Untitled Goose Game ~いたずらガチョウがやって来た!~
【あんたいとるどぐーすげーむ いたずらがちょうがやってきた】
| ジャンル | アクション/パズル |  
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| 対応機種 | Windows(Epic Games Store、Steam) Nintendo Switch
 プレイステーション4
 Xbox One
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| 開発元 | House House | 
| 発売元 | Panic | 
| 発売日 | 【Win(Epic)/Switch DL】2019年9月20日 【PS4/One】2019年12月16日
 【Win(Steam)】2020年9月24日
 【Switch PKG】2023年12月14日
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| 定価(10%税込) | 【ダウンロード版】1,980円 【パッケージ版】4,950円
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| プレイ人数 | 1~2人 | 
| セーブデータ | 3個(プレイ中随時オートセーブ) | 
| レーティング | CERO:A(全年齢対象) | 
| 備考 | Switchパッケージ版以外はダウンロード専売 「DICEアワード 2020」Game of the Year受賞作品
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| 判定 | 良作 | 
| バカゲー | 
| ポイント | ガチョウ害鳥シミュレーターやり応えのあるパズル要素
 価格に対するボリュームがややネック
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概要
オーストラリアのインディデベロッパーであるHouse Houseが開発し、アメリカのPanicがパブリッシャーを担当したアクションパズルゲーム。
2017年10月に1面のテストプレイ動画が初公開されるや否や大きな反響を呼び、1年近くの発売延期を経て2019年9月に正式リリースとなった。
プレイヤーは名も無きガチョウとなって平和な村を訪れ、住民に対して様々ないたずらを行いながら村の内部を巡っていく。
あなたは平和な村に現れた、名も無い一匹のガチョウです。
ガァ、ガァー!
村の隅々まで自由に散策したりおじさんの帽子を盗んだり、
突然ガァーっと鳴いたりしてびっくりさせたりして人間の日常を台無しにしましょう。
特徴:意地悪な、いたずらガチョウ(つまりあなたです!)
平穏な生活を送る人々が暮らす町(あなたはそれが大嫌い!)
ガァと鳴くための専用ボタン(!!)
ドタバタアクション・ステルス・サンドボックス・ガチョウシミュレーター(?)
(ダウンロードページより引用)
システム
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プレイヤーであるガチョウは、鳴く、羽を広げる(移動せずに長押しで羽ばたく)、かがむ、物を咥えて運ぶといったアクションが行える。
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これらのアクションと各所の道具や設置物を活用し、用意されたToDoリスト(やるべきこと)の達成を目指すのが本作の目的となる。
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やるべきことの殆どを埋めると最後のミッションが出現し、それをクリアすることで次のステージに進めるようになる。
 
 
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一方の人間側はそれぞれ固有の行動パターンをとっているが、ガチョウが近づいたりちょっかいを出したりすると、その場から追い払おうとしたり後を追ってきたりと、敵対行動を取ってくる(人間側からすればむしろガチョウの方が敵だが)。
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尚、ガチョウによって場所を移された物や状況が変化した設置物などは、人間側に発見されない限りはプレイ中そのままとなる。
評価点
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ガチョウによる豊富ないたずらの数々が楽しい。物凄く楽しい。
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本作をバカゲーたらしめる根幹の要素であり最大の評価点。
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「ガチョウを操作して町の人々にイタズラしまくるゲーム」とだけ聞くと何とも地味な内容を連想してしまうものの、「おじさんを濡らす」「熊手を湖に落とす」といった基本的ないたずらはもちろん、「(プレイヤーが)テレビに映る」「置物のガチョウと自分をすり替える」「段ボールを使って潜入する」…といった具合にできるいたずらの種類が非常に豊富、かつそれに対する人間側のリアクションもユニークなものばかり。
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純粋にパズルアクションとして見ても完成度が高く、ただ物を運ぶだけではなく「如何に人間の視線を掻い潜って進むか」「どうやって人間の気を逸らすか」などといった点に頭を使って考えないといけない場面も沢山存在しているため、単純な題材にもかかわらず意外と中毒性が高い。
 
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また、いたずらToDoリストはステージクリア用の物だけでなく、達成条件が隠されている「できれば」のリストが存在するため、その達成条件を探すために様々ないたずらを仕掛けていくのも本作の醍醐味である。そしてプレイヤーの害鳥ぶりが益々加速していく。
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仕様上ゲームオーバーが存在しないため、気兼ねなくいたずらを仕掛けることができるのも本作の魅力と言える。
 
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ガチョウが可愛い
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やってることは害獣そのものだが、このゲームの独特のグラフィックで描かれたガチョウが、のどかな景色の中でお尻を振りながらぺたぺた歩いたり小さな体で一生懸命にものを運ぶ様子は非常にかわいらしい。
 
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また、各種アクションはキーコンフィングで自由に割り振れる他、対応言語が非常に豊富な点も評価されている。
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BGMは全てシンプルなピアノ曲となっており派手さはないが、人間に見つからないよう周囲を窺いながらフィールドを徘徊していくゲーム性にマッチしている。
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また単純に移動だけしている時は流れず、ガチョウがどんな行動をとっているかによって変化する仕様となっている。
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ちなみに、使われている曲はフランスの作曲家ドビュッシーのピアノ曲「前奏曲集」からの引用である。いたずらという内容に合わせて騒がしい雰囲気の曲にはせず、こうした選曲をするあたりもなかなかセンスに富んでいるといえる。
 
賛否両論点
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ToDoリストの「いたずら」の内容がほとんど悪質。本作の主人公であるガチョウの愛(?)称が「害鳥」「クソ鳥」となっている由縁。
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のどかなグラフィックのCERO:A(全年齢対象)のゲームではあるものの、現実的に考えると痛々しい内容だったり、中々非道なものも少なくない。人間がやろうものなら警察沙汰である。
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これらが「いいストレス解消になる」という感想もあるものの、人によっては不快に感じられる可能性もなきにしもあらず。
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PVにもその類のいたずらが映っているため、購入を検討している人は「そういったいたずらをあくまでゲーム内の行為として許容できるかどうか」で判断するのが良いだろう。
 
 
問題点
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比較的安価な作品ではあるが、それを考慮してもボリュームが少なめ
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ステージは「農園」「メイン通り」「裏庭」「酒場」の4つ。どのステージもクリアまで1時間かからないだろう。
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やり込み要素としてタイムアタックがあるものの、高い中毒性が災いしてあっという間に終わってしまう点を惜しむ声が多い。
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充分作りこまれており目立ったバグも無いので、その点を考慮すれば及第点と見なせるレベルではある。
 
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アクション「羽広げ/羽ばたき」の使い所が1ヶ所しかない
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他のアクションが頻繁に必要になるのに対し、羽ばたきを風を起こすアクションに使うのかと期待していたプレイヤーは肩透かしを食らうことになった。
 
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ステージのショートカットは可能だが、ファストトラベル機能が無い。
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本作はステージ間がシームレスで繋がっており、ステージクリア後は各ステージへの近道が解放可能になる。
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しかし、距離が地味に遠いため、慣れてくるとストレスに感じやすくなってしまう。
 
 
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球状アイテムの運搬が面倒くさい
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隠しリストの達成条件にもなっている「咥えられない球状アイテム」の運搬が坂などに影響されるせいでやりにくいため、非常に面倒くさい。
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クリア後のタイムアタックではやる必要が無いため、実行は一度だけで良いのが救いか。
 
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仕様上、タイムアタックをやり直す際にゲームを一度終了しなければならない。連続で同じステージに挑戦したいと言うときに不便。
総評
ガチョウになって害鳥としてふるまうという、古今東西どこを探しても他に類を見ないゲームであることには間違いない。
目立ったバグもなく、全体的に丁度良いバランスで整っているため、パズルアクションが好きな人やいたずらを楽しみたい人、はたまたいたずらガチョウになりきって好き放題したいという人であれば、本作は充分プレイに値すると言えるだろう。
余談
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本作のタイトルだが、これはトレイラー発表時点でタイトルが無くあくまでも仮題(Untitled)として発表したところ、トレイラーが好評だったため知名度的にもこのタイトルで定着してしまい、他に良いタイトルも思いつかなかったためそのまま正式採用に至ったという経緯がある。
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日本語にそのまま訳せば『ガチョウのゲーム(仮)』。
 
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配信前から注目を集めていたこのゲームだが、配信後も世界各地で様々な反響が起こった。
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シンプルで和やかなタッチやかわいいガチョウが他人の持ち物を奪ったりイタズラして困らせるという部分がウケたのか、ネット界隈では早速ネタプレイ動画や、他の漫画・アニメ・ゲームとのクロスオーバーイラストも数多く投稿された。
 
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日本時間の2020年2月14日にゲームアワード「D.I.C.E. Awards 2020」の受賞式が開催され、本作がGame of the Yearを受賞してしまった。
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本授賞式では『Death Stranding』『Control』『Disco Elysium』『Outer Wilds』がノミネートされており、これらの人気作を押さえて本作が栄光に輝くことになった。
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これを受けてデベロッパーのHouse HouseはTwitter上で「信じられない」「こんなのおかしい」という旨の至極真っ当な反応ツイートを残している。
 
 
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パブリッシャーのPanicは元々macOSやiOS向けの実用アプリケーション開発を生業としている会社だが、2016年発売のミステリーアドベンチャーゲーム『Firewatch』を皮切りにゲームパブリッシング事業にも乗り出している。
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Win版はEpic Games Storeの時限独占配信となっていた。Steamでの配信もEGS版発売からの1年後に開始されている。
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また、Steam版の発売に合わせて2人プレイが可能になるアップデートが行われた。プレイヤーの害鳥ぶりが再び発揮されることだろう。
 
最終更新:2025年10月07日 21:48