バーチャコップ リ・バース
【ばーちゃこっぷ り・ばーす】
ジャンル
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ガンシューティング
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対応機種
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プレイステーション2
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発売元
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セガ
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開発元
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リズ
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発売日
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2002年8月15日
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価格
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5,800円(税別)
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プレイ人数
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1~2人
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備考
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ナムコ製「ガンコン2」対応
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判定
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良作
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ポイント
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『1』『2』のリメイク移植 外見上の変更点が多数 プレイ感覚自体は概ね良好
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バーチャシリーズ
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概要
セガのフル3Dガンシューティングゲームの元祖『バーチャコップ』『バーチャコップ2』のリメイク移植作。
2001年にセガがゲーム機事業を撤退したため、同シリーズでは初めてセガ以外の家庭用ゲーム機で発売された。
PS2のパワーを活かしグラフィックがフルリメイクされ、ナムコ製の銃型コントローラー「ガンコン2」にも対応。
開発はセガAM2研時代にセガサターン版『1』の開発を担当した磯野貴志氏らが立ち上げたリズが担当した。
基本システムは上記ページを参照。当ページでは各作品を『1』『2』、そのアーケード版を「原作」と表記する。
システムの追加点
移植のベースとなったのは各作品のセガサターン版と思われ、それに細かな改良変更が加えられている。
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システムボイスや敵を倒した際のロックオンサイトの色と、基本的な演出面は『2』準拠となっている。
また、タイトル画面で放置した際に流れる、ゲームルール説明も『2』のものだけが収録されていて、『1』のものは収録されていない。
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ただしステージクリア時には『1』のBGMが全ステージで流れるようになっている。
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『2』初出の、プレイ終了時の成績で全11段階のランク付けがされるシステムが『1』にも導入。
評価点
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原作のプレイ感覚をほぼ維持しつつ、フルリメイクされたグラフィック
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『1』『2』のセガサターン版やPC版はもちろん、『2』のドリームキャスト版も上回る美麗なグラフィックとなった。
『1』の上級や『2』の初級・中級など、原作から建造物などの追加や大幅な変更がなされ、総じてリアル感が増している。
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主人公のレイジとスマーティもそれぞれの顔が両作品で統一され、『1』『2』で異なる服装も忠実に再現されている。
主人公たちの乗るパトカーも両作品で統一され、原作や他の家庭用移植版での2ドア車から4ドア車に変更されている。
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セガサターン版譲りの豊富なオプション
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3段階の難易度変更、最初から無限・9個に設定可能なコンティニュー回数・所持ライフ数など、基本的なものはもちろん、
各プレイヤーの攻撃判定の範囲調整やオートリロード機能、スコアシステムとロックオンサイトの切り替えも完備している。
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セガサターン版では完全クリアで解禁された、ポーズ中に武器アイテムを選べる「GUN SELECT」も最初から解禁済。
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『1』の移植版に存在した、射撃練習および対戦モードの「トレーニングモード」も収録
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時間内の規定ノルマ達成を目指す1人プレイ専用の「エクササイズ」、1人時は対CPU戦・2人同時対戦の「VSプレイ」を収録。
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ファンには嬉しい「ギャラリーモード」
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『1』『2』の移植版開発時に制作された、説明書用や雑誌などのプロモーション用のCGイラストを閲覧できるモード。
最初は1枚も見れないが、ゲーム中に特定の敵や背景物を撃ったり破壊すると「Gallery」の文字が表示され、CGが増える。
賛否両論点
各原作とは異なる演出面
あくまでリメイク移植という枠の作品であるためか、ビジュアル面の大変更やサウンド面の差し替え、各敵配置の僅かな誤差がある。
そのいくつかは、原作プレイヤーからしてみれば余計な変更・意味のない変更と感じる部分もあり、違和感を感じやすい箇所である。
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『1』でのグラフィック変更による印象の極端な変化
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原作で上下真っ白の服を着ていた金髪男性の人質が、舞台設定に合わせてか地味な緑やグレーの作業服を着た黒髪男性に変更。
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リアルさを考えれば問題のない変更だが、原作とは外見が大きく異なり、舞台が夕方である中級では敵と見間違えやすい。
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原作での中級に登場していた白い袖無しシャツに黒いベストを着た敵達が、赤・青・茶のジャケットを着た敵達に差し替え。
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髪型も赤いジャケットを着た金髪男以外は、青はスキンヘッド・茶は帽子着用と全く似ておらず、原作の名残りが無い。
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上級のビル内部の床・壁の色が原作での明るい白から明るい茶に変更、画面の明度も光源処理を意識したのか微妙に暗い。
原作では3D黎明期故か非常に無機質で色味も明るい印象だったが、今作ではリアルさはあるが色味が暗い印象を受けやすい。
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また、終盤のエレベーターのデザインも金属を基調としたSF的なものに変更され、上昇中に摩天楼が見える演出が追加。
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上級ボス「エルドン・ヴァイル」の着ている衣服が白スーツ/紫シャツ/橙ネクタイから、紫スーツ/黄ネクタイに変更。
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『2』でのグラフィック変更による印象の極端な変化
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初級で最初に登場する敵のSUVの色が黒から白に変更、各所で登場するセダン型車両も原作で水色だった個体が全て赤に変更。
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原作で青いスーツと目出し帽を着けていた敵はグレー系統の衣服に変更、原作ではその色違いだった敵も下記の敵に差し替え。
他、原作での各所に登場していた様々な色の一般的な衣服を着ていた敵も、大半が『1』の黒服系や防弾装備を纏った敵に変更。
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初級の「ダウンタウン」ルート、変更された跳ね橋のグラフィックと敵の車の動きが全く合っていない。
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変更後のグラフィックの坂の角度があまりに低すぎるため、敵の車が離陸していくように見えてしまう。
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中級の「ブリッジ」ルート、原作では衣服店と機械室があったフロアが、カジノとゲームコーナーに変更。
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上級の各所にある案内板で本来は「Virtua City」となる文を「Virtur City」と綴りを間違えている。
タイトルに使われ、かつセガを代表するシリーズ名のスペルミスだけに、一度気づくとかなり気になる箇所。
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各分岐名も原作の「アーケードライン」「サターンウェイ」から「ブルーライン」「グリーンヒル」に変更されている。
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上級ボス「ガース・ブラッドレー」の乗る戦車のデザインが鋭角なものに変更され、何処までが当たり判定かが分かりづらい。
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敵の登場パターンやモーション
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『1』の初級の最序盤、原作では敵を倒した数秒後に次の敵が現れていたが、今作では敵を撃った直後に次の敵が登場する。
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『1』の中級序盤・ショベルカーを見下ろしながらの場面では敵数人の歩行モーションが変更されている。
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原作ではこちらを向きながら拳銃を構えて走っていく敵が、今作では攻撃の瞬間まで背中を向けており、こちらを向いていない。
原作での敵は人体の関節構造では有り得ない、ほぼ真後ろを向きながら走っているので、その点を考えれば今作の方が現実的。
ただ、原作を知らない者から見てみれば、「背中を向いていた敵が攻撃を命中させてくる」事になるため、違和感のほうが大きい。
問題点
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サウンド面でのミス・違和感
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原作プレイヤーならすぐ気づくのが、通常装備「ガーディアン」の発砲音(SE)が原作での「ショットガン」のSEへ差し替えられた点。
原作『1』でのSEは『1』のデモとエンディングに使用されてはいるが、基本的には敵用の発砲音に(本来とは真逆の用途で)使用され、
差し替え元であるショットガンは原作でのSEの音程を下げたものが使用されている…と、かなりちぐはぐな差し替えとなっている。
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原作では『1』『2』それぞれで発砲音が異なっていたとはいえ、どちらかのものに統一することはできたはずである。
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敵が斧を投げた際や斧を撃ち落とした際の効果音が無い。斧を撃ち落としたか否かの確認はポーズ無しでは困難と言えるだろう。
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『1』に登場するボスのみ、台詞の音質が非常に悪くて聞き取りづらい。セガサターン版のそれを流用した可能性が高い。
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雑魚敵や『2』の中級ボスの被弾ボイスが概ね地味なものに差し替えられている。半分程は『2』の流用であるものの、爽快感が薄い。
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ついでに言えば男性一般市民のボイスもほぼ全て『2』のものに統一されているため、『1』では違和感を感じやすい。
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各ステージを選択した際の長いロード時間
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PS2の割に約10秒以上と、『1』『2』のセガサターン版以上のロード時間がかかってしまうため、少々スムーズさに欠ける。
また、タイトル画面で放置した際のゲームルール説明や各アドバタイズデモ兼ランキング前のロード時間も少々長い。
総評
PS2の割に長めで気になる各ロード時間、その上で原作プレイヤーにはグラフィックや各SEの改変・粗という点が気になりやすい移植作。
ただしプレイ感覚自体は良く移植されており、BGMも各移植版からの流用で音質も悪くなく、プレイ目的だけならば十分な良作と言える。
射撃練習・対戦や独自のギャラリーモードもあり、他の移植版より遊べる環境が整いやすいという点も含め、作品としての価値もある。
最終更新:2023年04月16日 09:00