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Them's Fightin' Herds
【ぜむず ふぁいてぃん はーず】
| ジャンル | 2D対戦格闘ゲーム |  
  
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| 対応機種 | Windows 7/8/10(Steam/Epic Games Store) Xbox One
 PlayStation 5
 PlayStation 4
 Nintendo Switch
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| 発売元 | 【Win/One】Modus Games 【PS5/PS4/Switch】H2 INTERACTIVE
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| 開発元 | Mane6 | 
| 発売日 | 【Win】2020年4月30日 【One】2022年10月18日
 【PS5/PS4】2022年10月27日
 【Switch】2022年12月15日
 
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| 定価 | 【Win】 1,520円→2,050円【One】
 通常版:2,350円
 Deluxe Edition:4,650円
 【PS5/PS4/Switch】
 通常版:2,420円
 Deluxe Edition:4,950円
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| 判定 | なし | 
| ポイント | 4足歩行の動物たちによる格闘ゲーム 特徴的なキャラデザ
 プレイアブルキャラクターの少なさは課題
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概要
アメリカのインディーデベロッパーMane6が手掛けた2D格闘ゲーム。
2018年2月22日にアーリーアクセスが開始され、約2年後の2020年4月30日にバージョン1.0として正式リリースされた。
2022年の秋には日本でもコンソール版が発売された。パッケージ版はPS4/Switch版のみ。
特徴
ゲームシステム
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1vs1で戦う1レバー4ボタン式の2D格闘ゲーム。ボタンの内訳は弱・中・強の3つの攻撃にマジックボタンを加えた4種類。
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格ゲーの中でもいわゆるコンボゲー呼ばれるものとなっている。
 
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Magic System(マジックシステム)
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超必殺技を使用する際に消費するパワーゲージとは別にマジックゲージが存在し、マジックボタンを押すことで消費して技を使うことができる。
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マジックゲージの量はキャラクターによって違い、用途も異なる。
 
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Juggle Decay(ジャグル ディケイ)
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無限コンボ防止のためのシステム。コンボを繋げていくとライフの下に表示されたゲージが溜まり、ダメージが減少していく。
 
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Rollback Netcode(ロールバック ネットコード)
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オンライン対戦時の入力遅延を減らす「GGPO」システムを採用している。
 
ゲームモード
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Pixel Lobby(ピクセルロビー)
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いわゆるオンライン対戦をする際に集まるロビー。名前の通りロビーではキャラクターはドット絵で表示される。
 
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Salt Mines(ソルトマインズ)
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制限時間内にダンジョンで塩を集めるモード。
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手に入れた塩は帽子や衣装を購入するのに使い、Pixel Lobbyなどで着せ替えることができる。
 
プレイアブルキャラクター
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Arizona(アリゾナ)
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主に近接戦闘で戦う牛。投げ縄を使った投げ技も使用可能。
 
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Velvet(ベルベット)
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Oleander(オーリアンダー)
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闇の魔法を使用するユニコーン。書物からFred(フレッド)という怪物を召喚することもできる。
 
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Paprika(パプリカ)
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トリッキーな動きが特徴的なアルパカ。解読不能な独自の言語を話す。
 
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Pom(ポム)
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Tianhuo(ティアンフー)
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炎を使った空中戦闘が得意な龍馬。龍馬とは古来日本や中国で伝わる伝説の生物である。
 
評価点
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特徴的なキャラクターデザイン
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一般的には人間、もしくは人型のキャラクター同士が闘うことの多い格闘ゲームというジャンルではあるが、本作のプレイアブルキャラクターは全員4足歩行の動物となっており、格闘ゲームとしては非常に珍しい。
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ついでに説明すると後述の開発経緯もあってプレイアブルキャラの性別は全員女性である。この点も格ゲー、それもコンボゲーとしては希有である。
 
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キャラクターデザインもカートゥーン調でなかなか可愛らしいものとなっている
 
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シンプルなシステム
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コンボゲーである以上、ある程度のコンボの習得は必須ではあるが、複雑なコマンド入力や出しにくい技といったものがなく、格ゲー初心者でも比較的遊びやすい。
 
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ストーリーモード
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一般的な格闘ゲームのストーリーモードが選択したキャラクターを主人公として他のキャラクターと戦い、最後にラスボスと戦ってエンディングというものが多い中、本作のストーリーモードはそれぞれのプレイアブルキャラを主人公としたRPG風のものとなっている。
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例えばチャプター1ではArizonaが主人公となっており、Arizonaを操作してストーリーを進めていく。
 
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上記の一般的な格ゲースタイルのストーリーモードよりも、世界観やキャラクターの性格が掘り下げられており、そういった面で言えば評価できる。
 
賛否両論点
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特徴的ではあるがニッチなキャラクターデザイン
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カートゥーン調のグラフィックやプレイアブルキャラクター全員が「4足歩行の動物」かつ「女性」という点は、日本人からするとかなりニッチである。
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カートゥーンやケモノといったジャンルが好きな人にとってはハマる要素であり、本作独自の魅力ともなっているのだが、少なからず人を選ぶ部分でもある。
 
問題点
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ストーリーモードが未完成
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ストーリーモードは2020年7月時点でチャプター1までしか作成されていない。
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チャプター1で深く関わるプレイアブルキャラクターもVelvet、Paprika、Oleanderだけで、Pomは登場こそするが戦わない。Tianhuoに至っては登場すらしない。
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本作は定期的にバランス調整などのアップデートがされており、そのうち続きが追加されることは期待できる。とはいえ、正式リリースした以上未完成な点は指摘せざるを得ない。
 
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プレイアブルキャラクターが6体と少ない
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この時代の2D対戦格闘ゲームで使用キャラが6体というのは少なすぎる。格ゲーの元祖である『ストリートファイターII』でも8体いたことを考えるとかなり少ない。
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これに関しては、本作を開発したMane6が小規模のデベロッパー故に安易にキャラ数を増やせないので難しい所ではある。
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本作のキャラクターグラフィックは2Dのアニメーションで作られているので、キャラを1体増やすだけでも相当な労力がかかる。
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更にキャラ数が増えるとゲームバランスを取るのもそれだけ大変になるので、非常に厳しい。
 
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また上記の事情に加えて、
本作が開発された経緯が極めて特殊である
ことも原因と思われる。詳細は後述の「本作の開発経緯」の項にて。
 
総評
4足歩行の動物たちによる格闘ゲームというのは個性的でカートゥーン調のキャラクターデザインも魅力的ではあるのだが、対戦ゲームとして見た場合は使用キャラがたった6体と少なすぎる点がかなり痛い。
ストーリーモードなど未完成と言える部分もあり、せっかくの魅力的なキャラクターたちを活かしきれていない点も少々残念。
格ゲーとしての大きな破綻は今のところ見つかっていないので、今後のアップデートに期待したい。
本作の開発経緯
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本作はアメリカの女児向けアニメ『My Little Pony: Friendship Is Magic』(邦題『マイリトルポニー~トモダチは魔法~』)の二次創作同人ゲーム『My Little Pony: Fighting is Magic』が原型となっている。
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『My Little Pony: Fighting is Magic』は2013年当時のマイリトルポニーブーム真っ只中ということもあり、EVOの種目に選ばれるなど、かなり盛り上がっていたのだが、有名になり過ぎたことが災いとなり、権利元のハズブロからクレームが入り公開停止・開発中止となってしまった。
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そこで、新たにキャラクターを変更したオリジナル作品として再出発してクラウドファンディングで資金を募り、長年の月日をかけてようやくリリースされたのが本作品である。
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そのためマイリトルポニー(以下MLPと表記)の同人ゲーだった面影は非常に強く残っている。キャラクターデザインもそうだが、例えばデベロッパー名の「Mane6(メーンシックス/Mane Six)」も元々はMLPの主要メンバー6名を指すファン用語である。
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プレイアブルキャラクターが6体なのも恐らくこの名残。MLPをよく知っているブロニーであればそれぞれのキャラがMLPの誰がモデルになっているか一目瞭然であろう。
 
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ちなみに本家MLPのアニメーターであるLauren Faust氏が本作のキャラクターデザインにも関わっている。権利元のメンバーが非公認、それもクレームの入った二次創作を行っていた元同人グループに関わるというのはかなり異例である。
 
余談
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本作のゲームエンジンはLab Zero Games開発の格闘ゲーム『スカルガールズ』と同じ「Z-Engine」が使用されている。
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これはLab Zero Gamesから条件付きでゲームエンジンをMane6に無償提供されたため。
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ちなみにその条件というのは「『スカルガールズ』の開発支援金額が72万5千ドルを達成する」というもの。
 
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上記のアニメーターの件といい、クラウドファンディングといい、様々な人たちの支援があって表に出ることができたゲームと言える。
 
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『BLAZBLUE CENTRALFICTION』『スカルガールズ』『GUILTY GEAR Xrd REV 2』とコラボしており、Steam版はそれらの作品をSteamで購入していると、本作でコラボ衣装が手に入る。
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パブリッシャーの変更について。
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リリース当初のパブリッシャーはPCゲームや電子書籍等のデジタルコンテンツ販売サイトとしても知られるZiff Davis傘下のHumble Bundle。
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後にゲームパブリッシング部門のHumble Gamesが立ち上がってからはそちらの管轄になった。
 
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2022年1月にアメリカのゲーム会社、Maximum Gamesが本作の開発元であるMane6を買収。以後Maximum GamesのパブリッシングレーベルのModus Gamesがパブリッシャーとなっている。(参考)
 
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当初Switch版はPS5/PS4版と同時の10月27日発売の予定だったが、12月に発売延期となった。
最終更新:2023年08月21日 21:28