CASPER
【キャスパー】
ジャンル
|
アクション
|

|
対応機種
|
スーパーファミコン
|
発売元
|
KSS
|
発売日
|
1997年3月14日
|
定価
|
4,980円
|
判定
|
なし
|
プレイ人数
|
1人
|
ポイント
|
キャスパー、初のゲーム化 まったりホラー 独り言 ボール投げ 鍵ゲー KSSのSFC最終作 SFC低価格ソフト
|
概要
元はアメリカのアニメ「キャスパー」の実写映画版(1995年公開)をベースにしたゲーム化作品。
女の子キャットが行方不明の父を捜すべく古屋敷へ向かう。そこにはゴースト、トラップ、キャリガン達が待ち受けていた。
特徴
屋敷内部はクォータービューで1画面切り替え方式の仕様で立体的に構成、アクション要素よりも謎解きに重点が置かれている。
エンディングは2通りのマルチエンディングが用意されている。
-
広い屋敷
-
詳しくは評価点で述べるが多彩なギミックが用意されている。
-
「録音・再生マシン」が点在しておりセーブも行える。
-
ファイルは3つまであり、削除、コピーも自由に行えるし、セーブする際も好きな個所に書き込める。
インクリボンなどの回数制限などない。
-
ロードもいつでもスタート・セレクトを同時に押せば可能。ただ、その際に文章が無いのはやや寂しい所ではある。
-
座標も表示されるのは良いが、セーブルームでしか示されないのでやや不便。
-
なお、4Fでセーブ部屋でキャリガンと遭遇する事があるが、セーブしながら捕まってゲームオーバーになっても、ロードしたら何事も無かったかのように普通に再開する。
登場人物
-
キャット
-
主人公の女の子。行方不明の父を探しに屋敷へ向かう。
-
ボールを投げるのが得意で仕掛けを作動させたり風船を割ったり追っ手をひるませたり色々行える。
-
トゲ、ゴーストブレス、鉄球などのダメージは屋敷内にあるキャンディを食べて回復出来る。持ち運びは出来ずHPが減ったら食べにくるしかない。
-
落下した際は全くノーダメージであり、落とし穴に落ちて下の階層へ向かうという事も出来る。
-
ハーヴェイ博士
-
キャットの父親。心霊学者で、キャリガン達に依頼されゴースト達を何とか説得したいと思っていて屋敷へ向かうが連絡が途絶える。彼の身に、何か起こったのだろうか……
-
ミス・キャリガン
-
ハーヴェイ博士を屋敷へ送り込んだ張本人。もしかしたら宝物が眠っているのではないかというウワサをきいて、ディップスとともに乗り込みゴーストに苦戦して一度は撤退するが、博士が戻ってこない事に痺れを切らし再び屋敷へ向かう。
-
至るところでキャットを捕まえて即ゲームオーバーにしようとしてくる。
-
ある意味、元凶とも言えるのだが、彼女のおかげでキャットとキャスパーが知り合えたという見方もある。
-
キャスパー
-
フレンドリーなゴーストで序盤から行動を共にする。基本的に追従するだけであるが、随所では色々な解説をしてくれたり、点在している星マークからキャスパー操作も行えたりする。
-
キャスパー操作では、ドアをすり抜けたり、地形効果を無視したり、トゲの上の宝箱などを回収したりゴーストらしい特技を発揮。
-
その間にキャットは待機状態であるが、その間に攻撃されたり捕まったりという事はない。どこまでも平和である。
-
活動時間
-
活動時間を消費して色々と行動が出来る。尚、タイマーが0の際は即座にキャットのとこに戻される。キャットの操作中は徐々に回復していく。最初は10秒程度だが屋敷の宝石・コインを集めると活動時間が向上していく。
-
キャットと分断された際も必死で捜したり活躍する。その際は制限時間は無制限である。
評価点
ゲーム性
-
広大な屋敷
-
色々なギミック・謎解きが用意されており楽しい。箱を動かしてスイッチの上に乗せたり、矢印床、落とし穴、針地形、ワンウェイドア、ボールで風船割などあらゆるギミックが用意されている。ゴーストからヒントを教えてもらえる事も。
-
建物内部はクォータービューで立体感を見事に表現している。スクロールはせずに1画面切り替え仕様でマップは何と200画面近くもあり、それが上下左右の繋がりだけではなくフロアを跨いだ高低差の行き交いもあり屋敷全体が立体的に構成されている。
-
フロアの概念
-
各フロアにはBGMもそれぞれ用意されている。フロア毎に独立しているのかと思えば落とし穴で落とされたりバネで上階に飛ばされたり階層を跨いだギミックが用意。
-
地下エリアもあるのだが、そこへ到達した経緯、そこでの出来事には多くのプレーヤーが意表を突かれた事であろう。
グラフィック
-
随所では実写CGから取り込んだ高品質の画像が多数表示される。流石にSFCでは静止画になるが見栄えが非常に良いためSFCの制約を感じさせない。
-
マップの方はドット絵で表現されており、クォータービュー仕様で立体的でしかも多彩な表情、動作を見せる。
-
オブジェも作り込まれており、絵画が勝手に変化していくのが細かい。
-
細部も作り込まれている
-
序盤でマップアイテムを手に入れられるのだが、一度通った個所の他にも、キャットが歩いて通った箇所同士は繋がっているように表示されているなど細かく作られている。
-
検証してみたい方は、ニューゲームで始めて、マップを手に入れてすぐさま地階へ向かって、椅子で進むか徒歩で進むかによってマッピング表示が異なっているのを確認してみよう。
-
隣接する廊下は矢印で示してあり、扉も対応する鍵の模様が床に付いていたり、手前にある際はワイヤーフレームで表示され分かり易い。
-
その場で方向転換だけも行えるが、中割りが用意されており滑らかに回転する。
その他
-
定価が安い
-
4,980円というのはSFCソフトとしてはかなり安い部類になっている。理由は定かではないが、この時期ともなるとSFCソフトも安くなっており、本作に限らず『加藤一二三九段 将棋倶楽部』も4,980円であり、高いと言われる将棋ソフトでも低価格を実現している。
賛否両論点
-
過激な要素は無い
-
キャットの目的は父親を捜す事でありゴースト退治ではない。ゴースト側もそれを分かっているようで本格的に牙を剥いて来る事は無くやってくるのも嫌がらせ程度であり、ゲームオーバーの際はロードしろとまで言って来る。
-
危険地帯もあるにはあるが、回復アイテムも多く配置されている。瀕死かつ回復アイテムも尽きたというような状況は意図的にやらない限りはまずないだろう。
-
4Fに難所は用意されているのだが、ゲームオーバーしたらリセマラをすれば済む。
-
戦闘は一切なく、エンディング直前の攻略はキャリガンとディップスに捕まらないように部屋に向かうというものである。
-
追跡は甘い
-
キャリガンと部下のディップスが何度もキャットを捕まえようとして来て捕まれば即ゲームオーバーなのだが、頻繁に出て来る独り言のセリフからしてやる気がなく、宝を手に入れた際は、後は好きにしろとまで言っている。
-
動きも適当で振り切るのは難しくはない、しかも部屋の出入りを繰り返していればそのうち去るので確実。別なエリアまで執拗に追いかけてきたり、別なエリアからBGMの変化とともに突然来る事もないので安心しよう。
-
同じドアですれ違っている計算だったり、逃げた部屋に先回りしていると思えば、また独り言など適当ではあるが、即ゲームオーバーには変わりはなく、うっかり事故るとそれまでのプレイを棒に振る。
-
すなわち、殆どが安全地帯であり全体的にまったり仕様となっている。
問題点
鍵の場所が分かり辛い
-
本作は5つの鍵を手に入れるのが必須である。ギミックのある地帯を越さないとならないが、誰かが守っているわけでもなく棚に隠れているので分かり辛い。部屋自体もいたって普通で特徴がなくプレーヤーの記憶に残り辛いため周回プレイでも難儀する。
-
特にベルの形状をした3番目の鍵が分かり辛く、しかも3階に行く前に予め入手したか否かで難易度が大きく変わる。
-
既にあるならキャスパー操作でキャリガンやトラップを無視して合流すれば簡単であるが問題は所持していない場合。操作キャラもキャットの方で、ノーヒントで3番目の鍵を手に入れて来てから3階でキャリガンやトラップを相手にしなければならない。
-
そもそも合流するまでセーブも出来ない事が問題。3階には弓やベルの扉があるのだが、現時点で探すべき鍵は一度引き返して探してこなければならない。
-
三番目の鍵は、1階の中央階段から下の×印の扉を経由して、1F-6Iから2階へ行かなければならないからである。なお、2F-3Iのセーブは使えず、引き続き2F-3Hで3番目の鍵を手に入れて再び3階へ向かう必要がある。
-
操作キャラもキャスパーではないのが辛い。キャットは、ジャンプする事は勿論、空を飛び回る事も不可能。故にキャリガンのコンビをやり過ごしてから仕掛けを越えていくしかない。また、ここには地階まで落とされるようなトラップまで用意されており厄介。
-
地階では、本来なら動く椅子の後に、キャット「すこしこわかったわ…」キャスパー「ぼくはこわくなかったよ」のやり取りがあるが、キャットだけで来てもこうなる。スタッフもプレーヤーがこんな状態で来ることまでは想定していなかった模様。
-
引き続き、ノーセーブで再び3階まで向かわなければならない。ただし、キャットで合流した際は別のセリフが用意されている。
-
5番目の弓の鍵も、ある場所にボールを投げるという発想が無いと解けない。
-
重要なアイテムの割に、特定のイベントをこなしたり、凶悪な敵と戦って手に入れるわけではなく、記憶に残り辛いのが難儀である。逆に場所が分かっていれば5本とも揃えるのは簡単。
その他
-
パッケージ
-
KSS制作かつ黒を基調としており、本作の緩さに対して敷居が高そうな印象を与えているのは損をしていると言える。ラベラにドット絵を乗せればまだよかったかもしれない。
-
また、KSS製のホラーと聞いて過激な要素を期待したプレーヤーにとっては肩透かしと言ったところ。
-
メニュー画面は無い
-
全体マップ、位置特定などのレーダーを手に入れられるのだが解説が付くのは手に入れた際のみで、後になって確認する事は出来ない。
-
なお、画面上部には現在HP、ボールの個数、手に入れた鍵などが表示されており、マップアイテムも即座に表示されて使用回数に制限もないのでゲーム進行自体は快適である。
-
セーブファイルも、表示されるのはセーブした場所とアイテム回収率のみで詳細は出てこない。前述通り、現在座標もセーブ部屋でしか表示されないのは不便。
-
謎解きの部屋で手前に扉や地形の凹凸など入り組んだものが映り込んでいると見づらい。これはクォータービューならではの弊害で難儀なところである。
-
トゲ地形
-
移動キーを押しっぱなしにしていると結構なスピードでHPが削られてしまう。特に暗い部屋で雷光を頼りに進むところでやってしまいがち。
-
跳び越えたり強行突破は出来ないので、いちいち待つしかない。難所とまではいかないし制限時間も特にないのだが、待ち時間が長く部屋数も多いのでこのあたりは評判がよくない。
総評
本作は一応ホラーゲームではあるが、雰囲気も難易度も緩めに仕上がっている。
キャスパーのファンで、そこそこ難しいマッピング探索や謎解きなどを好むプレーヤーにはオススメしたい作品と言えるだろう。
現在のところは低価格で取引されており入手難易度のほうも易しい。
余談
-
1995年7月には実写映画版が日本でも公開されている。
-
KSS
-
実写映画の翌月にはKSSから『魔獣王』が発売されている。そちらは父が娘を助けに向かうというものであり、過激な世界観、高いアクション難易度、更にプレミアで入手も困難である。とにかく、本作とは真逆にブッ飛んだ代物となっている。
-
KSSは他にも『蒼き伝説シュート!』『ウェディングピーチ』『水木しげるの妖怪百鬼夜行』などのキャラゲーを手掛けている。
-
本作はテレビCMも放送されていた。当時12月発売と宣伝されていたことから1996年12月に発売する予定が3ヶ月延期になった可能性が高い。
-
キャスパーのゲームは、セガサターンでも1997年4月25日に発売されている。こちらは完全にキャスパーがメインのアドベンチャーゲーム。
-
海外では同じ内容でPS/3DO版が発売されている。
-
SNES版は別物
-
ちなみに本作のSNES版は日本版と同じ内容・システムと思いきや、全くの別物となっており、一部にパズル要素も混じったキャットとキャスパーが途中交代しながら進む横スクロールアクションゲームになっている。
-
素材に力が入っているのは確かであるが、ゲーム性が芳しくなく高い評価を得られたというのは難しい。
最終更新:2024年08月11日 16:35