麻雀大戦

【まーじゃんたいせん】

ジャンル TBL/RPG
対応機種 ファミリーコンピュータ
販売・開発元 日本物産
発売日 1992年5月20日
定価 7,260円(税込)
プレイ人数 1人
セーブスロット 2個
判定 良作
ポイント 本格派麻雀RPG


概要

かつてアーケードで対戦型麻雀を開発していた日本物産が送り出した麻雀RPG。
前年にタイトーから『麻雀クエスト*1』というアーケードゲームが出ていたが、本格的なRPGとして作られた麻雀作品としてはおそらく初となる*2
日本物産のRPGとしては一部で有名な『アルテリオス』に次いで二作目。
さすがにアルテリオスのような無茶なバランス*3ではない。
普通のRPGで言うところの戦闘が麻雀形式なのでテンポが悪いように思えるが、そこはしっかりと対策されているので問題ない。

システム

実戦麻雀モード

通常の半荘対戦を行うモード。
対戦相手は8人いて、それぞれ打ち筋が違う。
イカサマとして、得点を使用して配牌キャンセルとラストチャンスができる。
ラストチャンスは1回につき1000点使うが、和了できると海底摸月がつく。高めの手のときは狙ってみるのもあり。
Aボタンがツモと捨牌、十字ボタン上でリーチ、右でポン、左でチー、下でカン、Bボタンで和了。

RPGモード

このゲームのメインモード。麻雀を題材にした一風変わったRPG。
戦闘は二人対局で行い、和了した側が相手を攻撃する。高得点を出すほど与えるダメージが増える。
配牌キャンセルとラストチャンスは得点の代わりにMPを使用する。
このほか、積み込み呪文やアイテム使用による配牌操作もできる。
ダンジョンやイベントでは雀ロックと呼ばれる扉があり、和了牌クイズに答えて開ける仕組みになっている。

評価点

  • とにかくテンポが良い。
    • エンカウント率が多少高めでレベル上げがしやすい。
      • 戦いたくないときには、呪文やアイテム使用により敵を出なくしたり、確実に逃げたりできる。
    • ザコ敵はHPが低く、大抵1~2局でケリがつく。レベルもサクサク上がっていく。
      • レベル上げをしたい時に強敵と戦えるアイテムや呪文も用意されている。
    • 配牌やツモが良く、配牌キャンセルやラストチャンスもあるため、流局になることがあまりない。
      • 高レベルになると役満の積み込み呪文を覚え、一気にたたみかけられるようになる。ただしMP消費量が大きい。
  • 麻雀・RPGともに初心者に配慮したバランス。
    • 基本的な役は説明書に全て記載されている。
      • 全くの素人でも、実戦麻雀モードで練習することで麻雀をある程度覚えられる。
    • 麻雀のルール設定で箱割れや振聴罰をオフにできる。
      • 一度設定すればRPGモードに変えても適用される。
    • RPGモードのフィールド上では「いどう」コマンドでいつでも拠点に戻れる。MPが尽きても生き残りさえすれば安全に帰れる。
    • 全滅しても2割ほどしかお金が減らない。
      • そもそも装備の概念がないので、お金がなくなっても特に困らない。
    • 雀ロックは序盤は易しく、後半ほど難しい問題が出てくる。
      • 問題が解けない人のために、強制解錠呪文やアイテムも用意されている。
  • 呪文効果がわかりやすい。
    • 回復呪文の「クフイカ」やダンジョンから出る「マプモドル」などのそのまんまなものから、敵が出なくなる「ジャンカデーヘン」や敵を出す「メンツタリーン」など秀逸なネーミングのものも。
    • アイテムはほとんどが呪文の代用品である。強力なものほど値段が高い。
  • HP回復呪文や回復アイテムを戦闘中に使用できない。
    • 一度戦闘になると勝つか負けるかしかなく、まさに命の削り合いになる。
      • 逃げるという選択肢も一応あるが、成功率がやたら低く、失敗すると呪文も使えないまま対局に入る。ピンチになってから逃げるのは危険。
    • このおかげでテンポが良く、ザコ戦でも気が抜けない緊張感のある戦闘ができる。
  • 流し満貫やローカル役が多数採用されている。
    • 十三不塔や四連刻はもちろん、黒一色・紅一色・百万石・セブンアップ・南北戦争などのマニアックなものまで。
  • ファミコンにしては力の入ったグラフィック。
    • さすがは脱衣麻雀のニチブツというべきか。

賛否両論点

  • 麻雀だから仕方ないが、敵に高得点で和了られて思わぬ大ダメージを受けることがある。
    • 常にHPは上限付近まで回復させておくべき。それでも死ぬ時は死ぬが。
  • 地名やキャラ名などには麻雀用語にゆかりのあるものが使われており、覚えやすい。
    • 敵の名前やセリフは何故かネタ要素満載である。

問題点

  • リーチをかけるとツモ&捨牌が自動になるのはいいが、暗カンができない。
    • 嫌なら自動リーチ機能をオフにするしかない。
  • 持てるアイテムの数が少なめ。
    • イベントアイテムも同じ道具欄に入るため、増えてくるとその分通常アイテムを持てる数が減ってしまう。
      • 血染めの牌 という不吉な名前のイベントアイテムが、用が済んだ後もアイテム欄に残り続ける。
  • 仲間が使いづらい。
    • ある程度ストーリーを進めると仲間が増えるのだが、加入直後はレベル1なのですぐ死ぬ。
    • 戦闘を任せると自動で対局してくれるが、あまり頭が良くなく、役満寸前の配牌から通常の手でリーチしたりする。
    • 経験値は敵を倒したキャラにしか入らない。主人公ばかり使っていると仲間が全く成長してくれない。
      • 成長させれば冒険に役立つ呪文を覚えたり、ピンチ時に代打ちとして使う事もできるようになるので、無駄にはならない。
  • ダブル役満以上がない。
    • 与えるダメージは役満(12翻)が上限である。後半のボス敵は普通に耐えてしまう。
  • ゲーム中の誤字脱字が多い。
    • 「づ」の文字が入っていないのか、全部「ず」で代用されている。
    • よりによってエンディングの制作者からのメッセージで豪快に誤字ってくれる。名言が台無しである。

総評

食い合わせが悪そうなRPGと麻雀を見事に融合しており、それでいてテンポも崩れていない。
複雑な要素は特になく、まったくのRPG素人でも問題なく遊べる。麻雀を覚えるのにも適している。
多少練り込み不足なところはあるが、十分に良作と言える作品であろう。
しかしファミコン末期ということもあってかマイナーゲーの域を出ず、続編はもちろん似たようなゲームもほとんど出ていないのが残念なところである。

最終更新:2025年01月02日 09:19

*1 戦闘と脱衣がメインで、フィールド探索などの要素はなかった。

*2 厳密に言うと1991年にナツメがファミコンで『ドラドラドラ』というRPG要素の強い麻雀ゲームをリリースしているが、フィールド散策の要素に制限があったので、本格的とは言い難い部分がある。

*3 攻撃力-守備力=ダメージという単純な計算式を採用しているため、レベルが低いと全くダメージが通らず、少しレベルを上げるだけで大ダメージが通るようになる。