たにがわ・こうじ) 九段、十七世名人資格保持者
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対局
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5人の棋士相手に勝ち抜いていく。勝つまで次の相手と対局できない。
 
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出題
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「次の一手」と「詰将棋」が用意されている。両者とも5人の棋士からそれぞれ10問ずつ出題されて計50問、両方合わせて100問にものぼる。
 
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講座
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5人の棋士それぞれの得意戦法を盤面とともに解説してくれる。
 
評価点
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対局相手の個性が強い
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5人のプロ棋士は棋力までは再現できていないが雰囲気は出ており、使って来る戦法も多彩で個性も健在。
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実際の顔グラとともに、経歴を解説してくれる。誕生日、出身地、血液型まで細かいところまで表示。
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長考中も色々個性的なセリフを発言するので待ち時間のイライラが緩和されている。
 
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オートセーブ対応
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対局の進行状況が記録され、勝った相手とはいつでも再戦できる。
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合計100問にものぼる詰将棋、次の一手は解いた問題を記録してくれるようになったので解いていく楽しみがある。
 
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グラフィック
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指し手は大きな腕で表示され、動作も細かい。フォントも漢字が多用されており読みやすい、棋譜読み上げなどSFCの機能をふんだんに活用している。
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駒のグラフィックは2通りから選ぶ事が可能。
 
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5人全員の講座つき
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随所に解説文が入る。うっかり読み逃しても巻き戻せるので親切。実写画像も相まって指導して頂いてる雰囲気を味わえる。
 
賛否両論点
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SFCの棋力とプロ棋士の実写画像のかみ合わせ
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AIの棋力は13級・レーティング250あたりでプロには遠く及ばない。それなのにプロ棋士の実写画像に音声はやり過ぎ感があり流石に恐れ多い。人によっては詐欺だと取るかも知れない。
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プロ棋士の実写画像を用いたのは本作のみであり、他作品はそっくりさんが相手を務めてくれるようになる。
 
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初心者には厳しい
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対局は強いし、問題集はどれも高難易度ばかりで、講座も専門用語がバンバン飛び交うので容易ではない。
 
問題点
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制限時間がある
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最後の谷川九段との対局では一手30秒。『初段 森田将棋』の20秒よりはマシだが、CPUお得意の長考からいきなり指してきて30秒を突きつけてくるのでやはり理不尽。
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さすがに手数制限まではない。もしあったらクソゲー評価に落ちていただろう。
 
 
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エンディング等がない
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対局で全員に勝っても何もない。せいぜい「負けました」「ありません」といった降参のセリフを聞けるくらいである。
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詰将棋も全問解いても何もない。
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次の一手も特に正解というのがなく採点してくれるだけ。それもあまり当てにならない。
 
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パックマン戦法が刺さる棋士がいる
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何を隠そう、最後の対局相手の谷川九段である。他4人は別な指し手をするので効かないのだが、谷川九段に対してのみファミコン版と全く同手順で詰んでしまう(24手)。プログラムの流用疑惑アリ。
 
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読み上げをオフにすることが出来ない。特に講座ではスムーズに進行出来ずに時間がかかるので難儀なところである。
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大きな腕は盤面の一部を隠してしまうので邪魔になる場合もある。
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駒落ちは無い。初心者には辛いし、上級者には物足りないと言える。
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相手の陣地で右へ入力していると相手の駒台に手が行ってしまう。将棋で相手の駒台に行く必要はないためどうせなら自分の駒台に来た方が良かった。
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ちなみに詰将棋の場合は何故か即座にプレイヤー側の駒台を往来可能。
 
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次の一手
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プロ棋士の方々による問題ということでクオリティはそこそこ高いが、問題不備もそこそこ。
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例えば塚田先生の6問目。問題図の局面から7手詰めがあり、どう考えてもそれが最善手なのだが、なぜか不正解になる。
 
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採点システムに関しても問題がある。
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相手玉の受けなしになるのに0点にされたり、逆に悪手でも高得点を得られたりと、滅茶苦茶である。
 
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ただしもちろん完成度は高いし、有段者でも手こずるような難問もある。その辺りに関しては評価できるだろう。
 
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詰将棋
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何手詰めかが表示されていないのでプレイヤーが自分で考えなければならない。
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将棋指南では経過時間が表示されたり、詰みそうもない場合はセリフがあるが、それらが無くなったのは残念。
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指し手を1手だけ戻す事が出来ない。ミスったら最初からやり直すのみ。
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神吉先生の3問目。出題は良いのだがCPUの応手が悪く、初手2三金から詰んでしまう。本当は4三玉あたりで回避出来るはずだが同玉としてしまい次に2四飛から駒余りまでの詰みが生じてしまう。
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同様の現象が谷川先生の10問目にもあり、2四龍までの17手詰めが発生する。10手目に1七玉とすれば詰まないのだが…
 
 
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その他
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ロード画面で名前の部分が下に寄っているため文字のバランスが少しだけおかしい。微調整が足りないと言える。下線でもあればまだ違ったのだが。
 
総評
プロ棋士監修の将棋ゲームは数多く発売されているが、5人のプロ棋士による監修というのは本作くらいであろう。
内容も非常に充実しているので、将棋ゲームとしてもファンアイテムとしても非常に価値があるものに仕上がっている。
余談
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谷川竜王は、本作の前にも『初段 森田将棋』『早指し二段 森田将棋』の監修もされている。
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作中では語られていないが、神吉宏充棋士の師匠は内藤九段で、ファミコン将棋の第1作目『本将棋 内藤九段将棋秘伝』を監修されている。
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来年の1994年10月19日にメーカー魔法から「詰将棋 神吉五段(GB機種)」が発売される。
最終更新:2023年08月15日 20:58